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WORLD BLOCKCHAIN FESTIVAL2018 基調講演 竹中 平蔵

WORLD BLOCKCHAIN FESTIVAL2018

基調講演 竹中 平蔵

皆さんこんにちは ご紹介いただきました慶応大学の竹中平蔵です、マライア・キャリーではありません

今日は本当に日本で最初のブロックチェーンのフェスティバルが開催ということで楽しみにまいりました。

皆様の熱気を感じながら今日一日が人生を変えるような大きな一日になることを祈念して、私なりの問題提起をしたいと思います。

ブロックチェーンについて関心をお持ちの方、取引をされて詳しい方もいらっしゃると思いますし、期待を持っている方もいらっしゃると思う。

最初にお伝えしたいのはブロックチェーン人工知能ビッグデータが組み合わさって世界中でただならぬ事が起こっているよということです。

8月9月の2ヶ月6回海外出張しました。世界を見ると本当にただならぬ事が起きている。

日本に帰ってくると一部の人は関心を持っているが全体ではあまり高まっていない。

小泉内閣で大臣を担当して政治政策の中にいました。その後大学に戻って自由に研究する立場にあるが、やはり10年前とぜんぜん違うことが起きていて、それが若い皆さんに降り掛かってくる。

政府でも安倍総理のお手伝いをしていますが、残念ですが日本の霞が関、永田町、丸の内大手町では世界が凄まじく変わっているという危機感が残念だけど十分伝わっていないように思う。

今年1月ダボス会議がありました。どこかで効いたことがあると思いますが世界の経済のリーダーたち2500人が1月末スイスダボスに必ず集まって議論をする。総理が行くこともある。トランプ大統領も今年はきた。 今年の世界経済を議論しましたが、去年ぐらいまで一番関心があったのは人工知能でした。AI。それをどのようにビジネスに使っていくか、そのために政府が何をしていくかでした。 ことしは、全然違い、人工知能は当たり前、徹底してブロックチェーンをどう扱うか。世界のリーダーの間で飛び交っていました。

もう一つ最初にお話しておきたいことがあります。中国にアリババという企業があります。アメリカのアマゾンに対して中国にはアリババがある。1ヶ月前に本社に招待されました。上海から車で2時間奥に入った杭州市にあります。

ネット販売から始まった会社です。19年前にジャックマーという青年が公団アパートの一室で友達とはじめた会社。11年前に香港株式市場に上場。企業価値、日本で一番高いところご存知ですか、トヨタです。東芝と言わないでくださいね。固有名詞をあげてすみません。 11年でアリババはトヨタの2.5倍から3倍に既になりました。ネット販売から始まりましたが、ネット販売が始まると、皆さんも携帯でいろんなものを買いますが、皆さんの記録がデータに残る。こういうのをビッグデータと呼ぶ。スマホで買うとデジタルな形でデータが溜まる。それを人工知能とかを使うことが出来る。 アリババはアリペイという決済をはじめました。6億人の人達が買うデータが毎日溜まっている。そこに人工知能を加えて、ブロックチェーンも加えて、新しいことは何でも出来る。ビッグデータ人工知能ブロックチェーンを使って何でもやる会社なんです。

このだいたい2倍ぐらいの大きさの巨大スクリーンがありまして杭州市の主な道路でどのくらい車が走っているかリアルタイムビッグデータで表示されている。底に人工知能を使って混雑を緩和させるにはどうしたらよいか人工知能に答えを出させる。具体的にはこっちの信号を短くしてこっちを長くするという、最適化を行う。甲州市では交通渋滞が2割削減、緊急車両到達時間が半分になりました。

車に人工知能を積んで運転させる、自動運転をみんな考えているが、自動運転は車だけではできない。道路の情報のビッグデータが必要です。信号があるのか無いのか小学校は幼稚園は歩道橋は。そういうビッグデータがあって初めて安全な自動走行が出来る。街全体をビッグデータ人工知能ブロックチェーンを活用した未来都市づくりが世界で始まっている。

ビッグデータと新しい技術を使って第四時産業革命、なんでもする。アメリカにはGAFAがある(Google, Apple, Facebook, Amazon)。そういう企業が同じことを始めている。そういう中で私達は戦っていかないといけない。

ダボス会議メルケル首相いわく、これからの競争は1にも2にもビッグデータと新技術の競争になる。今までのような手作業、気配りで勝てる時代ではない、大胆に発想を変えていかなければならないのである。

アリババでショックを受けて日本に帰ってくると、モリカケ問題やっている。

ビッグデータAIブロックチェーンをかけ合わせて第四事産業革命と言われていて、世界標準になっている。

最近成田で入国手続をした人いますか。 入国手続は大変です。我が国の国境にあなたは入ってよろしいというのは、国家権力の行使。だから法務省の入国管理官が居て、いかめしい顔で判子を押していました。チョット前からは指紋を登録しておくと入ってくることも出来るようになった。1年ぐらい前から羽田空港成田空港ではそんなこともしなくて良くなった。人工知能の顔認証で中に入れてくれます。iPhone Xは顔認証でできますよね

