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【聞き起こし】「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)

資料は金融庁ホームページよりダウンロード可能です


  • 神田座長

定刻になりましたので始めさせていただきます。 仮想通貨交換業等に関する研究会第11回を開催します。

本日は、諸問題についての方向性の取りまとめについてこれまでのご議論の成果を踏まえて、お手元に報告書案をご用意しています。 そこで本日は事務局から報告書の内容をご説明し皆様方からご意見をいただく流れで進めさせていただきたい。

  • 小森企画市場局市場課長

前回第10回において論点整理や、ICOに関しては資料に基づいて議論をいただいた。 第10回の研究会にていただいたご意見、その後本日に至るまでの間に頂いたご意見を加えまして、本日は報告書をご用意させていただいております。 大きな方向性について変更はございませんが、若干の改定が行われています。また、はじめに、や、おわりにが追加されています。

内容をご説明させていただきます。

1ページ目、はじめに、ということで、当研究会の歴史の整理、あるいはこれまでの状況について整理をしています。

2ページの最後の方にですが、認定協会が果たすべき役割について

今後、自主規制機能の十全な発揮に向けて、行政当局と緊密に連携していくとともに、執行体制の充実も含め、実効性の確保に尽力していくことを期待したい。さらに、仮想通貨に関する各種業務の実態を誰もが正確に把握できるようにしていくため、認定協会が必要な統計調査・情報提供の充実を図っていくことが望まれる。

と伝えているところでございます。

3ページのはじめを御覧いただきたいと思います。「1.仮想通貨交換業者を巡る課題への対応 」でございます。

利用者保護の確保等の観点から、制度的枠組みの改善による対応が適切と考えられる課題について検討を行った。

とございまして、それぞれきついて記述がなされています。

(1)顧客財産の管理・保全の強化 ア.受託仮想通貨の流出リスクへの対応

こうしたセキュリティリスクへの対応としては、まずは、仮想通貨交換業者において、法令等で求められるセキュリティ対策を着実に講じることが重要である。一方で、セキュリティ対策に加えて、流出事案が生じた場合の対応が予め明確であることや、顧客に対する弁済原資が確保されていることも、利用者保護の観点から重要と考えられる。 このため、仮想通貨交換業者に対し、受託仮想通貨を流出させた場合の弁済方針の策定・公表や、ホットウォレットで秘密鍵を管理する受託仮想通貨に相当する額以上の純資産額及び弁済原資(同種・同量以上の仮想通貨)の保持を求めることが適当と考えられる。

と記載があります。

この辺に関しまして注の11がございます。2行目の真ん中以降、

なお、弁済原資として金銭等の安全資産の保持を求めることも考えられるが、仮想通貨交換業者が顧客に対して負っている義務は受託仮想通貨を返還することであることや、安全資産の保持額が仮想通貨の価格変動により弁済必要額に満たなくなる場合があり得ること等に留意が必要と考えられる。

とあります。

イ.仮想通貨交換業者の倒産リスクへの対応  (ア)受託仮想通貨の保全 5ページ 2つ目のパラグラフ

まずは、各仮想通貨交換業者におけるコンプライアンスの徹底が求められる。一方で、仮に、仮想通貨交換業者が適切に分別管理を行っていたとしても、受託仮想通貨について倒産隔離が有効に機能するかどうかは定かとなっていない。

このため、受託仮想通貨について、倒産隔離の観点から、仮想通貨交換業者に対し、顧客を受益者とする信託義務を課すことも考えられる13が、仮想通貨の種類や受託仮想通貨の量が増加してきている中で、それに対応した信託銀行・信託会社におけるセキュリティリスク管理等に係る態勢整備の必要性を踏まえれば、現時点で、全種・全量の受託仮想通貨の信託を義務付けることは困難と考えられる。なお、今後、仮に、信託銀行等において十分な態勢整備等が図られる場合には、仮想通貨交換業者が可能な範囲で受託仮想通貨の信託を行っていくことは望ましいと考えられる。

また、仮想通貨交換業者の財務の健全性を認識できるようにする観点から、仮想通貨交換業者に対し、貸借対照表損益計算書をはじめとする財務書類の開示を求めることが適当と考えられる。

さらに、仮想通貨交換業者の破綻時においても、受託仮想通貨の顧客への返還が円滑に行われるようにする観点からは、顧客の仮想通貨交換業者に対する受託仮想通貨の返還請求権15を優先弁済の対象とすることも考えられる

と記載しているところでございます。

続きまして (イ)受託金銭の保全 でございます、次のページからのパラグラフになりますが、

受託金銭については、仮想通貨交換業者に対し、信託義務を課すことが適当と考えられる。

としています。

(2)仮想通貨交換業者による業務の適正な遂行の確保 でございます。

ア.取引価格の透明性の確保、利益相反の防止

2つめのパラグラフでございますが、

顧客が妥当でない価格で仮想通貨の取引を行うおそれもあるため、取引価格の透明性を高めていくことや仮想通貨交換業者による利益相反行為を防止していくことが重要であり、仮想通貨交換業者に対し、以下の対応を求めることが考えられる。

・ 顧客との取引に関し、以下の情報を公表すること。

① 自己が提示する相対取引価格(売値と買値)及びスプレッド(売値と買値との差)、又は、自己が提供する「顧客間の取引のマッチングの場」における約定価格・気配値及び当該約定価格と自己の相対取引価格との差 ② 認定協会が算出する参考価格17及び当該参考価格と自己の相対取引価格との差

・ 仮想通貨交換業者が、顧客との相対取引、「顧客間の取引のマッチングの場」の提供、他の仮想通貨交換業者への取次ぎ等、顧客に複数の取引チャネルを提供する場合には、利益相反を防止し、かつ、顧客にとって最良の条件で注文を執行するための方針を策定・公表し、それを適正かつ確実に実施するための体制を整備すること。

・ 仮想通貨交換業者が、顧客から自己が提供する「顧客間の取引のマッチングの場」での取引注文を受けた場合に、それをマッチングの場に取り次がず、自己が相手方となって取引を行う場合には、その旨及びそれが最良の条件による執行であった理由を顧客に説明すること。

・ 仮想通貨交換業者が、流動性供給等の観点から、自己が提供する「顧客間の取引のマッチングの場」に自らも参加することがある場合には、その旨及び理由を顧客に説明すること。

イ.過剰な広告・勧誘への対応 でございます。

顧客によるリスクの誤認や投機的取引の助長を抑止する観点から、仮想通貨交換業者に対し、以下のような行為を行わないことを求めることが適当と考えられる。 ・ 誇大広告、虚偽告知、断定的判断の提供、不招請勧誘 ・ 顧客の知識等に照らして不適当と認められる勧誘 ・ 投機的取引を助長する広告・勧誘

広告について、ICOについてターゲティング広告等の規制がありましたけれども、交換業者による交換についても議論がありましたので注を記載しました。

次のページへ進んで ウ.自主規制規則との連携 2つ目のパラグラフ

認定協会への加入を促すとともに、認定協会未加入の仮想通貨交換業者に対しても自主規制規則に準じた体制整備を求める観点から、仮想通貨交換業者について、以下のような登録拒否・取消要件を設けることが適当と考えられる。

・ 認定協会に加入しない者であって、認定協会の自主規制に準ずる内容の社内規則を作成していない者 ・ 当該社内規則を遵守するための体制を整備していない者

(3)問題がある仮想通貨の取扱い 3つ目のパラグラフ

問題がある仮想通貨を予め法令等で明確に特定することは困難であることが想定され、行政当局と認定協会が連携し、柔軟かつ機動的な対応を図っていくことが重要である。 具体的には、現状、行政当局に対する事後届出の対象とされている仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨の変更を事前届出の対象とし、行政当局が、必要に応じて、認定協会とも連携しつつ、柔軟かつ機動的な対応を行い得る枠組みとすることが適当と考えられる。

