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ビットコインETF:資産運用のゲームチェンジャー #BitcoinTokyo2024

  • モデレーター 佐藤 陽一郎, 代表取締役, ウィステリアハウス東京株式会社
  • 工藤 秀明, 代表取締役社長, Laser Digital Japan株式会社
  • 狩野 弘一, CEO, SBI Zodia Custody 株式会社

佐藤

自己紹介お願いします

工藤

Laser Digitalは野村HD直下で2年ほど前に設立、日本で1年前にJapanを設立。今日はETFということですが、私自身は野村アセットマネジメントの経験が一番長い。クオンツ、ポートフォリオマネージャーをやっていたが、過去5年はデジタルアセットのビジネス開発を行っていた。STなど国内のプロダクトローンチを担当。ETFは5年ほど前からビットコインの暗号資産の法制度が国内でできるタイミングの前から検討はしていて、当時は断念していたが、そこにもう一度戻ってきている。

狩野

当社はSBIとスタンダードチャータード銀行傘下の合弁会社。ETFや機関投資家のデジタル資産のカストディを担うべく業務を構築しているところ。私自身は外資系金融機関で為替トレーディングを20年以上携わっていて、2020年後半には仮想通貨がボリュームが移っていくのをみて、退社してからこの世界に入り、業務上トレーディングをしているというよりは、個人資産としてはHODLしながら業界インフラの構築に邁進している。

佐藤

今日は金融世界で長く活躍してこられた専門家をお迎えしてインパクトを考えたい。前半はなぜビットコインETFが注目されているのかアメリカ中心に追っていく。そして特徴や本質を考える。後半は日本市場に必要か考える。 前半は工藤さんからプレゼンいただきながら、アメリカや世界の動き、市場の動きについてご説明いただく。

工藤

流れ含めて共有させていただければ。 アメリカのビットコインETFの承認は凄まじい衝撃だった。承認前から話しは出ていたが、足元見ると、デジタルアセットのETF的なものがどんな感じでアクセス可能か地図で表示。ETPというより広い概念がある。Pとは、Fundより包括的でProductという意味。上場投資信託や上場投資証券ETN、コモディティETCなどを含めETPと呼ぶ。先進国ではかなり広がっている。先進国で無いのは日本と韓国ぐらい。アジアでは香港にある。グローバルではここまで進んでいる。 最初のETFに関する申請から10年たった。10年の戦いがアメリカでなされていた。「スポットビットコインETF」スポットといったときには現物1:1裏付け。ビットコイン=ビットコイン価格を追跡、ETF=上場投資信託、株式のように取引所で売買できる。

2015年に世界初のビットコインETP、2018年〜2021年、欧州暗号資産ETF活況。

ビットコインETF後

資金フロー増えローンチ後8ヶ月で$230億の純流入。 ビットコインは過去1年、S&P100と金を遥かに凌駕した。

「ETFを通じてビットコインを保有する場合と、現物を保有した場合の比較」

規制によって詳細は変わってくるので一般論。 どっちがいいのかは後での議論になるかもしれない。 よく気になるのは流動性。ETFだと市場が空いているときだけしか取引できないが、簡単にできる。 あるいは管理がどちらが楽か。 ETFになると信託報酬がかかってくる。

あとは税金の違いもある。ここが一番規制上含めて大きなところかと思う。 最後、足元どんな状況か、開示資料より。 保有者は1200の投資家。一定程度の資産規模の人が出すForm13から最低でもそれだけの機関投資家が持っていることがわかる。

佐藤

資金フローも保有する投資家も増えている。まだETFがない国として日本や韓国があるということだが、世界にこのインパクトはどう広がっていくか

工藤

まずやはり直接保有するしないにかかわらず投資の意味合いがある。次に産業としての意味合いがある。 資金フローになって周辺に広がっていって更にイノベーションになる。

佐藤

今のお話にも関連するが他の暗号資産のETF化、そこら辺にも影響あるか

狩野

あると思います。証券口座をお持ちで証券投資してきたが、直接暗号資産取引所で、ウォレットで保管して、ということに対するハードルがあった方が、証券口座で購入できると、金融商品化されることで購入できるようになる。 他方ETHのETFが伸びていない。ステーキングするものはETFでは報酬が反映されないなどがある。利息分が今の設計だと機会損失になる。必ずしもBTCのように直結するかというとそうではないところがあると思う。

