速記です。意訳・省略、誤記がある場合があります。
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第1回)
日時:令和7年7月31日(木曜)10時00分~12時00分
場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用
- 開会
- ヒアリング①
- 事務局説明①
- ヒアリング②
- 事務局説明②
- 討議
- 閉会
開会
ヒアリング1 JCBA
暗号資産は金融商品とは本質的に異なる性質がある。法的分類を考えるにあたっては留意が必要。
暗号資産取引の特性、技術的差異が新たな取引や資金調達を可能にしている。24時間様々なプラットフォームでP2P含め取引できる。
グローバルで取引が広がっている。23年130兆から25年400兆円まで。投機取引だけでなく、機関投資家向けのアセットクラスとして伸びている。
国内年かの取引高、2年で10兆円から20兆円へ。グローバル成長と比較すると地位いいさい者に。伸び率が小さいのは相対的にグローバルの(日本の?)プレゼンスが、暗号資産市場が成長するなかで落ちている。
暗号資産がなぜこれだけ急速に広がっているか。FINRAの調査によると若年層や投資初心者が暗号資産で始める。ネットの動画やSNSが情報ソースとして主なもの。紙媒体に触れない。そういう世代からするとインターネットと相性が良い暗号資産の投資ハードルが下がっている。
SNSを主体とするのは特定の国よりも世代の動き。我が国においても同様の傾向は言えるかと思う。
日本における暗号資産口座は2025年1月に1213万口座
世代別では2023年調査では30代40代が中心、資金のある働き盛り世代。
2024年のメルコイン社の調査によると20代や50代以上含む全年齢で幅広く口座開設されている。2024年はメルコイン事業開始移行講座数が増えている。大手事業者がどんどん参入してきたことで暗号資産取引がより身近で安心安全なものとしてイメージが改善されてきたものと考える。
個人と法人の比較。法人は個人と比較して相対的に運用額が大きい。資産運用の一部に組み入れられている実態がわかる。
投資家の年収。2022年のJCBAの調査、7割の人が700万円未満の人で長期保有を目的としている。富裕層の短期売買ではなく多くの方は資産形成の一部として暗号資産を購入している。
ここまでが個人投資家のデータです。ここから機関投資家。企業と政府、金融機関に分けて説明します。
2024年以降ビットコインをバランスシートに組み入れる企業がふえている。BTC価格上昇率を超える上昇を見せ株式市場に影響を与えている。
政府。ご承知かと思うがトランプ政権以降ビットコインを集の準備資産として保有する動きが進んでいる。従前政府の保有は捜査に伴う押収だった。今回の動きは政治的判断で能動的判断で準備資産として保有する点が異なる。テキサス州では週予算で購入している。
金融機関による保有。米国ビットコイン現物ETF市場は1000億ドルを超えている。SECによるETF承認が安心感を運で資金が流入している。伝統的金融商品の形を取ることで金融機関が参入しやすい。
トークンを活用した企業の資金調達について。
現在我が国でもIEOやSTOが法的整備流されたうえで実施されている。信頼性を確保したうえで多様な企業の資金ニーズに答えている。
トークンによる資金調達が株式による資金調達と必ずしも目的が一緒ではない。株式は通常、資本を出資した株主とサービスの利用者が別れているケースが一般的。他方、トークンによる資金調達モデルでは利用者と保有者が一致している。開発者やマーケティング担当者などステークホルダー全員がトークン保有者でありプロジェクト関係者である。コミュニティ全体で。資金調達側面だけではない。
このようなトークンエコノミー形成を目的に様々な企業が国内でも資金調達を行っている。
国内一号案件としてHashPalletから、JapanOpenChainまで。
国際的に暗号資産受け入れを加速している。
我が国でも、有価証券と異なる性質を踏まえた上であるべき規制のあり方を議論いただきたい。
事務局説明 横山
暗号資産の取引は資金決済法で規律。資金決済手段は商品券や前払式の規律があったが、IT技術進展を踏まえ資金決済に関する法律で前払式支払手段と資金移動業が制定された。その後も急速かつ著しい進展、それに合わせた対応を行ってきた。
特に暗号資産に関する制度整備の経緯を説明します。
2014年にビットコイン取引所MtGoxが破綻、翌年G7サミットで行動を取る、同年FATFガイダンスでは交換所に登録免許性を課すべきと示された。
これを受け仮想通貨交換業者に登録制を導入。分別管理、本人確認等義務付け。
その後も流出事件が発生、暗号資産証拠金取引、ICO等の環境変化を踏まえ、資金決済法・金商法を改正、利用者資産のオフライン管理、STによる資金調達やデリバティブには金商法適用という対応をしてきた。暗号資産交換業者に対する国内資産保有命令の導入、仲介業の導入、ステーブルコインの裏付け資産運用の柔軟化などを行ってきた。
暗号資産現行法性の概要
暗号資産は資金決済法第2条14項で規定されている。対価の弁済のために不特定の者に利用できるもの(で他に定義されていないもの)
暗号資産交換業の対象行為は暗号資産の売買、暗号資産同士の交換、それら行為の取次代理、それに伴う金銭の管理や他人のための暗号資産の管理。 資本金1000万以上、純資産が負の値でないことが求められている。 預託を受けた暗号資産はコールドウォレットで分別管理し金銭は信託会社に信託して分別。
犯罪収益移転防止法上の特定事業者。
仲介業は預託を受けないため財務要件なし。所属先交換業者に利用者への説明義務が課され、損害賠償責任は交換業者が負う。
ヒアリング2 JVCEA 小田
自主規制団体としてマネロン対策、セキュリティ対策を最重要事項として取り組みを進めてきた。
暗号資産市場が大きくなり口座も増える中、社会的役割も変化していると考えている。多角的観点から討議を頂き暗号資産が日本に対しどう貢献できるかお話しいただきたい。
事務局より自主規制概要について説明する。
小山)資料に基づきご説明します。
概要は記載の通り。
業務は他の自主規制団体と同様。
