参加した聞き起こしレポートです。
暗号通貨・ブロックチェーンを巡る技術トレンド概観 〜ソリューション動向・注目技術、 エコシステム概況総括〜
- 現時点で暗号通貨・ブロックチェーン業界をリードしている3大クリプト・メガ・プライヤー
- Bitmain 世界最大のマイニング機器メーカー
- Coinbase 取引所。適格投資家向けインデックスファンドを開始
- Binance 取引所。マルタやバミューダに拠点、ファンドを設立。
- 我々は暗号通貨・ブロックチェーンを何のために使うのか
- 価値 通貨、アセットの移転とその取引証明
- 信用 信用のない複数の参加者同士でやり取り
- 分散 第三者の中央介在なしに台帳を皆で検証する
- これから産業として離陸・飛躍していくための鍵
プロトコルの成熟
現状のブロックチェーンはオープン←→クローズ、決済重視←→柔軟性(コントラクト)の軸で4つに分類できると考えると、今日話すのはBitcoinとEthereum、オープンで、シンプル決済重視のBitcoinと、オープンで、柔軟な機能の作り込みの容易さを重視したEthereum。
- インターネットは90年台のカオスから成熟を経て今に至る
- ブロックチェーンも同様に解決すべき課題を抱えている
- スループット スケーラビリティ問題 → オフチェーンの活用など?
- プライバシー 取引履歴が明かされる → 取引履歴を秘匿したまま検証できるように?
- ガバナンス コミュニティ内のガバナンス成熟に向けた黎明期 → フォーマルな意思決定が可能なガバナンス構造を取り入れるなどの動きも
- セキュリティ 安全性の検証が不十分 運用面も含め実装の安全性を担保していく手段の確保が必要
- スタンダード 標準化が行われないままビジネスが開始 相互運用や国際標準化の動きも加速
#HashHub2018 HashHubに来た! pic.twitter.com/XYJxo0AaKj
— 内山大志 (@hiroshiucym) 2018年7月21日
スループット向上技術の全体像
- オンチェーン
- Bitcoin
- Ethereum
- ベースレイヤー(ネットワークレベル)
- bloXroute: 大きなデータを大規模ネットワークへ送信するのに最適化されたネットワーク
- Teechain: TEEを用いて高速ペイメントを実現
- オフチェーンによるスループット向上技術
- Bitcoin
- Lightning Network
- eclair, c-lightning, Ind, ptarmigan
- Payment Channel
- Eltoo, Channnel Factory, Atomic Multipath Payment, Watchtower, Channnel Splicing, Submarine Swaps
- Lightning Network
- Ethereum
- Bitcoin
#hashhub2018 なう
— Ryo Iida/飯田 諒 (@aviciida) 2018年7月21日
野村総研コンサルの方の資料、めちゃくちゃわかりやすくまとめられていて、
自分が今まで出会ったわからない単語(Plasma/Sharding/Segwit/Cosmosなどなど、ぐっちゃになってる単語たち)
が「どこの課題を解決しようとしているのか」がめっちゃわかる!!
圧巻だった〜〜〜 pic.twitter.com/3pJyL3kRA0
プライバシー向上技術の全体像
ブロックチェーン技術トレンドの概要
— コインチョイス編集部 (@coin_choice) 2018年7月21日
畑島崇宏氏 野村総合研究所#HashHub2018 pic.twitter.com/Y3m05shoLX
- トランザクションバランスプライバシー
- 誰が誰に送るのかをブロードキャストするところが課題。いくら送るのかの金額のバランス
- Bitcoin
- Confidential Transaction
- Pedersen Commitmentでアウトプット量を置換
- Bulletproof
- Confidential Transactionを改善してコミットメントサイズを小さく
- Confidential Assets
- 金額、アセットの種別を隠蔽
- Confidential Transaction
- Ethereum
- zk-SNARKs, zk-STARKs
- 「誰から誰へ、いくら」を隠蔽しながら検証できるゼロ知識証明
- zk-SNARKs, zk-STARKs
- Bitcoin
- 誰が誰に送るのかをブロードキャストするところが課題。いくら送るのかの金額のバランス
- トランザクションリンクプライバシー
- 誰の署名かわからなくする
- Bitcoin
- CoinJoin
- Value Shuffle
- Tumble Bit
- Zero Link
- Ring署名
- Dandelion
- Ethereum
- zk-SNARKs, zk-STARKs
- Bitcoin
- 誰の署名かわからなくする
コントラクトプライバシー
- Bitcoin
- Discrete Log Contract
- Ethrereum
- Bitcoin
トランザクションバランスや、リンクのプライバシーを秘匿する
- その他コイン
- Dash
- CoinJoinでトランザクション混ぜる
- Zcash
- zk-STARKS
- Monero
- Ring
- Mimblewinble
- ConfidentialTransactionの変形で、ブロック容量を圧縮する。
- Dash
- その他コイン
セキュリティ
署名
- ECDSA
- 現行のBitcoinで採用されている
