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仮想通貨交換業等に関する研究会 第9回 ウォレット(カストディ)業規制についての言及まとめ

傍聴していなかった第9回について、議事録が公開されたので発言をまとめました

資料より抜粋

  • ウォレット業務は、顧客の支払・決済手段を管理し、当該支払・決済手段を顧客が指定する者に移転させる行為を行うものであり、以下の点を踏まえると、決済に関連するサービスとして、金融規制の導入が期待されるとも考えられるが、この点についてどのように考えるべきか。
    • ウォレット業務には、サイバー攻撃による顧客の仮想通貨の流出リスク、ウォレット業者の破綻リスク、マネロン・テロ資金供与のリスクなど、一部、仮想通貨交換業と共通のリスクがあると考えられること
    • 仮想通貨はインターネットを介し容易にクロスボーダーで移転が可能であり、国際的に協調して対応することが重要であるところ、FATF(金融活動作業部会)において、仮想通貨交換業に加え、ウォレット業務もマネロン・テロ資金供与規制の対象にすることを各国に求める旨の改訂FATF勧告が採択されたこと(本年10月19日)
  • ウォレット業務に対する規制の導入が期待される場合、そのリスクに鑑み、仮想通貨交換業のうち顧客の仮想通貨の管理に係る以下のような対応と、同様の対応を求めることが考えられるが、この点についてどう考えるべきか。
    • 登録制
    • 内部管理体制の整備
    • 業者の仮想通貨と顧客の仮想通貨の分別管理
    • 分別管理監査、財務諸表監査
    • 仮想通貨流出時の対応方針の公表、弁済原資の保持
    • 利用者保護又は業の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる仮想通貨を取り扱わないこと
    • 顧客の本人確認、疑わしい取引の当局への届出

討議内容

各メンバーよりウォレット規制に言及があった部分を抽出

岩下メンバー

  • 国内でモナコインを預かった業者がサイバー攻撃を受け事業を中断した
  • NEM-BTCの交換にカナダのウォレット業者が利用された(1週間で100億円の取引)
  • 技術的な難しさもあるのではないか
    • 仮想通貨交換業と同じ協会で管理するのか、ウォレット業者協会をつくるのか
  • 顧客に被害を及ぼすことを防ぐ意味はあるのではないか

福田メンバー

  • 特定の業者ではなく幅広い業者を規制する考え方は大事、ウォレット業者もその一つ
  • 仮想通貨は個々の規制が難しいため可能な部分について規制することは大事
  • 望ましい規制とできる規制という考え方はかなり違うものである
  • 去年から今年にかけてのバブルの側面があった中での問題に対する対処的な観点だけではなく、規制体系に対する中長期的な観点も大事

井上メンバー

  • AML/CFT、リスク説明や勧誘のルール、管理保全のルールが中心ではないか
  • AML/CFTのルールはすぐにでも適用する必要がある
  • 保全管理ルールは、今後この業態が日本でも広がるなら、交換業同様のルールが必要
  • カストディアンに対して顧客が期待するレベルの管理を当然求めるべきであり、そのレベルを都度アップデートする必要がある
  • 破綻リスクからの保全ルールも必要
  • 日本においてカストディ業務を中核にする業者がいないのであれば、それほどゆるい経過処置は必要ないのではないか

永沢メンバー

  • 仮想通貨の周辺の業についてなにか非常事態が生じたときに、金融当局が把握できる状況を用意していただきたい

楠メンバー

  • いろいろな種類のウォレットがあるため、リスクに高いものをきちんと規制の枠組みに入れていくということは非常に重要
  • 法定通貨で言うところの銀行のような機能にはふさわしい安全管理処置を考えていく必要がある
    • 一方で、オープンソースでいろいろな人が勝手に立てているようなものもあるが、リスクレベルも異なり、期待されるセキュリティも違うであろう
    • しかしZaifからの漏洩モナコインはそうしたサーバーを介して送金されており、野放図に立てて構わないかというと悩ましい
      • ルノードに対するトランザクションよりウォレットサーバーに対するアクセスのほうがログが残っている可能性が高い
        • それほどリスクが高くないウォレットに関しても、AMLの観点からどのような規律を入れるべきか考える必要がある
  • 国外で運営されるウォレットサーバーに対して規制をかけられるのか
    • 日本における立法処置だけではなく、FATFを始めとした場でグローバルに考える必要がある

翁メンバー

  • FATFでウォレット業務について対応を各国に求めており、規制を考えていく必要がある