11ページ 2.仮想通貨の不公正な現物取引への対応

(1)仮想通貨の不公正な現物取引の現状と規制導入の必要性 一番下のパラグラフでございますが、

仮想通貨の現物取引については、有価証券の取引とは経済活動上の意義や重要性が異なることや、有価証券の取引と同様の不公正取引規制を課した場合に費やされる行政コストを勘案すれば、現時点で、有価証券の取引と同様の規制を課し、同等の監督・監視体制を構築する必要性までは認められない。 一方で、利用者保護や不当な利得の抑制の観点から、不公正な現物取引を抑止していくための一定の対応は必要と考えられる

とございまして、(2)仮想通貨の不公正な現物取引に係る規制の内容 でございます。

まずは、仮想通貨交換業者に対し、不公正な行為の有無についての取引審査を行うとともに、取引審査を通じてそうした行為が判明した場合には、当該行為を行った者に対する取引停止を含めた厳正な対応を求めることが適当と考えられる。 また、実際に不公正な行為を行う者は、仮想通貨交換業者以外の者である場合も多いと想定されることから、実効性確保の観点からは、有価証券の取引に係る不公正取引規制と同様に、行為主体を限定することなく、不公正な行為を罰則付きで禁止することも有効と考えられる。 その場合には、金融商品取引法において全ての有価証券の取引に適用される不正行為の禁止、風説の流布等の禁止と同様の規制に加え、仮想通貨にも「顧客間の取引のマッチングの場」があることを踏まえ、有価証券の取引における相場操縦に相当する行為24の禁止も課すことが考えられる。 一方で、インサイダー取引規制については、以下の理由から、現時点で、法令上、禁止すべき行為を明確に定めることは困難と考えられる

次のページ

ただし、インサイダー取引のような取引に関しては、少なくとも仮想通貨交換業者が把握可能な不公正な取引の抑止や仮想通貨交換業者自身による不公正な行為の防止を図る観点から、仮想通貨交換業者に対し、前述の取引審査の実施に加え、自己が取り扱う仮想通貨に関して有する未公開情報を適切に管理し、当該未公開情報に基づき自己又は他人の利益を図る目的で取引を行わないことを求めることが適当と考えられる。

14ページにお進みいたしまして、 3.仮想通貨カストディ業務への対応 でございます。

この点につきましてこれまでウォレット業務と読んで議論をしていただいていたところでございますけれども、世の中におきましてウォレット業務と呼ばれるものの範囲がこの報告書で想定している範囲よりも広いということでございまして、誤解を招かないようにしたほうが良いというご意見を委員の方から複数頂いたことからこのような表現にさせていただいております。

(1)仮想通貨カストディ業務の現状と規制導入の必要性 3行目からでございます。

仮想通貨の売買等は行わないが、顧客の仮想通貨を管理し、顧客の指図に基づき顧客が指定する先のアドレスに仮想通貨を移転させる業務

につきましてこれを仮想通貨カストディ業務と呼んでいるところでございます。次のパラグラフでございますが、

仮想通貨カストディ業務は、顧客の支払・決済手段を管理し、当該支払・決済手段を顧客が指定する者に移転させる行為を行うものであり、以下の点を踏まえると、決済に関連するサービスとして、一定の規制を設けた上で、業務の適正かつ確実な遂行を確保していく必要があると考えられる。

といったところでございまして、以下の点というところについては、

仮想通貨カストディ業務については、サイバー攻撃による顧客の仮想通貨の流出リスク、業者の破綻リスク、マネーロンダリング・テロ資金供与のリスク等、仮想通貨交換業と共通のリスクがあると考えられること。

といったことが、指摘されていることでございます。

次のページ (2)仮想通貨カストディ業務に係る規制の内容

仮想通貨カストディ業務を行う業者について、仮想通貨交換業者に求められる対応のうち、顧客の仮想通貨の管理について求められる以下のような対応と同様の対応を求めることが適当と考えられる

下から3つ目に

顧客の仮想通貨の返還請求権を優先弁済の対象とすること

を加えています。明確化のためにここに入れたほうが良いというコメントを頂いたため追加させていただきます。

4.仮想通貨デリバティブ取引等への対応

仮想通貨デリバティブ取引については、原資産である仮想通貨の有用性についての評価が定まっておらず、また、現時点では専ら投機を助長している、との指摘もある中で、その積極的な社会的意義を見出し難い。

仮想通貨デリバティブ取引については、これを禁止するのではなく、適正な自己責任を求めつつ、一定の規制を設けた上で、利用者保護や適正な取引の確保を図っていく必要があると考えられる。

(2)仮想通貨デリバティブ取引に係る規制の内容 ア.デリバティブ取引であることを踏まえた対応

仮想通貨デリバティブ取引についても、少なくとも、他のデリバティブ取引と同様の業規制31を適用することが基本と考えられる。

ただし、仮想通貨の証拠金取引における証拠金倍率については、現状、最大で 25 倍を採用している業者も存在するところ、仮想通貨の価格変動は法定通貨よりも大きいことを踏まえ、実態を踏まえた適切な上限を設定することが適当と考えられる

なお、仮想通貨デリバティブ取引については、上記のとおり積極的な社会的意義を見出し難いこと等を踏まえれば、これを金融商品取引所のような多数の市場参加者による取引が可能な場で取り扱う必要性は、現時点では認められないと考えられる。

イ.仮想通貨の特性等を踏まえた追加的な対応 でございます

仮想通貨の特性についての顧客の認識不足、問題がある仮想通貨の取扱い等、仮想通貨の現物取引と共通の課題が内在した取引である。

仮想通貨の特性を踏まえて仮想通貨交換業者に求められる対応は、仮想通貨デリバティブ取引を業として行う者に対しても同様に求めることが適当と考えられる。

資力や知識が十分でない個人にそうした害悪が及ぶことがないよう、業者に対し、以下のような対応を求めることが適当と考えられる。

・ 最低証拠金(取引開始基準)の設定 ・ 資力33等に照らして取引を行うことが不適切と認められる顧客との取引を制限するための措置 ・ 顧客に対する注意喚起の徹底

(3)仮想通貨信用取引への対応 下から4行目でございますが、

仮想通貨の証拠金取引と同じ経済的機能やリスクを有するものと考えられる。

このため、仮想通貨信用取引については、仮想通貨の証拠金取引と同様の規制の対象とすることが適当と考えられる。

5.ICO への対応 (1)ICO の現状と対応の方向性 ア.ICO による資金調達の現状

注の35がございます。

ICO については、明確な定義がないため、例えば、投資性を有するものについては STO(Security Token Offering)等の他の呼び方が一般的となる可能性も含め、今後の展開は必ずしも見通し難い面があるが、本研究会で検討された内容は、呼び方の如何を問わず、電子的に発行されたトークンを用いて資金調達を行う行為全般に妥当するものと考えられる。

20ページ1番上に進んでいただきまして

ICO は、その設計の自由度が高いことから様々なものがあると言われているが、トークンの購入者の視点に立った場合には、以下のような分類が可能と考えられる。

として3つございます。

・ 発行者が将来的な事業収益等を分配する債務を負っているとされるもの(投資型) ・ 発行者が将来的に物・サービス等を提供するなど、上記以外の債務を負っているとされるもの(その他権利型) ・ 発行者が何ら債務を負っていないとされるもの(無権利型)

イ.ICO に係る規制の現状 諸外国や我が国における注意喚起や規制の動向について追加されているところでございますが、本日は割愛させていただきまして、つづいて ウ.ICO への対応の方向性 でございます。

