暗号通貨・ブロックチェーンを巡る技術トレンド概観 #HashHub2018 02

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参加した聞き起こしレポートです。

暗号通貨・ブロックチェーンを巡る技術トレンド概観 〜ソリューション動向・注目技術、 エコシステム概況総括〜

野村総合研究所上級システムコンサルタント 畑島崇宏

  • 現時点で暗号通貨・ブロックチェーン業界をリードしている3大クリプト・メガ・プライヤー
    • Bitmain 世界最大のマイニング機器メーカー
    • Coinbase 取引所。適格投資家向けインデックスファンドを開始
    • Binance 取引所。マルタやバミューダに拠点、ファンドを設立。
  • 我々は暗号通貨・ブロックチェーンを何のために使うのか
    • 価値 通貨、アセットの移転とその取引証明
    • 信用 信用のない複数の参加者同士でやり取り
    • 分散 第三者の中央介在なしに台帳を皆で検証する
  • これから産業として離陸・飛躍していくための鍵

プロトコルの成熟

現状のブロックチェーンはオープン←→クローズ、決済重視←→柔軟性(コントラクト)の軸で4つに分類できると考えると、今日話すのはBitcoinとEthereum、オープンで、シンプル決済重視のBitcoinと、オープンで、柔軟な機能の作り込みの容易さを重視したEthereum。

  • インターネットは90年台のカオスから成熟を経て今に至る
    • スループット 電話回線からブロードバンドへ
    • プライバシー HTTPからHTTPS
    • ガバナンス 草の根的な開発から IETF, W3C, ICANNなどの世界的組織
    • セキュリティ 専用線による通信からVPNによる暗号化された専用の通信経路
    • スタンダード それぞれのネットワークでバラバラな方式からTCP/IPによる相互接続
  • ブロックチェーンも同様に解決すべき課題を抱えている
    • スループット スケーラビリティ問題 → オフチェーンの活用など?
    • プライバシー 取引履歴が明かされる → 取引履歴を秘匿したまま検証できるように?
    • ガバナンス コミュニティ内のガバナンス成熟に向けた黎明期 → フォーマルな意思決定が可能なガバナンス構造を取り入れるなどの動きも
    • セキュリティ 安全性の検証が不十分 運用面も含め実装の安全性を担保していく手段の確保が必要
    • スタンダード 標準化が行われないままビジネスが開始 相互運用や国際標準化の動きも加速

スループット向上技術の全体像

  • オンチェーン
    • Bitcoin
    • Ethereum
      • Sharding
        • ノードやトランザクションを少グループに分割して並列実行
          • Zilliqa
          • Gormos(ShardingされたPlasma)
      • Sidechain 小チェーン、孫チェーン...
        • Plasma
          • 改装サイドチェーン
          • → Plasma Cash, Plasma XT, Plasma Debit
        • Loom Network
          • ゲームDApps用チェーン
        • Dogethereum -DOGEとEthereumの2ウェイペッグ
    • ベースレイヤー(ネットワークレベル)
      • bloXroute: 大きなデータを大規模ネットワークへ送信するのに最適化されたネットワーク
      • Teechain: TEEを用いて高速ペイメントを実現
  • オフチェーンによるスループット向上技術
    • Bitcoin
      • Lightning Network
        • eclair, c-lightning, Ind, ptarmigan
      • Payment Channel
        • Eltoo, Channnel Factory, Atomic Multipath Payment, Watchtower, Channnel Splicing, Submarine Swaps
    • Ethereum
      • 決済 Lightning Network相当
        • Raiden
      • チャネル Payment Chanel相当
        • State Channnel
          • Counter Factual
          • Pisa
          • Force-Move Game
      • スマートコントラクト
        • TrueBit
          • 重たい計算をオフチェーンで行う

プライバシー向上技術の全体像

  • トランザクションバランスプライバシー
    • 誰が誰に送るのかをブロードキャストするところが課題。いくら送るのかの金額のバランス
      • Bitcoin
        • Confidential Transaction
          • Pedersen Commitmentでアウトプット量を置換
        • Bulletproof
          • Confidential Transactionを改善してコミットメントサイズを小さく
        • Confidential Assets
          • 金額、アセットの種別を隠蔽
      • Ethereum
        • zk-SNARKs, zk-STARKs
          • 「誰から誰へ、いくら」を隠蔽しながら検証できるゼロ知識証明
  • トランザクションリンクプライバシー
    • 誰の署名かわからなくする
      • Bitcoin
        • CoinJoin
        • Value Shuffle
        • Tumble Bit
        • Zero Link
        • Ring署名
        • Dandelion
      • Ethereum
        • zk-SNARKs, zk-STARKs
  • コントラクトプライバシー

    • Bitcoin
      • Discrete Log Contract
    • Ethrereum
  • トランザクションバランスや、リンクのプライバシーを秘匿する

    • その他コイン
      • Dash
      • Zcash
        • zk-STARKS
      • Monero
        • Ring
      • Mimblewinble
        • ConfidentialTransactionの変形で、ブロック容量を圧縮する。

