金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第3回)
開会
- 開会
 - ヒアリング①
- 前回米国動向について説明があったところ、今回は欧州の規制であるMiCAを取り上げる。現在金融庁においてMiCAの外部委託調査を実施しているところ、その受託事業者である渥美坂井法律事務所よりMiCAの概要を発表いただきます。
 
 - 松尾真一郎委員からの説明
- 松尾真一郎委員より、暗号資産のセキュリティについて、制度や実務における運用等を検討するに当たって、留意すべき点等についてご発表のご希望を頂いたのでご説明いただく
 
 - ヒアリング②
- 日本暗号資産等取引業協会より暗号資産の情報の正確性担保に関する取り組みと、前回委員からご指摘のあったIEOトークンについての課題や取組状況についてご説明いただく
 
 - 事務局説明
- 今回ご議論いただきたい事項についての資料をご説明
 
 - 討議
- メンバーの皆様にご討議をいただく
 
 - 閉会
 
ヒアリング① 落合 孝文(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業/プロトタイプ政策研究所所長・シニアパートナー弁護士)
- 2P MiCA(Markets in Crypto-assets Regulation)の概要・施行予定
- 暗号資産だけでなくステーブルコインも含めた、資産の募集、関連サービス提供、公正取引規制等に関して包括的な規制を行っている法令。
 - 関連サービス提供自体の規制がある中で、施行日については国によって、EU加盟国適用法令に従って、すでに暗号サービスを提供していた業者が存在する加盟国もあることから、スライド下部にかかれている通り、国によっては最大18ヶ月の適用期間猶予がある。
 
 - 3P MiCAの章構成
- 資産参照型トークン、電子マネートークン、その他の暗号資産がタイトルにある。
 
 - 5P 適用範囲
- MiCA第3条第1項、暗号資産「分散型台帳技術または類似の技術を用いて電子的に移転及び保存可能な価値または権利のデジタル表示」
 - このような表記になっているが適用から除外される範囲として、暗号資産サービスが仲介者無しで完全に分散化された方法で提供されるような場合、fully decentralizedと呼ばれるが、その場合について当該サービスは本規則の適用範囲には含まれないということを前文で記載している箇所がある。
 - どれが適用がない場合になるかということについては、EUで活発な議論がなされていて、ESMA公式見解が固まった訳では無いが、ESMAレポートでの議論や、加盟国での議論があるので続いて紹介する。
 
 - 6P 暗号資産サービス業者の定義
- 暗号資産サービス業者について、第3条第1項(15)に規定がある。
- 職業または事業として顧客に対し専門的基盤において一つ以上の暗号資産サービスを提供し、かつ第59条に従って暗号資産サービスの提供が認められている法人その他の事業体
 
 - 分散型台帳を利用したサービスがfully decentralizedに該当せず、かつ、第1項(16)に書いてある暗号資産サービス業に該当する場合、MiCA59条に基づき認可を得る必要がある。
 - Bitcoinに関するサービスの提供を業として行う場合について、ベルギー当局の説明が公表されている場合においてはfuly decentralizedには該当しないということで考えられている。
 
 - 暗号資産サービス業者について、第3条第1項(15)に規定がある。
 - 7P Fully decentralisedに関する議論
- Fully decentralisedが何を指しているのか、ESMAのレポートから引用している。DeFiに関連するような潜在的なリスクや、暗号資産の貸付借り入れ、ステーキング等についての潜在的なリスクが分析されている。
 - MEVの算出についても、ブロックに関する権利者から算出者に富が移転することについて負の外部性があるのではないかという議論もなされている。
 
 - 8P Fully decentralisedに関する加盟国における議論の状況
- フランスとデンマークを紹介。どういう場合がFully decentralizedに該当するか?
- フランス当局の中では「取引処理やアクセス資格を単一主体が決定しないこと」というのがある
 - デンマーク当局見解の中にも「特定の暗号資産サービスの提供が特定の法人の影響下にある場合には、fully decentralisedに該当しない」と言った議論がされている
 
 - その他スマートコントラクトや技術、ガバナンスについても紹介されているので後ほど必要に応じてご覧いただければ
 
 - フランスとデンマークを紹介。どういう場合がFully decentralizedに該当するか?
 - 9P MiCAにおける暗号資産の発行・募集・上場に関する規制と発行体の規制
 - 10P トークンの分類と発行・募集・上場規制の概要
- トークンの分類: 種類としては、電子マネートークン、資産参照型トークン、その他の暗号資産に別れる。
- 電子マネートークン electronic money token
- 単一の法定通貨を価値として参照することで価値の安定化を図るもの
- いわゆるステーブルコインの中でもそういった性質を持つものということで、例えばCircle SASはEURCがこの項目に該当するものとしてホワイトペーパーを公表している。
 
 
 - 単一の法定通貨を価値として参照することで価値の安定化を図るもの
 - 資産参照型トークン asset-referenced token
- 他の価値や権利、またはそれらの組み合わせを参照する
- 欧州委員会の資料の中で言えば、金を参照する場合や、他の暗号資産を参照するような場合が紹介されている。
 
 
 - 他の価値や権利、またはそれらの組み合わせを参照する
 - その他の暗号資産
- 電子マネートークンや資産参照型トークン以外のもの
- 資産を参照しないアルゴリズムのステーブルコインであったり、ビットコイン等の暗号資産が該当する
 
 
 - 電子マネートークンや資産参照型トークン以外のもの
 
 - 電子マネートークン electronic money token
 - 発行・募集・上場規制の概要: MiCAにおいて暗号資産プライマリ行為として規制されているものは募集・上場のみ。
- 電子マネートークン、資産参照型トークンに関しては、発行者及び発行者から承諾を得た者のみ募集や上場を行うことができる。
 - 暗号資産の募集または上場に先立つホワイトペーパーの公表の手続き等を規定している。
- 募集とは「欧州の目論見書規制に習い、募集がいかなる形式・手段によるものであれ、提供条件及び提供される暗号資産に関する十分な情報を提供し潜在的な保有者が当該暗号資産の購入可否を判断できるようにする、個人に対する伝達」
 
 - 電子マネートークン、資産参照型トークンの募集が可能な者についてはそれぞれ規定がある
 
 
 - トークンの分類: 種類としては、電子マネートークン、資産参照型トークン、その他の暗号資産に別れる。
 - 11P 発行者不在の場合の整理と「その他の暗号資産」の募集に関する規制
- 発行者不在の場合、前文22の中で、識別可能な発行者が居ない場合、本規則Title2,3,4の対象に含まれない
- しかしそのような暗号資産に関するサービスを提供する暗号資産サービス業者はこの規制の対象となる
 - ビットコインは発行者不在に該当すると考えられており発行者規制対象外ではあるが、暗号資産サービス業者規制については適用がある。
 
 - その他の暗号資産の募集に関する規制: 募集が可能な者を限定していないがホワイトペーパーの作成は必要
- 例外的に「その他の暗号資産」については、欧州目論見書規制に習い、一定の場合、例えば提供相手が適格機関投資家等に限定されるような場合等にはホワイトペーパー作成義務が免除される場合がある。 その他ホワイトペーパー作成免除の規定がある場合として、無料で提供されるような場合であったり、分散型台帳の維持、取引検証に関する報酬として生成される場合、ユーティリティトークンとして発行された場合
 
 
 - 発行者不在の場合、前文22の中で、識別可能な発行者が居ない場合、本規則Title2,3,4の対象に含まれない
 - 12P 承認・届出・公表、ホワイトペーパー・目論見書の記載事項
- (従来の証券の)目論見書規制においては「目論見書を当局に提出し公表前に承認を得ない」場合、募集や取引所への上場は認められない
 - 暗号資産に関しては資産参照型トークンのみ募集・取引所上場前に当局承認が必要
 - 電子マネートークンやその他暗号資産は当局承認不要。公表20日前に当局への通知を行う。
 - 記載事項を下部に記載しているので必要に応じて御覧ください。
 
 - 13P 発行体に課されている資産保全等の義務
- 電子マネートークンや資産参照型トークンについては、参照している通貨や資産の価値に応じた償還義務が定められ、資産保全義務がある。
 - その他の暗号資産には償還義務は定められておらず、資産保全義務が定められていない。
 
 - 14P MiCAにおける暗号資産の不公正な取引に関する規制
 - 15P MiCAにおけるインサイダー取引規制
- MiCAにおけるインサイダー情報の定義
 - MiCAにおけるインサイダー取引の対象は「何人も」となっている。そのうえで、インサイダー取引に関する従事を求めたり誘引をすることも含めて禁止としている。
 
 - 16P 相場操縦
- 「何人も規制」とした上で、相場操縦行為も規定。
 
 
松尾真一郎委員からの説明
- 表紙 「暗号資産がセキュリティの観点から国民から広く信頼されるために必要な取り組み」
- 私自身1990年代から電子マネーを29年やってきた人間。こういう機会で金商法に取り上げられるということはとても喜ばしいことであると同時にセキュリティというのは暗号資産に取り纏う懸念点でもずっとある。
 - 暗号資産のプロトコルを作る人間にとって詐欺に使われたりミサイルにされるためにやっているのではないので、セキュリティをいかに強固にするかはこのタイミングでとても良い話だと思う。
 - 課題を申し上げるがエンカレッジするためのものだと思って聞いていただければ。
 
 - 1 過去の重大インシデントの振り返りと傾向
- Mt.GOX以降、重大事件が多く、100億1000億単位の事件がたくさん起きている。
 - 最近の傾向としては、Mt.GOX事件やCoincheck事件は鍵そのものに対するサイバー攻撃であったが、2020年になって、ブリッジなどプロトコルに対する攻撃が増えた。
 - 直近のDMMやbybitの事案は、あるサービスを作るに当たっていろいろな業者が連携するサプライチェーンが広がってきているわけですが、サプライチェーンが複雑化する中でソーシャルエンジニアリングをするという攻撃が増えてきている。
 - The Weakest Link
- セキュリティはどこか一箇所が強くてもだめで、一箇所弱いところがあるとそこからやられていく。
 - サプライチェーンが広がることで攻撃界面(アタックサーフェス)が増えてきているのが問題
 - 個人的にショックだったのは、DMM事案が2024年5月、Bibitが2025年2月、9ヶ月タイムラグがあるが、手口がにていたにも関わらず、DMMビットコインで起きた問題の原因が業界に広く周知されなかったがために全く同じことでやられた。この辺が業界の今のセキュリティに対するガバナンスの問題だと思う。
 
 
 - 2 暗号資産エコシステムに係るセキュリティの観点と標準との対応
- 暗号資産にかかわらず暗号を使ってシステムを作るときのセキュリティにはいろいろな側面がある。
 - どれか1つが強くてもだめ。暗号アルゴリズムだけが強くても運用がザルならだめというのが前のページの言いたいことだが、色々異なる側面がありそれぞれがしっかりしていなければならない。
 - 赤字、緑の字で標準を記載している
- 暗号アルゴリズムは米国ならNISTやISO、日本なら経産省総務省のCRYPTRECで評価がされリストアップされている
 - プロトコルはISO/IEC29128、暗号アルゴリズムを形式検証する。私が2021年にエディタとしてつくった規格。
 - 実装ならコモンクライテリアISO/IEC15408
 - 情報セキュリティマネジメントであればISO/IEC27000シリーズ
 