ここでは1点会員種別について補足。登録を受けた業者は一種会員。登録に向けた活動を行っている会員は2種会員。登録検討中から自主規制規則に則った業務をお願いする。第三種(資料は第二種となっているが誤植)は当協会目的に賛同いただける者。現在三種会員は居ない。
協会構成
自主規制委員会に4つ設置、自主規制規則の見直しや業界底上げの指針策定を検討する場。会員を交え議論し理事会に示す。専門的な知識を要するセキュリティ委員会は外部の専門家にもご参加いただいている。
会員数推移。21年度末までは入会の数が退会を上回っており40社だったが22年はFTX事件の後から退会の会員が増えている。
今では40社を割り込む状況。昨年秋、電子決済手段等取引業認定取得以降、入会申込みや相談を受けており入迂回希望者も増加が期待できる。
自主規制規則の種類
私どもは多様な業務を行う会員様に入っていただいている。それぞれの業務毎にどのような規則数が適用されているか。
自主規制活動の担当部署の説明図
会員に対する監査
22年以降、会員のビジネスモデルや現状業界としての注力課題であるマネロンシステムリスクを中心に利用者保護を加えて3つを重点にしている。
協会の自主規制規則に基づく会員からの報告、こうしたものを11,12ページに記載している
13ページ、これらで判明した事実に基づき、自主規制規則に準拠していない可能性があるものは確認・指導。私ども交換業者を対象に財務健全性指数を行っているが120%を割り込めば改善に向けて計画を行ってほしいとしています。
苦情件数もご説明するが、苦情内容を見て会員に調査を行う、注文の管理の状況については苦情が相次いだ例があり臨時監査も行って参った。
私どもは暗号資産の各会員の取り扱うものの審査もやっている。新たに取り扱う場合、取り扱い開始前に金融庁に届け出が必要。協会自主規制規則では取り扱い開始前と取り扱い期間中、会員内部に設置した審査担当部署による審査をお願いしている。協会では取り扱い開始時の会員の審査内容について十分性を確認し確認結果を金融庁に提出する。
問題なければ届け出を行っていた抱く。
会員の中で一定数以上の取り扱いがある場合や一定の水準の審査体制があれば我々の先程申し上げた審査をスキップするグリーン制度、CASC制度がある。
IEO案件の確認も行っている。
対象としては新規発行暗号資産を販売資金調達を行うこと自体が交換業に該当するとなったので現状では交換業者自ら暗号資産を発行販売する場合、新規発行されたものの販売受託を行う場合、協会自主規制規則を設けている。審査ポイントは暗号資産自身の審査も行うが、資金調達背景にあるプロジェクトの適合性、実現性も見させていただく。価格決定方式含め価格の妥当性を見させていただく。
スライド3点目、情報提供について、販売時及び販売終了から一定期間の間、情報開示を求めている。四半期ごとに一定の情報開示をお願いしている。
自主規制規則上は会員に情報提供を求めていて、受託販売契約等の契約の中で発行者との間で情報提供等定めておき、顧客向けには交換業者が情報提供を行う。
私どもの暗号資産審査の完了件数を年度ごとに記載
不公正取引防止のこれまでの取り組み
2020年5月施行の資金決済法金商法改正に伴い仮装売買や見せ球を抽出・分析ができる耐性を整備させることを優先課題とした。
先ほど監査で申し上げたが2022年23年は取引所運営会員について実際の取引データに基づく監査を行った。
会員からお客様に対して売買審査を行って疑いがあれば注意喚起、警告・解約が進むがその実績報告を受けている。
今はすべての会員、取引所を運営する会員で抽出・注意喚起の実績がある。これからも継続が必要だが一定の体制整備ができつつある認識。
これは協会に寄せられる苦情。特定会員に対するものと会員以外のものに分けて件数を示しています。
会員に対する苦情は会員に還元して会員から顧客向けの説明をお願いしている。
会員以外のものは投資詐欺が疑われる事案、無登録業者に関する情報も寄せられているので、私どもで見たうえで該当するおそれがあれば金融庁にも情報提供させていただいている。
自主規制活動の説明は以上。私どもで事業計画上金融犯罪、マネロン、セキュリティ対応を重点的に制作物としている。その概要を表に書かせていただいています。
特に昨年5月発生の流出事案に対して今年6月に会員の実態調査を含め分析結果を踏まえ改善策を公表。今はこれを的確に履行していくことが足元の課題と認識している。
以上。
事務局説明2
お手元資料6、金融庁において本年4月に公表した暗号資産に関連する制度の在り方等の検証ディスカッションペーパーとそれに寄せられたご意見についてご紹介。
3ページ、ディスカッションペーパー概要。
まずこのスライド、暗号資産取引の動向、現状認識について整理。暗号資産の投資対象化が進行している。
少なからぬ内外投資家において暗号資産が投資対象と位置づけられる状況が生じているのではないか。
国内暗号資産口座が1200万口座を超えFX取引口座開設数を超えている。5兆円を超える残高。金融庁アンケート調査の結果、投資経験者にどのような投資商品に投資しているかのアンケートの中で暗号資産保有割合については7.3%に登り、FXや社債よりも保有率が高い状況。アメリカでは機関投資家、長期投資家の年金基金含め増えている。
暗号資産の位置づけ、取引についての見方の整理
Web3発展は我が国の課題や生産性向上に重要、デジタルエコノミー進展につながるのではないか。暗号資産について大きく分けて基盤となるブロックチェーンネットワークで広く利用されるものとその流通を前提に特定のプロジェクトのために発行される物がある。後者は取引活性化で産業活性化になる、前者も基盤になる、流動性の高さから法定通貨との交換等で重要な役割を果たしているのではないか。
ボラティリティは相当程度高い、適切な制度整備を図ることでリスク負担能力のある投資家の分散投資対象となるのではないか。
投資対象としての認識が広がる中で、詐欺的なものも増えている。金融庁への苦情もつき300件以上継続的にある。
投資セミナーやオンラインサロンも広がっており中には金銭を詐取する、違法行為が疑われるものもある。
次のスライド、こうした現状認識を踏まえた環境整備の必要性。
さらなる利用者保護、国民から信頼を得られることが必要。一方規制を加重にすると利用者や事業者の海外流出で競争力が下がる、利用者保護とイノベーションのバランスが重要。
課題
情報開示・提供の充実: ホワイトペーパー内容が不明確、記載と実装にギャップが有る指摘も。交換業者に対する規制で発行者に義務がなく正確な情報開示義務がない。
