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2025/09/02 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第2回)

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諸事情により遅くなりました。

第2回WGでは、暗号資産の位置付けと開示・業規制を中心に議論。JVCEAは適合性確認や上場審査・注意喚起の実績を報告、個人は小口取引が多数と説明。JCBAはIEOからDeFi型資金調達(LBP等)へのシフトと、国内外の「法定通貨受け取り型」決済の主流化を紹介(メルカリ事例含む)。事務局は米国CLARITY等の動向を踏まえ、暗号資産を有価証券とは別概念で金商法で包括的に扱う方向性、類型1(資金調達型)・類型2の枠組み、二重規制回避を提示。JBAは金商法移行と情報開示強化、レバレッジ緩和、無登録業者対策を要望。委員からは①発行者概念とセカンダリ売出しまで含む開示・継続開示の必要、②中立・独立の第三者(コンソーシアム等)による適時開示検証、③DEX/DeFiやハードフォーク等を見据えた柔軟で動的な制度設計、④自主規制の限界を補う公的エンフォースメント強化、⑤交換業者破綻時の移管・返還手続の明確化、⑥決済用途やトラベルルールとの整合、⑦詐欺・「クジラ」対策と投資者保護重視――など賛否・留保を交え論点が整理された。


  • 日時:令和7年9月2日(火曜)10時00分~12時00分
  • 場所:中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用

  • 開会
  • ヒアリング①
    • 日本暗号資産等取引協会、JCBA 委員質問に回答
  • 事務局説明①
    • 他法域での暗号資産法制も重要であると考えられるため米国暗号資産法制について説明。MiCAについては次回以降に取り上げる。
  • ヒアリング②
    • JBAより要望
  • 事務局説明②
    • 暗号資産にかかる規制の見直しについて総論と状況、情報提供規制等の各論点について。
  • 討議
  • 開会

ヒアリング①

JVCEA

JVCEA(小田氏)は、国内交換業者に対する自主規制の実施状況として、投資家の適合性確認と取引時モニタリング、取り扱い暗号資産の審査・条件付き上場、ならびに決済利用の実態把握を報告した。個人投資家の大半が小口である実態や、105銘柄中約半数に注意喚起の付帯条件を課し公開している点を示し、投資者保護と透明性確保の取り組みを強調した。一方、決済利用は急拡大ではないが一定の需要が継続していると述べた。

  • 会員企業に顧客適合性確認を義務づけ、年齢・投資経験・資産・収入・利用目的に応じたリスクウェイトで評価している。
    • 口座開設時のみならず、取引時点でもモニタリングを継続実施している。
  • 個人投資家の規模は小口が中心であり、80%超が保有額10万円未満、90%超が50万円未満である。
  • 取り扱い暗号資産は、まず会員企業が審査し、JVCEAが当該審査プロセスを検証する二層構造で確認している。
    • 上場銘柄は国内で105銘柄であり、そのうち50銘柄に注意事項等の付帯条件を付し、JVCEAサイトで一般公開している。
    • 付帯条件の付与は投資者保護と情報提供の強化を目的とし、リスクの可視化に資するものである。
  • 決済としての利用は急増していないが、一定の需要が持続しており、暗号資産が資金決済手段としても機能している実態がある。
  • 総じて、適合性評価・継続モニタリング・審査と条件付与・情報公開の組み合わせにより、透明性と利用者保護の水準を高めている。

JCBA

JCBA(白石氏)は、トークンを用いた資金調達と暗号資産決済の現状について説明した。資金調達では、従来主流だったIEOから、参加しやすいDeFi型手法での売出し、ダッチオークションやLBPによる価格決定へ移行が進んでおり、中央集権型と分散型が併存する状況を示した。日本はIEOでQTM方式による固定価格調達が基本で国際市場との違いがあることも指摘された。決済に関しては、暗号資産をそのまま受け取る、法定通貨で受け取る、ステーブルコインで受け取る3形態を整理し、国内事例としてメルカリや家電量販店を紹介。法定通貨受け取り型が主流で、加盟店が価格変動リスクを負わない仕組みが一般的であることを強調した。海外でも大手企業が導入し、BitPayなどを通じた利用が拡大しており、暗号資産が資金源となるクレジットカード型サービスも普及していることを説明した。

  • トークン資金調達は、IEO主体からDeFiへ、ダッチオークションやLBPによる価格決定へとシフトしている。
    • IEOは投資家にとって信頼性が高いが、発行体にとっては上場ハードルが高い。
    • DeFi型は参加しやすい一方でリスクが大きいという特徴がある。
    • 日本ではQTM方式に基づく固定価格での調達が基本であり、国際的手法と差異がある。
  • 暗号資産決済の受け取り方法は「暗号資産受け取り型」「法定通貨受け取り型」「ステーブルコイン受け取り型」の3種類がある。
    • 国内では法定通貨受け取り型が主流であり、加盟店は価格変動リスクを負わない。
    • メルカリでは2024年からビットコイン決済を導入し、120万件・63万人が利用している。最終的には法定通貨で精算され、ユーザーはシームレスに利用できる。
    • 家電量販店、不動産、ギフトカードなど幅広い業態で利用されている。
    • 海外でも大手企業(スターバックス、マイクロソフト等)が暗号資産決済を導入している。
    • BitPayでは月間3.4万件超の決済が行われている。
    • グローバルでも法定通貨受け取り型が主流であり、大手交換業者はVISAやMastercardブランドのカードを発行し、従来型のカード決済体験を維持しつつ資金源に暗号資産を活用している。

