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日本の大企業がブロックチェーンをどう見ているか #nodetokyo Day1-2

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By Tatsuto Fujii Founding Member, Finovators , Tadatoshi Senoo CEO, TRENDE Inc. (TEPCO Group) , Kan Notoya Project Leader, 31 VENTURES, Mitsui Fudosan Co Ltd , Masaharu Uno Country Manager, Omise Japan

宇野: 今回のパネルのモデレータを務めさせていただきます。エンタープライズの現在地と何をしているのか 紹介に間違いの部分もあったので自己紹介も勧めていきたい。ブロックチェーンがメディアや技術者を通じて騒がれていますが、現実世界に適用されるには実際に使われなければならない。現実世界で使われているものは大手企業さんに使われていることが多い。みんなの手に渡っていくには技術の適用と、既存産業への適用が必要。取組状況や進捗をお伺いしたい

三井不動産 Notoya:CVC部門です。ブロックチェーンでいうとプレスで先日発表した、Omiseさんへのご出資が最初の一歩。Neutorinoのスポンサーになって情報収集して社内にフィードバック。それから最近、テクノロジに疎い大企業とも一緒にやってくれる会社さんが見つかったので始めている、ちょっとプロジェクトが遅れててこの場では発表できないのですが、どういうユースケースで今使えるか。あるいは将来的に何ができるかはUnoさんにインプットしてもらっている、企画のメンバーに。

トレンディー株式会社 Senoo:東京電力ホールディングスからスピンアウトした電力小売。理解している人は殆ど居ない、ソフトウェアエンジニアが会社に居な居会社だったのもあり。トレンディのゴールではP2P電力取引を実現したい。太陽光パネルで発電した電気をおとなりに安く届けるということをしたい。Ethereumベースで電力取引のシステムを開発している

フィノベーターズ Fujii:フィノベーターズはフィンテック好きが支援する組織、私自身は三菱UFJに居ます。プライベートコンソーシアムで活用するというのがMUFGコインとか、私どもの場合はakamaiさんとやっているブロックチェーン、記事にもなっていたと思います。それから金融機関間での送金。2014, 2015年ぐらいからちょっとずつ好きな人がいじり始めてきて大きくなってきたところ。 パブリックチェーンについてはまだまだこれからかなと思っている。

うの:不動産電力金融、皆さんの生活にあるところの分野。産業適用領域は、実際プレーヤーとしてどこに魅力を感じて、どこにてきようするのがべすとか、どうお考えですか

Senoo:我々がブロックチェーンを使おうとしている領域はP2P電力取引。物理的エネルギー自体は既存システムで制御する。しかし私の家で発電した電気を隣の家に送るという債権債務関係をブロックチェーンで記録するというところでブロックチェーンを活用しようとしています。電力取引もミッションクリティカルなので堅牢性が大事。将来的にご家庭のスマートメータで電力売買取引を実行できる仕組みを作りたいので自立分散性、そしてそのシステムを構築運用するコストをどれだけ低くできるか。その理由は太陽光パネルを家につけて発電すると、火力よりも限界費用が非常に低い。電力を発電して送配電して得られる収益はどんどん小さくなっていく。オペレーションコストが高いシステムだと割に合わないので同コストを下げれるか考えた場合のソリューションの候補としてブロックチェーンがあるかなと、来年の実証実験に向けて準備している。来年ある大学、大企業さんとやる。

Uno:P2Pになったとき、プロシューマーと呼ばれる人たちに広がっていくときに、電力会社に影響はないのか

Senoo:電力を発電するセクターと送電するセクターと小売のセクターがある。小売発電は縮小させられるリスクを抱えている。底については影響があって、超過利潤取れなくなってくるので、どこで新しい収益を見出すか大事かと思っている

Uno:P2Pは電力取引自体は既存のものだが、スマートメーターが鍵になる、そこがハッキングされたらどうなるのか、インプットデータの改ざん等

Senoo:そこがどういうアーキテクチャを考えていくか、堅牢性、セキュリティの部分で大事で、そこが担保されたら良いのかなと、それからハードウェアで担保しなければいけないので、弱電の知識を持ったエンジニアがそのへんもやっている、詳しく言えないのですが。

Uno:不動産領域ではどうですか?