利用者保護・無登録業者への対応: 無登録、詐欺がある
規制対象となっていない投資助言: 投資魚源やオンラインサロンが出現しており対応が必要ではないか。政府広報でも注意喚起が行われている。
価格形成・取引の構成セイン確保: IOSCOで公正性確保が求められている。
ハッキング等の流出リスクが有ると認識。規制で一定の整備がなされているところ、??での取り組みが期待されていると記載させていただいている。
規制見直しの基本的考え方
課題は伝統的には金商法で対処してきたことと親和性がある。そのうえで実態に着目しに分類に分けて検討することが考えられるか。典型的な有価証券とは異なる誠意質を有することを踏まえ適切な規制フレームワークを検討する必要がある。
検討の方向性: 1.資金調達・事業活動型と、2.それ以外の暗号資産。
1は情報非対称性の解消を確保する必要があるのではないか。2も流通量が高いので適切な整備が必要、ミームコインも詐欺的なものの被害が生じており広く規制対象として保護を図る必要があるのではないか。
留意点、暗号資産は分散化が進展することもある、累計1から2へ進展する場合があることも踏まえ整理する必要がある。まずはNFTを除く暗号資産につて規制対象とする必要があるのではないか。
ステーブルコインは投資対象となることは考えにくいため対象外とするのがよいのではないか
情報開示・提供規制の足り方
情報非対称性を解消し正しい情報に基づいて判断できるよう開示・提供規制を強化する火強グアあるのではないか。
開示提供される内容の正確性の担保について、監査法人の監査やコード監査は現実的ではないという指摘もある。交換業者や自主規制団体による一定の確認もありうるか。
類型2は発行者を観念できない、発行者に対する情報開示・提供規制は難し良いのではないか。交換業者に一定の説明・情報提供義務を課すことが考えられる。
現行資金決済法令についても自主規制含めれば金商法令と同様の規制体型が整備されている。他方金商法では法令レベルのものもある。利用者保護の観点でどう考えていくか。
無登録業者による勧誘の抑止ということでより実効的な規制の枠組みが必要ではないか。
資金決済法乗務登録業者は3年以下の懲役、金商法では5年以下の懲役、表示勧誘行為自体が対象、証券取引等監視委員会の監視対象、裁判所への申立も可能。暗号資産を投資対象とする投資運用・助言行為も規制対象とすることが適当ではないか。
留意点として金商法では業務の内容に応じた参入規制の緩和など、顧客属性に基づく緩和類型がある。こうした重構造化も必要ではないか。
分散型取引所での取引は現状ではごく一部と思っているが将来拡大する可能性もある。
市場解説規制のあり方について、金商法では適切な価格形成や業務運営の中立性確保のために市場解説規制、PTS規制がある。一方暗号資産は板取引を行う業者も存在する。そうしたことを踏まえた検討の方向性。多くの暗号資産について海外取引所含めた多数の取引所で取引されていることを踏まえればここの取引所の価格形成能力は限定的、倒産した場合も他にも場所がある。P2Pでも取引できる。こうした点を踏まえ、当然マッチングの場を提供する以上は取引管理や整備がひつようなものの、金融商品取引所やPTS規制と同等の規制は必要性が低いのではないか。
最後、インサイダー取引への対処。金商法において一般的な不正行為・禁止規制、相場操縦規制等があるがインサイダー取引については適切な規制がない。IOSCO勧告、他国動向を踏まえてより抑止力のある整備が必要ではないか。ただし、様々な課題があるため規制や市場監視体制について更に検討を深める必要がある。株式有価証券取引と同様に形式版、EUや勧告のように抽象的、アメリカのような不正行為一般の禁止規定を確保する、こうしたやり方があるのではないか。
こうしたディスカッションペーパーを公表させていただいてコメントを頂いている。
「暗号資産に関連する制度のあり方等の検証」(ディスカッション・ペーパー)に寄せられた御意見の概要の公表について:金融庁
40の個人・団体から意見提出があった。大きな方向性には概ね賛同頂ける内容であった。
暗号資産の位置づけについて、暗号資産をオルタナ投資の一部に分散投資になりうるという位置づけには参道がある一方、価値の裏付けがないことから反対意見もあった。
環境整備の必要性を訴える意見が多くあった。
バランスを取った環境整備への賛同意見が多くあった。
起立する法律について、デジタル資産にかかる総合的な法整備の検討もすべきというご意見もあった。一方、なるべく早期にたいおうするため現方針への参道もあった。
有価証券と別の金融商品と位置づけるべきという意見が多くあった。
送金決済のり活用を損なうことがないようにという意見もあった。
類型1,2に分ける一方、懸念も。規制目的の関係で簡明であるため妥当という一方、区分の明確基準を示してほしい、移行する場合の判断基準を示してほしい、資金調達目的華道家の判断は難しいのではないか、グローバルに合わせてほしいという意見があった。
暗号資産を金商法に位置づけることに賛成がある一方、決済性のある暗号資産は引き続き資金決済法とすべきではないかとのいけん。NFTについて規制見直しに含めることに賛成の意見、他方利用者保護のために早期に検討すべき等意見も。
暗号資産の情報提供については発行体に直接義務付ける意見が多くある。他方少人数私募やプロシボについて特例を設けるという意見、適時開示義務を課すとよいのではないかという意見、2の暗号資産について交換業者に情報提供義務を課すことに賛同、潜脱を防ぐ必要があるという意見。
情報提供について、リスク説明に重点を置いてほしい、自主規制機関が標準フォーマットを作成すべきという意見。
無登録への強化は参道があった。ステーキング等も規制対象とすべきではないかという意見、犯罪対策やセキュリティ8日、DEXは将来の実務の進展を中止すべきという方針に賛同意見。
市場解説規制の必要性は低いという意見については多くの賛同
インサイダー取引について賛同
規制対応と考えられる選択肢について予見可能性の観点から形式ハントすべき等意見もある一方、実態を踏まえ抽象的・実質犯的とすべきという意見もあった。
エンフォースメントの実効性の向上について、強化に賛同
業界と十分調整してほしい、投資家保護の観点の意見も聞いてほしい