ICO については、様々な問題が指摘されることが多い一方で、将来の可能性も含めた一定の評価もあることを踏まえれば、現時点で禁止すべきものと判断するのではなく、適正な自己責任を求めつつ、規制内容を明確化した上で、利用者保護や適正な取引の確保を図っていくことを基本的な方向性とすべきと考えられる。

同様の経済的機能やリスクを有する場合には同様の規制を適用することを基本としつつ、ICO の機能やリスクに応じた規制の対象とすることが重要と考えられる。

その際、ICO の性格に応じて、投資商品の販売と認められるものについては投資に関する金融規制を、支払・決済手段の販売と認められるものについては決済に関する規制を、それぞれ参考としながら、必要な対応を行うことが適当と考えられる。

(2)ICO に係る規制の内容 ア.投資に関する金融規制を要する ICO に係る規制の内容

特徴は、いずれも投資家にリスクを生じさせるものであることから、以下のような仕組みが必要となると考えらえる。 ・ 発行者と投資家との間の情報の非対称性を解消するための、継続的な情報提供(開示)の仕組み。 ・ 詐欺的な事案等を抑止するための、第三者が発行者の事業・財務状況についてのスクリーニングを行い得る仕組み。 ・ 不公正な行為の抑止を含め、トークンの流通の場における公正な取引を実現するための仕組み。 ・ 発行者と投資家との間の情報の非対称性の大きさ等に応じて、トークンの流通の範囲等に差を設ける仕組み。

23ページ

しかしながら、購入の対価が私的な決済手段である仮想通貨であったとしても、法定通貨で購入される場合とその経済的効果に実質的な違いがあるわけではないことを踏まえれば、仮想通貨で購入される場合全般を規制対象とすることが適当と考えられる42。また、このことは、トークン表示権利の購入に限らず、集団投資スキーム持分の購入についても、同様に妥当するものと考えられる

(ア)情報提供(開示)の仕組み

トークン表示権利は、事実上多数の者に流通する可能性があるため、前者(第一項有価証券)と同様に整理することが適当と考えられる。

また公衆縦覧型の開示規制が課されているもの、いないものがありますけれども、

トークン表示権利についても、これと同様に整理することが適当と考えられる

とございます。

トークン表示権利の開示内容については、既存の開示規制と同様に、その性質に応じた形で整理していくことが適当と考えられる。

(イ)第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み

ICO についても、こうした対応の必要性が変わるものではなく、詐欺的な事案の抑止や内容が曖昧なトークン表示権利の発行・流通の防止の観点からも、第三者が発行者の事業・財務状況を審査する枠組みを構築することが適当と考えられる。

次のページ25ページに進んでいただきまして

ICO におけるトークン表示権利を取り扱う業者は、事実上多数の者に流通する可能性がある権利を取り扱うことから、前者(第一種金融商品取引業者)と同様に整理した上で、当該業者に対し、発行者の事業・財務状況の審査を適切に実施していくことを求めることが適当と考えられる。

次のパラグラフは自己募集についてでございます。

詐欺的な事案の抑止等の必要性を踏まえると、第三者による審査を経ることが最も望ましいが、集団投資スキーム持分等については、第二種金融商品取引業者としての登録を受けることを前提に自己募集が認められていることも踏まえ、トークン表示権利の自己募集についても、禁止するのではなく、適切に規制の対象としていくことが考えられる。 具体的には、集団投資スキーム持分等の自己募集と同様に、発行者に業登録を求め、広告・勧誘規制やトークン表示権利の内容等についての説明義務等の行為規制を課すことを通じて、一定の投資家保護を図っていくことが適当と考えられる

(ウ)公正な取引を実現するための仕組み

26ページの一番上のパラグラフに飛んでいただきまして

トークン表示権利については、その特徴を踏まえたとしても、これら以外に、独自の流通の場や形態を予め用意すべき特段の理由はなく、また、例えば、上場を制度的に禁止するなど、これらの流通の場や形態の一部を利用できないようにすべき特段の理由もないと考えられる

有価証券の取引に適用される不公正取引規制については、基本的にはトークン表示権利の取引にも同様に適用することが適当と考えられる。

トークン表示権利については、その設計の自由度が高い中で、何が投資家の投資判断に著しい影響を及ぼす重要事実に該当するかは現時点で明らかであるとは言い難い。

このため、トークン表示権利の取引へのインサイダー取引規制の適用については、事例の蓄積や適時開示の充実等が図られた後に改めて検討することが適当と考えられる。

27ページ (エ)トークンの流通の範囲に差を設ける仕組み

例えば、金融商品取引所に上場されている場合のように、第三者による適切な審査を経ているなどの利用者保護の観点からの特段の措置が講じられていない限り、トークン表示権利の勧誘を非上場株式の場合と同様に制限し、一般投資家への流通を一定程度抑止することが考えられる。また、トークン表示権利の事実上の流通性の高さを踏まえれば、自己募集の場合にも同様に勧誘を制限することが適当と考えられる。

イ.決済に関する金融規制を要する ICO に係る規制の内容 28ページに進んでいただきまして

仮想通貨に該当するトークンを含め、発行者が存在する仮想通貨については、利用者保護の観点から、仮想通貨交換業者57に対し、発行者に関する情報、発行者が仮想通貨の保有者に対して負う債務の有無・内容、発行価格の算定根拠等を顧客に提供することを求めることが適当と考えられる58。さらに、ICO の場合には、これらに加え、発行者が作成した事業計画書、事業の実現可能性、事業の進捗等の情報についても、その客観性・適切性に留意しつつ、顧客に提供することを求めることが適当と考えられる

なお、ICO については、詐欺的な事案や事業計画が杜撰な事案が多い、との指摘があることから、仮想通貨交換業者においては、仮想通貨に該当するトークンの取扱いに際しては、特に厳正な審査を行った上で、問題がないと判断したもの以外は取り扱わない対応の徹底が求められる

また、行政当局においても、ICO については、トークンの購入者が自己責任で十分に注意する必要があることについて繰り返し注意喚起を行っていくことが重要である。加えて、金融規制に基づく対応のみでは限界があることも想定されることから、消費者関連機関を含む関係者には、問題事案の性質に応じて、利用者保護の観点から、適切な対応を講じていくことを期待したい。

30ページ 6.業規制の導入に伴う経過措置のあり方 でございます。

今後、本報告書に沿って、仮想通貨デリバティブ取引等について業規制を導入する際に、仮想通貨交換業への規制導入時に設けられたようなみなし業者に係る経過措置を設ける場合には、当該みなし業者に対し、以下のような対応を求めることが適当と考えられる。 ・ 業務内容や取り扱う仮想通貨等の追加を行わないこと。 ・ 新規顧客の獲得を行わないこと(少なくとも、新規顧客の獲得を目的とした広告・勧誘を行わないこと)。 ・ ウェブサイト等に、登録を受けていない旨64や、登録拒否処分等があった場合には業務を廃止することとなる旨を表示すること。また、登録の見込みに関する事項を表示しないこと。

31ページに進んでいただきまして

なお、こうした対応に加え、みなし業者として事業を行う期間の長期化を回避する観点から、行政当局において、適切な制度上又は監督上の対応について、引き続き検討していくことが期待される

32ページ 7.「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称変更

一方で、最近では、国際的な議論の場において、“crypto-asset”(「暗号資産」)との表現が用いられつつある

注66がついてございます。

例えば、G20 ブエノスアイレス・サミット(2018 年 11 月 30 日-12 月 1 日)の首脳宣言においても、以下のように、“crypto-asset”との表現が用いられている。