- Shnorr署名
- BLS署名
- Shnorrの「マルチシグニ2ラウンド会話が必要」とか「集約時に乱数生成車が必要」などを解決
攻撃
- MonacoinでBlock Withholding攻撃、VergeやBitcoin Goldで51%攻撃があった
- 理論的に可能な攻撃はすべて実際に実行される時代
ガバナンス
マイニングの分散の話と、PoS、クリプトエコノミクスで分類している
- Bitcoinのマイニング分散
- Optical PoW高額今ぴぃーティングによるマイニングのぶんさん、
- BetterHash Stratumマイニングプールプロトコルにおけるネットワークの検閲体制強化
- EthereumのPoS化
- Casper FFG(PoW上にPoSをオーバーレイ
- Casper 2019目処と Shardingの統合アップデート
- CryptoEconomics
- 経済的インセンティブ・ペナルティを通じてコンセンサスプロトコルを安全なものにする
- CasperのSlasher
- TrueBitのVerifier
- チェーン間の相互運用性向上への動き
- Cosmos, Polkadotなどが開発されている
- EVMチェーン間でデータをリレーするEMV Bridge
- ビットコインやEthereumではないチェーン、スマートコントラクト時代を見据えてEOS、Tezos、DFINITYなども開発されている。
ユースケースフィット
Dapps
2017年は1090個のDappsと700のトークンがローンチ。
- Dapps
- Lightning Apps マイクロペイメント、即時着金
トークン
Ethereumトークン注目されるがビットコインのカラードコインなどは従来からあった。
Liquidサイドチェーン上における独自アセット発行、BCHでのOP_GROUP、ERC-20、ERC-721(Non Fungible Token)、ERC998(NFT同士の合成)、ERC1155(ゲームアイテム向けNFT)不動産のReFungibleTokenなども出てきている。表現力が向上。
この先、証券をトークンとしてウォレットで取引したり管理できるようになったりするとどうなるか。いわゆる証券トークン。流動性の向上、高速セツルメント、レギュレーションをコントラクト化してコンプライアンス対応の自動化が出来るのではないか。このあたりのプレーヤーはPolymath, Securitize, Harbor, Securrencyなどが有名。
新たな金融プロダクトで金融マーケットが変わろうとしている。ローンや保険、複数のもののバスケット化など。
- 金融プロダクトに近い応用例
- フレームワークや規範類
今着きました!この次の次くらいのセッションで、難波のイーロンマスクと登壇#HashHub2018 pic.twitter.com/uYc66OGwvz
— 有安 伸宏 (@ariyasu) July 21, 2018
新しいトークンがどんどん登場したときどうなるか。Dapps同士がトークンを交換するときに現行取引所を使うだろうか。ハッキングのリスクは?と言ったところから注目されているのが、DEX(分散型取引所)。現状で普及しているとは言えないが、Dapp同士の取引で使われてくるのではないか。
商品の決済に暗号通貨を使う時に問題になるのが法定通貨とのボラティリティ。暗号通貨だけの世界になればいいのだが意識せざるを得ない。ボラティリティをなんとか抑えたい問題。そこでStableCoinが出て来ている。
法定通貨や特定資産とのペグ、シニョレッジシェアによるコントロール等がある。
- 法定通貨とのペグ
- Tetherのように、発行体の信用が前提になる。
- 特定資産とのペグ
- Daiなど。暗号通貨を間に挟むのでボラティリティが残ったり不便が残る。
- シニョリッジシェア
- 中央銀行のように発光量を管理することで安定させる。複雑である。
- Basis, Carbon, Kowara
ユースケースの世界観をまとめる。
リアルアセットがトークン化されていくであろう。プロトコルとしてDEXが動いてその上でトークンが取引されている。それを金融サービスとして使う人、Dapps、IoTデバイスが生まれるであろう。
- エンドユーザー層: 人、アプリ(AI, VRなど)、デバイス(IoT)
- アプリケーション層: 譲渡、貸借、投資、貯蓄、保険、融資
- トークン層: 証券、債務、Asset、NFT、暗号通貨、StableCoin
- リクイディティ層: DEXプロトコル
- レッジャー層: ブロックチェーン
きました#HashHub2018 pic.twitter.com/Q3UiJex6O6
— ロータス (@lotuskabu) 2018年7月21日
規制整合
コアな技術発展を遂げようが斬新な物が出ようが規制へのアダプションは避けて通れない。
北米、欧州、アジア、それぞれがいろいろな姿勢を取っている。日本は凪のような状態。戦略的である必要がある。
- 北米
- SEC「現状のEthereumは証券に当たらない」
- Zcash取引承認
- ETF
- 欧州
- スイス証取、規制下でCustody付きの暗号通貨交換業立ち上げへ
- アジア
野村総合研究所の畑山さんのクリプト、ブロックチェーンの考察が本当に素晴らしすぎた...この資料は宝物にして、勉強します。ありがとうございます。知らない言葉にたくさん出会うと、わくわくする.。#HashHub2018 pic.twitter.com/TznQ6rPD89
— たっけ💐🤗🔥 (@takeee814) 2018年7月21日
世界中で展開されるクリプトコミュニティ拡大と都市間競争
Cryptoコミュニティは東京以外にもあります。