Notoya:個人の意見ですが、不動産証券化と言われる小口化ビジネス、アセットをベースにしたトークンの発行が、取り組んでおられる海外のスタートアップにもお会いした。三井不動産は海外から不動産の証券化を持ってきたのだが、これから不動産業界じゃない人がブロックチェーンでこれからやる可能性がある、それについていく体制を整えるということが、明日すぐ変わるとは思っていないが、10年後そうなっていないかというと、ブロクチェーン業界にどんどん優秀な人が集まり新しいプロジェクトが起きていて、ジャックポットを当てる人が現れたらやられちゃう。それは脅威だと思う。

Uno:改ざん耐性とかへの着目ではないんですね

Notoya:所有権の移転と登記の移転は日本では必須ではない。裁判のためには登記が必要。日本の民法のコンセプトを変えないとできない。金融系のレギュレーションは金融システムに合わせて変わる。民法は明治依頼変わっていないのでソッチのほうが時間がかかるんじゃないか。海外でやっていることをそのまま持ってこられるかと言うと、取引が違うので、違うんじゃないかなと思っている。 裁判所や法務局が要らなくなる時代は流石にまだ来ないかなと思っている。

Uno:金融分野はMUFGさんってakamaiの実証実験もそうだし非常に沢山の実証実験をされています。レポートを見させていただくと非常に積極的でPoCは終わりましたと、描かれている実ビジネスのぶぶんの進捗は可能な範囲で教えていただければ

Fujii:コメントしづらいところでもあるが、あまりパブリックチェーンに手を出していなくて、プライベートチェーン、たとえはHyperLedgerFabricを使っている場合もあるし、我々が使っている新型ブロックチェーン、名前がまだないのでそう呼びますが、それからJPモルガンが作っている’チェーンとか、そういったコントローラブルなチェーンで既存のシステムを置き換えてコストを下げるという動きになります。P2P送金をブロックチェーンでやることで技工の既存システムを踏査なくて良いので、機能追加にあたってコストを下げられるし、パートナー企業さんにコントラクトを作ってもらって載せてもらうことができるということでやっている。 海外に目を向けるとJPモルガンは日本の金融機関の比ではない投資をしている。LinkedInとかIndeedを除くと海外の金融機関はブロックチェーンエンジニアかなり募集している。グローバルネットワークにおける金融の仕組みをブロックチェーンで置き換えようとしている、航空業界におけるスターアライアンスのような、大きいところが国をまたがってつながって新しいネットワークを作る競争が起きているように思われる。ブロックチェーンでやる日強があるかと言われると必ずしも無いが、既存の業務をそういうものに乗せることでより低コストで短い期間でできる、といったことをブロックチェーンなどの技術に乗っかってやっていく。既存システムを載せ替えるのもそうだし、ブロックチェーンだからできる新しいサービスも考えられている。パブリックチェーンとはおおきな溝があって、ここは埋まらない溝がある。コントローラブルなネットワークじゃないと、KYC、AMLを担保するのが難しい、そこはコントローラブルで悪い人が入ってこないことを担保しないと、ここはブロックチェーンだろうが変わらない。根本が崩れていると無秩序になる、金融機関的にはそこは外せない

Uno:何兆円の世界なので簡単にはそこは変えられない、金融機関としての責務を果たすためにはプライベートなりコンソーシアムが良いということだと思います。プライベートが多いなという印象はあるが、社内で基盤選定されるときに自社で選ぶのか、SIさんが選ぶのか、企業内はどうなっているのですか