として言及がございます。

また、現行の資金決済法において、仮想通貨交換業者に対して、法定通貨との誤認防止のための顧客への説明義務を課しているが、なお「仮想通貨」の呼称は誤解を生みやすい、との指摘もある。こうした国際的な動向等を踏まえれば、法令上、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することが考えられる。

最後のページに おわりに がございます。

実現可能なものから速やかに適切な対応が図られることを期待する。

できる限り柔軟な制度設計を図っていく視点が重要

であり、

可能な限り、将来を見据えた検討を行ってきたところ

必要に応じて更なる検討・対応を行っていくことが重要。 国際的な協力が不可欠。 利用者においても一定の自己責任を認識することが望まれる。 関係者には、今後とも、不断の取組みを行っていくことを望みたい。

  • 神田座長

それでは、皆様方からご質問ご意見をお伺いできればと思います。

  • 岩下メンバー

今回この研究会報告書案がまとめていただいた内容について丁寧にご説明いただきました。研究会の内容を十分に反映したものです。

また今回改めて追加がありました。たとえば、ウォレット業者についてカストディ業務という呼称用いること、あるいは広告勧誘にターゲティング広告の注を加えることなど従来の説明について加えることについてもとても良いと考えています。

故障について、賛成の立場を述べた上で若干コメントを挙げさせていただきますと、32ページ、「7.「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称変更」ですが、たいへん大きな決断であると思います。仮想通貨を暗号資産と呼びかえることは、ついこないだ条文に書いたばかりだと思いますが、国際的な動向を踏まえ、暗号資産という名称が定着しつつある中で日本だけが仮想通貨という名前を使い続けることは具合が悪いと思いますので、この対応につきましてもご対応をお願いしたいと思います。 考えてみれば日本は、FATFガイダンスに基づいて世界で最も積極的に仮想通貨、暗号資産についての規制を検討し、また実質的な対応を当局が大変力を入れ進めてきた。 ただその中で、2017年に生じた、極めて異常とも思える仮想通貨の相場の上昇というものが、どうもこの業務を改正資金決済法を制定したときに想定されていた状況を大きく変えてしまって、結果として仮想通貨というものが、あたかも一攫千金を夢みる人のための宝くじのようなものであるというものに、なってしまったことはある意味で関係される業者のかたも含めて不幸なことであったのかと思います。

その後、2018年は仮想通貨全体の価値が大きく減しました。 とはいっても、2年前と比べて全体のマーケットキャピタライゼーションはまだ5,6倍の価値を持っていると思いますので、そういう意味では全く無に帰したわけではないと思うが、ビットコインの登場のときに見られた国際的な取引が容易になった、業者を介さなくても取引が可能になったということは、大きなメリットであると同時に、マネロンやテロ資金供与を考えれば大きな脅威でもあった。そういったことに今後仮想通貨から暗号資産に変わったことで、従来一攫千金のような話から、実質的な仮想通貨が持つべき機能に変わっていったとしても、なおそこには規制で対応すべき点が残されているように思われます。

その意味で、最初からこのような形で望むべきものだったと思いますが、それが規制を率先してやったことで初めてわかったことであり、かつ、日本だけでこれをやっても十分な効果がありませんのでG20等で国際的な協力を求めつつ、仮想通貨全体の適切な発展、ポテンシャルは決して失われたわけではないと思いますので、ポジティブに(聞き取れず)

以上ですありがとうございました

  • 中島メンバー

報告書の全体については違和感はありません。短い期間にまとめていただいてありがとうございました。

全体としては仮想通貨交換業者に対してこれまで必ずしも規制が明らかでなかった部分について明確にしている方向性と理解しています。

たとえば問題のある仮想通貨は取り扱わない、不公正な取引は禁止、ホットウォレットで保有するようにすると業者の負担が重くなるようなインセンティブ付けを行う、過剰な広告は行わないという点が明確な規制をしていく方向性。

いろいろ問題になっているICOにつきましても投資性を有する性格のものについては金商法で、それ以外のものは資金決済法で規制をかけていくということになっておりまして、この研究会でも広く網をかけていくことが望ましいのではないかという議論が多かったと思いますけれども、そういう意味では妥当なアプローチが多いのではないかと考えています。

一応総論はそういうことでございまして、その上でいくつか各論についてコメントを申し上げたいと思います。

ひとつはセキュリティ対策でございます。

本研究会が設置されたのも、今年1月コインチェック事件が契機になっていたんだと思います。ご存知のように不正アクセスで580億円が外部に流出したということで、史上最大というか最悪の流出金額ということで社会的にも大きな問題になった

それを考えますと、やはり本報告書ではセキュリティ基準を策定してそれを業者がきちんと守るように体制整備をしていくことが重要なのではないかなと考えています。

この点についてこの報告書では、4ページのところで業者側のセキュリティ対策を確実に講じることが重要であると書いています。脚注10については、セキュリティ対策については関係団体から技術面の指針が整備されることが望まれると、なんか割とあっさり書かれている感じがするんですね。

またそうした安全対策基準ができた場合にも、それを誰がチェックしていくのかについては、何も記述がないという意味で、でちょっと物足りない気がいたします。

そういう意味では安全対策基準の策定、あるいは遵守状況のチェックについて、可能であればもう少し突っ込んで書いていただくとよろしいと考えます。

ことの重要性から言って安全対策の徹底と、いち項目を設けても良いのではないかと思います。

いずれにしても我が国ではMtGOX事件があり、コインチェックがあり、テックビューロがあり、3回に渡って流出事件を起こしている。

これ以上は流出事件を起こさないことが重要でありまして、この報告書ではそういう固い決意を読み取れるような報告書にしていただければと思います。

2つ目が、事業者の最低資本金について議論がありまして、現行の1000万円は低すぎるのではないかという議論が何度か合ったと思いますが、これが報告書に見当たらないと思います。

財務的に脆弱な業者が参入してくると業界全体の信頼に関わる。十分な安全対策が取られない、当然コストがかかるということですから脆弱な設計が出てくる。十分な安全対策がとられなくてまた流出事件を起こすことが考えられます。

現状、160社ぐらい登録に伺っていると聞いているが、こうした事自体が、ハードルが低すぎるということを端的に表しているのではないかと考えます。

金融庁も160社も審査するの大変じゃないですか。報告書の表現を借りれば、行政コストの問題ということで、もう少しハードルを上げても良いのではないか、ということで報告書になにか書いていただければと思います。

それから3つ目に証拠金取引の証拠金倍率ですが、業界の自主規制案の4倍か海外の2倍が出発点になるかと思いますが、最終的にはボラティリティなどを見ながら内閣府で決めていくことになると思うが、米国の先物規制で2倍、EUでも2倍なので、日本だけが4倍にする合理的な理由はなかなか見出し難いのではないかと思います。委員の方からも2倍をおすすめする意見があったと思います。

4点目、みなし業者の長期化の回避というのが書いてありますけれども、みなし業者は過渡的な処置でありまして、いたずらに長引くことは望ましくないのではないかと考えております。

この点につきましては、報告書では31ページで行政当局で引き続き検討されていくことが期待されるとある。一定の基準を設けることも適当でないかという意見もあったと、腰の引けた、あまりやりたくなさそうな感じになっている。たぶんこれは多数のみなし業者が発生した場合に、期限を区切ると、行政手続きが間に合わなくなるケースを懸念されているのではないかと思いますが、原則期限内に行うことにして、特段の事情が生じたときは一定期間延長できるようにすると解決できるのではないか。やはり経過措置は長引かせないのが原則ではないかと思います。