経過措置について、金商法に変わる場合、現行のライセンス、仲介業のライセンスについて、十分な移行期間、移管について検討配慮してほしい。
参考、関連する閣議決定を載せています。新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版、暗号資産を国民の資産形成に資する金融商品として業法において位置づけるとともに投資家保護の制度整備を図り税務当局への報告器具も整備などを行い分離課税導入を含めた税制面の見直しを行うと記載。
討議
松井委員: 暗号資産については事実として機関投資家・個人の資産形成として定着している実態がある。暗号資産を最初に法制度上位置づけたことによって大きく取引に弾みがついた経緯があり、資産形成における主要な投資先としてここに集中投資するような投資家が出てくるというハレーションに警戒感があることは承知しているが、制度上必要な手当を行わないことは、かえってデメリットが大きいと考えますので、今回この諮問について必要な手当をすることについて賛成、進めたいと考える。心配されている詐欺的取引は暗号資産自体よりは詐欺的業者や詐欺的投資話が問題になっている面が大きいのではないか。エンフォースメントに留意することも一方として重要な課題。国際的なプレゼンスが落ちているという指摘もあった。法制化による市場の急拡大が市場を急激に引っ張るという懸念に対しては安心材料ではないか。業者および決済の保護という視点からいままで金融庁では行ってきている。資産の中身やイベントについて必要な範囲で利用者に伝え不正を監督する観点から、金商法上の規制を含め必要な手当をする事が考えられる。具体的には情報開示、業規制、市場開設規制、インサイダーもしくは一般的な不正行為規制が考えられる。開示について、資料にあるような類型化が考えられる。暗号資産の使われ方として、発行者が認識でいるタイプとできないものが、暗号資産の発行時点では実態に沿ったものではないか。出発点として適切と考える。ICOのように発行者が発行するタイプから移行したもの、IDOのなかに暗号資産の性質上流通段階で発行者に責任を負わせることが難しくなっていくものもあるという指摘について、実務の知恵をいただきながら作っていくことが重要かと思う。行記性について、新しいアセットクラスであることから法制化必要性がたかい。エンフォースメントを確保する必要がある。サロンやセミナーに言及があったが暗号資産以外でも問題となっている可能性がある、この機会にすこし広めの枠組みで規制することも議論する事が考えられると思う。市場開設規制について、資産保護が実効的であれば顧客は暗号資産を市場を超えて持ち運べるのはご指摘の通り。他方数が多く脆弱な業者も一定存在する、資産安全性が継続的に確保できることが可能か運用面が重要かと思う。いずれも監査でチェックしていく制度というご報告をいただいたが実効性のある監督を引き続きお願いしていく。何が不公正取引かは難しい。技術的ハードフォークなど特定暗号資産特有の技術的な特徴的な価格変動要因は特定しやすいが、他方、為替変動しうる国際合意が妥結したというような要因について現行ではインサイダーとは考えられていない。他方、暗号資産を禁止するというある国の法制度が内々に決まったとして、これを使って特定の投資家が行動することは暗号資産の種類によっては大きな影響がありうるが、他方暗号資産そのものについての重要事実と呼ぶことは難しく、知っている人も内部者とすることも難しいかもしれない。従って、一つとしては暗号資産の価格に影響を与える情報の発生場所がランダムである場合には構造的な内部者とは呼べないと考えることがある。そうすると悪質なものはある程度具体化できるだろう。他方、実態を見て情報の悪質な使われ方には一定の悪質なパターンがあってこれを規制することが有用なら案BやCのような抽象的な規定や特出しガイドラインのほうが効果はあるかもしれない。
有吉委員: ご説明ありがとうございました。全体的議論の進め方はディスカッションペーパーに沿うことに賛成。ただ、DP策定前段階の勉強会に参加していたが、具体制度設計は、今御指摘があった通り難しい論点が山盛り。今後具体的制度議論の中で深められたら。そのうえで、ヒアリングございましたので実態的なところ、海外状況について2点、JVCEA体制面について2点ご質問。海外状況、JCBAさんご回答いただければと思うが、IEOやICOということで資金調達がどれぐらい行われているのか規模感について、またIEOによる資金調達をどういう企業がどういう狙いで行っているのかということについて、教えていただきたい。場合によっては次回以降資料で出していただくのでも、ざっくりした内容でも。2つ目、海外の機関投資家であるとか、通常の企業がBTCに対して投資している事例が増えているという話があった。こうした投資が何を目的にしているのか。機関投資家や企業投資ということで博打を行おうとしているわけではない、何らかのキャピタルゲインを得ることを意図していると思うが、なぜ価格が上がるのだという見通しで機関投資家や企業がBTCに投資を行っているのか、コメント頂きたい。モニタリング監査のあり方について大変参考になったが、お伺いする限り会員の体制面についての監査を行っている。勉強会の際にも同じようなことを説明させてただいたが、個別の不公正な取引が行われていないかモニタリングすることが技術的にあり得るか、体制的フィジビリティとして選択肢になりうるのか、お考えをお伺いしたい。また、金融庁ないし日証協にお伺いしたいが、事務局職員が31名という説明があり、モニタリング担当の方が監督指導部ということで6名、監査部に3名と示していただいているが人的リソースの規模感がもう少し比較感で理解したい。例えば日本証券業協会において職員数がどれぐらいでモニタリング担当がどれぐらいで監査担当が何名居てということを、金融庁か日証協から教えていただきたい。
海外状況はJCBAさま、その後、JVCEA様に御発言いただき、最後可能であれば日証協さんの規模感おねがしします