事務局説明①

事務局からは、米国における暗号資産関連法案の動向について説明があった。7月に「クリプトウィーク」と称して審議されたCLARITY法案、Genius法案、Anti-CBDC法案のうち、下院で3法案が可決し、今後上院での審議が予定されていることが報告された。特にCLARITY法案では、SECとCFTCの監督権限を明確化し、デジタル商品の包括的規制を整備することが柱とされている。成熟したブロックチェーンか否かによって規制を区分し、成熟度の認証要件(ガバナンス分散、コード公開、保有分散等)を導入する仕組みが説明された。SECは資金調達に関する免除を与える一方で届出を義務付け、CFTCは取引所やブローカー・ディーラーの登録と顧客資産管理などの規制を担う。DeFi活動は従来の証券法制の適用外とされるが、詐欺や相場操縦への対応権限は維持される。今後のルール策定やSEC・CFTC間の権限調整が注視点であると締めくくられた。

  • 米国では7月に暗号資産関連3法案(CLARITY、Genius、Anti-CBDC)が下院で可決、うち2法案が上院審議予定である。
    • CLARITY法案はSECとCFTCの監督権限を明確化し、デジタル商品の包括的規制枠組みを構築する狙いである。
  • デジタル商品はブロックチェーンに本質的に結びつく価値を持つものであり、証券・デリバティブ・ステーブルコインは対象外である。
  • 成熟したブロックチェーンの定義は、支配主体不在、コードの透明性、ガバナンス分散、発行量の分散などの要件に基づく。
  • SECは成熟ブロックチェーン上の資金調達を一定条件下で証券発行規制の適用除外とするが、届出義務や販売上限(年間5,000万ドル以下)、発行者保有割合制限などを課す。
  • CFTCはデジタル商品取引所やブローカー・ディーラーに登録を義務付け、顧客資産分別管理、自己勘定取引禁止、取引監視、利益相反最小化などを求める。
  • 取引所は成熟または成熟を目指すブロックチェーン上のデジタル商品のみ取扱可能である。
  • DeFi活動は従来の証券法制適用外とされるが、詐欺や相場操縦対策ではSEC・CFTCの権限が及ぶ。
  • 取引所やディーラーには銀行秘密法が適用され、マネロン防止要件が課される。
  • 今後、SEC・CFTCによるルールメイクと権限調整が大きな焦点となる。

ヒアリング②

JBA(加納氏)は、暗号資産の現状と制度設計の要点を整理し、金商法への移行を明確に支持した。背景として国内口座1200万・預かり資産5兆円規模への拡大を示し、投資家保護と市場信頼性向上を両立するため、①資金調達型トークンへの厳格な情報開示、②無登録海外業者対策や「クジラ」等への規律、③セカンダリーでの売出し・LP経由配布など潜脱的調達にも開示義務を及ぼすことを提言した。さらに、オンチェーンの分散度だけでなくオフチェーン支配も捉える広い「発行者/特定の者」概念、継続的なガバナンス・資金使途開示、役職員・出資者の保有状況開示等を求め、ルールの公平適用と自主規制(JVCEA)の基準化を要請した。レバレッジ規制の緩和検討(個人2倍→5〜10倍)にも言及した。

  • 国内市場は口座数1200万超、預かり資産5兆円規模である。
  • 適用法令は金商法が妥当であり、市場信頼性と国際競争力の向上に資すると考える。
  • 個人の証拠金上限は現行2倍だが、ボラティリティ低下を踏まえ5〜10倍への緩和を検討すべきである(法人は実務上10倍超も運用されている)。
  • 無登録(主に海外)事業者からの利用者保護を強化すべきである。
  • 大口保有者(クジラ)による先回り取引等に実効的規制を及ぼすべきである。
  • 資金調達型トークンを明確に類型化し、発行体等の行動・資金使途に関する情報開示を義務化すべきである。
  • 事業者の潜脱行為(恣意的な供給量変更、ロック解除による市場売却、LP・取引所経由の事実上の売出し、調達後の会社売却等)を想定し、プライマリーだけでなくセカンダリーでの資金調達にも開示義務を課すべきである。
  • 「特定の者」は連結範囲に限らず、財団・SPC・創業者グループ・社員等まで拡張し、実質支配を基準に判定すべきである。
  • 分散性評価はオンチェーンの議決権だけでなく、オフチェーンの意思決定やバリデーター任免権等の実質支配も評価すべきである。
  • 「生成等」をトークン新規発行やエスクロー解除を含む実質的資金調達として定義し、その売却時に関係者情報・インセンティブ・資金使途の開示を求めるべきである。
  • 情報開示項目は、ホワイトペーパー、コンセンサス仕様、コード公開に加え、主要株主・出資者、監査付き財務諸表、LP取引・インセンティブ計画、役職員付与・保有状況まで含めるべきである。
  • ルールは全事業者に公平・一貫に適用し、自主規制(JVCEA)は審査項目の標準化・明確化を行うべきである。
  • 類型1と類型2の境界を明確化し、開示・業規制への接続を誤りなく設計すべきである。
  • 結論として、金商法移行、普遍的ルールの適用、実質的支配者の売却による資金調達に対する開示義務化を要請するものである。

事務局説明②

事務局(斎藤氏)は、暗号資産の投資対象化の進展(口座数1200万超・預託金5兆円等)を踏まえ、課題は金商法の射程と高い親和性があるとして、規制主体を金商法へ整理する方向性を提示した。情報開示・無登録業者対策・投資運用/助言規制・価格形成の公正確保・セキュリティ確保を主要課題に掲げ、暗号資産は有価証券とは別概念として金商法に位置付けるべきと整理。資金決済法との二重規制は回避し、原則金商法で包括する一方、不正流出対策などの特則は継承する方針を示した。情報提供規制は「資金調達型(類型1)」は発行者に開示義務、「それ以外(類型2)」は交換業者に情報提供義務を課す設計案を提示。業規制は第一種金商業相当へ引上げを基本線とし、自主規制の一部は法令化を検討。市場開設規制は、現行の暗号資産現物の板運営に対し、金融商品取引所の免許のような厳格な規制は不要との暫定判断を示し、既存の金融商品取引所での上場解禁には慎重姿勢を示した。