 - 対応する標準がすでにある。これらに沿って行くことが重要だが、暗号資産業界のほとんど多くのところで標準すらキープできていないところが多々あるのが1つの問題。
 - 過去の標準は分散システムでサプライチェーンが広がるものはあまり想定していない。
 - 暗号資産はサプライチェーンが広がることで問題が複雑化する。
 - いずれにせよ側面としてはこういうところが基本。既存標準含め同対応していくかがやらなければならないこと。
 
 - 3 従来の情報システムにおけるセキュリティの取り組み
- 3つの側面
- ガバナンス
 - 基準・ガイドライン
 - 実務支援
 
 - 既存のものがいろいろあり、これらのものをご活用いただいている会社もなくはないが、小さいスタートアップにいる方たちが、こういうプログラムがあるのを知らなかったみたいなケースが多々ある。きちんと活用していくことが必要だということが認識される必要がある。
 
 - 3つの側面
 - 4 暗号資産エコシステムの特殊性と課題(1)
- これまでどの業界にも共通の最低限の標準的なものを申し上げてきた
- 改めて暗号資産業界の人達が基礎学問、基礎体力として扱わなければならないもの
 
 - 暗号資産エコシステムが既存産業セキュリティ対策と違う側面がいくつかある。
- このスライドは全部ではないものの、6つぐらい挙げている。
 
 - 攻撃者と防御側の非対称性が、扱っている金額を考慮すると、他の業界と比較しても顕著。
- 国家レベルの攻撃能力を持つ組織に対して、防御側はリソースが不足しているスタートアップ。能力の非対称性が他の産業より際立っている。
 
 - セキュリティ人材が不足している
- 北朝鮮と戦えるようなセキュリティ人材は日本にいるが、ISPさんとか、他のインフラに取られており、暗号資産業界に足を踏み入れている人は少ない。
 - 国境を超えて移転をする暗号資産であるがゆえに、国際的な人材である必要があるが、確保できていない
 
 - サプライチェーンの広がり
- サービスを作るのにA,B,Cを組み合わせることがあるがダイナミックな構成にしたときの監査・評価者は従来型金融システムなどにはないもの。
 - 技術や攻撃手法の変化スピードも早い。ISMSが想定しているような年に1回の監査というのは十分追従できない。
 - リスクも継続的に変化するので固定的な基準よりも柔軟に対応できなければならない
 
 - 広いサプライチェーンをカバーするようなプロトコルがあるが、そこに対してリスクのモデルや標準的な運用は今のところない。
- ここが結構2020年ぐらいからやられているところ。こういうところに対してどう安全にするかは、ビットコインそのもの、Ethereumそのものの安全性とは別のところでアンクリアな部分
 
 
 - これまでどの業界にも共通の最低限の標準的なものを申し上げてきた
 - 5 暗号資産エコシステムの特殊性と課題(2)
- 鍵とウォレット
- Mt.GOXあるいはCoincheck事件のときに大きな問題だったが、鍵は従来型のPKI型ストラクチャでは、NISTがSP 800-57という文章で、ライフサイクルマネジメントを含めて標準やベストプラクティスが一定程度確立されているが、ブロックチェーンで使われる署名鍵等の鍵はPKIとライフサイクルモデルがだいぶ違う。
 - 従来のモデルが適用できない部分が少なくない
 - こういった運用は標準化されていないので各社手探りで構築しているケースがおおい
- 運用・設計に不備があっても検知できない
 - 操作ログの確保や紛失時の検討も進められず、こういうことが標準を作らないといけないしベストプラクティスも共有できなければならない。
 
 
 - サプライチェーン
- システムの構築・デザイン・実装・ガバナンスを含め、監査できなければならないがそうしたことへの対応が送れている
- それに対するベストプラクティスの業界内の共有もできていない
 - 中立的な第三者の評価がなされていない
- 暗号プロトコルもガバナンス全体も
 - 流出事案がたくさんある中で自己点検をしてくださいということはあるが、予防的なことに関する仕組みはない
 - それを中立的な第三者を交えてやる必要がある
 
 - 協会による監査・検査はどれくらいかと言うと2020年に4、2023年に2ということで、全会員に対する監査は行われていなかったりする
 - やらなければいけないことができていない
 
 
 - システムの構築・デザイン・実装・ガバナンスを含め、監査できなければならないがそうしたことへの対応が送れている
 
 - 鍵とウォレット
 - 6 既存のセキュリティの考え方が適用できる点と新たに考えないといけない点
- P4煮上げた取り組みの殆どは暗号資産エコシステムでも適用可能であり、これをやることが重要
 - 暗号資産エコシステム向けに修正が必要なものもある
- 特性の話をしたが、PKIにない署名鍵のライフサイクルマネジメントについて新しい標準を作らなくてはいけないとか
 - インシデントハンドリング、インシデントレスポンスなどなにかことがおきたときにどう対応するか
- ブロックチェーンのソフトウェアに脆弱性があったとき、OSSコミュニティに修正義務を課すことは難しい
 - パーミッションレスブロックチェーンで世界中に広がるノードに対して安全性を保ったまま円滑に移行するのは、過去何度も例があるが、本当のところは非常に難しいこと。
 
 - サプライチェーンリスク
- 複数システムをコンポーネントのように自由に組み合わせるので、ISMS27000シリーズによるリスク分析やサプライチェーンリスクの分析を組み合わせを変えるたびに行う必要があるが、それを組み合わせを変えるたびに行うのは非常にコストがかかって難しいという問題がある。
 
 
 
 - 7 国内における暗号資産セキュリティのノウハウ化の取り組み
- CGTF
- Coincheck事件後に私や岩下先生ふくめ作った任意団体みたいなもの、日本のセキュリティのトップのエキスパートがタダで働いてこういうガイドラインを作っている
 - こういったガイドラインをより皆さんが参照しないといけない、あるいはちゃんと実行しないといけない
 - ISOのテクニカルレポートとしても私がエディタになることで出版している
- このQRコードやURLを見ていただければダウンロードできる
 
 
 
 - CGTF
 - 8 国内における暗号資産セキュリティのノウハウ化の取り組み
- サプライチェーンリスク
- DMM事案があってサプライチェーンリスクが出てきている
 - サプライチェーンを作るときに委託をするが、委託先が規制対象外だったことが問題だったが、委託先管理をどうしなければいけないかというガイドラインをJP-CryptoISACが案を作っている。
 - こうしたことを皮切りにこういうものを揃える活動をこれからすることが金商法の時代の暗号資産にとって必要
 
 
 - サプライチェーンリスク
 - 9 グローバルにおける新たな取り組み
- 国際的に脆弱性情報やインシデント情報、脅威インテリジェンスみたいな情報を国を超えて共有し、その中で国内でJP-CryptoISACと協力するフレームワークの標準をBGINで作っている。
 - 10月に行われるBGINの総会で出版を決めて、11月にISO TC307総会がアメリカであるが、そこでPASという特急プロセスのようなものがあり、BGINの標準をISO標準とする予定。
 
 - 10 BGINにおけるサイバーセキュリティWGの直近のアジェンダ
- リモートでも参加できるのでぜひご参画を
 - ちょうど3時間後にWorking GroupのMeetingがある
 
 - 11 国民から広く信頼されるために必要な取り組みの全体像
- 底上げ
- 他の業界で当たり前に行われているマネジメントを着実に
 
 - 競争領域ではなく協調領域
- スタートアップが多く他の産業に比べて単独で十分なセキュリティ体制を組めない担い手が多い。
 - スタートアップによるイノベーションも大事、両立が議論の前提。共助組織が中心になる必要がある。
 
 - 標準化への貢献と準拠
- 継続的なリスクマネジメントサイクルの運用と標準化されたセキュリティ対策の適用が重要、というのは当たり前のことだが、かつ、新しい要素が少なくないので、こういった標準化に対してみなさんが協力することが不可欠。
 
 - 適切な人材の確保
- 国家レベルの攻撃にさらされることが前提
 - 実戦経験が必要。そのような人たちは暗号資産業界にはいないが、インフラ業界に入る。実戦経験には実時間が必要で即席栽培できない。
 - 既存産業の実戦経験を持つセキュリティ人材にご協力を願うことも必要。
 
 
 - 底上げ
 - 12 提言
- 金融審議会に対する提言としては、セキュリティ対策についてはダイナミックに変化するシステムであって、攻撃環境も高度化するので、技術や運用要件を法律に書き込むのではなく、法律では必要な体制の確保についての要請を書くことに留める一方で、ガイドラインによって柔軟に対応できるようにする
 - 協調領域であることに鑑み、JPCrypto-ISACのような共助のための組織の強化施策についてガイドラインに記載されることが必要。
 - 共助のための組織は一方で経済的持続性を含む持続性の確保が難しい。持続性を持って信頼された組織であるために、独立性中立性の確保が必要であることに注意してください。
 - 金融庁においても、セキュリティ対策については、規制当局はテックニュートラリティということをよく仰るが、暗号資産のセキュリティについては、業界や産官学のエキスパートの連携体制の構築、共助のための体制構築を促すこと、国際連携体制の構築について一歩先を進んで頂く必要がある。
 - サイバーに関するあらゆる取り組みの姿勢を日本の業界全体で高める必要となる根拠となるハイレベルな記載が法律上にもある必要がある。
 - Coincheck事件のときは鍵管理だけの話だったが、サプライチェーンが広がる中でアタックポイントが増え気をつけないといけないポイントがたくさんあって、全体に対してサイバーセキュリティを考えなければいけないということを今回金商法改正にあたってハイレベルな記載が必要。一方ガイドラインに詳細を書くということで今後検討いただければ。
 
 
ヒアリング② JVCEA
- 2 本日の説明事項
- 暗号資産審査プロセスと、IEO改善取り組み等に関する状況
 
 - 3 暗号資産審査の概要
- 暗号資産審査
- 会員がチェックし、協会がプロセスをチェックすること
 
 - 協会は、2つの観点で審査する。
- その暗号資産を取扱う暗号資産交換業者の審査体制に対する観点
 - 暗号資産に対する観点
 
 - 会員企業から派遣・出向は受けておらず原則として独立した業務運営を行っている。
- 扱う情報については独立性・機密性を持って業務運営を行っている
 
 
 - 暗号資産審査
 - 4 会員による暗号資産の取扱いに関する審査の流れ
- 会員による暗号資産審査
- 暗号資産に関する情報収集
 
 - 審査報告書の作成
 - 取扱判断
- 取締役等で機関決定していただく
 
 - 当協会により審査確認をする。
- 結果が問題なければ金融庁への事前届け出に進む
 
 
 - 会員による暗号資産審査
 - 5 暗号資産に関する情報収集
- どういった点を情報収集しているのかの抜粋
- この点以外にも確認するものは銘柄によってはあるかもしれない
 
 
 - どういった点を情報収集しているのかの抜粋
 - 6 IEO銘柄における追加確認事項
- 大きく5つほど追加で審査項目を加えている
- プロジェクトの適法性
 - 収支見込などの事業の内容や実現可能性
 - 販売価格(決定方式)の妥当性
 - 顧客(投資家)向けの開示内容等
 - 会員によるプロジェクト等のモニタリング態勢
 