5点目、新たな仮想通貨を取り扱う際の手続きということが10ページに書いてありまして、事前届出の対象にするということになっていますが、その点は良いと思いますが、事業者が仮想通貨の発行者から一定量のコインを受け取ったり、経済的な便益を受けて上場させるケースがままあると思います。そうしますと大した企業ではないがカネを払うから上場してくれというのは株式の世界ではまずい事態だと思うが、そういうことが仮想通貨の世界では実際に起きている。発行者との利害関係みたいなものについて注意喚起が必要だと思います。ひとつは事前届出の内容に含めさせることだと思いますし、顧客に対する情報提供の中に含めることもあると思いますけれども、そういう点は顧客に対して開示されることが必要なのではないかと思います。

ということで総論賛成、各論いくつかでございます。

  • 永沢メンバー

ありがとうございます。おまとめいただいた報告書については賛成でございます。

その上で、念のために確認させていただきたいことが2点と、意見を。

まず質問ですが、8ページ目のイ、過剰な広告への対応のところですが、資金決済法の改正に向けたものなので記載に変更は必要ないと思うが、どこで具体化していくのかについて確認させていただきたい。

それから24ページですが、第三者による評価の、第三者とはというのを、念の為にもう一度確認させていただきたい。

またICOがどのスピードで動いてくるのかわかりませんが、具体的にすぐ動ける体制で出てくるのか、お伺いできればと思います。

あとは意見でございます。

まず1点目は、16ページのところにあるが、今回のこのメンバーでの仮想通貨に対する我々メンバーの否定的と言うか条件的な評価が、われわれこれから批判を浴びるかもしれないが、反映されたことは良かったことだと思います。

利用者への注意喚起、自己責任だということを強く繰り返し書かせていただいている、と認識しておりますが、この点も良かったと思います。

さきほど中島メンバーからも出ましたが、行政コストをかけすぎることに消極的ということも書かせていただいていますし、その反面というか、その分これから注意喚起を利用者に対して強くしていかなければならないところで、消費者庁国民生活センターなどとどのように注意喚起をしていくのか。この仮想通貨に対してどのように具体的に注意喚起をしていくのかというところ、この場ではないところでもう一段具体的な議論をしていただいて、各所から意見を求めて、海外の事例なども見ながら我々としては見守っていく、あるいは議論に参加させていただきたいと思います。

それから3点目、こちらも中島メンバーがおっしゃったところですが、登録者が100社以上待っているという話もありましたが、本当に機能するのかと思っておりまして、ハードルを上げても良いのではないかということは感じた次第です。行政コストをかけすぎないことも大事なのではないか。

それから、4点目で最後になりますが、今回の規制の見直しに関して、認定団体の役割は非常に大きく責任が大きいと思っております。行政とともに規制がしっかり機能するように活動していただきたいと思っておりますが、これは認定団体への質問になりますが、何名体制でこれからやっていくのかもお伺いしたいと思います。

  • 奥山日本仮想通貨交換業協会会長

ご質問にご回答させていただきます。

9月24日の第八回かと思います、交換業自主規制の内容をご説明させていただいた際に、その時点での体制状況をご説明させていただいたことを記憶していますが、あの計画の通り、現時点で19名の職員が専任として従事していただいておる状況でございまして、計画に従い20名強の体制までは持ち上げていく事が限界(?)とされております。また今後自主規制の内容等が増加していくので、適宜状況を見ながら増員をかけていきたいと思います。現在仮想通貨交換業、登録業社が16社でございまして、20名体制を維持するのも重たい状況だが、この辺のコストもにらみながらになりますが、コストにかかわらずやるべきことはしっかりやっていく姿勢を維持したまま、自主規制をまずは回せるようにしていく、よってもってですね、それを基盤にしながら投資家保護と市場の健全な発展に資するような状況を目指すようにと思っているところでございます。

  • 永沢メンバー

これは質問してはいけないのかもしれませんが、何社ぐらいの会員であれば、しっかりした自主規制機関としてワークできるのか、16社では無理だと思いますが、どんなものなのか差し支えない範囲でお答えいただけたら

  • 奥山会長

私自身がやっているのは金商業者でございますし、日本証券業協会金融先物取引業協会も資金決済業協会も加盟させていただいておりますが、数が多くなるだけ1社あたり負担のコストは按分化されていくと思います。また市場がしっかり利用者を抱えていくと売上も業界自体を作れるということになりますので、当然コンプライアンスにかけていくコストも、多大なる問題として提供していく状況がやっぱり出来上がって参ります。

また同様に、認定団体ともなりますと段階的にはございますが、業容に応じた形での自主規制コストをご負担していただくのを各業者にお願いしていくこともできるようになりますので、そういったところでも、コンプライアンスを充実させるにも市場の健全な発展と両輪の発展が必要というのはとても大事だと思います。一概に何社が良いとはなんとも言えないが、現在の16社というのは、いささか少なすぎる状況ではあろうかと思っています。

こういったところの中がですね、もちろん適切に運営していただく業者様がしっかり一つ一つ増えていくことが大事だと思っております、闇雲に増えたら良いとは思っていませんが、ひとつずつ丁寧に増えていく中でですね、市場の発展等に合わせて業者が増えることが、自主規制を円滑に回すために、大事かと思います。数が言えなくて申し訳ございません。

  • 永沢メンバー

ありがとうございます

  • 小森市場課長

永沢メンバーからございましたご確認について

まず1点目広告勧誘への対応とうことで、報告書8ページに関して。ガイドラインで具体的な内容が定まっていくことが想定されるところでございます。具体的には自主規制団体にもご対応いただきながらというふうになるんじゃないかと考えております。

2点目がスクリーニングをする第三者はなにかということで、22ページということでご質問をいただきましたが、24ページに、(イ)第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み としてもう少し論じたところがあります。投資型のICOが現状存在しなくて誰がスクリーニングをするのかわからないというのがあるが、既存の例であれば、第一種証券取引業者が第三者としてスクリーニングをしている。あるいは小さなものなら第一種原資調達募集会社がそうした役割を果たしている。今後実現していく投資性ICOトークンの性質等によって類したものが第三者として登場してくるのではないかということが期待しているところでございます。

それから永沢先生と中島先生がおっしゃった点に関して、付け加えさせていただきます。

参入に関してのバリアをどうするかというご指摘があったと思います。それにつきましては仮想通貨交換業に関してカストディ業務も交換業になるが、交換業が一つの塊としてとらえられるのかは一つ議論が必要なところであろうかと思います。現状の仮想通貨交換業者が大きくなった形で資本規制を求めて行くのか、あるいはベンチャー的な形で仮想通貨交換業が存在することを許容するのといった論点に関わる問題でないかと考えております。

今回の報告書の案に含まれていますのは、先程ご指摘いただきました、ホットウォレットにあるものは別途、別途財務の確保を求めるというもので、オペレーションリスクや事業の規模に応じて資本、資金的な規制がかかってくるという形になっておりまして、そうするとベンチャー的なものも存在しうるし、大きな業務を行うところには大きな規制がかかるという形で対応されているところでございまして、こうしたところに議論があれば提言(?)いただきたいと思っているところでございます。

それから中島先生がおっしゃった点で、証拠金倍率について、基本的にはおっしゃった点を詰めまして、結局、仮想通貨の現資産のボラティリティに強く依存するので、実施するときの足元の状況に合わせて適切な倍率に設定したいと存じております。

それからみなしについて、ご指摘いただいたとおりだが、実際何社出てくるか推測ができないので、一定の期間を予め設けることが難しいと思っているところでございますが、それでもなお見通しがつかないのは望ましくないというご意見だと思いますので報告書の中にも記載させていただいているところでございます。