JCBAリーガルアドバイザー河合: ICO IDO IEO状況。数字は具体的数字は持ち合わせていないが調べられる範囲で次回お答えする。少し特徴的なところを申し上げると、日本とはIEOの使い方はだいぶ異なっている。多いパターンはプロジェクトの開発者は少人数、プロ投資家、VCから私募で資金調達する。SAFTといわれる、事後的にトークンを発行するという形でそれを目的に資金調達する、一定規模で成長して海外取引所にトークン上げてもらって、売り出しさせてもらうことが多いと理解。小さなプロジェクトはそういうプロセスを取るのが難しい場合、DEX、分散型取引所、Automated Market Makerで、自分でトークンのプール、トークンとメジャートークンを交換する場所を用意する、そうすると自動的にトークン交換が行われて市場に流通させることもある。日本型のIEOをいきなり行う、日本の場合はいきなり行う場合があるが、それは割と少数。詐欺的プロジェクトはICO,いきなり一般大衆に売り出すことはあると思うが、アメリカでもそれが有価証券規制に当たる、開示義務違反に当たる可能性もあるのではないかというのもあるので、あまり用意しないICOはちゃんとしたプロジェクトではあまり行わない。機関投資家動向として、白石副会長から申し上げたETFに投資するパターンと、ビットコイントレジャリー会社等と言われる大量保有していくパタンがある。アメリカで流行って日本でも増えている事例。端的には投資会社であって、ビットコインを一定量保有して値上がり益を得る。実業をしていた会社が多いが投資会社になっている。保有しているビットコインの時価に対して株価時価総額が膨れ上がる、3倍4倍になる。個人投資家の方が多いのでそちらのほうが購入が容易なのかもしれないが過剰な期待が生まれている、今後この動向はバブルなのか見ていかないといけない。
JVCEA 小山: 2019年上期に我々会員から取引データを協会に集めてそれを持って協会で複製取引の監視をやるアイディアはあった。ただ結局頓挫した、実現可能性が難しいかということで会員体制整備を第一優先に挙げた。当時は取引データを集めて我々に提供するようなサービス提供業者がいらっしゃらなかったので我々独自のデータフォーマットやシステム構築が必要で大きなコストになるということで他にも優先することがあると判断。会員からデータを頂きチェックしていく機能を求めていくかというと今でも実現までに相当な時間がかかるのではないかと今は思っている。ベンチマークになる指標を持たないといけないと思うが大きく相場が下落したときに各会員どういう対応をされたか、どう注文を受けているかと言ったこじんまりとした現実的対応ができるかは今後の対応選択肢になると思う。今は会員個々に取引所を運営しているので、それらを見て相場急落時に適切な情報提供をして受注管理を行うことをやっていけるかを我々でみて質問していく機能は備えていくべきかと思っている。人では増強が必要。中長期的なものと、それよりはコンパクトにできることも、両面考えていきたい。
日証協: ご質問の件、概算、職員が360名、モニタリングが10名、監査が50名が概算人数です。
伊藤委員: 弁護士の伊藤です。総論を一言申し上げて各論2点、1点質問。総論は一言、暗号資産規制を資金決済法から金商法に規定し直す大きな枠組みは賛成。決済手段より主に投資対象になっている現状を踏まえると金商法が目的に照らして妥当と考える。中身は今後議論を深めたい。各論、資金決済を専門とする立場から、金商法に規定し直す場合に従来期待されていた決済機能をどう捉えるかは一つ確認が必要。事務局資料によるとステーブルコインは資金決済法に残る予定。暗号資産はビットコインなどが通常の決済利用も行われている例がある。規模間や今後のニーズ、トレンドについて調べていただいてご確認いただき検討していきたい。金商法に写ったからと言って決済が制限されるわけではないが、ブロックチェーン技術は低コスト・迅速送金が可能、改ざんが困難なシステムであったりスマートコントラクトも可能になる。こうした決済インフラの可能性は閉ざさない形での法制度を希望します。各論2点目、類型について、分けることやこの分類で良いのかは今後の議論で考えをまとめていきたい。その前提に、2つの類型が、金融商品としての性質が非常に異なるものなのではないか。それを踏まえて検討していかなくてはいけないと思う。資金調達事業活動型はプロジェクトの内容を明らかにして資金を募って成長を期待して投資する意味で株式やファンドと似た役割と分類できる。それを新しい技術を持って発展させていくもの。既存の資金調達を目的とした金融商品の規制を踏まえたうえでプロジェクトの成長に資金が集まる制度設計が必要。一方第2類型の非事業活動型、何らかの成長を期待してお金が集まるが、不動産など現物資産があるわけではない、しかし巨額の資金が集まる。従来金商法が扱ってきたものとは性質が異なる。この点を踏まえて議論を深めたい。ごく一般の方の多くが第2類型の暗号資産に投資していて裾野が広がっている。これに対してディスカッションペーパーではリスク判断・負担能力のある投資家のオルタナティブ投資先とある。資産運用立国のもと、オルタナティブ投資として位置づけることは意義があるが一般の方からも資金が集まっている中でどう位置づけていくかは今後重要なところ。一般に広く売り出すような市場を想定するのか機関投資家や特定投資家を対象とした市場を見ていくのか、分けて重構造化というお話ありましたが、それぞれにあった、場面に応じた規制を検討していくべきではないか。政策として閣議決定にもオルタナティブ投資とあったが、政策としてある以上、一般の方々にも理解が浸透していくようにと考えていきたい。質問、JVCEAに、資料19ページ、不公正取引審査体制について一点、数値の見方・受け止め方を教えていただきたい。注意喚起件数ということで上げていただいている、数字は多いのか、今の段階では会員さんが上げてくるものとしてはこのようなものだろうという見方、課を教えていただきたい。金融庁もこのレベル感をどういう位置づけで見ているか。
JVCEA 小山: 多いかどうか、取引所運営されている会員さんがすべて、注意喚起されているか、行き渡っているかを重要視、そこそこ出ているなと結果としては思っている。
金融庁: 多いか少ないかということですがある程度数字は出ている。実際どれぐらい行われていて、それに対してどれくらい注意喚起できているのか全体を見る必要がある。数字だけ見てもわからないところがある。そこは今後よく考えていく必要がある。