 - これらとともに、(取扱が)日本初の暗号資産と同じ形で審査を行っていただく
 
 - 大きく5つほど追加で審査項目を加えている
 - 7 暗号資産審査の概要 暗号資産交換業者の審査体制に対する観点
- 大きく4つの観点から審査を行っている
 
 - 8 暗号資産審査の概要 暗号資産に対する観点
- 暗号資産に関してはいわゆる監査法人が監査をする企業監査、財務監査をするというものは比較的向いていない銘柄があるんじゃないかと考えるが、第三者によるプログラム監査、コード監査に関しては原則として必須としている。
 - 利用者保護の観点から対象暗号資産の「法令順守を含めたコンプライアンス適当性」「事故発生時の対応動向」「流動性の有無」の3つの観点を総合的に勘案し取扱可否を判断している。
 
 - 9 審査報告書の作成
- 審査報告書がどういったものかサンプルを一部ですが記載している
 - 赤文字で書いてあるが、この内容に関しては年一回程度情報が変わった場合に関しては新しい情報を会員によって記入していただき、最低年一回情報を更新。
- 大きなアップデートがあった場合はその都度更新をしている。
 
 
 - 10 (参考)DCAI(Detailed Crypto Asset Information)シート
- 先程の点をより大きくしたもの
 - こういう内容に基づいて暗号資産審査、銘柄毎にどういった銘柄かというものが記載されている。
 
 - 11 暗号資産審査の状況(第2回WG資料を再掲)
- 暗号資産審査がこれまでどういうふうに、何件ぐらい行われてきたかの観点で、1番下に、過去の年度ごとの類型取扱数を記載。類型105銘柄が取り扱い可能銘柄となっている。
 - 一定の審査をしている中で会員が取り下げる、協会が取扱不可と判断し承認見送りとなったものは、合計27銘柄。
 - 105銘柄あるので承認見送りは1/5ぐらい。一定の牽制が働いている。
 - 扱っている銘柄に関しても何等か問題点・留意点がある場合、付帯条件等を付ける形で一般に公開している。
 
 - 12 暗号資産の付帯条件・付言について
- 情報は当協会HPにて各種資料というところに暗号資産概要説明書がある。クリックいただくと日本で扱っている全銘柄の情報が記載されている。
 - それぞれクリックいただくと詳細内容が確認できる。
 - 参考までに、付帯条件がある場合、12P下にあるが、どのような点が付帯条件か一般の方も見られる形になっている。
 
 - 13 IEO案件の現状
- IEOに関して前回委員の方から問題があるのではないかというご指摘も頂いたと認識。
 - 実際にIEO(販売)価格から著しく下がった銘柄は、おっしゃる通りあることは認識している。
 - 販売価格、最高値、最安値、現在価格(資料作成9/17時点)
 - 販売価格よりも高くなった銘柄は8件中7件。現時点で販売価格より50%価格が下がっている銘柄は8件中3件。
 - たとえばニッポンアイドルトークンは販売価格5に対して4.8、Not A Hotel トークンは販売価格1000に対して現在価格948
- そこまで大きなマイナスではないことは共有したい
 
 
 - 14 IEO販売業務に関する業界の改善取組等の状況
- 協会として4つ委員会が存在
 - 業務戦略委員会の下にIEO分科会を作っている
- IEOに関する課題解決の取り組みを進めている
 
 - 参考までに、CryptoISACのお話があったが、CryptoISACに関してはセキュリティ委員会で、暗号資産業界のセキュリティを高めていこうという観点でCryptoISACを始めようという議論が起こり発足に至っている。
 
 - 15 IEOに関する業界における課題認識
- IEO分科会でどんな議論をしてきたか
- 一部銘柄に関してIEO直後に価格が値崩れした課題
- 要因として、販売開始後に発行体関係者が売却してしまっていたことを確認
 - ロックアップする明確なルールがなかった
 - 発行体だけではなく発行体関係者ならびに役職員に対してロックアップ期間を設定したり、これ以外にも1%以上トークンを割り当てられた者もロックアップ対象に加えるということをして、ロックアップ期間中はどんな事があっても売却不可というルールを制定させていただいている。
 
 - 複数の暗号資産交換業者が同一銘柄のIEOを行う場合に価格に違いが発生した
- 銘柄を扱う暗号資産交換業者で暗号資産の入出庫対応した会社、対応していなかった会社があった。
 - 複数の暗号資産交換業者が同一のIEOを行う際は留意点を明確化する
 
 - IEOにて募集が不調に終わった場合の再販ルール
- 明確な基準がなかったため明確な規定を作成
 
 - IEO後に発行体・チェーンが変更される事案
- ルールが考えられていなかったため対応を実施中
 
 
 - 一部銘柄に関してIEO直後に価格が値崩れした課題
 
 - IEO分科会でどんな議論をしてきたか
 - 16 IEOの将来性
- いろいろなIEOの問題点があるのは重々真摯に受け止める必要があると考えている
 - 一方、2021年から全部で8件IEOが実施された
- 10億〜20億超える資金調達が実現されている
 - この中で注目すべきなのは投資家側も短期的な投資回収だけではなく、プロジェクトを支持・応援したいという中長期的なコミュニティを形成したいという方がトークンホルダーになっている事例も見られる。
 
 - 今後審議会を踏まえ適切な開示・投資リスクの開示を前提とした上で、他の資金調達方法とは異なる位置づけがIEOにはあるという観点もあると思っている
- 新しい形の地方創生・スタートアップ支援につながる可能性もあるので、多角的に価値を考えていただければ我々としてはありがたい。
 
 
 
事務局説明
時間が限られているのでご議論いただきたい事項を中心にご説明し参考資料の説明は省略。
- I 規制見直しの趣旨・暗号資産市場に対する考え方
- 規制見直しの趣旨・暗号資産市場に対する考え方
- 投資商品としての規制を整備することにより投資者保護の充実を図ることが、規制見直しの趣旨と考えるべきではないか
 - にお墨付きを与えるものではなく、投資者が暗号資産のリスクを十分に理解し、リスクを許容できる範囲で投資を行うことはあり得るとの前提で健全な取引環境を整備することが重要ではないか
 - 我が国における健全なイノベーションの可能性も見据え、それを後押ししていくことも大切ではないか
 
 - 規制見直しに当たって留意すべき視点
- 利用者保護と健全なイノベーションのための適切な規制のバランス
 - 暗号資産がグローバルに取引されることに伴う国際性への配意
 - 暗号資産に関連する技術やビジネスは変化の速い分野であることを踏まえた規制の柔軟性
 
 
 - 規制見直しの趣旨・暗号資産市場に対する考え方
 - II. 不公正取引規制(総論)
- 現行の金商法の不公正取引規制について
- 表に記載の通り暗号資産についても金商法において各種不公正取引規制及び刑事罰が設けられている
 - 一方課徴金制度は整備されておらずインサイダー取引を直接規制する規定はない
 
 - 暗号資産のインサイダー取引への対応
 - 不公正取引規制の基本的な方向性
- 暗号資産のインサイダー取引に関して、IOSCOにおける勧告や欧州・韓国での法制化等の国際的動向、また、海外において実際にインサイダー取引への法執行事案が生じていることを踏まえると、我が国においても暗号資産のインサイダー取引規制の整備を検討することが適当ではないか。
 - その際以下の点についてどう考えるか
- 保護法益
 - 対象とすべき暗号資産
 
 
 - 不公正取引規制の基本的な方向性 (続き)
- その他、暗号資産の不公正取引規制を検討するに当たって、留意すべきことはあるか、ご議論いただければと思います。
 
 - [参考]会社関係者によるインサイダー取引規制及び情報伝達・取引推奨規制
 - [参考]公開買付者等関係者によるインサイダー取引規制及び情報伝達・取引推奨規制
 - [参考]IOSCOによる勧告(暗号資産を対象とする内部者取引について)
 - [参考]欧州におけるインサイダー取引の規制動向
 - [参考]韓国におけるインサイダー取引の規制動向
 - [参考] 米国証券取引委員会(SEC)による法執行
 - [参考]金融商品取引法における課徴金制度の概要
 
 - 現行の金商法の不公正取引規制について
 - III. 情報提供規制(各論)
- ⑴ 新規販売時の情報提供
- ①
- 情報提供の内容についてのこれまでの議論
- 上がディスカッション・ペーパーでの記載、下が第二回WGでの主なご指摘
 
 - 現行のJVCEA自主規制に基づく情報提供の内容
 - [参考]JVCEA自主規制に基づく情報提供の内容(新たな暗号資産の取扱い)
 - [参考]JVCEA自主規制に基づく情報提供の内容(発行者の資金調達(ICO・IEO)を伴う場合)
 - 情報提供の内容
- 情報の非対称性について3つに分けて整理。
- 暗号資産の技術性・専門性
 - 暗号資産の価値の源泉に係る実質的なコントロール
 - 暗号資産の流通・保有状況(次スライド)
 
 
 - 情報の非対称性について3つに分けて整理。
 - 情報提供の内容 (続き)
 - 情報提供規制の対象者
- 価値の源泉を実質的にコントロールする者の存在する暗号資産(類型①)
 - 上記以外の暗号資産(類型②)
 
 - [参考]MiCAにおける情報提供の内容・情報提供規制の対象者
 - [参考]CLARITY法案における発行者による情報提供
 - [参考]CLARITY法案におけるデジタル商品取引所による情報提供
 
 - 情報提供の内容についてのこれまでの議論
 - ②
- 情報提供規制の対象となる行為(類型①)
 - 情報提供規制の対象となる行為(類型①) (続き)
 - [参考]募集・私募に対する規制の全体像(非開示会社の場合)
 - [参考]MiCAにおける情報提供義務の免除(第4条)
 
 - ③
- 発行者に対する業規制の適用関係(類型①)
 - 情報提供規制・業規制の適用関係
 
 - ④ 情報提供の方法・タイミング
- 暗号資産交換業者が発行者の依頼に基づき暗号資産を販売する場合(類型①)
 - 暗号資産交換業者が独自に暗号資産を取り扱う場合(類型①・②)
 - 一覧性の確保(類型①・②)
 
 
 - ①
 - ⑵ 継続情報提供
- ① 継続情報提供の内容
- 継続情報提供の必要性
 - 情報の非対称性:暗号資産の技術性・専門性)
 - 情報の非対称性:暗号資産の価値の源泉に係る実質的なコントロール
 
 - ② 継続情報提供の頻度
- 適時の情報提供(類型①・②)
 - 発行者による定期的な情報提供(類型①)
 - 暗号資産交換業者による定期的な情報提供(類型①・②)
 
 - ③ 継続情報提供の方法
- 発行者による継続情報提供(類型①)
 - 暗号資産交換業者による継続情報提供(類型①・②)
 - 一覧性の確保
 
 - ④ 継続情報提供義務の解除・免除
- 継続情報提供義務の解除
 - 継続情報提供義務の免除
 
 - [参考]現行のJVCEA自主規制における継続情報提供
 - [参考]有価証券報告書提出義務の消滅・免除
 - [参考]MiCAにおける継続情報提供(第12条・第88条)
 - [参考]CLARITY法案における継続情報提供
 
