- モデレーター Bradley Loewen, Podcaster, Beyond The Price
- 中村 奎太, CEO, 株式会社メルコイン
- 廣末 紀之, CEO, bitbank株式会社
Bradley
自己紹介とビットコインに興味を持ったきっかけを
廣末
ビットバンクという取引所の創業者で代表。ITを色々やっていて、ビットコインを知ったがよくわからない、こんなストラクチャーで来ちゃったらネットの構造が全部変わる可能性があると思って引き込まれた。2013年頃、渋谷宮益坂にMtGOXにあってレンタルオフィス4階でカルプレスさんがやっていた。 ハッキングがあって日本中詐欺だと大騒ぎだったが、なにいっているんだと。こういうストレステストに耐えられるのかドキドキしながらエクスプローラーを見ていたが何ら問題なく稼働していて、このストラクチャはちゃんと稼働するんだと感動した。僕からするととんでもなく素晴らしいものをみんな誤解しているのでまたとないビジネスチャンスだと思ってビットバンクを創業して10年やっている。
Bradley
当時の創業者、けっこうつかまられた方おおいですよね。生き残った鍵は
廣末
ビットコイナーというのはちょっと、アンチガバメントチックだったり、アナーキズムだったりがある。そういうのが色んなところに出ちゃうのかもしれない。だから、既存社会と新しい社会の融合が試されているところなので、気が強いと既存社会から排除されるところがあるのでバランスが難しい。僕は昔から既存社会でやってきたのでバランス感覚があるつもりだけど、バランス取らないと、すぐ、、
Bradley
メルカリではブロックチェーンエンジニアから始まったんですよね
中村
メルカリの中で取引所をやっているメルコインの中村と申します。エンジニアをしていて、バックエンドやAIをやっていて、学生の時、全然廣末さんよりあとですけど、2016年とかICOバブルに来てて徐々に活況になってきて国内でも騒がれるようになってきていた頃、そのときにビットコインのホワイトペーパー読んだのが出会い。エンジニアリングとAIやってて、特殊なAIの領域、コンセンサスとかネゴシエーションをやっていた。エージェントシステムの研究をしていて、これってブロックチェーンに近いところがあって、分散システムにAIが組み込まれている時代が来るんじゃないかと思っていて、ブロックチェーン読んだときにむちゃくちゃ感動した。リアルにビザンチン含めて実際動くものをつくるのって難しくて、それが動いてて勝ちがついているのはすごいことだと思って、それがこのホワイトペーパー一枚に記述されている。すごいとおもってAI全部捨ててブロックチェーンエンジニアでメルカリに就職した。
Bradley
いまAIのほうが盛り上がってますけど
中村
そういう意味ではミスったかもしれないですね DeepLearningとか流行っていたけど局所最適な問題やっていて結構つまらない感じだった、いまはLLM流行ってるけどこんなスピードで変わると思っていなかった
Bradley
メルカリでビットコイン、予想外な展開だと思うんですけど
中村
2017年からR&Dの形でブロックチェーンどう活用するか考えていた。ブロックチェーンで様変わりするビジネス、ファイナンスの中心にあるビジネスとして僕らメルカリのCtoCがあると思っている。物を売買する真ん中に僕らはいるが、P2P取引とは逆にある世界。淘汰されるとしたらこのビジネスモデルが最初に無くなる可能性があると思って、この領域を自分たちが理解してどう戦うか考えないといけないとおもってやり始めた。社内でP2Pで取引できるメルカリを作ってPoCしたりしていたが、たどり着いたのは、めちゃくちゃ使いにくい、難しい。この世界観が変わらない限りはなかなかブロックチェーンの世界が広がらないなというのが実体験としたあった。そこでまず必要になるなというのが、Fiat to Cryotoをいかにスムーズにできるか。ライトな人たちができる世界観を作らないとと思って、5日メルカリの中でも実現しようということで、結構時間がかかったが、去年からメルカリの中でビットコインを買えるようになった
Bradley
廣末さん始めたときから今、どんなふうに変わりましたか
廣末
既存金融システムってガラリと変わるんじゃないかというのが当時自分が思ったところだが、10年以上立ってどっぷり金融に使っているのが今。残念ながら。