  • 福田メンバー

この報告書に関する感想、印象を手短に述べさせていただきます。

仮想通貨化暗号通貨かという用語に付きまして、報告書案の内容は暗号資産と呼んだほうがいい内容に関する記述になっているだろうと思います。

そういう意味では多くの問題点が暗号資産的な側面ででてきて、それに関していろいろ問題点があってどうにかしなければいけないという報告書になっていると思う。

ただ当初我々が期待することは別のことでありまして、ブロックチェーンによる安価で便利な決済機能を期待して始まったものであった。実際この報告書ではそのへんの役割は何ら否定していないし何ら問題点があるという報告書にもなっていない。

この報告書をなにか、暗号通貨と呼んでいいか仮想通貨と呼んでいいかわからないが、そういうものを、これからは否定するよりかは、現状の暗号通貨に偏った問題点は指摘して規制すると同時に、本来持っている、我々が期待していたブロックチェーンによる決済の機能をむしろ育成していくような方向性の側面も持っているんじゃないかということが私がこの報告書に期待したい役割というか感想でございます。

  • 森下メンバー

私としては現時点において、いろいろな問題に対処していく上での必要なルールは概ね今回の報告書でカバーされているのではないかと思います。

ルールが不明確でビジネスがしにくかった、ということでもありますけれども、今後ルールが明確になることによってビジネスがやりやすくなる部分も出てくる、そういう方向で、今回の取り組みが進んでなによりと考えております。

私が「おわりに」にいろいろ重要なメッセージが含まれていると考えておりまして、たとえば国際的な協力が不可欠だと言うようなことが書かれています。これは本当に規制の実効性を確保する上でも、諸外国との連携は大変重要かと考えております。そういった観点からいろいろな国で暗号資産に関する取り組みについて、こういうことをしますということを積極的に広報していくと思いますので、この報告書も、できるだけ早い段階で日本としてはこう考えるのである、ということを打ち出していくと良いのではないかと感じております。

あとですね、その上のところですが、イノベーションに配慮しつつ利用者保護の観点からリスクの高低等に応じて規制の柔構造化を図る、必要なさらなる検討会を行っていくというふうに書かれていると思います。この点も非常に重要かと思います。

今回いろいろな規制の見直しをいたしましたが、基本的には従来仮想通貨と考えられていた範囲は、依然として何らかの規制、いろいろなものが規制の対象になるのではないかと理解しています。

他方で仮想通貨や暗号資産を使ったビジネスの有り様というのは、フルに行うような仮想通貨の交換業や本格的なICO以外に、トークンやユーティリティトークンと言われるものを組み込むような、いろいろなビジネスモデルが考えられる。

そうすると、比較的リスクが小さいものも出てくるかと思いますので、私としてはまさに、リスクの高低によって規制の柔構造化を図れるような、こういった取り組みに最終的にはしていただくのが非常にいいのではないか、場合によっては仮想通貨版のレギュラトリー・サンドボックスというと言いすぎかもしれませんが、非常に技術の発展が早く、かつ、いろいろやってみながらリスクが把握できることがサンドボックスにはあると言われているので、ビジネスの発展の速さ、あるいは規制の柔構造の必要性、リスクに応じて...が望ましい場合もあるのではないかということを考えますと、この部分は前向きにと考えています。

最後に今回、暗号資産に関しまして交換所やカストディ業、金商業としての規制がかかっている、色んな部分が一つの暗号資産に、従来は仮想通貨交換業だけでよかったが、仮想通貨交換業だけでなくて金商業も係る、場合によってはカストディ業務に関する規制も掛かる、いろいろな規制が新たに登場しますので、相互関係については、ぜひわかりやすく整備をしていただけるとよいのではないかと理解しております。

  • 坂メンバー

まず現物取引について3点ほど。

1点目ですが、問題ある仮想通貨については、今回、交換業者やウォレット業者でも扱わないということになるだろうと思うが、こうした枠組みについては、仮想通貨の選別を行って、問題のない仮想通貨についてはきちんとした管理を行って、問題のあるものは自主的に取り扱いを抑制するということだと理解しています。それはそれで一つのあり方ですけれども、2点留意が必要だと思います。

一つは選別の基準のあり方で、問題のある仮想通貨を的確に排除することが必要だと思います。ここは技術的な観点からの検討も必要ですので、自主規制機関と関係各社への(?)適切な目配りをお願いしたいと思います。

いま一つは、問題がある仮想通貨についての対応で、注意喚起等によって一般の利用を遠ざけるということが必要であるとともに、これを利用するときについては、マネロンですとか、資産隠し等防止の観点からブロックチェーン自体を適切に相互保持(?)していくことも必要ではないかと考えます。

2点目ですが、価格透明性確保ですとか利益相反の防止は、健全な取引環境の確保の観点から極めて重要と思います。各社、自主規制機関によるモニタリングが実効的に行われることを期待したいと思います。

この点に関しては利用者や一般への情報開示が重要と思います。広く情報開示が行われれば、利用者や一般による監視機能を期待することもできるのではないかと思います。自主規制機関や監督機関が情報を抱え込むと、そこに責任と負担が集中してコストも要するということになろうかと思います。監視コストの節約の観点からも広く情報を開示し利用者や一般が広く日常的に監視を行える環境を作り、利用者からの指摘がある場合、適切な対応を行うというあり方が重視されるようになるのではないかと思います。

3点目ですけれども、投機の対象として用いられたことで、広告勧誘規制が入っておりますけれども、これは極めて重要だと思います。8ページの注18にターゲティング広告やアフィリエイトに関する問題提議がありますが、ターゲティング広告が勧誘に近いものになることに留意が必要で、投資商品については一般に勧誘が適切でないと思われますけれども、同様にターゲティング広告が行われることも一般的には適切ではないと思いまして、特に仮想通貨やICOトークン等については禁止する必要性は高いのではないかと思います。

アフィリエイトについては多面的な検討が必要であると思いますけれども、利用者が契約に至る過程の重要な一部になると思われますし、そこにおける情報提供の適正が確保される必要もあろうかと思います。

この実効性確保のためには、注に記載されていることも重要ですけれども、やはり交換業者が適切にチェックをしていくことも重要で、証券業界協会等の広告規制等の中ではそうした規律が入っていると思いますけれども、そういったことを含めた実効的な規律が期待されるのではないかと思います。

それからデリバティブ取引についてですが、これについては価格の透明性が重要であるということを指摘しておきたいと思います。

それからICOについてですが、20ページにあります通り、投資型、その他権利型、無権利があることが前提にあり、投資型は金商法を下敷きにして規制枠組みを整える、そのほか権利型と無権利型は資金決済法の仮想通貨規制を下敷きに規制枠組みを実現する方向性が示されています。わかり易い図としては前回の資料3の横長の図があったと思います。基本的にはああいった形で枠組みを整えるというのが趣旨かと思います。ICOについて3点ですけれども、消費者相談の現場対応についてお話したい。

おそらく今回の規制整備において、ICOトークンの販売については金商業者としての登録または仮想通貨交換業者としての登録を要することが明確化されることになると思います。詐欺的な投資商法の対応には迅速な対応が求められるところ、詐欺的なICOは無登録で行われると見られ、???を確認して無登録であることを指摘することは迅速な解決を図る上では重要な一つの視点になるだろうと思います。

無登録業者に対しては民事的には特定商取引法ですとか消費者契約法等の消費者保護を活用しながら解決を図っていくことになると思いますけれども、注の7でも触れていただいていると思いますが、無登録取引を原則無効にすることを引き続き検討いただければと思ったりはいたします。