  • 暗号資産の投資対象化が進展しており、口座数1200万超・預託金5兆円に達している。
  • 投資家像は中間所得層が中心で、小口(80%超が10万円未満)、長期値上がり期待が多数派である。
  • 主要課題は①情報開示②利用者保護・無登録業者対策③投資運用・助言の不適切行為対処④価格形成の公正⑤セキュリティ確保である。
  • 金商法は情報の非対称性是正、業規制、不公正取引規制、強いエンフォースメントを備え、暗号資産の課題と高い親和性を持つ。
  • 暗号資産は有価証券とは性質が異なるため、有価証券とは別枠で金商法に位置付けるのが適切である。
  • 現行でも暗号資産デリバティブと現物の不公正取引は金商法で規制済みである。
  • 資金決済法との二重規制は回避し、原則として金商法で包括規制しつつ、安全管理等の特則は継続整備する方針である。
  • 金商法の対象範囲は、現行資金決済法上の「暗号資産」を前提とし、NFTやステーブルコインは一律対象外とする慎重姿勢である。
  • 情報提供規制は二類型で設計し、類型1(資金調達型)は発行者に開示義務、類型2は交換業者に情報提供義務を課す方向である。
  • 発行者の判断は、生成・プログラム変更を独自に行える中央集権的権限の有無等に着目して行うべきである。
  • 分散化の進行に伴う類型の移行(1→2)を想定しつつ、正確性担保は現時点で監査義務までは想定せず、交換業者・自主規制機関の確認も選択肢とする。
  • 業規制は第一種金商業相当への引上げを基本とし、自主規制で賄っている普遍的規制は法令レベルへ格上げを検討する。
  • 不正流出リスク等の安全管理措置は金商法体制でも引き続き特別規制として整備する。
  • 市場開設規制について、現物の板運営に金融商品取引所免許のような厳格な規制は不要としつつ、適切な取引管理・システム要件は求めるべきである。
  • 既存の金融商品取引所で暗号資産を上場可能とすることには、顧客資産流出リスク負担等の観点から現時点では慎重であるべきである。

討議

松尾真一郎 ジョージタウン大学研究教授 /バージニア工科大学研究教授

松尾真一郎氏は、情報開示の充実が国民の資産形成に直結するとの前提に立ち、民間側の開示体制整備の責務を強調したうえで三点を提起した。①米国CLARITY法案の「成熟」概念は実務上不明確で成立も不確実なため、過度に参照すべきでないこと、②サイバー流出リスク対応はエコシステム全体で不十分であり新たな枠組みが必要なこと、③情報提供規制は類型1・2を横断する動的設計が望ましく、独立・中立の第三者(単独またはコンソーシアム)を制度上位置付けるべきこと、である。さらに、必要情報の定義→提供主体の特定→独立性・持続性の担保→詳細は府令・監督指針で規定、という設計順序を提案し、監査法人関与の必要性、自主規制団体の利益相反の懸念の検証の必要性、BGINでの標準化議論の進展にも言及した。

  • 情報開示の充実度は資産形成に資するか否かの基準であり、民間は当局要請情報を提供できる体制を担保すべきである。
  • CLARITY法案の「成熟」概念は実務上の明確性を欠き、法案成立も不確実であるため、単独のベンチマークとして過度に依存すべきではない。
  • サイバー攻撃による流出リスク対応は現状不十分であり、新たな規制枠組みの設計と別途の深掘り議論が必要である。
  • 類型1・2の境界や開示項目は固定ではなく、環境変化に応じて更新されるべきである。ビットコインのフォーク等では2→1の再分類も想定すべきである。
  • 情報提供規制は類型横断で設計し、独立性・中立性・利益相反排除を備える第三者(単独またはコンソーシアム)を「情報提供主体」として金商法上に位置付けるべきである。
  • 制度設計の順序は、①当局が必要情報項目を定義、②提供可能な主体(企業・連合体)の特定、③独立性と持続性の担保、④詳細は内閣府令・監督指針・ガイドラインで規定、である。
  • クジラ等の大口主体や不公正取引の兆候エンティティへの情報照会は、信用情報機関(CIC)的な枠組みに通じる性質を有する。
  • 監査法人による関与は独立性・中立性確保の観点から必須であり、LegTechとの連携で技術能力を高めるべきである。
  • 自主規制団体の運営には情報提供に関する利益相反の懸念がないか検証が必要である。
  • BGINにて「成熟」定義や必要情報の辞書データベース整備を開始し、国際標準化(ISO)につながり得る議論を進める予定である。
  • 最終提案として、必要情報の定義、情報提供主体の要件、運用ガバナンスを具体化し、詳細は府令・監督指針・ガイドラインで詰めるスキームを採用すべきである。