Bradley
この10年の進展、早く感じますか、遅れているように感じますか
廣末
死に物狂いでやっていたので早く感じるが自分がイメージしたものよりは遅い。いままさにそうだが、社会へのフィッティングが試されている領域で、既存社会と対立する部分もある。そこの対話は非常に難しい。規制、法律にアジャストしていかないといけない。このプロセスが非常に時間を要している要因だと思う
Bradley
メルカリユーザー層についてスライドを用意いただいた
中村
2023年3月サービス開始、そこからビットコインを、メルカリの売上金つかって取引できるようになった。1年半、いま220万口座突破。特徴的なのは、取引経験なしの初めて暗号資産を持つ人がほとんどというのが大きな特徴。 結構廣末さんおっしゃった通り、金融になっちゃってるなというのがこれまでの歴史である。大きな変化、ダイナミックな暗号資産、ブロックチェーンの世界が浸透してこなかったというのがあるが、メルカリという世の中に浸透したサービスを通して提供することで、使わなかった人たちに使ってもらうということができた。
データ的に個人的に一番、メルカリでやって面白くなったなと思ったデータなんですが、僕らのサービスの世代割合、20、30,40,50代に均等に使われている。 幅広く持っていただいているのはサービスの特徴だし日本でも人という意味では変化してきているんじゃないかと思うポイント。
Bradley
このユーザーではビットコイン、わからない部分もあると思うが、トレーダーなのか、長期で持っているのか
中村
しっかり理解している人がさっきの人数いるかというと全然そんなことはないと思うが、訴求しているのは、物売って得たお金や得たポイントをビットコインにすると値が動く。売上金やポイントと変わらないものの一つで、その中で値段が動くものとして捉えられていて、これがビットコインであるというのをいま実体験していただいているところだと思う。
Bradley
廣末さんこれ心配ですか
廣末
僕らにはリーチできないところ、産業全体で日本なんか事故が多くてクリプトキモいとかビットコイン嫌だといわれることがおおいところに、裾野を広げたのはめちゃくた大きな話。 ビットコイナーとかが手の届かないところ。貢献は大きかったのではないかと思う。
Bradley
自分の中でよく疑問に思うのは、未来はビットコイン会社がどんどん成長して大きくなるのか、従来の金融機関、大手会社がビットコインを取り入れるという二つの道、ある程度両方が正解かもしれないが、どちらがより可能性が高いと思いますか
廣末
両面あると思うが、僕は当然、古参ビットコイナー、パブリックしか信じていないので、金融にもいずれパブリックが使われる、ETFとかRWAとか言われているが僕から刷るとまだ本物じゃない。規制やレギュレーションとかいろいろを経ながら、すべてのアセットはオンチェーンになると信じているしそれが一番効率化された世界だと思っている。マージされて最終的には効率的な良い社会になればいいんじゃないかなと思う。
中村
にわとりたまごっぽくなっている。既存金融があるからクリプト領域に流動性が生まれて盛り上がる。ただ既存金融があるからレギュレーションの壁ができたりイノベーションの阻害要因が生まれたりハードルがあるのが実態としてあると思う。かつここに価値がつきすぎている。僕はインターネットとブロックチェーンは同じようなもので次の世界のコアになると思っている。でもDay1からお金と紐づいてしまっているのが、難しさであり面白さであり熱狂だと思う。 僕らみたいな金融でもなく、Web2の世界でいろんなビジネスをCにむけて色々やってきたのは、どちらでもない立場を取り得るとおもうので僕らが加速度を作るチャレンジはできるんじゃないかなと思う。
Bradley
アメリカではシリコンバレーだとスタートアップ文化が盛り上がっていて、Move First , Break thingsという早く動いてものを壊せというが、日本ではそういう考えが浸透していない、業界をディスラプトするのが非常に難しい漢字がするが、日々の仕事で従来金融機関と関わることがあると思うが、2つ質問、金融機関にはどう思われているか、既存の機関投資家や金融機関と協力しないといけないのか本格的にディスラプトは可能なのか?
