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CTO Keynote - LINE DEVELOPER DAY 2020 より Blockchainについて #linedevday

CTO Keynoteの中でSenior Executive OfficerのYang Seokho氏よりLINEのBlockchainについての説明コーナーが有りました。当該箇所の書き起こしです。

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Yang Seokho(Senior Executive Officer)

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サーバー開発、メッセージアプリ開発リードをしてきました。最近の新しいプラットフォーム構築を担当しています。

今日はそれらの努力の成果の一つであるBlockchain Platformについてお話します。

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LINEのBlockchain技術の研究は、2018年4月のBlockchain Labの設立で始まりました。LINEのブロックチェーン事業は、Blockchain Platformと取引所という2つのトラックに分けて進められ、Blockchain Labはブロックチェーンの基礎技術とPlatformの研究を担当しています。

LINEの価値観であるLINE Styleにおいても、Stay a Step Aheadという言葉があるように、LINEにはまず動くものを早く作り出すという文化があります。

最初のLINE Messengerを開発するときも開発開始から2ヶ月後のリリースを目標にしていました。

ブロックチェーンにおいてもOSSやアライアンスで基盤技術を確保しながら動作するものを3ヶ月で作りました。

2018年8月にLINE Blockchain、当時の名前ではLINK Chainとして発表し同じ年に取引所に上場することができました。

その次のステップとしてサードパーティーが簡単に参加できるプラットフォームの開発をはじめました。

ブロックチェーンプラットフォームもできるだけ早く世の中に出したかったのですが、検討を始めると2つの課題に気づきました。

1つ目はLINEの規模に合う技術的に優れたものを作るということです。

もう一つはプラットフォームの運営会社として法律的、社会的責任を果たす必要がるということです。

そのために2年かけて基礎技術の研究を重ね、様々な規制を守る体制を整えより完成度の高いプラットフォームとして作り上げました。

ついに今年8月LINE Blockchain Platformをリリース。

このようにLINEはブロックチェーンに取り組んできたが、なぜLINEがブロックチェーンを作るのかとよく聞かれる。

その時冗談交じりに作らない理由がないから、と答えることがあります。でも今日は真面目に説明します。

私が数年前、初めてブロックチェーン技術に触れたとき、設計のコンセプトや実装方式には非常に感心したが、LINEでの活用法についてはあまりピンときませんでした。

しかし、技術について理解が進むに連れ、最大の価値に気づきました。

技術によって高い水準の信頼が担保できるということです。

そしていまなぜLINEがブロックチェーンを創るのかと聞かれたら、ブロックチェーンのアルゴリズムによって信頼性が担保されているから、とお答えします。

LINEは個人間のコミュニケーションだけでなく、企業やパブリックサービスなどあらゆる領域のデジタルコミュニケーションをさせるプラットフォームです。

コミュニケーションの最も重要な要素は信頼性。

LINEはその信頼性を守ることを最優先にしています。

そのため情報セキュリティやシステムの安定性向上のための投資はもちろんのこと、PR活動などでユーザーに信頼してもらう様々な努力をしています。

こうした努力、その結果としてのブランドイメージがあってやっと信頼が成り立ちます。

一方ブロックチェーン技術はお互いに信頼していない参加者同士でデータそのものを公開せずに、データが操作されていないことを証明できる技術です。

努力やブランドではなくアルゴリズムによって完全にデータの信頼性が担保されます。

ブロックチェーンが、信頼性を重要視するLINEになくてはならない技術だと考えました。

そしてLINEだけではなく、数多くのパートナーさんと一緒に利用することで、より信頼性の高いアプリケーションをよりたくさん生み出せると考え、LINEはブロックチェーンプラットフォームを作り始めました。

ではどのようなブロックチェーンを目指しているかについて説明しましょう。

我々が目指しているのは誰もが使いやすいブロックチェーンです。

ブロックチェーンはここ10年ほどで世の中を変えたパラダイムの一つですが、まだわかりにくく、ネガティブな印象を持っている方も少なくありません。

その理由は手軽に利用でき本質的なメリットを感じられるサービスがまだ産まれていないからだと私達は考えます。

ブロックチェーン上でサービスを利用するユーザーもサービスを提供する開発者も、誰もが使いやすいブロックチェーンを作る必要があるのdす。

まず、ユーザーにとって使いやすいブロックチェーンとは、既存のLINEのUXそのままにユーザーがブロックチェーンの強みを活用できるということです。

ユーザーがサービスを利用するときにブロックチェーンについて理解しなければならなかったり、ブロックチェーンサービスだからと不便になることがあってはならないと考えています。