全文前提として、情報開示の充実度は国民の資産形成に資するか否かの重要な判断基準ですので、民間側は金融庁や証券取引等監視委員会が求める情報を適切に提供できる体制を担保する義務を負う。 コメントは3つ。 資料3について、私自身はワシントンDCで技術と規制の議論に関わっていますので、当地の肌感を踏まえて申し上げると、CLARITY Actの成熟に関する議論というのが、明確性が実務上落ちきっておらず関係者が頭を抱えているというのがこちらの現状。さらにCLARITY Act自体、来年議会を通過しない可能性が少なからずあるという状況であり、現在のCLALITY Actのみをベンチマークにすべきではなく、過度に依存しないことが重要。 第二に、資料5のサイバー攻撃に関する流出リスクに関する取り組み等について、第一回で岩下委員からもご指摘があったが現時点では十分とは言えない。個社の創意工夫を否定するものではないが、エコシステム全体としてこれまでの取り組みでは不足していることは明確である。 金融庁の新しい規制の中で新しい枠組みが必要だと思います。本件は追って議論する機会をぜひ設けていただきたい。 第三に情報提供規制について申し上げる。類型1,2両方に情報提供規制がかかると認識しているが、1、2の境界、あるいは提供されるべき情報というのは常に変化し、高度化することを原則とすべきです。ディスカッションペーパーでは類型1から2への移行の可能性は考慮されていましたが、例えばビットコインのフォークがおきたときに、フォークした両方の暗号資産分類は再審査が必要になるだろうと思いますが、2から1に再分類されるケースが考慮されていない等、検討が尽くされていない論点が残っている。このようにダイナミックに毎日変化する環境の中で、資料3、ページ14に記載されているような固定的な枠組みは機能しないのではないかと危惧している。

そのうえで、情報提供規制は、類型1にも2にもかかる横断的な規制である方が望ましいです。手法にスペクトラムがあったとしても、情報提供可能な能力と利益相反を排除した独立性中立性を備えた、単独あるいは複数によるコンソーシアムのような情報提供主体を定義し、金商法の枠組みの中でその情報提供主体を正しく位置づけることが着地可能な解だと考えます。 ここで重要なのは発行者や暗号資産交換業者とは別に、適時適切な情報開示と中立という原則を制度として実装するための制度を創設して明確にするという点です。 ページ14がメインの私のコメントの対象になりますが、検討のロジックと順番を改めて見直さないかというのを提案したい。 必要な検討の順序は以下のとおりです。まず、金融庁および監視委員会が規制監督上必要な情報の項目を定義すること。 ここでは中立性独立性が大原則であり、これらの公的な機関のもと、利益相反を完全に排除した環境で行われることが原則です。 2つ目に、その情報はどのような主体なら提供可能か。暗号資産交換業者単独では提供不可能と思われる項目も多くあろうと想定されるため、単独の事業者などだけではなく、どのようなグループやコンソーシアムなら情報提供主体になれるかの特定を行う。 3番目に、情報提供主体が独立性中立性利益相反の不存在を保ったまま、また情報提供能力を保ったまま、持続的体制を維持できるかの検討を行う。 4つ目に複数の主体がコンソーシアムを組むことで、単体よりも技術的には効果的になり、金融庁や監視委員の期待に答えられるようになります。持続性の観点では目的は異なりますが良い例としては、信用情報におけるCICのような組織がありますけれども、そのような建付けの組織があることで担保可能であると考えます。 ブロックチェーン上でクジラと呼ばれるような大口の取引主体や、他にも不公正取引の兆候があるエンティティについての情報照会というのは、近い性質を有すると考えております。5つ目にこれらの詳細は、流動的な状況を勘案すると法律に書き込むのではなく内閣府令、監督指針、ガイドラインなどで定めることが適当です。 こういうことを踏まえると、法案に書かれる枠組みとしては、現在の類型1の詳細に規定することにこだわって、議論を複雑化させる必要はございません。 発行者の観念についても規制上の定義を詳細にする必要はなくなります。なぜなら情報提供規制上の差異がなくなるためです。分類ということであれば情報提供体制の適格性に応じて分類するということであれば論理的に閉じた明確な分類になります。 P14にある、監査法人による監査は現実的ではないとあるが私は異論があります。監査法人に依頼するのは技術的な話ではなく、独立性と中立性の観点で必須の要件です。むしろ監査法人のようなところが、今後のLegTechのイノベーションも踏まえて技術的な能力を高める、あるいは日本のLegTech企業と連携して情報提供主体の中立性のアンカーにならないと、この情報提供規制の議論が論理的に閉じません。 開示内容の正確性の担保は独立性と中立性を有する客観的な第三者によって確認されるべきです。自主規制団体についてはその運営体制上、情報提供における利益相反の懸念がないか確認が必要です。 これらのアプローチはLegTech含むイノベーション促進し、LegTechの国内自給率と公益向上に大きく寄与し、LegTechを含むイノベーションの促進と利用者保護の両立に資する思想になります。 なお成熟の定義、起こってはいけないこと、その発生を防ぐために必要な情報提供については、BGINにおいてこの秋から、辞書データベースを整備するという議論を開始します。この議論を行う総会は10月15日から17日にワシントンDCで行われるが、これはグローバルかつ国際的な標準化議論であり、ISO標準にもなりうるということから、事務局ならびに本WGの委員各位には少なくとも遠隔での参加を是非お願いしたいと思っております。 最後に提案です。情報提供規制の制度設計では、必要情報の定義、情報提供主体の要件、運用ガバナンスを具体化し、詳細は内閣府令・監督指針・ガイドラインで詰めるスキームを検討してはいかがでしょうか。合わせて事務局には規制監督上必要と考える情報提供項目の素案のリストアップを今後のWGのどこかでしていただけると幸いです。

永沢裕美子 Foster Forum(良質な金融商品を育てる会)世話人

永沢氏は、暗号資産規制の見直しについて概ね賛成の立場を示しつつも、資金決済法との関係や情報開示の実効性、一般投資家への開放の是非について留保・懸念を表明した。総論(7ページまで)では規制強化・金商法適用に賛同し、立法経緯からも想定の範囲内と評価。ただし8ページで示された「資金決済法を外して金商法に一本化」案については、決済利用の実態や所管部署の違いを踏まえ態度保留とした。各論では、類型1の情報不足による投資家リテラシー問題、類型2の「クジラ」的存在の情報開示の必要性を指摘。また、暗号資産の金融商品取引所への上場解禁は国民に広く開かれることを意味するため時期尚早とし、現時点では反対の意向を示した。