なお民事的には、決済型のICOトークンを含めて金販法の適用対象とすることも必要なのではないかというふうに思います。

それから詐欺的なICOでは、ICOトークンについて、上場されれば価値が上がるかのように勧誘する事例が見られますけれども、こういった勧誘はかつての未公開株詐欺と基本構造が似たものがありまして、(???)や公序良俗違反に該当しうるということを重ねて指摘をしておきたいと思います。

他方で登録業者については整備された規制枠組みの中で適切にICOが活用されることが期待されると思うが、もしトラブルになったときには、それぞれのICOの型によって、規制されている法律の対応に応じて、見ていくことになるんだろうと思います。投資型のICOについては金商法に基づいて、一般投資家への流通を抑制する規律がありますので、それに違反がないか、勧誘等に問題がないかを検討することになると思いますし、決済型については販売が認められたICOトークンかを確認した上で勧誘等の問題について検討していくことになるんだろうと思います。

それから2点目ですけれども、これまでもこれは指摘してきたところだが、ICOにおいては、利用者がトークンで得ることができる権利あるいは物サービスが、的確に把握されて、適切に価格水準を判断できる環境が重要と思いますのでこの点については是非ご留意をお願いしたいと思います。

それから3点目、前回もご指摘あったと思いますが、アービトラージの禁止という観点が非常に重要かと思います。アービトラージと横文字で言いますとスマートな印象がありますが、要は脱法と言うと言いすぎかもしれませんが、脱法紙一重も存在するのだと思います。もともと利用者保護等の観点から理由があって規制が入っているわけで、法規制を回避することは、利用者保護を回避する姿勢というふうに社会的に見られるということもあるのではないかと思います。

また物やサービスの質や、あるいは製造サービス提供過程の効率化を競うのではなくて、いわば本来の競争条件から外れる事によって、競争上の優位を得ようとするということなのであれば、これは公正な競争条件の確保や公平な競争の観点からも問題であろうと思います。アービトラージがかえってリーガルリスクやリーガルコストを高めることもあろうかと思います。

こうした観点を鑑みると、できるだけアービトラージを誘発しないようにきちんと規制枠組みを作っておくことも重要でありますけれども、現在規制が縦割りの中で、技術革新等によってアービトラージが行われやすい状況であるというのもまた事実であると思います。

アービトラージと思われる不適切な事態が生じたときには、実質的な解釈に基づく法の執行によって、適切にその対応を図っていくことが重要ですし、必要に応じて、規制範囲や規制方法の見直しも必要かと思います。

今回仮想通貨についてもひとまとまりに方向性が出ていますが、今後とも事態は動いていくと思いますので、引き続きこういった観点からも検討をお願いできればと思っております。

  • 三宅メンバー

実効性の確保という点と、今後の展望というところから。

まず実効性の確保の観点からです。関係する主体別に申し上げさせていただきたいと思います。

最も重要な主体というのは交換業者になると思います。ところが、あらためて「はじめに」や「おわりに」を拝見しますと、認定団体の記載はあるが、交換業者の直接的な記載は書いてないと。当たり前なので書いてないといえば書いてないのですが、この点は交換業者自体が一番重要な主体として規制を守っていかなくてはいけないというのは、改めて書いて良いのではないかというふうに思いました。

どういうことかというと、交換業者においては、これまでのようにいたずらに業務拡大を目指すのではなくて、ご自身の管理体制や経営資源を考えた上で提供するサービスを選定する、顧客本位の業務を追求していくと、いうことが求められるんじゃないかと思います。

利用者に対して一定の自己責任を求めると、いうことも前提なのですが、こういったことも大前提として、一般の個人にも分かりやすい形で幅広く情報を開示していくことも必須なのではないかと思います。

次は、認定業界について、これは会員に対するモニタリングが求められるということなんですけれども、認定協会自身についても、第三者にモニタリングを行うと言った形で、認定協会自身のガバナンスを強化といったものに(???)というふうに思います。

最後に監督当局ということなんですけれども、認定協会との連携、認定協会に対するモニタリングが必要になりますし、当然海外当局との連携も必要になってくるわけでございます。来年G20の議長国ということもございますので、国際的な議論をしていただければなと思います。

実効性の確保という観点では、先程からいくつか出てきておりますけれども、8ページの脚注18のターゲティング広告やアフィリエイト広告についても大変重要な問題だということですので、ただ、これは認定協会だけで対応するのも限界があると思っているので、横断的な検討を行っていく必要があるかと思います。

次に今後の展望ということで申し上げます。

今後必要に応じて検討・対応を行っていくと「おわりに」に書いてありますが、それは重要なことだと思っていますが、その際に仮想通貨の社会的意義がその時点でどうなっているかを踏まえる必要があると思います。

あとは法律的な観点で、仮想通貨の私法上の位置づけ、これは信託法上の(???)含まれると思いますけれども、そういった法的な位置づけの検討が進んだ段階で改めて検討が必要なことも出てくるかと思います。

こういった、社会的意義や法的な明確化をやっていくには、取引の実態を見る必要がある。そこでやはり重要になってくるのは交換業者ということになると思います。交換業者に関してはこういったことを改めて認識した上で、適切なサービスを提供して、利用者レベル(?)の向上、あるいはイノベーションの向上といったところに関わっていただきたいなと思います。

  • 楠メンバー

検討の間にも様々な事件が起こっている中でこれほど短期間に的確な内容まとめていただいたことを感謝します。

とくに顧客資産の保護という最も重要なところ、法的にグレーだったICO証拠金取引の法的な位置づけといったところについて、こういった形で報告書が出たことは非常に大きな前身だと考えております。

一方で「おわりに」で書かれているように、目覚しい変化を遂げている世界であります。これからもいろいろなことが起きていく中でこれは上任せでやっていくことではなくて、民間でもきちんと議論を進めていって、刻々と起こっていることと向かい合っていかなくてはならないというふうに理解しています。

こういった観点から、こういったことが明確化した中で、イノベーションを育てていけるかという観点から何点かコメントをさせていただきたいと思います。

1点めは銘柄に関してまして、交換所で取り扱う銘柄が事後申告になっていたものが、今回、事前にきちっと評価をすることになっている。

これは厳格に中身を見ていくには非常に重要だと思いますけれども、一方で1点懸念しているのは、分裂の問題でありまして、先般もBitcoinCashという仮想通貨がBitcoin Cash ABCとBitcoin Cash SVに分裂するという事件が起きました。

これまで、分裂の機会にはだいたいどちらがメインになるかはっきりしていて、マイナーな方の価値はメインの1/10ぐらいの額まで下がっていたので、仮に主たるものだけを取り扱っていても、それほど顧客資産を毀損するということは起こらなかったのですけれども、今回は分裂から1ヶ月経っても、片方が90ドル、もう片方が80ドルと値段として拮抗しておりまして、今後とも分裂の取り扱いはしっかりと認定自主規制団体の方で考えていただかないと、最終的に顧客資産は保護されにくい状況というのが考えられるように思います。

たとえばですけれども、全体としては事前規制にするんですけれども、分裂をした場合には3ヶ月か6ヶ月経過を見て、改めてその両方を評価するのか。分裂を前提とした部分をしっかりと見ていく(?)必要があるように思います。

もう一点、ウォレットとして議論していたものをカストディ業務として位置づけていただいたというのは、特にFATFでKYCの義務を課すべき範囲との整合性という観点で非常に良かったと考えています。

一方でカストディでないウォレットに関して、本当に何ら規制が必要でないのかという点で申しますと、先般のZaif事件の追跡等をやっている中でも、そういったカストディ型ではないウォレットから盗まれたお金の送金指示がされている実態もございますので、例えば、アドレスの紹介に対する警察への対応であったり、ログの保存と必要な場合の提出といった形で、非カストディ型のウォレットに対しても何らかの規制をかけていくということは考えられるように思います。