みんなそんなこと出来るのは分かっていますよね。でも申し上げたいのは国家権力の最前線でそうした技術が使われているということです。

そういうことが目の前に入ってきているということが重要だと思います。

こうした動きはいつからできたのでしょうか。ドイツが最初の一歩だったと言われています。ドイツのハノーバー・メッセ2011年、ドイツ政府が新しいタイプのものづくり、人工知能ビッグデータを組み合わせて新しいタイプの製造業を作る、Industory4.0という言葉が使われていましたが、第四次産業革命、もっと大きいことが起きているぞという割れています。

人工知能の革命的進歩、ディープラーニングがありました。そこにブロックチェーンが加わって世界中でダイナミックに動き出したということです。

その割に日本はのんびりしているねと言いました。2011年、東日本大震災でした。その復興に力を入れざるを得ませんでした。その後政権交代、デフレ克服で三本の矢が動き出した。日本の動きが遅れたのはやむを得なかったかもしれませんが、数年遅れていることは認めざるを得ません。

羽田空港の顔認識は日本のパナソニックが作っています。NYではみなさんかお写真取られて顔認証されています。テロ対策、顔認証されています。NECの技術です。パーツパーツでは良い技術を持っているが、全体をまだ活かしきれていないもどかしい状況にある。そういう状況の中でさぁブロックチェーンについて考えてみようという人たちが集まっているのは歴史的なことだと思っています。

大変なことが日本でも起きているということをお話したいと思います。

人工知能はなんとなくわかりますよね、人間と同じ働きを機械がしてくれる。

犬が犬、猫が猫とわかる。なぜか?小さい頃から教えられて無意識のうちに繰り返し、データをインプットしてきたから出来る。同じことを人工知能が出来るようになった。それが2012年以降ディープラーニングというのが登場して出来るようになった。

そうした中に新しい技術として、ブロックチェーンというのが登場した。人工知能よりあとに実用化されるようになってきた。

仮想通貨とブロックチェーンは切っても切れない関係にあります。どういうことかと言うと、チョット考えてみてください。私が100万円を持っているとします。普通は銀行に預けるわけです。銀行に持っていって、その100万円を銀行の金庫の中で眠っていますか。安心していますよね私達は。金庫の中に100万円置いているからですか?銀行には竹中平蔵の台帳があるんです。この人は今いくら預けているのかが書いてある。国がお墨付きを与えて管理している組織、その台帳に書かれているから安心だろうということで私達の信用経済が成り立っている。

銀行じゃなくても信頼できる台帳ができたのがブロックチェーン。誰でも書き換えないような技術で守られた台帳で、いろんな形で分散して誰でも持てるようになった。

Aさんにお金を預けてAさんが台帳持っていてもAさんを信頼できなければ安心できない。それが出来るようになるのがブロックチェーンの台帳。

戸籍、住民票、あれも台帳です。何年にどこで生まれてどうなったか。帳面で管理しているわけです。法務局が管理しているから安心しているわけで誰かが勝手にやっても安心できない。でもこれがブロックチェーンでできてしまうかもしれない。住民票も区役所がやっているから安心ですが、これもブロックチェーンでやってしまえば、区役所にあんなに人はいらなくなる。

会社を作れば法人登記が必要。定款を届けないといけない。これも台帳。これもぜんぶ、不動産の登記も同じ、全部台帳に、登記所に書かれているから安心して住めるし売却したり出来る。この人のものだということを安心できている、これを全部ブロックチェーンにするということが、近い将来始まると思っています。

だからダボス会議で、AIと言っていたが、それが当たり前で、ブロックチェーンが登場して、活用をみんな真剣に考え始めた。

銀行の話しに戻ります。お金、なぜ信用できるんですか?日本銀行が出しているからですよね、日本銀行法で。そこの台帳で1枚刷って出しましたと書いてあるから安心。でも別にどこかに書き換えできない台帳が存在して出ているお金なら安心できるかもしれませんね?それが仮想通貨です。

別に通貨の形ではなくても良い。あなたのお金を預かってこの台帳で管理していますよという、台帳があれば送金ができる。仮想通貨を使っても使わなくてもいいけど、送金をするというのがブロックチェーンを使って出てくると思います。

さぁ、本当に実現したら困りますよね、銀行困りますよね。金融業にこれを持ち込むとFintechといいますが、これを突き詰めれば、ひょっとしたら銀行はいらなくなるかもしれない、あるいは大幅に低下するかもしれない。送金のビジネスは銀行ではないところがやるようになるのではないでしょうか。