セキュリティ

署名
  • ECDSA
    • 現行のBitcoinで採用されている
  • Shnorr署名
  • BLS署名
    • Shnorrの「マルチシグニ2ラウンド会話が必要」とか「集約時に乱数生成車が必要」などを解決
攻撃
  • MonacoinでBlock Withholding攻撃、VergeやBitcoin Goldで51%攻撃があった
  • 理論的に可能な攻撃はすべて実際に実行される時代

ガバナンス

マイニングの分散の話と、PoS、クリプトエコノミクスで分類している

  • Bitcoinのマイニング分散
    • Optical PoW高額今ぴぃーティングによるマイニングのぶんさん、
    • BetterHash Stratumマイニングプールプロトコルにおけるネットワークの検閲体制強化
  • EthereumのPoS化
    • Casper FFG(PoW上にPoSをオーバーレイ
    • Casper 2019目処と Shardingの統合アップデート
  • CryptoEconomics
  • 経済的インセンティブ・ペナルティを通じてコンセンサスプロトコルを安全なものにする
    • CasperのSlasher
    • TrueBitのVerifier
  • チェーン間の相互運用性向上への動き
    • Cosmos, Polkadotなどが開発されている
    • EVMチェーン間でデータをリレーするEMV Bridge
  • ビットコインやEthereumではないチェーン、スマートコントラクト時代を見据えてEOS、Tezos、DFINITYなども開発されている。

ユースケースフィット

Dapps

2017年は1090個のDappsと700のトークンがローンチ。

  • Dapps
    • IDEX
    • ForkDelta ERC20トークン交換
    • Bancor
    • CryptoKitties
    • Etheremon モンスター捕獲・進化・バトルアプリ
    • Augur
  • Lightning Apps マイクロペイメント、即時着金
    • Sathoshi's Place 1satoshiで1ピクセル塗りつぶす共有お絵かき
    • Poketoshi ゲームキャラ操作にマイクロペイメント
    • Lightning Spin マイクロペイメントと即時着金を用いたルーレット
    • LightningJP APIコールに課金されてツイートする
    • Zigzag Bitcoinを送るとAltコインが返金

トーク

Ethereumトークン注目されるがビットコインのカラードコインなどは従来からあった。

Liquidサイドチェーン上における独自アセット発行、BCHでのOP_GROUP、ERC-20、ERC-721(Non Fungible Token)、ERC998(NFT同士の合成)、ERC1155(ゲームアイテム向けNFT)不動産のReFungibleTokenなども出てきている。表現力が向上。

この先、証券をトークンとしてウォレットで取引したり管理できるようになったりするとどうなるか。いわゆる証券トークン。流動性の向上、高速セツルメント、レギュレーションをコントラクト化してコンプライアンス対応の自動化が出来るのではないか。このあたりのプレーヤーはPolymath, Securitize, Harbor, Securrencyなどが有名。

新たな金融プロダクトで金融マーケットが変わろうとしている。ローンや保険、複数のもののバスケット化など。

  • 金融プロダクトに近い応用例
    • Dharma 債務・ローン
    • Etherisc 分散保険プロトコル
    • Compound マネーマーケット
    • Token Sets バンドル・アンバンドルしたバスケット
    • dYdX 信用取引
    • Set Protocol リバランシング・パッシブ運用
  • フレームワークや規範類

新しいトークンがどんどん登場したときどうなるか。Dapps同士がトークンを交換するときに現行取引所を使うだろうか。ハッキングのリスクは?と言ったところから注目されているのが、DEX(分散型取引所)。現状で普及しているとは言えないが、Dapp同士の取引で使われてくるのではないか。

商品の決済に暗号通貨を使う時に問題になるのが法定通貨とのボラティリティ。暗号通貨だけの世界になればいいのだが意識せざるを得ない。ボラティリティをなんとか抑えたい問題。そこでStableCoinが出て来ている。

法定通貨や特定資産とのペグ、シニョレッジシェアによるコントロール等がある。

  • 法定通貨とのペグ
    • Tetherのように、発行体の信用が前提になる。
  • 特定資産とのペグ
  • シニョリッジシェア
    • 中央銀行のように発光量を管理することで安定させる。複雑である。
    • Basis, Carbon, Kowara

ユースケースの世界観をまとめる。

リアルアセットがトークン化されていくであろう。プロトコルとしてDEXが動いてその上でトークンが取引されている。それを金融サービスとして使う人、Dapps、IoTデバイスが生まれるであろう。

  • エンドユーザー層: 人、アプリ(AI, VRなど)、デバイス(IoT)
  • アプリケーション層: 譲渡、貸借、投資、貯蓄、保険、融資
  • トークン層: 証券、債務、Asset、NFT、暗号通貨、StableCoin
  • リクイディティ層: DEXプロトコル
  • レッジャー層: ブロックチェーン

規制整合

コアな技術発展を遂げようが斬新な物が出ようが規制へのアダプションは避けて通れない。

北米、欧州、アジア、それぞれがいろいろな姿勢を取っている。日本は凪のような状態。戦略的である必要がある。

  • 北米
    • SEC「現状のEthereumは証券に当たらない」
    • Zcash取引承認
    • ETF
  • 欧州
    • スイス証取、規制下でCustody付きの暗号通貨交換業立ち上げへ
  • アジア

世界中で展開されるクリプトコミュニティ拡大と都市間競争

Cryptoコミュニティは東京以外にもあります。