規制の全体像を把握するため、現時点の仮想通貨・仮想通貨交換業関連法をまとめる。今年は改正があるかもしれないので、この記事を見た方には、2018年時点の話だと思ってほしい。
現行の仮想通貨に関する法律・政令・府令
平成28年3月4日に、金融庁から国会へ、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」が提出され、平成28年5月25日に成立した。この法律は、「資金決済に関する法律」(いわゆる資金決済法)を改正し、仮想通貨の定義や仮想通貨交換業が登録制であることを定めることを含むものである。
- 参考: 第190回国会における金融庁関連法律案:金融庁
- 改正される法律の新旧対応表
- p106〜 資金決済に関する法律
- 仮想通貨の定義
- 仮想通貨交換業を登録制に指定
- p150〜 登録免許税法
- 登録料を15万とする
- p164〜 犯罪による収益の移転防止に関する法律
- 仮想通貨交換業者を特定事業者に指定
- なりすまし等の罰則
- p177〜 金融庁設置法
- 仮想通貨交換業を行う者の検査その他の監督を金融庁の事務に指定
- p106〜 資金決済に関する法律
- 改正される法律の新旧対応表
平成29年3月24日、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」の施行期日を定める政令第四十六号が公布され、施行期日が平成29年4月1日とされた。
また同日、パブリックコメントを経て、関連する政令・府令が公表されている(施行日は改正資金決済法と同じ平成29年4月1日)。資金決済法の条文には定義されていない細かい内容(申請書類フォーマットや確認事項など)や、「政令・府令にて定める」とされている事柄についての定義が含まれている。また、業者・監督者向けに制度を解説する事務ガイドラインが公表された。
- 参考: 「銀行法施行令等の一部を改正する政令等」等について:金融庁
- 府令・政令案に対しておこなわれたパブリックコメントへのコメントと回答
- p27〜 資金決済に関する法律(仮想通貨)関係 No.1〜138
- p64〜 犯罪による収益の移転防止に関する法律関係 No.1〜13
- 銀行法施行令等の一部を改正する政令【新旧対照表】
- p15〜 特定商取引に関する法律施行令
- 仮想通貨交換業は、法律の規定によって利用者の利益が保護されているものに該当するとして、特定商取引法の適用除外に指定
- p56〜 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令
- 仮想通貨に関連する取引の特定取引への指定
- 仮想通貨の交換、媒介・取次・代理、それらを目的とした金銭または仮想通貨の管理を継続的にもしくは反復して行う契約の締結
- 200万円を超える仮想通貨の交換
- 10万円を超える仮想通貨の移転
- 同一顧客との間で行われる2以上の仮想通貨の交換・移転が、1回あたりの金額を減少させるために分割したものであることが明らかなもの
- 仮想通貨に関連する取引の特定取引への指定
- p73〜 資金決済に関する法律施行令
- p84〜 国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法施行令
- 財産に仮想通貨を指定
- p85〜 金融庁組織令
- 検査局は、仮想通貨交換業を行う者の検査の事務をつかさどる
- 監督局は、仮想通貨交換業を行う者の監督の事務をつかさどる
- 総務課は、仮想通貨交換業を行う者の監督の事務をつかさどる
- 附則
- 施行前でも仮想通貨交換業者の申請を可能とする
- 施行前でも認定協会の申請を可能とする
- p15〜 特定商取引に関する法律施行令
- 仮想通貨交換業者に関する内閣府令
- 総則
- 業務
- 監督
- 雑則
- 各種書類のフォーマット
- 銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令【新旧対照表】
- 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 16仮想通貨交換業者関係)
- 府令・政令案に対しておこなわれたパブリックコメントへのコメントと回答
また、4月に向けて別途一般向けの情報公開も行われた。
- 利用者向けリーフレット「平成29年4月から、『仮想通貨』に関する新しい制度が開始されます。」について
- 「仮想通貨」を利用する前に知ってほしいこと。 平成29年4月から、「仮想通貨交換業(仮想通貨交換サービス)」に関する新しい制度が開始されました | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
今後の規制の方向性
資金決済法が改正された2017年(平成29年)には年末までバブル相場で大幅な価格の上昇、ICOやフォークコインの乱立が起きた。2018年に暴落と2回の流出事件が発生した。
2018年4月に仮想通貨交換業等に関する研究会が設置され、年末まで11回に渡って規制のあり方が議論された。
今後の規制の方向性は、「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書の公表についてから、報告書を確認することで把握できるだろう。