日本以外では結構そうなっています。日本の銀行の送金手数料はめちゃくちゃ高い。国からお墨付きを得て台帳管理しているからうちに任せなさいよと、台帳に管理して勘定の移し替えをしている。

銀行もブロックチェーンの会社に出資して必死でやっています。銀行が多くの従業員をリストラしているのをご存知でしょうか。これはFintechのためです。銀行の店、店舗はいらなくなるかもしれない。

皆さんにお願いしたいのはこういう新しい時代の流れに対して、逃げないでまっすぐに向き合って賢い消費者、賢い投資家になって、したたかに生きていこうではありませんか。

こういう新しいことが起きたとき、ある種の事故は起きます。流出など。だからこれはだめだと言ってはいけないと思います。そうしたことを乗り越えて新しいことをやっていく。

安倍内閣でも大きな変化が起こりつつありますので、どういうことをしていて、みなさんがどのように活用できるのかというお話をさせていただきます。

ビッグデータが必要という話をしました。アリペイを6億人が使っているから毎日ものすごいビッグデータが溜まっていると言いました。日本には、アリババのような会社はない、アマゾンのような会社はない。これに対して日本でも危機感を持って一つの法律が国会を通過しています。

こういう大事なことはドコモ新聞やテレビででないのでご存じないかもしれません。まともな政策な話は自分で勉強しないとスキャンダルで頭が一杯になりますよ。

イギリスに習ってビッグデータ活用の司令塔を作る。ビッグデータ整備の基本法

イギリスでどうしていたか。データは色んな所にある。それを持ち寄って政府と民間でデータベースを作っていく、司令塔組織がある。日本でも法律が通りました。政府が出した法律ではないんです。自民党の中堅議員でよく勉強している少数の人達が出したものだったんです。議員立法。ちゃんと勉強している人もいるんです。その人に聞いたんです。よくこんな技術的で難しい法律が通りましたねと。そしたら誰も分かっていないのであれよあれよと通過したと言っていた。

活用してほしいと思います。皆さんの企業が持っているデータには価値があるんです。でもビッグデータになっていないから価値がない。それなら出すから、他の会社にも出してもらって、ビッグデータにしましょう。

最初は、道路の情報は国道は国、県道は県、市道は市がもってる。それを集めて、自動車メーカーも参加してもらってやっていく。

日本はパーツの技術は世界一。でも世界一になっていない。規制があって、道路で試験運転ができない。道路交通法があり、人間が道路で運転しないといけないと決まっている。だから道で無人運転の実験ができない。500メートル走るために半年手続きがかかったりでは世界に勝てない。

実験をする場所を作ろうという動きがある。最初にやったのはイギリスです。議会制民主主義も法の支配もイギリスが最初。さすがですね。イギリスは第四次産業革命にあたってあたらしい実験の場を作りました。サンドボックスといいます。砂場のことをサンドボックスといいます。この中では自由に、変なルールはないと思ってやりなさい。この法律も実は夏に国会で通過をしています。

サンドボックスを使ってブロックチェーンを使った実験を銀行がやっていくと思います。うまく使っているかどうか,皆さん見てください。うまく使っている会社に投資するなり、使っている仮想通貨に関心を示したりしていってほしい。

3つ目、いまのようにどんどんどんどん新しい技術が変わっているときには、私達一人ひとりが学び直しをしなければならないということです。大学を出たらもう良いということではない。サイバーセキュリティの専門家が日本で20万人不足していると言われています。10年前に大学工学部を出て基礎はあるがサイバーセキュリティを勉強しているわけではないという人に、2年間夜間大学に通って勉強してもらう、こういう人に政府はお金を出すことを決めました。

リカレント教育を提言したら、予想通り麻生財務大臣に大反対されました。郵政民営化以来何を言っても反対されるのですが。

とにかく補助金が出るので、みなさん学ぶことに努めていただけたらと思います。

さてそうすると私達の働き方も変わらなければならないですよね。2年間夜間学ぶ人に残業や転勤せよと言ってはいけない働き方改革も同時に進めなければいけません。

これは良いことでもあり悪いことでもある。人生100年時代になっています。チョット考えてみてください。全員105歳まで生きる。しかしどうですか、105歳まで生きようと思ったら、最低90歳ぐらいまで働かないといけないですよね、ちょっとゾッとしませんか。でもこれが現実です。90まで働こうと思ったらこれだけ世の中が変わっていく。

今までは20年学んで40年蓄え、10年か20年老後を暮らす。

これからは20年教育、10年働いて2年教育を受けてまた10年働く、そういうマルチな生き方が必要になる。

学生と話すと彼らはそういう実感をもう持っている。

20年働いて40歳で4年間大学に行きなおす、だれが支えてくれるんだ、そういう人と結婚しなくては。と学生が言っていました。結婚感、人生観も変わっていくのかもしれません。

それではこのあとのセッションをお楽しみください