Notoya:そこは僕らは正直どちらかというと、今ある既存の台帳をリプレイスする、不動産会社の場合はブロックチェーン化したいデータはどんな家もってるか、買ったか、センシティブなデータを受け取ってしまうので、プライベートのほうが安全性を担保できるかな、手を離れてしまうと怖い思いがある。動のプレイヤーとどういうふうに共有できるのかが選択可能であることが、最初のPoCはでもデータで始めるのでどちらでも良いが、本当に実装しようとしたら、相当世代が変わらないと、お客さんからも社内からも拒否反応が出てしまうだろうなと思う。パブリックとプライベートのイメージ、コンセプトの差で、どっちが良い悪いではなくて、いまやろうとすることはプライベートが向いているだろうなと思っている

Senoo:Ethereumベースでと言いましたが、海外では電力におけるブロックチェーン活用が進んでいる、ConsenSysが中心。そこからの流れで、Ethereumベースのプラットフォームが多い。電力の売買取引はお客様ごとに資料量が違う。それに対して入札したり売ったり買ったりするのでスマートコントラクトが良い、それを実装するのにEthereumが使われている。パブリックとプライベートでいうと、PoCはプライベート?でいいが’、ゆくゆくはプライベート?で良いと思っている。個人を特定する必要がない。番号があってそこが供給先になる。知っても意味がないのでパブリックにできると思う。セキュリティが本当に担保されるのかなどは検証が必要

Uno:ここにおられる方、社内的にどう捉えられていますが、社内の理解度はどれくらい進んでいますか

Notoya:尖ったものを勉強するのが好きな人達は知っているが、最近よく聞くけど何という話が出てくるようになった。わかった人で進めている

Senoo:ウィーンでイベントが有って行って知った。それから2017年4月から東京電力グループにいる。P2P電力取引をやる会社を作るという話をしたときに送配電事業者が一番反応した。いまは他の電力事業者も話を聞きに来る。危機感からくる興味

Fujii:存在として別、意義、支えている人たちの人種・性格も違う。ブロックチェーンリテラシーというと、プライベート側は技術的にこういうものでこういう限界があってどうやってファイナリティを保っているのか、実装に落とすときどうつないでいくのか、そのあたりはトップマネジメントもある程度わかっています。システム側も知見があります。しかし個人はパブリックの方。セカンドレイヤーの開発の話など、資金が集まっているプロトコルレイヤーの開発にあらわれる分散型アプリケーションなど、ディスラプションではない新しい価値があると思う。非中央集権的な世界が好きな人間が銀行にいるかというとほとんど居ない。そっち側の世界のリテラシーは殆ど上がってない

Notoya:ほかのエンタープライズの会社を追いかけている人入が、パブリックプロジェクトを追いかけている人は居ない

Uno:個人のモチベーションで動きが起こっているんだなと思いました。産業適用を考えるときにブロックチェーンのナレッジはそうだが、業界の洞察が必要だと思いました。人々に大切な領域で実証実験が進んでいるが、日本で考えたときに、法律は変えないといけないのか

Notoya:はやく金融証券取引法のどういういちづけでやるかを決まらないと安心してできないなと。登記そのものの性質の議論、不動産から見るとその2点かなと思う

Senoo:変えなくてもいいが、変えたほうが促進されるのがある。電気小売主体の規制、託送の料金体系を変えたら良いんじゃないかなと考えている

Fujii:セキュリティトークンオファリングのようなものが流通するようになると法律改正や新しい法律が必要かもしれない。StableCoinが取り沙汰されているが、ブロックチェーンの世界と実際の金融の架け橋になると言われているあたりで、銀行がどう絡んでいけるかが重要なトピック。仮想通貨交換業を銀行が営んでよいのかの結論がまだ出ていないのでそのあたりと、現在の仮想通貨交換業の取り扱って良い通貨のリスト管理がいまのようなやり方でやり続けるのが良いのか、そのあたりの議論が進んでいくと良いと思います。

Uno:行政側とはこれからも対話を進めていく必要があるのかなと思いました。時間になりましたので、ありがとうございました。