8月に株式会社はてなを退職し、9月から株式会社メルカリに入社しました。出向という形で、株式会社メルペイにて働きます。9/3が初出社でした。
Blockchainのソフトウェアエンジニア職です。当面は調査・研究などをしていると思います。
先生、六本木ヒルズのゲートを通れました!
六本木ヒルズがオフィスです。六本木ヒルズといえば、ライブドア事件が起きた高校生時代、クラスの仲間とライブドア社前で記念撮影をしようと乗り込んだのがいい思い出です。
でも入り口にゲートがあって、アポも社員証もないと入れないんですね。想定の範囲外でした。
門前払いなんて悔しかった。これが格差が、これがヒルズ族かと思い知りました(※こういうアホなやつが来ないようにゲートがあるのだと思います)。
先生、お元気ですか。苦節12年、あの日僕を阻んだゲートを、僕はいま通れるようになりました。
ブロックチェーンエンジニアに転生しました
退職したら追悼されました。iOSエンジニアのniwatakoは死んだ。生きているうちに追悼されるとは思っていませんでした。
こんな記事を書いてもらえて嬉しいです。誘った本人が居なくなってしまって申し訳ない。京都に友達が増えて嬉しかったし、一緒に飲みに行ける日本酒派が増えて嬉しかった。
仕事も、入社してくれたおかげでいいものが完成したと思ってる。チームでみんながお互いにちょっとずつ設計をアップデートしていって最終形態になっていく過程は最高の体験だったと思う。
こんな立場ですが、これからもどうか仲良くしてもらえたら、嬉しい限りです。
#niwatako追悼式典
#niwatako追悼式典
というハッシュタグが登場したり、追悼にあたってなんだか大勢の人が集まってくださいました。
#niwatako追悼式典 #iOSDC pic.twitter.com/ruOFVaPjWB
— だっちゃん (@dchn2904) 2018年8月31日
#niwatako追悼式典 pic.twitter.com/PTQhtvy6m0
— りくそうだ (@rikusouda) 2018年8月31日
最後にiOSDCで30分枠の登壇して、好きな日本酒銘柄に囲まれて飲み溺れながら、23:59まで同僚たちに看取られたの、最高のiOSエンジニア人生だったのでは
— にわタコ (@niwatako) 2018年9月2日
追悼式典を開催してくれた id:yutailang0119 、そして参加してくださった皆様、本当にありがとうございます。
転生してブロックチェーンエンジニアになりましたが、異世界のniwatakoもどうかよろしくおねがいします。
なにをするのか 〜分散台帳開発部の様子(merpay Block Party -blockchain meetup #1 より)〜
こんなところで働きます。
当面は調査・研究などに取り組みつつ、ブロックチェーンが普及した時代にどのような形で事業ができるのか考えていくことになりそうです。
2017/08にR4D(メルカリの研究開発組織)の中でいち研究領域としてスタートして、2017/12にメルペイに移ってきた。#merpay_blockchain
— にわタコ (@niwatako) 2018年8月28日
R4Dと一緒に、量子コンピュータ、xR、ロボティクス、宇宙衛星領域、….などとの掛け合わせも含めて、それらが実現するかは置いておいて、Internet2.0=ブロックチェーン時代に何ができるかを考えていく。#merpay_blockchain
— にわタコ (@niwatako) 2018年8月28日
Ethereumを中心にリサーチしている。
— にわタコ (@niwatako) 2018年8月28日
ISO/TC 307標準化への流れがあり、R4Dメンバーが主だがメンバーになっている。
ブロックチェーン版メルカリなど、プロトタイプアプリケーションを作ったりしている。#merpay_blockchain
なぜブロックチェーンなのか
1人の友人と2冊の本がきっかけでビットコインのトレードを始めて、調子に乗ってオルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)の取引に手を出し大損して、反省して勉強しているうちにアプリケーションエンジニアとしてブロックチェーンの面白みに気づいてしまい、とうとう転職、という経緯です。
投資(投機)対象として面白い と思うまで 〜仮想じゃない、これは暗号だ〜