岩下委員: 審議会で改めて暗号資産について考えていた。必ず思い出すのは2018年のコインチェック事件。580億円のネムという暗号資産が盗難された。盗まれた暗号資産は今どこにあるかは明確に確認できた。規制当局も捜査当局も分かっていた。しかしロンダリングされ闇に消えていくのを見守るしかなかった。その後もZaif、Quoine、DMMなどやまない。盗まれた資金が戻ってきた事実はない。犯罪首謀者は誰一人逮捕されていない。機関投資家、若者向けのきれいな投資、大きな値上がり益、といった良い面の裏側にじつは深い闇がある。そういう事件のたびに繰り返し思い出す。事故が起きたときのことを認識して考えなければならない。交換業者と顧客の間でクリーンにしている領域だけを見てしまうが、そこだけでビジネスできるわけではない。暗号資産交換業者は世界中のプロが参加し、世界中の不正なことを行う人が参加するオンチェーンで取引せざるを得ない、そういう二階層を認識しなければならない。ブロックチェーンを利用するものが暗号資産であるが、これは金融取引の区分としては非常に不自然である。預金は、通帳とはんこで従来取引されていた。ATMで引き出す、今ではネットで取引できる。でも今でも銀行法。株券があった時代と保振で登録している時代で株は変わらない。ところが暗号資産だけは技術に着目されている。これがなぜかというと暗号資産が何も表象していないから。誰かの負債でも持分権でもない。なんだかわからない。2017年の改正はFATFガイドラインを踏まえ、仮想通貨は決済送金に使えるという説明のもとに規制整備が行われた。本質がなにか、法律の文言上書けないので。多分その問題は今後の定義規定にもはねてくる。ブロックチェーンでないもので作った技術に変わったときにそれは暗号資産なのか。ブロックチェーンは入れ物で中身は何なのかという議論は永遠続くし答えは出ない。暗号資産の価値の源泉、なぜ値上がりするかの議論があった。私は2008年からアノニマスe-cashの研究をしているのでそこに言及すると、サトシ・ナカモトのペーパーには、デジタルキャッシュという言葉が使われた。電子現金、匿名送金のためのツールが作られた。これは政治的主張に基づくものなので、それがある事自体はいいが、それが広く流布して使われると社会秩序を揺るがす問題になる、実際になっている。ランサムウェア、フィッシング詐欺で盗まれた資金は暗号資産に変えられて匿名化されて送られるということは日常的に行われている。本質的にクリーンなものにならない。値上がりする限り投資家は買うでしょう。投資家の希望を叶えるためではなく社会のために規制を考える必要がある。投資家保護は必要だが暗号資産投資家が当局による保護を求めているかは疑問。暗号資産やweb3は値上がり益以外の何かが生まれるかは疑わしいと私は考えている。しかし放置すればもっと悪化する。手綱が必要。暗号資産が少なくともかつてよりは改善していることは否定しないが、完全にクリーンにすることも無理な話。伝統的金融と分散的金融が分離してリスクを波及させない仕組みを作るべきです。投資家の信頼、社会の安寧を守ることを目的と掲げるべきだと思います。現実に根ざした建設的議論が進むことを期待したい。
永沢委員: 私は良質な金融商品を育てる会という市民グループを主催している。仮想通貨と呼ばれていたときから個人投資家側の委員として参加している。この場にはふさわしくないかもしれないがその様は背景から参加することになったと認識。本日は初回なのでディスカッションペーパーについては意見を出させていただいた、その時の思いも含め総合的なお話を。消費者団体最大規模のところに所属している。週末電話相談では昨今、最近SNSを通じた投資詐欺が多いが暗号資産に関するものが増えている実感を持っている。最近のテレビのコマーシャルをみる。よくわからず購入する個人も増えているのではないか。オンラインカジノのようにギャンブル的なものとして参加している人も増えているのではないかと周囲の人と話していた。ディスカッションペーパー公開時に意見を出したが、ディスカッションペーパーを拝読して驚いたのは、暗号資産の取引経験者比率が債券・FXよりも高く7%に達しているということ。JCBAからの説明にも驚愕した。若い世代の、私からみるとそれほど収入の多くない人が暗号資産を買っていらっしゃるというのは、これは資産形成として位置づけて投資されていると聞くとどうかと思うのが正直な感想。ここまで広がってしまった実態があるのは、金融当局には申し訳ないがもっと早く手を打つべきだったのではないかと思う一方、これだけ広く実態があるから存在意義があるのだという主張は本当にそうかと思う。暗号資産は私のようなものの拙い理解では裏付けがなく価値があると参加者が思うから価値があるものだと理解している。一部企業活動にも活用されるようだが、どこまで企業活動の支援につながっているのか実態も見えない中でどうなんだろうというのが感想。他の先生から発言もあったが国が国民の安定的な資産形成の整備を進める中で若い世代の暗号資産取引が増えていることについて国はどう考えているのか懸念している。経済教育推進にもかかわらせていただいているが、暗号資産が広く一般の人にも開かれるのであればこれまで金融教育を推進していた人は相当混乱するのではないか。一つだけ申し上げることとしては安定的資産形成を優先すべき一般家庭が過剰に参加することがないように整備することが重要。仮に健全な成長をということであれば取引に不適合な人を参加させないことだと思う。取引に適合しない個人を参加させないよう勧誘しないようルール整備していくことが重要。オルタナティブ投資として注目されているという話も伺った。受託者責任を負っている業者はその責任を全うできるように。米国でやっているというのは理由になるとは思っていない。今後の審議の中で推進される方々からは正当化できる理由をお伺いできればと思っている。
小川委員: 暗号資産については諸外国の動き、すでにビジネス実態を鑑みると議論すべき重要な課題と認識している。デジタルネイティブには非常に手軽な投資手段として普及している。20%分離課税となれば流通量に拍車がかかる。暗号資産が本質的に異なる部分、異なる部分は多くあると思う。そうした状況の中で金融基盤の安全性を担保するためにどこまで何を実現していくかは多くの委員からコメントがあったが議論していく必要がある。私から2点、2つ区分に分けるという案について、それぞれ実態が違うということで一定のリスク・アプローチで分けていく対応は評価している。一方で形式区分がどこまでビジネス上フィジビリティがあるか検討していく必要がある。また今回重要になるのがシステムリスク。どこまで制度上安全性を担保していくのか。システム、それに関するオペレーション上の欠陥から生じる流出、マネロン等。今後流通量増加に伴い金融基盤そのものの信頼を揺るがす事態になりうる。攻撃者は日々高度化している。継続的に高度化する仕組みの担保が必要。システム監査は我々の業界でも重要視されている。担い手のガバナンス、外部システム利用ケースも多く担い手側の統制では十分ではないということからSOCレポートと言われる第三者評価も行われている。監査の十分性についてもチェックが入る体制で社会的信頼性を担保している。先ほどお話しがあった今後のインサイダーの議論、市場監視機能も議論が必要かと思う。どのレベルまでルール化し、ルールの担い手のガバナンス、審査機関のガバナンス体制といった多重での確認も含め社会的信頼性に対する有効性実効性の説明責任を重ねて議論できれば。委員の皆様のご意見含め議論を重ねられたら。