一方でこれは日本国内だけでやっても全く意味がない話でして、どちらかと言うと、それこそFATFのような場所で、いわゆるKYCをきちんと必要とするようなカストディウォレットに加えて、それ以外のフルノードや非カストディ型ウォレットを運営している社についても、少なくともインターネットサービスプロバイダ等と同等の、通信事業者と似たような、ごく当たり前の義務というものは、ひょっとして考えられるのではないか、と言うふうにも考えられます。

一方でこれは、金融の話ではなくなってくるので、果たして金融庁さんの所管ではなくなってくるのか、あるいはサイバー犯罪犯罪条約といったその他の枠組みの中で処理していくべきかという点は議論があろうというふうに思います。

もう一点は、おそらく業務に差し障りのある仮想通貨という議論が匿名通貨を念頭に議論されているのではないかと思われますけれども、この点について、やはり現金同様ですけれども、重要なことはそれぞれの銘柄がどのような技術的特徴を持っているかも重要なのですけれども、行為としてどのように使うかも重要でありまして、例えばビットコインであってもミキシングサービス等を利用することによって匿名で利用することも可能ですし、今後ビットコインのバージョンアップで匿名性を増してくることは十分に起こりうると思います。

一方で匿名通貨と呼ばれているようなものの中でも、非匿名でトランザクションを投げることが可能な場合もある。そうすると、銘柄でみるというのは分かりやすいですし現実的なところではあるのですけれども、今後自主規制団体の中でどういった取り扱いを考えていくかという点では、徐々に銘柄に縛られた議論をしていくよりも、実態として取引を隠そうとしているのか、適切に広く公開をしたい、適切にマネーロンダリングリスクに対して適切に対処した形で取り扱おうとしているのかといったことに対する、行為規制に近い形に、変わっていくのではないかというふうにも考えております。

最後に、今後様々な、この結論を受けてトークンの議論が出てくると思うのですけれども、実際に様々な権利を表象したトークンが出てくる場合に、これが実際に日本法において有効なのかというのは、これはトークンの交換における法制度の問題ではなくて、例えば民法上の対抗要件を始めとして、さまざまな、金融の分野に留まらない法律との関係が出てまいりますので、こういったことに関して、民間でも検討していきますし、政府でも、金融庁にとどまらない前広なご検討をしていただければというふうに思います。

  • 加藤メンバー

私が1点申し上げたいのは、この報告書を元に具体的な制度に落とし込む際にどんな点に注意したほうが良いかについて意見を述べたいと思います。

今回、仮想通貨を暗号資産に変えることで、これまで資金決済法が想定していた仮想通貨とは違った様々な利用方法で発行されるものを総称して暗号資産と呼ぶ、ことになるわけですけれども、その結果として、暗号資産の内容が多様化し、かつその規制上も多様化しているわけでございます。

そうすると、暗号資産を買う人にとって自分が何を買っているのかということが非常に重要になってくると思います。つまりどういう種類の暗号資産を買ったかによって、自分が規制上どういった保護を受けているのかと、いうことに差が出てくるわけであります。

そうすると、このような金融の機能やリスクの違いで合理的なものではありますけれども、当事者、とくに消費者が暗号資産を買う場合にはそういった規制上の差異を考えて買う人はあまりいないと思いますので、投資家が何を買っているのかを明確に意識できるような体制が望ましいと思います。

そうした観点で、この報告書で例えば12ページで、「仮想通貨の顧客間の取引のマッチングの場がある」というの表現が非常に重要で、取引所があるとは言っていないんですね、取引所という言葉を避けているのではないかという気がしています。それは取引所というイメージは東京証券取引所のように、かなり透明性の高い、一定のルールに従った交換の場とはやはり違うのではないかということが現れているのではないか。

さらにもう一点、26ページ、注の50では上場という言葉があります。上場という言葉も、直感的には非常に流動性が高まるかどうかという点では、上場されているかどうかは株式と同じく暗号資産についても交換行の会社が扱えば流動性が高くなるという意味ではわかるのですが、上場という言葉は慎重に使うのが望ましいのではないかと私は考えています。

  • 奥山 日本仮想通貨交換業協会会長

交換業16社、自主規制団体として概ね受け止めながら金融庁様のしっかり自主規制が回るようにしていきたい。

ご指摘のあったレバレッジの件でございますが、4倍でいいと思っているわけではございませんで、当面4倍と設定しながら、ボラティリティや通貨要件を見守りながら、業界の行き過ぎた25倍を是正するための処置であると認識しておりまして、海外のボラティリティ規制も2倍でFIXされているものではなく、流動的にボラティリティを見ながら変動するようになっているかと思いますので、そういったところも踏まえながら適切な自主規制が運営できるように取り組んでまいりたいと考えております。

ICOのご指摘がいくつかあっりましたが、発行者と交換業者が利害が一致した形の中で便宜を図るということが無いように、ということで注意喚起を促していく必要があるというご指摘がありましたが、当然、交換業者が取り扱おうとするものは自主規制団体の方も審査を行うことになりますので、利益相反や利益を得ようとする行為が出ないように、自主規制団体としてもしっかりモニタリングなり審査をしてまいりたいというふうに考えております。

あと一点だけ、読み違いかもしれないですし誤認であればお許しください、25ページ、(イ)の一番最後、「集団投資スキーム持分等の自己募集と同様に、発行者に業登録を求め」と明確に記載されておりまして、ということですと仮想通貨を発行するものは交換業登録をすることになるのかなと読み取れる文面でございまして、そもそも交換業者の自主規制であり、そういったルールに準拠した発行を行ってもらわないといけないが、交換業者で売買させる事においてはルールに則っていないと売買させないというのは理解できるが、発行者自体が交換業者登録しないといけないと読めておりまして、そうではないのであれば、ということでここはひとこと申させていただいた次第であります。

  • 小森 企画市場局市場課長

ありがとうございます。最後のご指摘の点ですが、投資性のICOについては金商法の世界をイメージして議論が行われておりまして、発行者の業登録は、たとえば金商法2種業者としての登録を求めるという文脈で考えていますので、既存の交換業者様とは異なる業登録になると考えております。

  • 神田座長

ありがとうございました。

それではだいたい報告書案の中身、方向性については皆様からもご了承いただけたと思いますが物足りないということで、さらに工夫があったほうが良いのではないかというご意見をいただいたところです。

そこで、こういう時期ですので私としてもたいへん迷うところで、もう一回お集まりいただくか、というところでございますけれども、私の感じではもう一度お集まり頂く必要はなく、今日頂いたご意見を事務局で盛り込んで、修正したものを取りまとめとしてご覧いただくということでよろしいのではないかと感じますので、そういう意味では本日みなさま方からのいただいたご指摘は反映させていただき、てにおは、その他表現の精査をする必要がございますので、そういった作業を私の方にご一任いただいて、修正といいますか最終版を皆様にご覧頂いてということにしてはいかがと思いますけれども、どういたしましょうか、もう一回お集まりいただくことは?

そういったことで、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それではそういう方向で、作業させていただき、皆様にご確認いただくということにいたします。

取りまとめたものの公表等の取り扱いついては大変恐縮でございますけれども私共にご一任いただきたいと思います。

そこでこの研究会は4/10から11回の会合を重ねてまいりました。皆様には大変お忙しいところ、仮想通貨あるいは暗号資産を巡る幅広い、難しい、論点について精力的がご議論、提言をいただきまして誠にありがとうございました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

それではまた皆様にはご協力して頂く機会もあるかと存じますけれども、研究会としては本日を持って取りまとめ、くぎりとさせていただきます。どうもありがとうございました。