 - ① 継続情報提供の内容
 - ⑶ 情報提供の内容の正確性の確保
- 情報提供の内容の正確性の確保についてのこれまでの議論
- これまでの議論をまとめたものでございます
 
 - 情報提供の内容の正確性の確保
- 現状
 - 欧米の規制動向
 - 正確性の確保に関する基本的な方向性
- 監査法人による 財務監査 を直ちに義務付けることは担い手確保及びコストの観点で現実的でないとの指摘に留意しつつ、情報提供義務の対象者に対する規律付け、作成された情報に対するチェック機能の強化といった切り口で、提供される情報の正確性を確保していくことが考えられるのではないか。
 
 
 - 情報提供の内容の正確性の確保 (続き)
- 情報提供義務の対象者に対する規律付け
 - 作成された情報に対するチェック機能の強化
 
 
 - 情報提供の内容の正確性の確保についてのこれまでの議論
 
 - ⑴ 新規販売時の情報提供
 
討議
岩下 直行委員(京都大学公共政策大学院教授)
- 本日は多岐にわたる議論がありとても興味深い
 - 最初の落合委員のMiCAの話は、改めて詳しく聞くと、Race to the bottom(底辺への競争)
- どこまで我々は下っていくのだろうかということを、これからアメリカもやるだろう
 
 - 松尾真一郎委員からCGTFの話がありました
- 私も暗号資産交換業界のセキュリティについて少なからず作業してきた
 - 実際この作業をやって思うのは、暗号資産はある意味匿名性に振り切っているビジネス
- それによって極めてリスクが高くなっている。
 - 匿名性がすごくいいことのようにみんな思うが、とてもリスクのあること、通常の金融ではやらないことをやっているということを感じながら作業していたことを思い出した。
 
 
 - 今日のメインであろう、ICO(IEO)トークンをどう管理するかについて、取引業協会(JVCEA)から資料だされた。
- 13ページ、前回発言した1コインたりとも販売価格を上回っていないことを改めて証明していただいた。
 - ちょっといいものもあるということだが、最高値からの下落率はかなり激しいものがある。
- 一番いいもので30%、一番悪いもので3.8%になっている。
 
 - 発行当初にきわめて高値に上がって、ガッツリ下がる構造は、実際そうなんだなと改めて実感。
 
 - 最後の資料についてコメント
- 今回の整理は、ICO/IEOのトークンについても金商法の株式に類似した規制を導入し、情報提供や公正取引規制を課すことで、新しい投資クラスのように整備できるかのような構想に見える。
- いわば資産立国に資する新しい投資商品としてICOトークンを含めた暗号資産全体を取り込もうという方向性
 
 - しかし、株式や債券と比べれば明らかなように、ICOトークンは発行体に投資家の期待に答える経済的インセンティブがない。
- 株式であれば残余財産請求権、議決権等があり、企業価値の向上を通じて利害を共有しましょうという話になる。債権であれば元本償還や利払いが必要で、返済に向けて努力するインセンティブが働く。
 - ICOトークンは投資家の権利がほとんど無く、ホワイトペーパーに記載された事業計画も実効的な拘束力を持っていない。
- 発行体にとっては売って資金を集めること自体が目的化しやすい。発行後に投資家の期待に答える動機づけが著しく弱い。
 - 一部には、ガバナンストークンなら投資家が意思決定に参加出来るという議論がある
- しかし実際のガバナンストークンを見てみると、投票率は低く、法的拘束力もないし、経済的インセンティブもない。
 - 本当に投資家によるガバナンスに実効性を持たせたいのであれば、最終的には株主総会など会社法にもっとづく仕組みに帰着させざるを得ない。結局IPOで株式を発行すべきだとなる。
 
 
 - インセンティブ構造が欠落したトークンを、情報公開とか形式的な規制だけで立派な投資適格資産に仕立てることは不可能。
- むしろ制度に取り込むことで無責任な発行に制度的なお墨付きを与えることになる、当初事務局説明で否定したお墨付きそのものになってしまうことが極めて憂慮される。
 
 
 - 実際に過去に何が起きたかみてみたい。
- 今日は2020年以降のIEOの話をしていただいたが、日本のICOはもっと歴史が古い。
- 2017年にICOが世界的に流行っている中、ICOは交換業の業に該当するという整理を行い一般企業によるICOを禁止した。
 - しかし登録した交換業者自身のICOは規制の枠外となった。その結果発行されたのがCOMSAとQASH。
- どちらも、100億を超える資金調達を行った。
 - ところが資金を集めたものの宣伝された事業は事実上全く実施されなかった。
 - トークンは数カ月のうちにほぼ無価値になり交換業者も最終的には廃業に至った。
 - この相場はグラフでみるとわかりやすい。Investment .comにグラフが出ている。
 - この交換業者は罪に問われることも損害賠償を求められることもない。資金を集めるだけで何もしなくても特に問題にはならないという悪しき前例を残した。
 - このような制度を再び金商法の枠組みの中で容認することは同じ事態を繰り返すことにつながりかねない。
 
 
 - 当時、世界的なICOブームがあり、その中で金融庁が身を持って、それが国内に波及することを防いでくれた、当時の金融庁の職員の方々のご苦労は並大抵でなかったと思う。
- 残念なことに、申請に受け入れられなかったICOを企図する人たちがいわゆるICO詐欺と言われるものに走ってしまった。
 - その結果刑事事件が色々立件された
 - その時報道されたものは、首謀者の一人が「我々は早すぎた、いずれ我々の行為が合法になる日が来る」というふうに嘯いた。
 - その日を我々は実現してはいけないと思っている。
 
 - 当時のICOはそもそもETHで買うので、ある意味プロの人しかできなかった。トークンセール中に高値で売り抜けるゲームだと思っていて、そのゲームに負けたらハズレ馬券なんてしょうがないやと思っていたらしい。しかし、もしこれを金商法の枠組みの中で普通の投資証券とすると状況は大きく変わる。
- 一般投資家は巻き込まれやすくなる。売り出し直後に最高値をつけてそのあと暴落してそのままという構造はそのまま。当然消費者被害は拡大することは容易に想像される。
 
 
 - 今日は2020年以降のIEOの話をしていただいたが、日本のICOはもっと歴史が古い。
 - 私は反対ですが、制度としてICO/IEOを取り込まざるを得ないなら、まずはトラブル発生時の対応のあり方をきっちり整理する必要がある。
- 被害が拡大するまえにどう対処するかを考えないといけない。
 - 金融庁と消費者庁にすでに類似案件が来ていると聞いている。今後さらに件数が増えることが危惧される。その場合は本委員会に是非、消費者庁の方をオブザーバーで招いて、実際に消費者保護の観点からどうするかについて、しっかりと意識を合わせておく必要があるのではないか。
 - 制度の目的は本来は投資家保護を謳っているが、その制度が結果的に過去に詐欺とされたスキームを追認するものになってはならないと思う。
 
 
 - 今回の整理は、ICO/IEOのトークンについても金商法の株式に類似した規制を導入し、情報提供や公正取引規制を課すことで、新しい投資クラスのように整備できるかのような構想に見える。
 
永沢裕美子委員(Foster Forum(良質な金融商品を育てる会)世話人)
- 最初に日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)のプレゼンについて意見を述べる
- 松尾先生のご説明をお聞きしたうえで、セキュリティ確保が大きな課題だとよくわかった。
- そのうえで、協会からも色々説明を頂いたが、協会の今の体制で専門性、それを確保するための人、財務基盤、ガバナンスは大丈夫なのかという点について、追加でご説明を頂く必要があると思った
 - 足りないなら金商法の枠組みでどう進めるのかというときに、金融庁としてどうされるのか、方針についてどこかで説明いただきたい。
 
 
 - 松尾先生のご説明をお聞きしたうえで、セキュリティ確保が大きな課題だとよくわかった。
 - 金融庁からの説明資料について
- 前回、金商法に一本化することについて態度保留とさせていただいたが、その後、金融庁から個別にご説明を頂きましたので、漏れがないようにするということを十分ご説明頂いたので、私としては一本化に賛成させていただく。
 - そのうえで、今日の資料の中で言葉にこだわるようで恐縮だが、資料の中にバランスという言葉がでてきた。
- 投資家保護と、イノベーション等をバランス良くという発想ではなく、取引において混乱が生じないようにすることが、国民に不幸なことが起こらないようなことがあって初めてイノベーションであると思う。
 - 2ページの一番下だが、何かと何かがバランスを取るという表現はよく考えていただきたい。金融庁だけでなく消費者庁等でもこのような表現が見られるようになっており、消費者庁では消費者団体、弁護士会で大きな問題として取り上げさせていただいたばかり。
 
 - 特に不公正取引については、総論でもあり、概ね賛成。
 - 情報提供規制について
- 極めて細かい各論で、私にはついていけない部分もある
 - 技術についての理解が必要であるという従来の伝統的有価証券とは違う要素が入っていることを考えると、金商法で規定してある有価証券投資を基本とした情報提供のあり方をそのまま横に(展開)して大丈夫かというのは思っている。
 - 最後のところで情報提供の正確さも担保されないということも最後に入ってきていて、市場参加者に自己責任を全うしてもらうには何をしたらいいのか、何を情報開示すべきか、もう一度見直していただきたい。
 - 進んでいくことに反対するわけではない、どれも必要だと思っている
 - 最後は情報開示の問題よりも、この投資に参加できない方が大半であって、適合性の原則だとか、勧誘や広告規制に話が及んでいくのかと思う。
 
 - 27ページについては看過できない
- 少人数勧誘等が出てきている。他の分野で規制緩和・見直しが行われようとしていることは重々承知しているが、そもそも投資家層が違う。
 - 有価証券で想定しているプロ投資家が、この分野でプロ投資家としてそのままイコールになってよいのか。
 - どういう人が投資家として適切なのかというところを含めこの辺が気になっている。
 
 - 岩下先生のご指摘は全く同感。
- こんな不正確な情報を提供されて損害を被って責任追求をどうやってするんだというところもあるし、投資して損をしても自己責任だと言われて、何なんだこれと思ってしまう。
 - 金商法の中でしっかり位置づけるなら、それなりのことが必要ではないかと思う
 - 今私たちに出来ることは、岩下先生がお話されたように、どんなトラブルが発生するかかなり予見できる部分があるので、どうトラブルに対応していくのか別途議論が必要ではないか。
 - 消費者庁という具体的役所名が出てきた
 - 私は暗号資産に関わるトラブルの被害救済に当たっておられる具体的な案件を扱っておられる弁護士さんなどにきていただき、どういうところに救済の困難や問題があるか、情報収集が出来ると良いと思う。
 
 
 
有吉 尚哉委員 弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)
- 事務局説明資料にある規制見直しの趣旨、不公正取引規制それから情報適用規制について、それぞれコメント申し上げる
- 規制見直しの趣旨の関係
- 資料2ページに記載の内容について異存なし。
 - 金融庁として暗号資産一般に投資商品としてのお墨付きや適格性あたえる意図がないということは明示にメッセージとして強く出していただきたい
 - もしお墨付きがあるようなことを喧伝する業者が現れた場合は当局または自主規制機関において適切に指導していただきたい。
 