加藤委員: 加藤でございます。3点、一点目は暗号資産や暗号資産取引の特徴を考慮していく必要がある、本日報告では資料3で示唆されていたかと思う。非常に丁寧に暗号資産や取引の特徴を説明いただいたが、もう少し強調してよいかと思うのは、暗号資産の特徴としてプログラム、P2P取引がある。ただ実際には仲介機関を介して様々な人がポジションを取っている例が多い。二重構造が暗号資産や暗号資産取引の実態。今までは取引業者を通じて規制を行ってきた。発行者への規制が欠けていたので、この点を解決するという点で今回の金商法の枠組みに入れることは一定の意義がある。一方交換業者の重要性も変わらない、健全化のために非常に重要な役割があることは忘れてはならないのだろうと思います。二点目、暗号資産の分類、暗号資産の定義は、技術的な、いわば電子的に流通可能なものは暗号資産と定義したうえで、通貨建て資産などを除いていくという定義になっている。非常に特殊な定義。それゆえ多種多様なものが定義に入ってくる。どういった暗号資産や使われ方をしているかを念頭に置くことで、問題意識や規制のあり方が変わってくるのだろうと思う。類型1は暗号資産の発行目的が資金調達なら資金調達規制を、資金決済法では不十分だから補おうというのは非常に望ましいと思う。有価証券の世界にはプライマリとセカンダリの市場があるが、セカンダリ市場で暗号資産取引においてどういう規制が望ましいのかは研究が蓄積されているわけではない。アメリカではプライマリ市場で発行することがインベストメントコントラクトに該当するかどうかはいろいろな研究や規制のエンフォースメントがあるが、プライマリで証券規制が適用された場合に流通市場でどういった規制が望ましいかは具体的な議論がされていないのではないかと思う。ここが類型2の暗号資産を考える際に重要になると思っている。もう一点暗号資産の分類についてミームコインの扱いについて気になる点がある。資料3で挙げられている2−1誰でも生成できる、資料4−1インターネットと親和性が高いということでミームコインが生まれやすくなっている。ミームコインと同じくミームストックというのもある。暗号資産以外の金融商品一般にも問題を投げかけているということを示しているのだろうと思う。上場審査はあるし会社法による規律もある、一方ミームコインは上場審査に相当するものはないし会社法のような仕組み法もない。これをどう扱っていくかは非常に気になっている。漠然と、交換業規制の特徴として個別銘柄の登録性がある、これが規制の見直しの中でどういう方向で見直すべきなのか、とこれは関連するのではないか。最後松井委員がおっしゃった何が不公正かということについてです。伝統的な有価証券の世界でも闘いがあることだと思う。インサイダー取引についてもアメリカやEUと日本では規制対象が異なる。有価証券と商品取引ではインサイダー取引の対象が、日本法では商品取引はインサイダー取引規制がない、しかし取引対象にはなっている。いままで取引している人たちとこれからしようとする人たちにとっての何がインサイダー取引かというのは大きく異なるだろうと思う。何がインサイダーかは制度設計時に非常に意識する必要があると思う。
松尾真一郎委員:今後の検討の基調となる提言を4つします。一つは持続性。法改正検討に当たり暗号資産を用いた金融みたいなものができるときに、それが日本や世界の経済活動を100年200年と持続的に安心して使われる強固な礎となるような制度にしなければならないということ。日本の近代金融業は150年ぐらいの歴史があり、時代時代に要請される規制と監督のあり方を通じて政府と事業者が対話を続けて持続的ビジネスモデルを作ってきた。今回についても、金融の「金」だけでなく「融」ふくめ、ビジネスモデルふくめ持続性あるモデルを作る必要がある。事業者からの説明で時間の制約かこの視点が少なかったように思うが、そういう協力のあり方、責任の分化のあり方含めて検討が重要であると思う。規制、そのアクションとアクションの担い手をクリアにする出発点から議論しないと実効性ある規制は実現しない。二点目がセキュリティ。ディスカッションペーパーではセキュリティは主要論点ではなかったとみている。しかし金商法の議論の俎上に登るには、利用者に十分なセキュリティが大前提。今回の規制監督においてセキュリティ確保のための官民の体制はどうあるべきか十分議論する必要がある。既存金融では勘定系がバックエンドにあることが多いため攻撃界面は限定されているが、ブロックチェーンでは勘定系のような主要システムが場合によっては利用者の端末までむき出しになっている。だからこそイノベーションの芽があるということになっているが、そこがまさに利用者保護とイノベーションのトレードオフの交差点でもあって、新しい金融システムのセキュリティ確保のために既存システムのセキュリティ確保の仕組みから、より高度な仕組みが必要になる。これは金融庁のセキュリティに関する監督機能の強化につながるかもしれませんし、民間事業者との連携のあり方、民間事業者に課される取り組みの定義、ということになると思います。三番目は、イノベーティブな暗号資産特有の条件への対応です。暗号資産への規制監督の様々な論点の悩みの原因は、規制対象の主体が特定できない、あるいは流動的であり、それまでの考え方が使えないということになります。そうしている間に新しいプロトコルと課題が毎日出てきていて、もぐらたたきになり、金融庁も疲弊するし事業者側も規制の明確性が得られない状況が続いている。限定列挙方式には限界がある。