  • 規制は現状不足しており、金商法の適用には賛成である。
  • 金商法の適用は立法過程(2000〜2005年の投資サービス法議論)から想定されていたものであり、自然な流れである。
  • 資金決済法を外すことには慎重であり、決済利用の背景や所管の分担を踏まえ「漏れ」が生じないか懸念があるため態度保留とする。
  • 類型1の情報開示は市場情報が乏しい状況では一般投資家が参加するのに不安があり、リテラシーへの配慮が必要である。
  • 類型2では「クジラ」と呼ばれる大口投資家がインサイダーに近い影響を及ぼすため、その存在や動向は市場に開示されるべきである。
  • 暗号資産の金融商品取引所への上場(24ページに記載)については、一般投資家に広く公開することは時期尚早であり、現時点では反対である。
    • 将来的には変わる可能性はあるが、現段階では慎重な姿勢を堅持すべきである。

全文事務局資料につきまして、どうですかと聞かれていることに対して意見を述べます。 総論の部分は7ページまで賛成。 前回も話したが、現状の規制が足りていない、それから適切な規制の枠組みができていない状況であることは皆さん異論ないと思うので見直しが必要である。 また、金商法をここで使うことにも賛成。金商法の制定過程、2000年から2005年、投資サービス法について制定を議論した頃から私もこの活動始めているが、まさにこういう場面を想定していたと思っているので、ここで金商法を適用していくことは想定の範囲と思っているので、ぜひ進めていただきたい。 次に、総論の中の8ページについては、私はここは反対とまでは申し上げないが態度保留としたい。 金商法を課すことは進めるべきだが、資金決済法を外して良いのかどうかは分からない。今日、事業者団体の皆様から実際に決済で使われているお話をいただいた。やはり資金決済方が用意された背景もあるし、当局で資金決済法を所管されている部署と、金商法所管部署は違うので、金商法に移ってなにか漏れることがないかと思う、思うので態度保留。 そのうえで、各論について事務局から出ているが、12ページ以下も基本的には賛成です。 特にブロックチェーン協会から情報開示についてお話があり、賛成であり、金融庁の考えと同じと思っているが、類型1については素人目に見ていると、市場に出てくる情報が限られている、アナリストも居ないような情報の中で、市場参加者が一般に開かれて良いのかどうか、リテラシーある人しか入れないのではないかなどと思ったりすると、そのような部分への配慮が必要かもしれないと思いながら聞いていた。 いまちょうど、スタートアップ企業への成長資金供給ということで、証券業協会と金融庁で未公開株を巡る規制のあり方について見直ししているところで、同一ではないが似たところがある。同じような範囲で考えるところもあるのではないかと聞いていた。 類型2については、今日は「クジラ」という存在があることを私は知りました。言われてみればそうだなと思った。証券取引とは違う、インサイダーではないがインサーだーに近い存在がいるというようなこととか、こういった情報というのはやはり市場に開示されて取引に参加される人に開示されるべき情報だと思いまして、これから丁寧にこれから広く国民に開かれることには賛成致しかねるのですけれども、そうなっていくとするならば、そのあたりの情報開示は議論すべきであるという風には思いました。 あと事務局資料で出てきているところとしては24ページ、暗号資産の上場については、最後のところですが、慎重であるべきというところに賛成でございます。 本当にまだ繰り返しますが、広く国民に開いて良い取引なのかどうかというところもございますので、そういう意味で上場というのは一般に広く公開することになりますので、時期尚早ではないですかと現時点では思っていて、将来的にはどうかわかりませんが、この時点では私は反対という意見でださせて頂きたいと思います。

加藤 貴仁 東京大学大学院法学政治学研究科教授

加藤氏は、暗号資産の金商法下での整理に賛成しつつも、決済利用・情報開示・業規制・市場構造に関して具体的な論点を提示した。まず、規制の根拠を金商法へ移しても決済利用は制約されず、トラベルルール等AML規制も維持されると整理。その上で、情報開示規制は類型1・2双方で非対称性解消が必要だが、類型2では発行者を特定しにくい課題があると指摘。ERC-20系トークンの扱いについて質問し、継続開示の重要性も提案した。また、普遍的規制の法令レベルへの引き上げと自主規制機関の負担軽減を主張し、DEX等を通じた資金調達増加への対応枠組みの必要性を強調。さらに、交換業者破綻時の口座移管や資産返還、ハードフォーク対応など制度上の不備について再検討を求めた。

  • 規制の根拠が資金決済法から金商法に移っても、暗号資産の決済利用は制約されない。
  • トラベルルール等AML規制は引き続き適用されることが前提である。
  • 類型1は金商法の開示規制が馴染みやすいが、類型2は発行者を特定しにくく課題がある。
  • 分散化が進んでも情報非対称性は単純に解消されず、その性質や必要情報の種類が変わるだけである。
  • ERC-20系トークンも類型1に含められるかどうか、実務感覚を問う質問を提示した。
  • 類型1・2の区分は、開示規制だけでなく業規制など制度全体への影響を考慮すべきである。
  • 詐欺的・潜脱行為への対処には資金調達段階だけでなく継続的開示が必要である。
  • 普遍性の高い規制は自主規制ではなく法令レベルに引き上げるべきである。
  • DEX等を利用した資金調達が増加しており、その対応枠組みが不可欠である。
  • 交換業者破綻時の資産返還・口座移管手続は現行制度で十分に整備されておらず、再検討が必要である。
  • ハードフォーク発生時に新資産を取り扱えるかは技術的・コスト的制約があり、破綻対応設計に盛り込む必要がある。