佐藤

各暗号資産の特徴も踏まえて動く可能性があるということですが、現物のビットコインの特徴とETFでは対立する部分もあるかと思う。野口先生のお話もあったが伝統金融とは別のところで生まれたビットコインが既存金融に取り込まれる。フィロソフィーとして対立するものがあると思うが、今後ビットコインのETFを考える、ビットコイン全体の普及を考えるときに、どう考えるべきか。あまりフィロソフィカルナ捉え方はするべきではないのだろうか

工藤

それぞれが思いの中でやっていけば世界は広がっていくのかなと思う。ビットコインにアクセスする手段が多様であればあるほど当然喜ぶべきことかと思う。この方法しかないとなると入口がそこだけになってしまう。ETFのような形で、本当は投資したいけど時間無いんですよねとか、やればできる人たちがいっぱいいる。私の人生にとって他のことのほうがいまは大事という人もいるので。全体に染み渡りやすくなる。産業的な意味合い、広がっていく、そして経済安全保障的なところまで行き着くと思う。デジタルな技術を我々がどう持っていくのか。コアな技術が全部国外にあるのは私は受け入れられない。

佐藤

経済安全保障ということで国境を意識するコメントがあった。日本におけるビットコインのETFの要否や課題を考えたい。そのまえに、金融市場としての日本の特徴をおさらいしたい。

狩野

エコノミー全体のリテラシーは高いとは思う。為替動向、ドル円が毎日ニュースに出てきて皆さん知っているという意味でリテラシーは高い一方、投資そのものに対する教育という点からすると、ミクロが不足?そこを補う規制が多い? (暗号資産の)ルールが明確、財産分離もきちんとされていることは海外からも高く評価されている。

佐藤

マクロの制度やルールは進んでいる一方、個人の投資教育としては余地があるということですが、ビットコインなんかはさらに個人にフォーカスするので後押しするのではないかと思う。日本でのETFの実現可能性や課題は

工藤

実現しない世界は想定し得ない。その先を考えていくフェーズかと思う。狩野さんおっしゃるとおり規制が明確なのはアドバンテージであるが、セキュリティートークン、暗号資産の法律とステーブルコインの法律と全部違う。逆に別々にありすぎて分断されているのも現実。ステーブルコイン日本でやるとなると、ニュースはいっぱい出ているが皆さんの手元にはまだない。

佐藤

規制の整理は今後必要になるかもしれないということですが、ETFが実現した未来はどうなるのか

狩野

ユースケースは増える、投資対象も増える。今までにない要素に対するヘッジ、運用先になる。ETF化することでユースケースが広まって担保価値がうまれたり、産業としてカストディやデリバティブなど金融業界にも広がるかと思う。そこからまた認知度が高まるという好循環が生まれるのではないか。

佐藤

それぞれゲストの皆さんにお伝えしたいことがあれば

工藤

途中で申し上げたがビットコインが実現した未来、これは来たるべき未来、確実な未来かと思っている。そのうえでビジョンは私含めて難しい、はっきり言って持てていないが、期待したいのは、せっかく伝統金融に入ってきた、取り込まれるというよりは、伝統金融を変えていくくらいのインパクトが起こってほしいし起こるだろうと思っている。それはインフラから始まる可能性もある。一部の人は頭の隅においていると思う。既存金融のインフラがあまりにも凝り固まっている。10年かかるかもしれないが次の金融を定義していく動きが生まれると良い。

狩野

ビットコインに限らずブロックチェーンの技術はトランスフォーマティブであり金融を変革する力があると思う。その省庁としてビットコイン、先頭を走っているのはビットコインである。近くETF化を実現すべく動いているが、いろいろな可能性をあんロックするきっかけになると思っている。将来的にはライバルになるかもしれないが、いまは業界をあげて整備しているので期待していただきたい。