では開発者にとって使いやすいブロックチェーンとは何でしょうか。ブロックチェーンを扱うときに必要になるプロトコルは一般のAPIとは異なるので、学習コストが高くなります。運用するための専門のチームを用意すれば開発・運用コストも高くなるでしょう。

一方でLINE BlockchainはREST APIなどみなさんが使い慣れたAPIを提供しています。

これが開発者にとって使いやすいブロックチェーンということですが、さらにLINEのブロックチェーン運用ノウハウやマーケティングツールも提供し、さらに使いやすい役に立つプラットフォームを目指しています。

さて、LINEのブロックチェーンプラットフォームではこのようなものを提供してます。

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基盤となるブロックチェーンネットワークは2つのバージョンで運用されています。

金融のアプリケーションとそれ以外の一般的なアプリケーションでは機能や性能の要求の方向性が若干異なるので、金融とそれ以外で分けています。

そのブロックチェーンネットワークの上に、LINE Blockchain Frameworkがあり、アプリケーション開発者がブロックチェーンを簡単に利用できるように抽象化されたAPIやデベロッパーコンソールを提供しています。

そしてユーザーが自分のデータを管理できるウォレット、ブロックチェーンの整合性を検証できるようにデータを暗号化された状態で確認できるExplorerも提供しています。

さて、このプラットフォームに皆さんのブロックチェーンサービスを実装することをイメージしてみましょう。

最近デジタル化のトレンドもあるので、例として電子契約サービスを考えます。

ユーザーとしてはLINE Blockchain Walletという共通UIを通じて本人証明を簡単にできて、契約の結果をNFTで持つことができます。UIとしては、今までのサービスと大きく変わらないですが、契約内容が絶対変わらない台帳に記録されていますし、それが単純な文書ではなく、唯一無二で設計されたトークンとして発行されます。

サービスプロバイダーとしては、電子契約のエビデンスを残して管理することが特別なシステムを作らなくても可能になります。

内容はユーザーやサービスプロバイダーだけがわかるように暗号化されていたとしても、内容が改ざんされないことをLINE Blockchain Main Netが保証しています。

さらにこのデータの普遍性についてはLINEが保証するだけではなく、誰でもBlockchain Explorerを通じて普遍性を検証できるようになります。

これまではサービスプロバイダーの契約作成の責任と、契約の普遍性保証の責任、その両方の責任を持っていました。

ブロックチェーンを活用することで、これら2つの責任の所在を分離することができます。

そして信頼性の高いサービス開発がとってもやりやすくなります。

Blockchain Platformの上にはエコシステムが存在することになります。

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サービスのユーザーはLINE Blockchain Walletなどを通じてサービスを利用できます。

また、Crypto CurrencyはBITMAXを通じて管理できます。

このようにLINE Blockchainは全体で一つのエコシステムを作ろうとしています。

LINE Blockchain Platformには既に200を超える開設の申込みがありました。

とても嬉しく思います。ありがとうございます。

そして、そのうちのいくつかは最初のパートナーとしてアプリケーションの提供を始めていただいています。

ここにいる皆さんにも、今後もっとLINEのブロックチェーンを体験してほしいと思います。

そのため今日見てくれている皆さんに、少額ですが、LINEの独自暗号資産LINKの2000円相当の受け取り申請ができるキャンペーンを行います。

みなさんがフォローしているLINE Developer Dayの公式アカウントにアルファベット大文字でLINKと入力して送信してみてください。

そこで今から10分間簡易エントリーを受け付けます(※既に無効)。未成年の方ではないなど、条件がありますが、ぜひLINEのブロックチェーンに触れてみてください。

最後にLINE Blockchainの今後についてお話します。サードパーティー以外の改善としては来年カスタムスマートコントラクトの導入を目指しています。

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ウォレットも同じく来年グローバルでのリリースを目指しています。

CoreとなるMainnetではさらなる技術開発を進めています。

スマートコントラクト用のバーチャルマシン、様々な用途に対応するためのコンセンサスアルゴリズムの改善、プライバシー向上のためのHDウォレット、ミキシングなどの技術開発です。

そして来月にはみなさんとより深く交流するために東京でLINE Blockchain Developers Meet upというイベントも開催します。

LINEのブロックチェーンについてより知りたくなった方はぜひご参加ください。

line-blockchain-developers.connpass.com

さて、LINE Blockchainについて話をしてきましたが、私達が目指すブロックチェーンは誰もが使いやすいブロックチェーンです。このビジョンに共感した方は、ぜひ私達のパートナーになって、誰もが使いやすいブロックチェーンサービスを作ってください。

私達はパートナーの皆様にもサービスを利用するユーザーにもWowと言っていただけるブロックチェーンプラットフォームを作っていきます。

私からの話は以上となります。