全文 私からは3点意見、関連して質問もさせていただきます。 最初に暗号資産の金商法における位置づけについて、特に決済手段としての暗号資産の利用について意見を述べます。 資料5の8ページに掲げられています通り、暗号資産の規制の根拠が資金決済法から金商法に変わっても、当事者が決済手段として暗号資産を利用することが制約されるわけではないと私も考えます。過去、MMFやMRFなどの投資信託受益権を決済に利用できないか、という試みが理論的にはなされたと記憶している。 そのうえで、永沢委員がおっしゃった通り、決済手段になにか特有の規制というものがあるのかは一度考える必要があるのかもしれません。 その中ですぐに思い浮かびますのは、犯罪収益移転防止法に基づく規制であります。現在のトラベルルールの適用範囲を考えると、仮に暗号資産に関する規制根拠が資金決済法から金商法に変わっても、現在の暗号資産交換業者にかけられているトラベルルールの適用範囲は変わらないことが前提だと理解している。 2番目は、情報提供規制について。 資料5の13ページで指摘されているように、取引当事者間に情報の非対称性が存在する場合は、それを解消する手段として、情報提供開示規制を設けることが選択肢となる。類型1については情報の非対称性が問題となる当事者間を設定しやすいため、現在の金商法第2章の開示規制が馴染みやすいと言えます。一方、類型2については、現在の金商法第二章の開示規制の主な名宛人である発行者に相当する存在を確定しにくいという問題があります。しかし、情報の非対称性の問題が存在しないというわけではない点には留意が必要であるかと思う。 分散化という要素は、先程松尾先生のご発言でもありましたが、CLALITY Actでも重視されております。ただ、分散化の進展とその情報の非対称性の問題の関係というものは、分散化が進展すれば情報の非対称性の問題が緩和される、なくなると言った単純な関係ではおそらくないのだろう、と思っておりまして、むしろ情報の非対称性の問題の現れ方が変わるため、投資判断にとって重要な情報の内容が変わるということに意味があるのだろうと思います。その関係で1点、資料4について質問があります。資料4の8ページ以下で、類型1と2の区別について、ご丁寧にご説明頂きありがとうございました。私理解では、この資料4の8ページ以下はいわゆるネイティブトークンを念頭に置いて、その中で類型1に該当するものがどういったものか、ということを検討されているのかなと思っております。 一方、資料5の17ページで紹介されています通り、過去ERC-20などに依拠したトークンについても、暗号資産として資金調達に際して情報提供規制・開示規制がかけられておりました。そうしますと、実務の皆さんの感覚としては、ERC-20やその発展した仕様にしたがって発行されたトークンについては、類型1に当たると位置づけても特に支障がないと考えていいのかということについて、興味がありましたので、是非お考えを聞かせていただければと思います。 もう一点情報提供規制について、松尾先生の発言とほぼ重なるのですけれども、類型1と類型2が今回の制度整備の中でどの部分に影響があるのかはやはり考えておく必要があるのかと思いました。つまり、資金調達するときの情報開示規制の内容についてだけの意味がある区別なのか、それとも例えば現行法の有価証券ですと、第一項有価証券、第二項有価証券というものは業規制にも影響が出て来るわけであります。類型1と類型2が規制の全体構造の中でどういった部分に影響すべきなのかということも考えながら制度設計を議論していく必要があるのかなと思いました。 あと、五月雨式で恐縮だが、資料4の5ページで、様々な詐欺的・潜脱行為の具体例を挙げていただいている。その対応として情報開示規制にも一定の意味があるのではないかというご提議を頂きました。これは私もそのとおりだと思います。ただこの中で、情報開示規制で対応する際には、資金調達の段階の情報開示規制という よりはその後の継続的な情報開示規制で対応したほうが望ましいような詐欺的行為や欺瞞的行為などもあるかと思いますので、情報提供規制や開示規制を考える際には、いわゆる継続開示の方も考えていく必要があるのかなと思いました。 最後に、業規制のあり方について、資料5の10ページでご提案されている通り、普遍性の高い規制については法令レベルに引き上げる検討をするべきだと私も考える。資料5−21で紹介いただいている、資金決済法に基づく規制は、暗号資産の投資対象化が現在より進展するよりも前に基づくものであり、資金決済法ではうまく対応できないところを自主規制機関に対応していただいていた、という側面があるのだと思う。こういった観点からは、自主規制機関の負担を合理的な範囲に削減・軽減したうえで、可能な限り法令・府令レベルに引き上げたうえで、改めて自主規制機関と金融庁・証券取引等監督委員との役割分担を考えていく必要があるかと思う。 次に、資料5の19ページで今回のご提案というものは、現在のいわば暗号資産交換業が、暗号資産市場で重要な役割を果たしていることを前提としたご提案であるとされています。これは私もその通りかと思います。ただ本日の実務の皆様のご報告の中では、例えば資料2の2ページであったり、資料4の8ページでご紹介があった通り、いわゆるIEOというようなものよりも、むしろDEX等を利用した資金調達が増えているという非常に重要な情報提供がありました。 そうすると、これは将来の実務の進展と言うよりは、今後の進展も予想できるような事態かと思うので、この問題も少し対応できるような枠組みが必要かと思いました。 長くなって大変恐縮ですが、最後に資料5の23ページで、暗号資産交換業者が仮に倒産したばあいでも、取引の場所は他に存在するということが書かれている、これはその通りかと思う。ただ現行法の暗号資産交換業者のいわば破綻した場合の取り扱いは、実はそれほど明確になっていないのではないかという気がしている。 たとえば暗号資産交換業者が破綻した場合の口座移管の話であったり、資産の返還手続きの話、さらに言うと、簡単に口座移管と申しましても、先ほど松尾委員のご発言でも少し触れられましたが、ハードフォークが行われた場合に新しく生み出された暗号資産を、当然簡単に暗号資産交換業者が取り扱うことが出来るわけではないということはすでに周知の事実かと思うが、やはり、新しい暗号資産、これまで取り扱ったことがない暗号資産を別の暗号資産交換業者が簡単に取り扱うことが出来るわけではない、技術上・コスト上の問題があると思いますので、破綻した場合の問題も、現在の暗号資産交換業者の規制で十分に対応できているかも改めて考える必要があると思います。