廣末
三井住友信託銀行さんとジョイントベンチャーをやっている。日本では大手金融機関と手を組むケースはあまりないと思うが、大手金融機関の方とお話するが、一部の方は理解している。じゃあそのボードメンバー全員理解しているかというとそうではない。わかっている人が説得するプロセスが必要。ただ全く否定的ではないし、アメリカETFもあり、やっぱりやらないとと思っている人もいる。技術的に理解しているとまでは思わないが、これはちゃんとした金融メインストリームがアクセプトするものなんだとちょっとずつ認識が変わっている。
ご当局の方は非常によく理解されている。当局は当局でイノベーションはわかるし産業は拡大したいが過去からの金融文脈があるし顧客保護があるといので当局も苦しんでやっている。一番いいところを探っているみたいなところがある。だから時間がかかるところもある。必ずしもネガではないと思う。
中村
ぼくらの考え方はあまり、メルカリがWeb2ぽいというのもあるが、ディスラプトし来るものではないと思う。体験は、ブロックチェーンやWeb3と呼ばれている体験と、Web2の安心安全、リスクを会社が持ってくれる体験というのもあっていいじゃんと思う。この世界を行き来して両方にアクセスできるのがより簡単になるといいと思っている。その体験の流れを横断的に作り上げていくのが大事じゃないかと思う。レギュレーションは色々保護していくために難しくなっていく部分もあると思うが、この部分は安全に行こうよとか、ブリッジになっている部分をつ売り込んでいくことでWeb3体験も浸透していくと思うし、現物やオンチェーンの体験がもっと浸透していけばいいとおもっている
お客さんにとっては暗号資産でもなくクリプトでもなくブロックチェーンでもなく「ビットコイン」。ライトなお客様に広げていくにはビットコインがキーになると思っている。いまメルカリの中でビットコイン決済できるようにしているが、通貨として使えるんだと認知していくのはチャレンジとして徐々にできてきた。さらに、ブロックチェーンの世界ってこんなもんじゃないよという認知を広げるとか、他の通貨があるということを理解してもらうことも大事だと思って、これはこう動く、こういう事ができるというのを理解してもらうことが暗号資産やブロックチェーンを理解してもらうことになると思う。2通貨目はなるべく見えない設計にしている。そこの体験はぶらさずにやっている。
Bradley
廣末さんは、いろんな通貨を上場していると思うがビットコインは特別ですか
廣末
2013年から一度も売ったことがない、特別だが、ビジネスとしてやるとお客さんからは不満もでる。お客様に対してやっている以上そうなっちゃうが、ビットコインのR&Dエンジニアなんかを過去からずっと受け入れてきている。産業のためにビットコインに関わるエンジニアを増やさないといけないし、そういう開発、エンジニアリングする土壌を作らないといけない。研究開発したりダイヤモンドハンズにスポンサーするとか、自分の中でできることをやっていく、R&Dは絶やしちゃいけない。自分の中でできることはやっている
Bradley
ビットコインだけでやっていける会社が日本で増えるにはどういう変化が必要でしょうか
廣末
僕はグローバルで見ていて、産業が小さい。ビットバンクがビジネスで儲かったとする。そしたらビットコインマーケットにどんどんドネーション含めてやりたい。でも2018年から規制が厳しくなってトレーディングボリュームが世界で1%2%まで落ちちゃって、プロフィッタブルじゃない。新しい領域をやるにはリスクマネーが必要。我々もそうだし、既存企業もそうかもしれないしVCもそうかも知れない。トークンファイナンスとかしたいかもしれない。やっとできるようになった。限界はあるものの一つ一つ解きほぐしてやらないといけないと思う。
中村
圧倒的に使っている人が少ない。こういうもの、価値は、使われないと行けない。使う人を圧倒的に増やさないといけない。これがレギュレーションの変化にもつながると思う。ユーザー数を増やすところはできている。思ったより決済に使ってくれている。 全部使う人はなかなかいないが、20円分とか30円分とかとお金を合わせて使う人がいる。そうやって使う人が増えていくことが可能性としてある、サービスとして広がる可能性を感じている。いまは取引所という限定的な部分しかプロフィットブルなところがないが、決済だと回転数が上がる。使うのが増えることでやっていける可能性を感じる
Bradley
??
廣末
Web3なのか分散社会なのかわからないがビットコイン本位制社会になると思う。AIが使われる社会の中でビットコインが必ず使われるはずだと思っている。ペイメントにはL1では無理。LightningなどのL2がその役割を果たすんじゃないか。その社会実装をしていきたい。そのなかで新しい「完全自動化経済」にビットコイン、L2があり多様なトランザクションがあるようになるんじゃないか。
2018年から、すぐ流出するし機械のためのお金なんじゃないかと思うようになった。
中村
僕も近いところは思っている。僕はインターネットやテクノロジーが大好き。インターネットメインの社会は変わらないと思うし、もっとデジタル化された社会、そこでの価値伝播がメインになっていく、そこでのビットコインの役割はコア中のコアになる。ビットコイン本位性みたいな概念が到来する可能性は確実にあると思う。そのためのユーザービリティをどれだけ引き上げられるかどうか。会社を通してもそうだし、国内で1000万口座まできたが、ぼくらメルカリだけで1000万、2000万というお客様がビットコインを持つ世界を描いていけるんじゃないかと思っている。ビットコインを持っている人がいっぱい世の中にいる世界で、コアな通貨になりきっているんじゃないか、そこに5年10年僕らもやっていきたい