2017年4月ごろ、友人と会った時にビットコイン投資でめっちゃ儲かっているという話を聞きました。
そんなに儲かるのかと衝撃を受けつつ、怖かったので本屋に行って 仮想通貨とブロックチェーン (日経文庫) を読むなどして一体ビットコインは何なのかを調べました。この本では歴史や背景、ビットコインを作ったサトシ・ナカモトの思想などを知ることが出来ます。
そしてまた、ちょうどiOSのApp Transport Securityまわりで暗号について興味があった頃で、手元に暗号技術のすべてがありました。この本の最後に、すこしだけブロックチェーンについて技術的に解説している部分があります。これによって「仮想通貨」という漠然とした正体不明のものが、エンジニアとして「暗号通貨」という技術的背景を持ったものに見えるようになったのでした。
ここまでで、2009年のマウントゴックス事件のときには 得体の知れないポイント的なものを物好きが取引している
というイメージだったビットコインの印象が塗り替えられ、 なるほどビットコイン、面白そうじゃん、と思うようになりました。
業務スーパーのレトルトカレーを食べて節約して、ビットコインを買う生活 が始まりました。
調子に乗って大損するまで 〜98%の資産が9割なくなった話〜
最初は204,000円と206,000円の間の値動きみたいなを bitFlyer Lightning で一晩中眠れずに見守るみたいなことをしていましたが、ちょうどこのころ放っておいてもなんとかなる相場で、だんだん調子に乗っていきました。
ビットコインで儲かった、と言ってきた友人はビットコイン以外の仮想通貨、いわゆるオルトコインを買い始めていて、ビットコインよりも大きく利益を上げているようでした。
調子に乗っていたので、 今度は技術的背景を調べたりせず、「出遅れて損はしたくない」という勢いで真似していろいろ買ってみました。 良くない。
その結果、 ある仮想通貨を頂点で掴み、その後もう一度上昇する日を信じてひたすら買い足しながら、ひたすら下がって資産をすり減らしていくということをしていました (最後は損切りしたのですが、年末・年始に元の価格まで戻っていたので最悪でした)。
節約して捻出したお金を全部仮想通貨にしていたので、98%の資産が仮想通貨で90%の含み損、みたいな状態 です。
やはり、よく分からないまま盲目的に買うのは良くない、と考えてビットコイン以外の仮想通貨というのがどういうものなのか調べ始めます(懲りてない)。
2017年7月ごろ、ビットコインの分裂騒動の最中で良い情報を発信している人を探して行き着いた人々をTwitterでフォローして、まともな情報が入ってくるようになったのも、この後につながっているかもしれない。ありがとう分裂騒動。
アプリケーションプラットフォームとしてのブロックチェーンの魅力に気づくまで 〜WebサーバーのAPI叩いてる場合じゃねぇ〜
スマートコントラクト本格入門―FinTechとブロックチェーンが作り出す近未来がわかる を読んで、ブロックチェーンの上で通貨の交換だけではなく、アプリケーションも実行できることを知りました。
ブロックチェーンに書き込まれたプログラムは、誰にも止められない、改ざんできない、誰にでも状態を確認できるというブロックチェーンの特性をもつことになります。
これは言ってみれば 人間に対して第三者的に、空中に契約(プログラム)が存在して、人間のアクションに対して自動的に契約が執行されるという、いままでのアプリケーションの世界あるいは運営者・利用者という関係とはちょっと違う世界 が広がっています。
これは人間にとって新しい体験、新しい経済が誕生する可能性であるのとともに、IoTなど、機械などでも価値交換と契約を自動的に行えるネットワークを形成できるという可能性でもあります。
そして、それを人々が使うインターフェースは個人がいつでも持ち歩いていてネットワークに繋がっているスマホが担うのだろうな、と思ったのでした。 スマートフォンアプリケーションエンジニアとして、これはWebサーバーのAPI叩いてる場合じゃねぇ と思ったのが2017年の秋口です。
東京に来るまで 〜クレジットカードの残枠がなくなる〜
ブロックチェーンをやりたいと思うようになったものの、当時そんなことができる会社はあまりなさそうでした。まだそのときは「自分はこっそり未来に気づいてしまった。いつかやりたいな。」という気持ちだったと思います。