改めて規制目標の利用者保護と金融犯罪の防止、金融安定に立ち返り、規制の目的はあなにか、何が保たれていれば金融庁と日本国民にとって安心な状況であり、民間事業者にとっても持続的なビジネスモデルが描けている状況になるか、そういう目標の合意を起点にすることが大事。このWGの主なターゲットは利用者・金融犯罪防止がメインだと思う、とくに事務局資料はインサイダー取引に力点が置かれていたが、現在暗号示唆ンの世界で起きていることを考えるとインサイダー取引よりも広範な概念として不公正取引ということを考えないといけません。BGINでは一昨年からこの議論を行っているのでその考え含め連携したい。開示規制も誰が何を開示するのか。本当に適正な開示とは何でそれはできるのかという論点がある。暗号資産にふさわしい新しい情報開示のあり方を議論すべき。例えば金融庁や証券取引等監視委員会が規制目標達成のために必要な情報提供のスペックを提示し、比較競争入札でやるように、民間で競わせて公募する、そういうことが暗号資産時代の利用者保護とイノベーションのバランスを取る仕組みの一つですし、RegTechやSupTechという分野で日本企業が目立たない中で、日本のイノベーション強化や規制監督に置ける国内自給率の強化につながるはずです。最後に4点目として、この世界でガラパゴスにならないことが重要。国外規制当局の理論にもfitして、そういう状態に陥らないことが重要。たとえば類型1,2の話は米国連邦議会上院で議論されるClarityアクトでも大きな論点。BGINなども通じながら諸外国に劣らない状況を作ることが肝要。日本における分類判定の主体やプロセス、監督のあり方やその主体が、国際的に見ても正当性を持つ法執行法である必要がある。暗号資産ビジネスにたいして利益相反が起きる体制ではあってはいけない、高度な中立性が求められる。米国ではそうしたことが重視されている。誰がどう責任分担を行うか考えながら、国際的に見ても競争力のあるエコシステムを作ることが重要。事業者団体の資料でも米国現政権の状況が引用されていたが、3年後民主党政権になると逆転現象が起きる可能性があることを念頭に置く必要がある。日本でも、政権交代に左右されるような金融システムではいけない。長期的な規制監督であることが重要である。
河野委員: 暗号資産の知識も経験もないが、現在の立場と現在の認識を申し上げたい。暗号資産取引事業に対してはいくつかの規制が整備されつつあるが今後デジタル社会進展で今回集中的審議が始まることは安堵感を抱いている。15年ほど前に出現したデジタル通貨がいつの間にかWebという言葉通りに日常生活に入り込んでいる。(通信途絶え)事例を多く目にしている。国民生活センターなどでみる事例は、儲かるというキーワードに誘われて近づいている。アプリをダウンロードすれば簡単に購入できるという実装案内が掲載されている。暗号資産のメリットとして、銀行を通さず手数料がかからない、1円から投資できる、将来が期待されているなど。デメリットとして規制など、それはデメリットなの?というものも目にした。web3技術特性や専門知識のない一般消費者としては不安が拭えないところですが、規制と促進のバランスを取って社会の役に立つ状況に持っていくことがこのWGの役割だと思っている。整備された各課題に多様なご意見があり結論が収束するのか改めて心配にもなったが、若年層でも簡単に手に入れられる暗号資産が金融サービス領域で利用者に大きな負荷を書けることなく信頼できる制度になるように、私自身情報収集を重ね精一杯努力して議論に参加したい。
松尾健一委員: 金商法研究の視点から、暗号資産の分類は1,2にすることは重要な視点。1は広く売り出す際に売り出し公平性の確保が必要、資金使途のモニタリングが必要。2については業者規制というか、業規制、勧誘規制含め、実効性ある形で構築することが重要だと考える。
川村委員: 本当はたくさんあるが、ヒアリングというかせっかくの機会なので、ご報告いただいた内容で思ったことをお話できれば。資料3暗号資産取引の現状について、先程来話があったことにも関連するが投資教育について誰がどういう形でやっているのか。国民の資産形成を進める中でこういう分野の投資教育も非常に重要になると思います。BTCトレジャリー企業のところで株式市場全体なのか当該企業にバブルを生んでいるのか、非常に重要な課題かと思う。17ページ、株式資金調達とトークンエコノミーの違い、コミュニティを支える方々も折れると思うがそうじゃない方もいるかと思う。データで分かると良いかと思う。18ページ、最後のところ小さく、貨幣数量説があるがトークン理論価格モデルには興味があるが、トークンエコノミーの経済的価値の見積もりが適切に行われているのか気になるところ。資料5JVCEAについては14ページ、暗号資産の審査確認のところで、取引業協会が会員からの審査内容を受け取ってどれぐらい異議を述べたり付言をしているのか非常に知りたい。資料6、これは1点だけだが、諸外国規制動向には関心を持っているところ。上院でどうなるかわからないが、Clarity法案をみると、分類、継続開示、取引所規制、公務員等による非公開情報利用等は、Clarity法案の中で面白いところがあるので、そういうものも参考にしながら議論を進めていくと良いのではないか。
事務局: 知りたいところは次回以降でいかがでしょうか。よろしいですか。それでは委員の皆様からは一通りご発言いただきました。オブザーバーでご希望の方いらっしゃいますか。2分以内でどうぞ
国際銀行協会資産運用部会みずの: 次のステップでの話になるかと思うが、ご案内のように暗号資産を組み入れた運用商品、運用会社が受託するETFが存在する。その観点から、やはり、国民の中長期の資産形成に役立てるよう私達としても環境整備情報提供という面で皆様と歩んでいきたい
日本証券業協会 大和証券かわしま: 暗号資産を資産形成に資するオルタナティブ投資の対象に位置づけるにはそれにふさわしい規制のあり方が重要と考える。本協会としてもこれまで金融商品取引業に携わってきた知見を活かし協力したい。
信託協会: 本日の議論から外れるかもしれないが、信託協会としては、ディスカッションペーパーの意見にも含まれていたが、ETF受託者をになっている。金融商品として制度上確立される規制整備が行われる前提で、暗号資産ETFも投資家の商品スキームにバリエーションを持たせて広がることが必要。受益証券発行信託型、投資信託型、対象は暗号資産現物、デリバティブなど考えられるがいずれも狭めずに受託者の立場として検討していきたい。