 - 不公正取引規制関係
- インサイダー規制というのが、規制下の取引の場で取引されるものを対象とするという考え方が示された
- 理屈としてはわからなくはないが、他方、登録業者が取り扱う暗号資産について、インサイダー取引がなされた場合と、無登録業者のみが取り扱う暗号資産でインサイダー取引がなされた場合とで、前者のみ規制の対象となって、後者は処分の対象とならないという結論は素朴に釈然としない面がある。
 
 - 規制の運用として登録業者が扱っていない暗号資産の販売勧誘ということについては、無登録営業や一般的な詐欺による刑事罰、あるいは情報提供の規制といったものを厳格に適用して取り締まっていただくことが合わせて必要ではないかと考える。
 - 一般論として、上場株と非上場株という区別は、なんとなく一般の投資家にもつきやすいが、ある暗号資産が登録業者に扱われているのかそうでないのかは、一般投資家が判別しにくいのではないか。
- すべての登録業者において、暗号資産のどれが扱われていて、どれが取り扱われていないのか、一覧できる仕組みや、情報提供規制の枠組みの中で、私募告知のように、譲渡人から譲受人に登録業者が取り扱っているかどうか、伝達されるような枠組み等の制度も検討していただくべきではないか。
 - 登録業者が取り扱っていない暗号資産についてインサイダー取引規制を適用しないのであれば、現在の金商法171条の2のように、無登録業者による売りつけを無効とする規律もご検討いただきたい。
 
 
 - インサイダー規制というのが、規制下の取引の場で取引されるものを対象とするという考え方が示された
 - 情報提供規制関係
- 22ページ尾にご記載の通り、実質的に暗号資産の生成発行について、独自に決定できる権限を有するか否かを主な基準として、中央集権的管理者の範囲を画して発行者としての情報提供を求めるという考え方の大枠には賛成する
 - 暗号資産の性質上、責任を隔離する観点から、暗号資産の発行権限を有するエンティティと、暗号資産によって調達資金を受け取ったり、暗号資産に関わるプロジェクトを運営したりするエンティティを別の主体にすることも非常に容易にできる。
- そのような場合、発行権限を有するエンティティは発行権限はあっても経済的には空っぽになる。
 - 虚偽の情報提供がなされて行政罰や損害賠償といったことをいったとしても実効性を有しないことも想定される。
 - 提供した情報について責任を負わせる観点からは、暗号資産の生成発行権限だを基準に発行者を画することはやや難しい面があると思う
 - 状況によっては調達した資金の帰属などの要素も考慮して発行者を判定する枠組みにすべきだと思う。
 - 複数当事者が共同して暗号資産の生成発行権限を有することも考えられるのではないか。複数当事者が「発行者」となり、連帯して情報提供の責任を負わせる制度設計が求められるのではないか。
 - 実務感覚として、義務の対象になる者への明確性が備わっていないと、実務が動きにくくなってしまう面があるのは非常に良くわかるところだが、誰が発行者として提供提供を負うか、誰が提供された情報内容について責任を負うべきかという点については、発行者の明確性よりも、暗号資産に様々な形態があることを踏まえた柔軟の方を重視して制度設計を図らざるを得ないのではないかと考える。
 
 - 26P 登録業者が取り扱う場面に関する記述と、27Pの私募ないし少額募集における情報提供規制の免除の関係がわかりにくく感じたのでコンセプトを確認させていただきたい。
- 27P 私募・少額募集について、この取扱自体を登録業者に委託して資金調達を行ったとしても、情報提供規制は免除されるということなのではないかと思う反面、一旦私募・少額募集で発行された暗号資産のセカンダリ取引について、登録業者が取り扱う場合には、取引の回数や金額が高い小さいとかに関わらず、一律に情報提供規制の適用を受けるということになるのかと思った次第ですが、どういうコンセプトで資料ができているのかわからなかったので、協会等頂く必要は必ずしもないが、明確にする必要があるのではないかと思う。
 
 - IEOによる資金調達の可能性を否定するつもりはないが、先程岩下先生も指摘された通り、資金提供者の権利が法的に保護されるかという観点からすると、株式や社債による資金調達と比べて、暗号資産による資金調達というのは、必要性合理性に疑問があると言わざるを得ないと思う。そういった意味で、あまりIEOによる資金調達について緩やかな規制を試行すべきではないと思う。
- 資料の中では少額募集については情報提供を設けないという制度まで本当に設けることが合理的なのかはややわからないところがございまして慎重に検討いただきたい。
 
 
 - 勝手上場の場合で、登録業者による情報提供が必要となる場面について、情報提供の水準についてすこしメリハリ付ける必要があるのではないか。
- 新規の暗号資産や特殊性が強い暗号資産は十分な情報提供が求められるかもしれないが、ビットコインやイーサなどいわばコモディティ化したような暗号資産について登録業者に細かい情報提供を求めて過大な事務負担を負わせるというのは、誰にとってもプラスにならないように思う。
 - 情報提供の水準については、暗号資産の性質に応じて、特に登録業者に開示を求める内容については、メリハリを付けた制度設計とすべきではないか。
 - あわせてそういった暗号資産について、ある業者がもともと取り扱っていたものを、途中で取扱をやめたら、それ以上その業者に情報提供を求める必要はないのではないか。情報提供の免除についても、もう少し柔軟な制度を志向したほうがいいのではないか。
 
 
 - 規制見直しの趣旨の関係
 
伊藤 亜紀委員 弁護士(片岡総合法律事務所)
- 事務局から詳細をお示しいただいた不公正取引規制・情報提供規制など全体設計、大枠にはいろんなし。
 - 議論の土台となるべき資料2ページ、「すべきこと」について再確認した上で、情報提供規制の各論について簡単に意見を4点申し上げる。
 - 議論の土台と考える部分について。事務局資料2ページの1つ目の四角、「健全な取引環境を整備すること」とあり、その前提として、「投資者が暗号資産のリスクを十分に理解し、リスク許容できる範囲で投資を行うことはありうる」というふうに規制があるのですが、ここはリスクだけではなく、商品性についても十分な理解が大前提であると考えている。
- 暗号資産の投資適格性というところについては、他と違い、価値の裏付けのないもの、成長の原動力などプロジェクトが実在しないものも多々ある。
 - そういうものに投資する理由はなんだろうと考えたときに、既存の金融商品とのオルタナティブ性、そういう位置づけとしてポートフォリオに組み入れる場合に初めておそらく投資行動が合理化されるのではないかと考えた。
 - そのような観点から、リスクに加えて、投資家が「こういう商品性」というのを理解したうえで合理的な投資行動に結びつけられるように情報提供がなされることが健全な取引環境の重要な要素ではないかと考える。
 
 - 各論について、一点目、資料20Pの情報提供の内容について。
- 20P 3つ目の四角にある通り、情報の非対称性を解消する上で、最も大切なのはわかりやすい形での情報提供というのはそのとおりである。
 - 私も協会の概要説明書を一通り見てきたが、提供すべき項目は、18ページに有る通り、かなりの項目が適用すべき項目としてあげられているが、個々の商品で説明の丁寧さ、深さはかなりばらつきがある印象。
 - 情報少ないものはリスク判断が難しく、情報が多いからといってリスクが低いわけでもないと思う。
 - どの暗号資産のどの値動きに注目しどこに期待してポートフォリオに組み込めばいいのか、私自身は判断できるに至らなかった。
 - 概要説明のうちの付帯条件であるとか、付言とか備考の欄に、ある程度リスクに関する具体的な留意事項が記載されており、これらの記載は私にも理解できる部分がだいぶあった。この付言の部分がもっとリスクだけでなく、商品性など、全体をカバーして特徴を体系的網羅的に情報提供していただけるようになったら充実したものになるかと想像した。
 - 20P情報提供にもどり一点述べると、結局のところ暗号資産相互の違いを比較可能にすること、というのは1つ追加するべきではないかと思う。
 - 可能なら今後の議論で、いくつかの暗号資産をモデル化したようなものを情報提供の具体的なイメージとして、たたき台として出していただくと、より目指すものが明確に、どこが足りてどこが足りないか明確になるのではないかと考える。
 
 - 22P 情報提供規制の対象者について
- 類型1について価値の源泉を実質的にコントロールする者に義務を課すことは賛同。
 - そのうえで、規制の予測可能性の観点から、できる限りこの義務の範囲者というのは明確である必要がある。
 - 先程有吉先生がおっしゃっていた通り、明確化は難しいのかもしれないが、類型や要件を沢山出していただきたい。
- そのうち、私が観点として申し上げたいのは、事務局資料では実質的に暗号資産の生成発行について独自に決定する権限を有するというのが1つ例示としてあるが、暗号資産には付加価値的なインセンティブや、権利に近いものが付与されているもの、決済利用されているものなど、たくさんある。それらの権利的な要素に何らかの変更を加えることが出来る者も規制対象の要素ではないかと考えた。
 
 
 - 22Pと37P 類型1,2のメルクマールについて
- 特に37P 類型1から2に移行するときの判断を、誰がどういう根拠・基準に基づいてやるのかは非常に大きな論点になると思う。
- 前回クラリティ法案について説明頂いたが、そのなかで成熟度という用語が用いられ、この成熟度を判断する基準が、ネットワークの分散化の程度、プロジェクトの収益とトークン化地の関係性の有無、保有者が経営的な関与ができるのかどうか、いくつかの基準が具体的に列挙されていると理解。
 
 - この基準はビジネスを背景とした有価証券的なものと、商品・コモディティ的なものの性質を分ける基準であると理解している。
- 類型1と2を分ける基準について、一定の参考になるのではないか。
 
 
 - 特に37P 類型1から2に移行するときの判断を、誰がどういう根拠・基準に基づいてやるのかは非常に大きな論点になると思う。
 - 44P、45P 情報提供の内容の正確性の確保について
- 私は正確性に加え、客観性とわかりやすさの確保が必要だと思っている。
 - 44P, 45Pの案だと、監査法人とか各付け機関のような、第三者的な評価制度は直ちに実現が難しいのは理解する
 - 今回ファーストステップとして自主規制機関による取り組みを強化するというところについては異論はない。
 - これで完成形とはしないでほしい。
- 客観性の観点から、45P 下から2個目、「自主規制機関に法定の独立委員会または独立の組織を設け」というところがある。これが例えば、現在証券取引所に独立自主規制法人があるが、これとの比較で申し上げたとしても、そちらの証券取引所の方は、業界団体ではなく取引所という別の組織があってそこからまた独立した機関があるものであるため、より客観性があるのではないかと思う。もう一歩客観性について高める余地があるのかと将来的には考えている。
 
 - わかりやすさの確保の観点からは、他の金融市場で長年投資家と向き合ってこられた監査法人や各付け機関の方々にはノウハウがあるはず。現在は自主規制団体に委ねるが、独立した第三者が評価する仕組みを整備して、正確性に加えて客観性とわかりやすさというのが、順次達成されていく仕掛けを段階的に入れて、追求すべきではないかと考える。
 