ERC-20系トークンも類型1に含められるかどうか、実務感覚を問う質問を提示した。

この質問について、JBA 加納氏は、「特に我々の概念はネイティブトークンかERC20かを限定していない」、「ERC-20の議決権51%と読み替えていただければと思います」と回答した。

岩下 直行 京都大学公共政策大学院教授

岩下氏は、暗号資産を金商法で規制することは既定路線としつつ、BitcoinやEthereumなどメジャー銘柄に関しては金商法か資金決済法かの違いは大きくなく、規制移行は「決め事の問題」に過ぎないと述べた。一方、IEOやICOで調達されたトークンの多くが公募価格を大幅に下回り、無価値化している実態を指摘し、これを一般投資家に勧めることの正当性に強い疑義を呈した。暗号資産市場は一時的な値上がりを狙う投機的性質が強く、GameStop事件のようにSNSでの「ネタ投資」と同質の現象だと位置付け、伝統的金融の延長で捉えるのは危険と警鐘を鳴らした。その上で、規制に取り込むことによって「安心・安全」と誤認させるリスクを避けるべきと主張し、暗号資産は「公営ギャンブル」に近い位置づけとして隔離的対応を取るのが現実的との見解を示した。

  • 金商法で規制することは既定路線であるが、BTCやETHの取引に関しては金商法か資金決済法かで実質差は小さい。
  • ICOプロジェクトの7〜8割は消滅しており、IEOの事例でもほぼ全てが公募価格割れであり、多くは90〜95%下落して無価値化している。
  • 暗号資産投資は本質的に「一時的な値上がりで利益を得る」投機であり、ミームコインやGameStop事件と同質の現象である。
  • 暗号資産を金商法に取り込んでも伝統的有価証券のように「制御可能」にはならない。
  • DeFiやDEXへのシフトが進む中で、規制当局ができることは限られている。
  • 伝統的金融と異なるものとして、突き放す形での対応が必要なのではないか
  • 「成熟したブロックチェーン」を推奨するような形で投資を奨励することはリスクが高く避けるべきである。
  • 暗号資産投資は「公営ギャンブル」に近い性質を持つため、参加を望む人は自己責任で行えばよい。
  • 真っ当な投資家が被害に巻き込まれないよう、隔離的な制度設計が必要である。

全文今日の新聞にも金商法で、というのが大きく載っておりましたが、金商法で規制するのが既成事実であるという前提でお話させて頂きます。 BitcoinとかEthereumとかというメジャーな暗号資産が金商法か資金決済法かでそんなに変わるようには私には見えない。 もちろん規制の内容は違うが、今現在こちらでできていることとそんなに大きな差はないと私は考えていますし、逆にBitcoinやEthereumの取引について金商法がなにか出来ることがあるかと言うと、あまりないだろうと思う。そういう意味では、これをどちらへ移すかは決め事の問題だと思う。 ただ今日のお話の中でいくつかあった、IEOの話が出ました、昔はICOと言っていました。私はICOが流行った2017年ぐらいからICOのいろいろな事例をかなり詳しく調べていまして、ホワイトペーパーも随分たくさん読みました。その後トレースしていて、まぁ大体プロジェクトの7,8割は消えている。 今日たまたま資料2のJCBAがお示しくださった5ページに、トークンを活用した企業の資金調達について前回に引き続きもう一回掲載されたので、前回はあまり触れないでおこうかなと思ったが、流石に触れないといけないと思い、いまここにある上からPLTから始まってJOCまで、十いくつのトークンが並んでいるわけです。 今いくらになっていますか。コモディティ価格と連動したものは外しましょう。そのうえで、そうでないもので、公募価格を上回っているものは一個もありません。ひどいものはマイナス90%、95%といった値下がりがしています。ほぼ無価値になっているわけです。 さて、我々はこういうものをこれから金商法の世界に取り込もうということです。 業界の人が、主要な事例であるとして挙げたもののすべてが、公募価格を下回っているようなものを、これから我々は一般国民に投資対象として勧めていくわけですよ。 果たしてこれは、私からみると正気の沙汰とは思えません。 もちろん、日本のマザーズとかIPOの市場で公募価格を下回るものはザラにあるが、中には儲かるものがあるから市場というのが成立するわけですよね。 全滅ですよ。ただ、これ実は、こういう議論をするとよく聞くのは、暗号資産投資家の方々はそれを嫌がっては居ないのだそうです。 なぜかと言うと、売出価格からセカンダリに上がるときに一時的にぴゅーんと相場が上がるんですよ。上がったところで売れば儲かる、というビジネスがあったからこそICOは成立しました。その後のIEOも実は同じです。 それがDeFiに移ってDEXでやられても、それは同じことであります。つまり、これはよく我々はミームコインというものを資料の中でもあまりよろしくないものとして取り上げています。でも実質的にみんな本質は同じなんですよ。 事業がなにかあって、それを株式のような形の調達だと言いますが、結局一時的な値上がりのときに一瞬利益が出るかどうかということを狙っているものであるというのはこれらの本質ですよ。ただ、私はこれをあまり批判する気はない。こういうものだと思っている。これは何に似ているかというと、2021年にGamestop事件があった。あの時の議論と非常に似ているような気がします。この種の取引をしている人たちは、ネット上でSNSとかで集まってネタで投資を行う。そしてその時のノリでワーっと資金が集まり、それによって相場が変動します。その変動した相場によって利益を抜ける人は抜く。だけど本質はないですからそのうち消えてしまう、というのが別にGameStop事件というのは普通の伝統的有価証券である株式で起こった世界ですけれども、それでも起こっているわけです。つまり我々は通常の真面目な金融の他に、そういう、分散金融というのが正しいかわかりませんけれども、不思議な投資家たちが存在する世界が併存しているわけですね。併存しているその世界の人達も金商法という枠に取り込んで、それを真面目に議論しましょうと言うのですけれど、昔からネタにマジレスという言葉があるが、本人たちがネタで、ノリでやっていることに、いかほど我々が鹿爪らしい顔をして、いやこれは投資家保護で、これは情報公開がということを言って、いかほどの意味があるかという感じが私はしないではありません。 以前からお話をしていることですけれども、暗号資産はその本質をよく理解しないといけないと思う。我々は暗号資産をこういう規制に入れると、それが飼いならされて、いずれは伝統的有価証券や伝統的金融のようなものとして制御可能なのではないかと錯覚しがちですけれども、本質的にそれは無理だと私は思います。 無理なのですが、ただ今現在国際的にも実際そうですよね。米国や欧州の動きを見ても、ある程度目に見える範囲は規制しても、DeFiやDEXとかそちらは同仕様もないので手放さざるを得ません。本質がそちらに移っている以上、我々がそれについて出来ることはあまりないのだと思う。 その意味では、そういうある意味伝統的金融から異なるものとして、突き放す形での対応というのが必要なのではないか。それはそれで、素晴らしい、我々が関与して、これはいいブロックチェーンです、成熟したブロックチェーンです、だからこういうものは安心安全なのでみなさんこれに投資してくださいみたいなことを言うことは、それは極めてリスクが高い、それはやらないほうが良いです。そのうえで、投資をしたいという人を、公営ギャンブルみたいなものだから、投資をしたい人たちには投資をしてもらえれば良いんじゃないでしょうか。そのうえでその人達が何某かの立派な貢献をするということよりも、それによって、その人達が投資をすることに伴って値段が動いてそれがさらなる別の、例えば詐欺被害みたいなものにつながっていくことを真っ当な人たちがそういうものに入らないことに対する隔離みたいな形の対策を取るということが必要なのではないかと考えます。私からは以上です。

