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「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書について 第11回報告書(案)との差分

2018年12月21日に「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書が公表されました。

「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書の公表について

そこで第11回で扱われた 報告書(案) との主な差分を抽出しました(細かい差分は除き、趣旨に変更・追加があったと思われる箇所を抽出しました)。

はじめに

なお、本研究会における検討が進められている2018 年9月に、仮想通貨交換業者において、受託仮想通貨の外部流出事案が再び発生した。この事案の概要も本研究会に報告され、その後の検討材料の一つとされた。
+ 仮想通貨交換業者は、仮想通貨に関する取引を行う者の多くが関わりを有する存在であり、再発防止を含め、利用者保護や取引の適正化に向けた取組みを徹底することが望まれる。

仮想通貨交換業者の流出事故再発防止と利用者保護・取引の適正化の徹底が望まれることが追記されました。

1.仮想通貨交換業者を巡る課題への対応

(1)顧客財産の管理・保全の強化

こうしたセキュリティリスクへの対応としては、まずは、仮想通貨交換 業者において、法令等で求められるセキュリティ対策を着実に講じること が重要である。
+ 行政当局においても、引き続き、仮想通貨交換業者におけ るセキュリティリスクに係る管理態勢を重点的にモニタリングしていく ことが適当と考えられる。
+ また、仮想通貨交換業者のセキュリティレベルの向上を図る観点からは、例えば、専門的な知見を有する関係団体等において、技術面からの指針等が整備されることも有効と考えられる。
- 一方で、セキュリティ対策に加えて、流出事案が生じた場合の対応が予め明確であることや、顧客に対する弁済原資が確保されていることも、利用者保護の観点から重要と考えられる。
+ 一方で、こうしたセキュリティ対策に加えて、流出事案が生じた場合の対応が予め明確であることや、顧客に対する弁済原資が確保されているこ とも、利用者保護の観点から重要と考えられる。
- このため、仮想通貨交換業者に対し、受託仮想通貨を流出させた場合の弁済方針の策定・公表や、ホットウォレットで秘密鍵を管理する受託仮想 通貨に相当する額以上の純資産額及び弁済原資(同種・同量以上の仮想通貨)の保持を求めることが適当と考えられる。
+ このため、仮想通貨交換業者に対し、受託仮想通貨を流出させた場合の対応方針の策定・公表や、ホットウォレットで秘密鍵を管理する受託仮想 通貨に相当する額以上の純資産額10及び弁済原資(同種・同量以上の仮想 通貨11)の保持を求めることが適当と考えられる。

- 注10 今後、仮想通貨交換業者に求められるセキュリティ対策について、関係団体等におい て技術面からの指針等が整備されることが望まれる。

+ 注10 仮想通貨交換業者の事業規模の拡大への対応や安易な参入の回避による登録審査に 係る行政コストの抑制の観点から、登録要件の一つである最低資本金額(現行 1,000 万 円)を引き上げることが必要ではないかとの意見があった。一方で、イノベーションが 生まれる可能性にも配意すれば、参入段階での規制を一律に強化するのではなく、リスクに応じた弁済原資の確保を求めるべきではないかとの意見もあった。

行政当局が引き続き仮想通貨交換業者におけるセキュリティリスクに係る管理体制を重点的にモニタリングしていくことが適当と考えられる という内容が追加されました。

注に書かれていた 専門的な知見を有する関係団体等において、技術面からの指針等が整備されることも有効と考えられる。 という内容が本文に追加されました。

注に、登録要件の最低資本金額引き上げが必要だとする意見と、一律強化ではなくリスクに応じた弁済原資の確保を求めるべきとする意見がそれぞれ追記されました。

4.仮想通貨デリバティブ取引等への対応

(2)仮想通貨デリバティブ取引に係る規制の内容

ア.デリバティブ取引であることを踏まえた対応

証拠金倍率の上限については、EUにおける規制で2倍とされていることや、ビット コインの先物取引が行われているシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ・オ プション取引所(CBOE)で約2倍(2017 年 12 月時点)とされていることも踏まえて、 
+ 2倍とすることを基本に
検討すべきとの意見があった。

デリバティブ取引について検討する証拠金倍率の検討にあたって、上限は2倍を基本とすることが挿入されました。

6.業規制の導入に伴う経過措置のあり方

- なお、こうした対応に加え、みなし業者として事業を行う期間の長期化を回避する観点から、
- 行政当局において、適切な制度上又は監督上の対応につ いて、引き続き検討していくことが期待される
+ また、こうした対応に加え、みなし業者としての期間の長期化を回避するとともに、
+ 予見可能性を高める観点から、みなし業者として業務を行うこと ができる期間について、
+ 一定の期限を設けることも考えられる。

- 注65 具体的な対応策として、予見可能性を高めるためにも、みなし業者として業務を行う ことができる期間について、一定の期限を設けることも考えられるのではないかとの 意見があった。

注65に記載されていたみなし業者期間への上限設定の意見が本文に追加されました。

おわりに

以上が、本研究会における検討の結果である。
- イノベーションの進展の中で仮想通貨を取り巻く環境は急速な変化を続けていることから、
+ 本報告書は、仮想通貨を取り巻く環境が変化を続ける中で生じてきた諸問題について、必要な制度的な対応の方向性を示したものである。
今後、関係者におい て、本報告書に示された考え方を踏まえ、実現可能なものから速やかに適切な対応が図られることを期待する。
+ また、仮想通貨に関する取引に適用されるルールが明確化される中で、歪みのない形で、今後のイノベーションの可能性が追求されることも期待される。

本報告書の位置づけの説明、今後のイノベーションの可能性が追求されることへの期待が追記されました。