 
佐古 和恵委員(早稲田大学理工学術院教授)
- 情報提供の内容の正確性について。
 - 私も伊藤弁護士同様、JVCEAのWebページで公開されている暗号資産概要説明書のExcel表をダウンロードして、私がわかっている範囲の授業で扱っているビットコインの説明を読んだ。
 - JVCEAも苦労したのだと思うが、技術的に正確に書くか、あるいは、技術的に書くと一般の人にわかりにくくなってしまうのでわかりやすいように似ている言葉を使って説明するか、ということがある
- 一般の人にわかりやすく書いてしまうと、その言葉が逆に誤解を与えてしまうことがあると思っている。ここの匙加減は難しいだろうと思った。
 - ビットコインのコンセンサスアルゴリズムの説明として「分散台帳の不正取引を排除するために記録者全員が合意必要があるが・・・」とあるが、そう書くと、記録者全員が「これでいいね」と合意していくプロセスがあるように思えるが、アルゴリズム的にはそのようなことはまったくない。
- 技術と具体的にどうしているかのところの違いがある。
 
 - 保有移転記録の秘匿性というところに、「ハッシュ関数による暗号化処理を施しデータを記録」とだけ書いてあるが、これだと、確かにハッシュ関数は使っているが、移転記録をハッシュ化しているわけでもないので、秘匿はされていないわけです。日本語ではデータを記録としか書いていないため、それが秘匿されているか明確には書かれていないが。
- そういうような、些細な言葉が技術的な表現と一般の人が受け取るところで違うかと思っている。
 
 - 先程、暗号資産間の比較ということもあったが、BTCとBCHとBCCで表現されるビットコインキャッシュの比較をした。
- ビットコインキャッシュはビットコインから派生したものだが、ビットコインキャッシュをビットコインと間違えて買う人が多いという話を聞く。
 - そんなにマイナーもいないし価格もぜんぜん違う。そういったことに対する注意点も必要なのかと思う一方、ここに書いてある項目で並べると技術的にはほぼ変わりがないので、なぜこの価格差があるのかは、フォークをしたことぐらいしかしかわからない。
 - 私に正解があるわけではないが、どういうことを伝えるべきか、ということに悩む案件だなというふうに思っている。
 
 - 一方、前回、10万円以下で投資している人が8割ということだった。
- もしかしたらそういう人たちはノリでやっているとすると、そこまで細かく正確性を求めてコストを掛けて正しく技術的な正確性を求めるものでもないのかと思う。
 
 - どういう消費者を対象にどういうリスクを理解してもらうように、どんなレベルの説明義務を課していくのかはもう一度検討する必要があると思う。
 
 - エクセルを見ていて、類型1,2がこのエクセル表に今後記載されるのか、されるなら誰がどう決めるのか合わせて疑問に思った。
 
大槻 奈那委員(名古屋商科大学大学院マネジメント研究科教授)
- 私の観点としては、どのように投資家、取引を望む者が正当に、適切な取引をできるか、という観点で事務局資料にコメントさせていただければ。
 - 正当な取引が出来るにはおそらく以下の3つが投資家側からすると必要である。
- 1番目として、虚偽であったり将来性に対して誤解を招くような開示がなされないこと
 - 2番目に不正取引、セキュリティ観点のような、ハッキング等の不正流出等が出ないようにすることあるいは事前にリスクを投資家がわかるようにすること
 - 3番目は大口取引等タイムリーに知らされることが必要だと思っている。
 
 - その観点で、一番目の虚偽の報告、あるいは将来性について誇大に喧伝されることをどう防ぐかについては事務局案のところでほぼ賛成しております。
- 1つだけ、有吉委員からもあったが、エンフォースメントをどうしていくかは、あらためて金融庁と業界・協会について確認をさせていただきたい。
 - 今日ではなくて今後の中で、有吉委員からもあったが、無登録業者の取扱についてまでも金融庁が追っていくなら相当マンパワーがいると思うがどう取り扱っていくのか、マンパワー、システム的な手当を含めエンフォースメントについて教えていただきたい。
 
 - 2点目、セキュリティ観点から、冒頭に松尾先生にご指摘いただいたような標準化については、どういった形でやっていくのがよろしいか。
- 情報の非対称性で一番難しいのはセキュリティがどれ高度なのかということで、それは開示してもかなかなか投資家サイドに対して十分な理解が得られるかは疑問かと思う。
 - 他の委員からもあったように、標準化された「これこれが満たされている」とか、それが各付け会社なのかもしれないが、第三者の関与が必要かもしれないので、どう補強できるのかについて議論が必要かと思う。
 
 - 3番目、その他継続開示を含めた全般について
- 継続開示は1年に1度、これはイノベーションを阻害しないために過度な負担を回避するためということだが、クラリティ法案もMiCAも半年に一度だが、1年に一度で本当に良いのでしょうか。
 - 協会のホームページに開示を行うことについて、比較可能性が必要
- 投資家としてはWebサイトにバラバラな開示があっただけでは、投資対象を選びづらいと思うので、有価証券報告書や短信のような横比較できるものが望ましい。
 
 
 - それからリテラシーの議論
- 法改正の議論が先行しているようにも思う。それ自体に反対はしないが、リテラシーについて全く異なるレベル感のものが必要。
 - J-FLEC(金融経済教育推進機構)なのか、どこか別のところなのか、リテラシ向上の議論も進めたほうがいいのではないか。
 
 - 45 ページ目、ペナルティの観点について
- 違反行為については国内すべての暗号資産交換業者での取扱停止ということだが、暗号資産はこれまでのあらゆる投資対象の中でも国際性が高いものの1つだと思う。
 - 国内だけでいいのか、国内交換業者で取扱が停止されたら海外で取り扱う形にならないのか、そのあたりの連携の度合いについても今後について補足でいただければ。
 
 
小川 恵子委員 公認会計士(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)
- 暗号資産の規制改定に当たっては、その特殊性を考慮することが重要。
 - 頂いた説明資料について4点、最後にエアドロップとフロントランニングについてコメントさせていただければと思う。
 - 事務局資料5ページ、暗号資産のインサイダー取引における重要事象について、A案はルールベースあるいはチェックリスト方式で限定列挙になりかねない。著しく変化が激しい実態経済において大きく影響を与えかねない新たな価値変動要因に法的に対処しきれないのではないかと考える。
- したがって、B案、一定プリンシパルな抽象的実質的な規定を整備し、同時に識別された重要事象をC案にあるようにガイドライン化して明確にしていくのが良いのではないかと考える。
 
 - 資料6ページ目、規制の対象とすべき暗号資産は国内の交換業者で扱われるものと整理するという点
- 交換業者を通さない暗号資産のほうが圧倒的に数が多い。また、海外で取引されているのが大きな実態としてある。
 - 証券性のあるトークンであれば同時にインサイダー、市場操作、不公正取引リスクは、他の委員からもご意見があった通り、一定の配慮が必要と考える。
 - 一方現時点で交換業者を通さない暗号資産については未だ一般投資家と言われる方々が手を出しにくいと想定される点、また手を出している方は一定のリテラシーがあり、リスク承知、許容しているのではないかと推察されている点、更に仮に規制をかけるにしても訴追は極めて困難であることから、今回の案にあるように交換業者において取り扱われる暗号資産からしっかり規制化をし、その先に非取引所銘柄のリスクの潮流を見極め、必要製実効性を考慮した別途規定でカバーしていくことを期待している。
 - 「交換業者を通さなければ何も問わない」というメッセージが前面に出ることがないようにお願いできたら。
 
 - 7ページ、市場監視体制を強化することについては適当と考える。
- 関係会社によるインサイダー規制については、会社関係者、第一次情報受領者の記載があるが、さきほどの落合先生の説明資料ページ15では、「何人も」ということが強調されている点は重要。
 - 前回議論になった暗号資産特有の実質的支配者を特定しうるのか、情報に触れうるウォレット運営者あるいは暗号資産審査担当者など、改めて誰でもがインサイダー当事者になりうる、網にかかりうる点をわかりやすく法整備していただくことを期待している。
 
 - 48ページ 情報の正確性確保について
- コスト面、先程議論があった仮に客観性が担保されていたとしても第三者チェック機能には限界があると考える。
 - 今回案のように、結果責任ということで、罰則、民事・刑事責任を課す対応は有効と考える。
 - 更に付け加えたい点としては各種開示情報に虚偽記載がないよう、情報提供者自ら有効なガバナンス・内部統制を整備する責任についても同様に罰則・民事刑事責任を課すことも有効と考える
 - たとえば我々は、財務諸表感謝についても過去外部監査人の限界といった重い課題を経験しております。そのうえで経営者自ら開示内容の正確性を担保する内部統制の有効性について現在非常に重たい責任を問う制度設計が国際的にも取り入れられている。その後この手法はアンチマネーロンダリングや税法上のFATCA?(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法?)にも援用されてきている状況。
 - 一方、どこまでやれば十分なのかは非常に重要なポイントとなる。
 - 松尾先生からも話があったようにISO国際標準など、今後期待される各種基準に従ってガバナンス統制設計もしくはサードパーティーリスクの管理レベル等の明確化が必要だと考える。
 
 - エアドロップについて
- 無償配布で不確定であること、少額でキャンペーン的に小口でばらまかれるケースが多いことから、開示を義務化すると監視コストが見合わないなどの理由で現在欧米でも対象外と整理されていると理解。
 - エアドロップについて、実際にそこでプロジェクト関係者と一般投資家の情報の非対称性に、損失がないかと言うと、実際損失が今少しずつ顕在化してきていると考える。
 - 例えばエアドロップ条件を知り得る立場の開発チームや内部関係者がスナップショット前に自らウォレットにトークンを移して受け取り量を増やす、さらに上場情報に関するインサイダー情報を利用することで、上場前に掴んだエアドロップ条件を利用して大量に無償トークンを取得後、一気に売却して売りぬくと言った手法、ここで利益を得る、一方で一般投資家は大きな市場価格下落で損失を被ると言った状況、これはインサイダーかかわらなくても、エアドロップで取得したものはやはり無償なので、非常に手を離しやすいという思いが非常に市場を大きく動かすというふうに考えています。一般的にエアドロップダウンといった事象はいくつか発生してきている。現段階でプロジェクトの信頼性の問題、あるいはボラティリティが高い暗号資産の特質といった言葉では片付けられないような問題に今後なっていくのではないかと考えている。
 - したがってこういった情報の非対称性、インサイダー、市場操作に関するしきびつするリスクを事前に洗い出して、開示対象のスコープの範囲、もしくは大口売却監視などリスクを低減する手段が期待される。
 - エアドロップについては、例えば一定量あるものについては配布条件、基準日、数量、また将来の流通計画として解除スケジュール延べスティングや売却制限のロックアップ、総供給量の内訳などについて、透明性を期待するところである。
 
 - フロントランニングについて
- 現在自主規制として各顧客不利益の禁止解釈について実質禁止されているが、欧米がすでに一定程度法令化している状況。
 - 国際的な投資家保護基準レベルの法整備が我が国でも必要なタイミングになって来ていると考える。
 - 例えば、中央集権型取引所、カストディ型ウォレットの運営者や従業員は未確定注文、Stop注文などにリーチしやすいのでそういったもののリスクコントロールは今後重要視していくべきと考える。
 