冬頃から会社の面談などで漠然と「ブロックチェーンに興味がある」と話すようになりました。多分何いってんだこいつ、と思われていたと思いますが、どんなものなのか、何ができるのか、真剣に耳を傾けていただけたと思っています。社内勉強会で発表したりもしました。
余談ですが、年末年始に実家に帰って、そのうちブロックチェーン仕事にしたいんだよねぇ、というと、家族全員に必死で止められました。
2018年に入ると、ちょくちょく社外でもブロックチェーンの話をするようになっていき、あちこちで京都でブロックチェーンの勉強会やりたい、と言ってまわり、3月にはBlockchain勉強会 in Kyoto - connpassが立ち上がります。関西の方、いまもやっているのでぜひご参加ください。
2018年4月、Beyond Blocks Summit Tokyoという大規模カンファレンス(?)が東京でありました。これに7万円ぐらいのチケット代を自腹で払って参加します。はてな京都オフィスに勤務していたので京都からの往復含めて10万円ぐらいかかりました。せっかく高いお金を払って東京に来たので、ブロックチェーンをやってる会社があれば話を聞いていこうと思い、Wantedlyで「ブロックチェーン」や「Solidity」と検索して出てきた会社を訪問したりしてみました。これで、何社か本気でブロックチェーンに事業として取り組むところが登場していることに気づきます。
もうこの頃にはビットコイン投資ではなくて自己投資の額のほうが大きくなっていました。主に東京で開催されるブロックチェーン関連の勉強会に参加するための交通費です。家も会社徒歩3分の9万円から、3駅のシェアハウス4.5万円に引っ越していました。引っ越しはメルカリアッテで手伝ってくれる人を呼んで4000円で済ませるという超絶節約生活状態でした。
京都に家があるのもったいない気がしてきた。
— にわタコ (@niwatako) 2018年4月13日
だれか京都で1週間1万円ぐらいで住ませて下さい。
2017年5月、ついにクレジットカードの残枠がなくなったので東京オフィスへの異動を願い出ました。あわせて、そろそろブロックチェーンをやりたいという相談をしました。
転職するまで
6月、東京オフィスへの異動が叶い、東京の実家に帰りました。
7月、会社との相談を重ねた末、自身が今後ブロックチェーンに取り組む場の選択として、転職という結論に至りました。
このあたりはとても感謝しているとともに、いままでお世話になったにもかかわらず、とても申し訳ないと思っています。はてなはとてもいい会社です。ぜひ退職エントリにもお目通しください。
なぜメルペイに入ったのか
※この文章は入社前の段階の個人の考えを記載したものです。社内の情報、入社後の仕事は知らない状態で考えていたことです。会社の見解・計画を表すものではありません。
メルカリのCtoCやシェアリングといった事業領域はブロックチェーンと相性が良いと思っています。そして、メルペイという決済事業を持って、そこにブロックチェーンの入り口を用意できるならば、多くの人々が日常的にブロックチェーンに触れる世界を作ることができるのではないかと考えています。
人々が日常的にブロックチェーンを触ることができる世界の先に、スマートコントラクトによって、従来実現できなかった契約や、従来相対して取引が成立し得なかった利益集団同士の間に経済を実現し、よりよい(メルペイのミッションから言葉を借りるならば、"なめらかな")社会が実現できたら面白いなと思います。
知人を経由して門を叩いてみたところ、採用の口があるようだったので応募してみました。
採用情報
もしご興味のある方がいらしたら、こちらをご覧ください!
私はブロックチェーンのアプリケーションレイヤーに興味がありますが、もちろんチェーンや暗号学に興味がある人も居ます。取引所もトークンエコノミー時代の鍵になるはずです。さまざまなレイヤー、領域で調査・研究開発を行っていて、さまざまな仲間を募集しています。
メルカリ・メルペイでやってみたい事があると思ったら、ぜひ応募してみてください。ご応募の際は、niwatakoのブログを見た、と書いていただけると嬉しいです。
採用一覧に書いてなくても、「自分はこういうことしたら良いと思っているのだが、そういうポジションの採用していませんか」と突っ込んでいくの大事だと思いました。まずは軽くお話などもウェルカムです。Twitterなどからご連絡ください。
さいごに
9/9が誕生日でした!! ✧。ヾ(。・ω・。)ノ゙。✧