 - 国際協調含め投資家保護をきっちりと考えていく局面にあると考えている。
 
加藤 貴仁委員 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 資料4(事務局説明資料)を中心にいくつかコメントする
 - 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産についてインサイダー取引を整備する方向性に賛同
- インサイダー取引規制というものは資料にもある通り、証券市場の公正性・健全性に対する投資者の信頼確保を保護法益とすると説明される
 - なぜインサイダー取引規制を設けることが投資者の信頼確保につながるかと言うと、自分の取引相手がいわば自分が持っていない重要な未公開情報を持っているという危険を規制によって排除することにより、いわば投資者の裾野を広げる効果があるから。
 - 暗号資産についてはそもそも投資者の裾野を広げるということ自体が望ましいか、議論すべき点だと理解している。
 - インサイダー取引規制を導入するということは結局投資者、取引をする人の裾野を広げる効果を持つ。
 - そうした観点から、どういった暗号資産について投資者の裾野を広げるような効果を持つ規制を設けるべきかと考えた場合に、私としては暗号資産交換業者による一定のチェックを経た暗号資産についてまずはインサイダー取引規制を導入していくということが妥当な政策判断なのではないかと考えております。
 - ただ、すでに何名かの委員の方から発言があった通り、その他暗号資産について不正行為が行われる可能性は当然ある そういったものは現在の金融商品取引法185条22や、185条23などの不公正取引規制によって対処することも出来る
 - 付言すると、原罪の暗号資産の不公正取引規制はインサイダー取引規制を除き、上場有価証券などの不公正取引規制と同じものがある
- ただ、今回インサイダー取引規制については暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産に限定した形で導入する場合、その他の不公正取引規制についても同じような限定をすべきかと言うと当然にそうなるべきではないと考えます。少なくとも185条22と、185条23の不公正取引規制については、暗号資産交換業者が取り扱うかどうかを問わずに、現行法のままを維持すべきだと考える。
 - 問題になるのは相場操縦行為などの規制。これはMiCAではインサイダー取引の対象となる暗号資産と相場操縦行為の対象となる暗号資産が揃っている。
 - 一方現行法の相場操縦行為の対象となる暗号資産は、暗号資産交換業者が取り扱っているかいないかを問わずに適用されている。これをどちらに揃えるか、今後考えていく必要がある。
 
 
 - 情報提供規制について
- JVCEA自主規制として存在しているものと重なる部分も多い。
 - 形式的なルールとしてはボリュームのあるものが存在しているが、資金決済法の自主規制であるという点で限界があり、エンフォースメントにも限界がある。
 - 情報提供規制の問題を考える際には、現在のJVCEAの自主規制に基づき提供されている情報の質の強化という点を重視していく必要があると思う。
 - その点これまでのJVCEAの経験を活かしていく必要がある
- 私が気になっているのは、資料3の13ページでIEO案件の現状について説明いただき、15ページでIEOにおける業界の過大認識を説明いただいた。
 - ここで課題認識として挙げられているものの中には、情報開示が不足していたというものよりも取引の慣行に問題があったということも大きいと思う。
 - 今回の資料では情報提供規制に焦点が当たっているが、そもそも取引慣行も見直しの余地があるのではないか、JVCEA様の見直し作業なども並行して進める必要があると考える。
 
 
 - 情報提供の内容の正確性の確保について
- 45ページでは現在のJVCEAの自主規制を踏まえ、暗号資産交換業者の審査にあたり、技術的専門性を有する第三者によるコード監査を義務化するという提言がされております。
 - これは非常に望ましいことであるとは思います。ただ、資料43ページでご紹介いただいたが、ディスカッション・ペーパーの前提となる審議の段階で、第三者によるコード監査にどれほど依拠することができるか、ということについては若干消極的な意見を実務家の皆様から頂いたこともあります。
 - 実際に今後第三者によるコード監査を義務化した場合に第三者の資格についてどのように考えるかということを合わせて慎重に検討する必要があると考えます。
 
 
松尾 健一委員 京都大学大学院法学研究科教授
- 金商法の規律対象とすることで暗号資産にお墨付きを与えることにならないように、そのように理解されるように内容に、ということは強調して足りないことはない
- ディスカッション・ペーパーの段階から、暗号資産が株式や債券と同等の投資商品になったから金商法で規律するということではなくて、暗号資産を巡る問題というのが金商法が対処してきた問題と親和性があるから金商法の対象にするんだという立場を明示しておられると理解しているのでそういったところを強調していくことが必要。
 - IEOについても同じようなことが言える
- IEOを想定した金商法の規律を設けるからと言って、IEOが持続可能性のあるビジネスモデルであるということを認めたということになるわけではなく、むしろ今、詐欺やあるいは自主規制に委ねられている部分を、法令レベルに引き上げて規律を強化・規制を強化することで、対処しようとしている
 - その結果、これはよくないねということで淘汰されていくのであればIEOが行われなくなるのであればそれはそれで良いというのが今回の規制改正の考え方であると思う
 - その点誤った理解、誤解の生じないようにしていただくのがよろしいかと思う
 
 
 - インサイダー取引規制について
- 方向性に概ね賛同
 - A,B,C案は色々考えるになかなか内部情報、価格に影響を与える情報というのがいろいろなものがあって、株式で言うところの相場操縦に近いものや、フロントランニングに近いようなものもインサイダー取引として諸外国では規制されていることを考えると、ちょっと限定列挙方式は難しいのではないかという気がする。
 - そうすると案BかCにならざるを得ない。その中で特にブラックリスト、ホワイトリストと言うか、セーフハーバーも活用しつつガイドラインで示していく方向で規制対象となるものを明確化していくほかないかと考えている
 
 - 情報提供規制
- 規制の対象となる人をどう確定するかは非常に悩ましい、明確性と柔軟性の両立は難問だと思う。
 - 一方出すべき情報、提供されるべき情報についてはかなりコンセンサスが得られていると思う
 - 情報を出せる人も案件ごとにある程度は明確になるのではないか
 - 発行や発行者という概念にとらわれること無く、こういう情報を出すべきでそれを出せる人に出させる、虚偽記載があった場合には連帯して責任を負わせるというような仕組みもあり得るのではないかと考えた
 - 情報提供のタイミングについては一般の投資家が購入可能になる時点、その直前に発行者に当たる人、あるいは交換業者いずれかを少なくとも通して、必要な情報が提供される仕組みを構築するという考え方に賛同
 
 
松尾真一郎委員 ジョージタウン大学研究教授/バージニア工科大学研究教授
- 本日のヒアリング資料及び事務局資料についてはこの発言時間内では審議に必要な全てのコメントが仕切れない
- 全てのコメントは後日文書でお送りさせて頂き、委員への回付などお取り扱いについては事務局にお願いしたい
 
 - 資料4 不公正取引と規制の範囲
- 既存の金商法をベースにしているためか、インサイダー取引はメインのスコープとなっているが、暗号資産における不公正取引には、もちろんインサイダーもあるとは思うが、既存の金商法では捉えられないものが多数あると認識しなければならない
 - 例えば流動性操作、エアドロップの不履行、エアドロップの話は先ほども出たのもその例
 - ちょうど一昨日、Hana Networkというプロジェクトの実態を記したブログ記事が公開されている
- 花の嘘(hana Networkでの活動記録)
 - 日本発を謳っているプロジェクトである一方で日本の交換所では取り扱われていないものの、暗号資産プロジェクトにおける不公正な手口の一端が赤裸々に述べられている
 - これはごく一例。
 
 - 暗号資産ならではの不公正の範囲というのは既存の金商法では想定し得ない範囲がたくさんある。
 - 仮に利用者保護のための暗号資産を金商法にいれるのであればこれを見過ごすことはあってはならない
 - 問題はこのような既存の金商法でカバーできない範囲が今日現在で見えていないということ。第二回WGで私が指摘したことでもある。
 - BGINでは世界中の専門家の協力のもとデータベースを作り始めた。
 - このワーキンググループの期間内で範囲に関するコンセンサスを得ることは難しいのではないかと考える
 - BGINにおける議論を横目で睨みながら、年末以降も継続検討することは必要なのではないかと考える
 
 - 資料3、4において、交換所および自主規制団体における情報提供の取り組み例が記載されている
- これらは暗号資産取扱開始時の審査の話、いわばオンボーディング時の話。
 - 一方不公正取引とそれにまつわる情報提供は毎日リアルタイムで発生する事象、つまりオンゴーイングにおける情報提供が重要である。
- 必要な情報は個別具体的な不公正取引の内容と影響分析であり、リアルタイムで緊急を要する。
 - 中身及び情報提供に必要な能力はオンボーディング時のものとはたいへん異なる。
 
 - 今回の資料だけではそもそもオンボーディング時の審査であっても利用者保護用の審査として十分性を持つのか委員が判断するに足る情報が資料に載っていない。委員として判断しかねる状態。
 - さらにオンゴーイング時の情報提供において交換業者・自主規制団体が利用者保護上十分な情報を提供できる能力を有するのかどうか委員として判断できる情報が資料には掲載されていない。
 - 資料4の36ページでは暗号資産の発行者または交換業者に対し、適時の情報提供義務を課すことが適当ではないかと記載されているが、事務局がもしこれらの主体に提供する能力があると判断するのであれば、総判断した理由を資料に記載いただきたい。
 - この情報がないと委員としての判断がしかねる状況
 - 前回私がご提案申し上げたコンソーシアム的情報提供主体の提案はこの資料でも記載されている
- 利益相反というのは、端的に申し上げると判断をする人が該当する暗号資産を持っているかどうか、あるいは売買規制がかかっていないかどうかということ。
 - 利益相反を防ぎつつ客観性を持ちこの能力を確保するための提案である。
 - 提供情報の正確性の向上のための組織ではなく、そもそも情報提供を行う機能を果たす主体として提案したので、その提案を改めて述べさせていただきたい。
 
 
 
河村 賢治委員 (立教大学法学部教授 )
- 類型1と類型2の往来については、クラリティ法案の議論・制度が参考になるのではないか
 - 資料の1で落合先生からEUの話を頂いた。資料1の8ページ目あたりでFully Decentralizedに関する加盟国レベルの議論をご紹介いただいた。
- ヨーロッパの場合はそういう基準に加えて、誰がどのようなプロセスで判断しているのか、というところが気になりました。
 - もし何かあればぜひ教えていただきたい。
 
 - 資料2 ページ13の松尾先生の提言、暗号資産エコシステムのセキュリティ対策についてはシステム構成も動的に変化し、というあたりで、法律では必要な体制の確保についての要請を書くことに留める一方で、ガイドラインによって柔軟に対応できるようにするというところ
- この話を聞いて、金商法の対象にするということは、金商法1条の目的にある国民経済の健全な発展、それから投資者保護に資するようなものでなくてはならないと思う
 - いまは情報提供の話などをしているが、そもそもの金融商品取引法上の投資商品とする適格性があるかどうか、商品適格性という観点から改めてこの点考える必要がある。
 - 資料3の取扱審査の話ですとか、資料4にも関係するところであるが、そもそものところでこういうセキュリティのサプライチェーン含めて、全体のセキュリティがきちんと確保されていないものはたとえそれが一般投資家であろうが機関投資家であろうが少額であろうが少人数であろうが、そもそも投資商品としての適格性を欠くのだという形で、規律するということをおっしゃりたいというところなのかと、それを法律に書いたうえで具体的にどういうものが必要かについてはガイドラインで書いていく、こういうご提案なのかとお話を聞いていて思ったが、改めてこの点についてお聞きしたいなと言うふうに思ったところ。 − 資料4の6ページ、不公正取引規制の基本的な方向性のところで、保護法益の話がある。対象とすべき暗号資産について、国内暗号資産交換業者において取り扱われる暗号資産と整理するという話がある。
 - その保護法益のところで、国内の暗号遺産交換業者における取引の場の公正性・健全性に対する投資者の信頼確保というふうにある
 - 資料4の11ページのところに、欧州におけるインサイダー取引規制の動向というのがある
- 適用範囲に関しては一つ目の黒丸は似ていると思う
 - 暗号資産サービス提供者が運営する暗号資産取引プラットフォーム上で取引が承認されている、または当該承認申請がなされている暗号資産に限って適用するけれども、取引の場という点では、取引注文またはこういうような取引プラットフォームで行われているか否かにかかわらず適用するということになっている − 事務局資料6ページに言う保護法益の取引の場の公正性健全性に対する投資者の信頼確保というのが、対象とすべき暗号資産は限るというところはわかるが、取引の場所についてどのように考えているのかというところは、またさらに検討していく必要があるのかなというふうに思った
 
 
 - 資料4の22ページ、中央集権管理者のところで実質的には一番最初に書いてあるように暗号資産の価値の源泉を実質的にコントロールするというところにポイントがある − 暗号資産の生成発行等と書いてあるので、「等」の中にはきっと機能の変化というのも含まれるでしょうし、暗号資産がトークンエコノミーのプロジェクトに価値が連動しているものであれば、そのトークンエコノミーのプロジェクトをコントロールするものであったり、これも先生からお話がありましたが調達資金の帰属先であったり、こういうものが考慮要素として出てくるのであろうというふうに思っております。
 
事務局: 一点、松尾真一郎委員の資料のところで、趣旨として金商法場の商品適格性を欠くものについては積極的に排除することも考えるべきであるというご趣旨かということの確認をしたいというお話があったのですが、この点はいかがですか
松尾真一郎: 基本的にご認識はあっています。
河野 康子委員 (一般財団法人日本消費者協会理事)
- 2ページの検討にあたっての留意点に書かれたように、利用者保護と健全なイノベーションのための適切な規制のバランスが重要であるとしても、暗号資産に安全安心というお墨付きを与えるものではないことがメインのメッセージとして発せられることは重要
 - 私のような一般消費者が暗号資産取引とどう向き合っていくのかたいへん考えさせられる重い議題であり、重要な議論だと改めて実感している
- デジタル技術進展の成果の1つとして生まれた暗号資産だが、その正体が何か実はよくわかっていない、改めて松尾先生のご説明を伺い、私はわかっていないなというのを思い知らされた。
 - 本日のように規制の具体を提案されるとますますよくわからない。
 
 - 暗号資産に限らず利益や損害の幅が大きいとされる投資対象には少なからずリスクが伴うということ、また、そのリスクは投資の対象や手段によって特性があり、すべてのリスクを取り除くことは不可能であることは十分わかっている前提だが、金商法の下で其のためのリスクヘッジを行ってほしいというのが消費者としての率直な気持ちである
 - 暗号資産へのリテラシーが不足している一般消費者としては、詐欺的な投資の勧誘や取引等に関わるものへの抜本的な対策を取ってほしいと強く思う反面、暗号資産以外のすでに一定程度規制のかかっている投資や取引においても、同様なトラブルや不正事案は山積している
- そういった視点からは、例えば、利用者の認知バイアスを利用したユーザーインターフェースでのアプローチとして、今様々な分野で問題になっているダークパターン対策などとも組み合わせ、金融庁での規制とうまくマッチングさえ手効果を上げることも考えていただければと思う
 
 - 2点目の不公正取引規制で示された総論は賛成
 - 3点目の情報提供規制での事務局整理による各論に関しても、現状想定しうる妥当な提案であると受け止めた
 - 海外での規制動向やこの分野での技術革新のスピード等を考慮し、規制を厳格に細かく決めきるというよりは、一定程度柔軟性をもたせたものにすべきではないか
 - 情報提供に関しては正確性の確保は消費者にとって非常に重要
- 正確性が担保されたとして、それを読み解ける力が消費者側にあるかと言うと不安になるところである
 - 虚偽記載や不提供への罰則は実効性のある現実的な対策を講じていただければと思うが、そのための精度の高い手段を取ったとしてその効果が確実に得られるかについては疑問に思う
 
 
松井 智予委員 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 今般の金商法での規制はすでに流通している暗号資産を適正な規制の中に位置づけるという対策を取るものであるというふうに理解している。
 - 特に不公正取引(規制)をきちんと行うことは、現状を良くするために重要だと考えている
 - 5ページ目、インサイダー取引について
- 情報格差が立法趣旨であることは理解した
 - 暗号資産に関する重要事実という部分が株式と同様に内部者が知っている重要事実というものに該当するものに相当するわけではない、ということ
 - 特に内部者が知っている事業活動に関する情報に限られないことから、ある程度包括的な情報を入れざるを得ないと考える。
 - このページの案AからCは、従来案Aタイプの規制は罰則を伴う規制の明確性を考慮したものである。すなわち規制されるもの、インサイダーにとって重要事実であることの予見可能性がないと遵守ができない問題を重視したものであると考える
 - 暗号資産取引においては内部者も重要事実も事前にわかりにくく、多くの場合不正行為を行う者にとってはそれが重要事実であることがわかっているけれども、他の人間にはそれが重要であるということすらわかっていないというタイプの情報も多いように思う。
 - むしろ発行者が空っぽになってしまうといった委員のご発言もあったことを考えると、内部者という捕まえ方にも限界があると考える
 - この場合は案Aだけでない可能性を考えるのは正当化されるのではないかと思い、BまたはCもありうると思った。
 
 - 不公正取引の対象となる暗号資産の範囲について
- 現行金商法の考え方を考えることは重要だと思う
 
 - 発行するものだけでなく、販売するものも含めたスキーム全体の中立性について、16ページの下の方に、利益相反についての注意喚起をする発言を入れていただいているが、不公正取引について、MiCAでは事務局説明の23ページの中段下部で取引所の潜在的利益相反についての開示を要求している。
- これは、16ページ5の類型1の囲みにある暗号資産の関係者という部分に当たるのかもしれないが、日本における販売規制が発行者と交換業者とどういった関係があるのか含め、どういった内容のことを開示させるのかについて、もう少しはっきりとさせたほうが良いかと思った。
 - 38ページのIEOも同じだがスキームとしての不正が十分に抑止されるような販売方法に留意いただけるとありがたいと思っている。
 
 - 34ページの継続情報提供について
- 適時情報と定期的情報提供という考え方があることはそのとおり
 - 年1回の開示で良いのかというご発言があった
- 株式においても、新規発行や自己株式取得のようにアナウンス後に実際に度のタイミングで取得や発行し、前後に関係者が取得していないかと言ったように継続的に五月雨式に情報が出てくるタイプのものがある。
 - 短いスパンで出てくる事が必要な情報があったりして、実際に暗号資産でどのようなものが見られるのか見ていかなければいけない
 - 頻度あるいは内容、継続開示か適時開示かということについて、具体的な情報を考えながら検討していただきたい
 
 
 
オブザーバー意見
事務局: 委員の方々からは一通りご発言を頂いた。オブザーバーから、日本ブロックチェーン協会さん
JBA 加納: 日本ブロックチェーン協会の加納です。2分ぐらいお時間頂戴いたします。まず、セキュリティに関しては、向上させるのは大賛成で、やはり北朝鮮の資源になっているのは非常に問題だと思いますし、国防にも関わるものですのでセキュリティは向上すべきです。ただ一方、松尾委員の提案する内容であると、おそらくまたハッキングが起きるのではないかなと私は考えています。なぜかと言うとセキュリティは、松尾委員は協調領域という表現をされていましたが、私は競争領域であると考えている。クリプトの取引所は大きく3つのファンクションに分かれていて、本人確認、AML/CFTをやる部分、あと取引これはフローのビジネスですね、あと預かるストックビジネス。特に特殊なのが一般的な証券会社と違うのは預かるというところで、ここにノウハウの塊があると考えていて、競争領域だと考えています。こういった競争領域を、協業他社と共有するようなことがあると、結局何が起きるかと言うと、投資意欲はなくなり、投資する意味がなくなる。またセキュリティエンジニアはモチベーションもなくなります。こういった努力が報われない仕組みは非常に問題です。一方で、協調領域もあると思っていて、一般的なセキュリティに関するノウハウは金融ISACであったり、そういったところのノウハウを拝借をして業界全体をセキュリティ向上させるというのが良いだろう。実際にハッキングは大きく2つに分かれていて、フィッシング、これは既存金融ビジネスのセキュリティが流用できると思う。ただ一方ブロックチェーンに関わる部分のセキュリティ、アドレスポイズニングであったりサードパーティーのウォレットのハッキングの部分は、おそらくここは競争領域。機密情報が固まっているので、これを開示することがなかなか難しいのではないかと考えている。その証拠にCryptoISACは実は二大取引所であるbitFlyerとCoincheckが入っていない。これはやっぱり大きな会社から小さな会社に情報が漏れるということがおそらくできないのだろうと想像しています。スタートアップに配慮された制度設計を提案されているが、これは非常に難しいと考えていて、今はもうセキュリティを完全にやるためには100億円以上のお金がかかると考えています。であるならば、スタートアップと一緒にやっていくような、クリプトのカストディみたいなライセンスを作って、カストディビジネスと一緒にやっていく、顧客資産を預かる部分というのはより厳しいライセンスを設けて、そちらで預かる。特に民間企業がルールメイクするのではなく、やはり当局が事務ガイドライン等でルールを作り、そういったライセンスの下により厳しいクリプトカストディビジネスの特定をし、そこに乗っかった形でスタートアップがビジネスをしていくというのが良いだろうと考えております。特に最後にですがサードパーティーウォレットが非常に問題だと思っていて、第三者が作ったウォレットに乗っかる。これはやはり安かろう悪かろうのようになる。ここを使うときにはやはりそれなりに監査もしなければいけないし、いろいろなセキュリティのチェックをしなくてはいけないというのをルール化して頂き、それを中立的な当局等で監督していただくのが良いだろうと考えております。
事務局: 国際銀行協会さん
国際銀行協会: 資料4の2ページ目の一番下の規制見直しに当たって留意すべき視点というところに凝縮されている。外資系の運用会社、金融機関を会員として抱えております当協会としては、投資家さんにおいてチョイスと判断が正しく出来るような市場形成、及び規制の運営、および我々外資系が将来ソリューションとして資産形成に役立てるような市場の育成というものが育まれることを望んでおります。