小川 恵子 公認会計士(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)

小川氏は、暗号資産の現物が金商法の対象となることや有価証券との非類似性、そして情報開示のあり方について意見を述べた。暗号資産は投資リターンを期待する性質が強く、金商法の投資性の理念と整合的であるとしつつ、有価証券とは異なり、権利性や収益分配性を持たないため「別枠での金商法対象」とする整理に賛同した。その一方で、暗号資産は決済・資金調達など多様な機能を拡大しつつあり、規制の明確化と横断的整理が必要と指摘。特に、情報開示制度については十分性・適時性・適正性の3点を重視し、ガバナンス・資金使途・役員報酬・外部監査・大口保有者情報などを含む幅広い開示を求めた。さらに、監査主体の独立性やガバナンス体制も信頼性確保に不可欠と強調した。

  • 暗号資産の多くはキャピタルゲイン期待による投資対象であり、金商法の投資性の理念と整合的である。
  • ステーブルコインが即時決済・低手数料を重視する一方、BTC・ETHは希少性やネットワーク信用を価値の根拠とする特殊な存在である。
  • 暗号資産は有価証券と異なり権利性・収益分配性を持たないため、有価証券とは別枠で金商法対象とする整理に賛同する。
  • 各種暗号資産の機能を明確に識別し、国が規制・開示の整合性を説明責任として果たす必要がある。
  • 1・2類型の制度設計が急変する市場環境に対応可能かは疑問であり、継続的議論が必要である。
  • 情報開示制度は「十分性・適時性・適正性」の3点を重視すべきである。
  • 開示すべき内容には、発行総量、供給スケジュール、技術基盤、資金使途、役員報酬、財務状況、外部セキュリティ監査の有無、大口保有者情報などが含まれる。
  • ガバナンス体制や意思決定における支配力も重要な開示対象である。
  • 高ボラティリティ市場に対応するため、迅速で適切な開示ルールが不可欠である。
  • 開示の信頼性確保には監査実施主体の独立性・客観性・十分な手続き・ガバナンス体制が不可欠である。

全文 ご丁寧なご説明ありがとうございました。本日は暗号資産の現物が金商法の対象となるか、また有価証券との類似性について、それに関わる情報開示について少しコメントさせていただければというふうに思います。 本日のテーマ、暗号資産の多くが投資リターンを期待した投資であり、金商法制定時に議論されていた金商法の規制対象とすべき投資性の考えとも非常に整合しているという点、これは一定程度賛同いたします。 ステーブルコインが割安な手数料で即時決済性を有する決済手段として期待されているのに対し、暗号資産は多くの投資家がキャピタルゲイン、すなわち金銭的収益への期待を持って投資している実態から、そのような整理は一定妥当と考えています。 ただ一方、先程ご説明がありました通り、各種資金源としての決済手段としての機能、資金調達機能など多様な機能について、今後さらに拡大していくと考えています。 規制の整理は資金決済法など他の規制との関係を含め横断的に明確にいかに整理していくかといったところ、非常に難しい点かと思いますが、明確性といった点は非常に重要かと思い、今後議論が必要かというふうに考えています。 また金商法対象規制にあたって有価証券との非類似性の考察についてですが、ビットコイン含む暗号資産についてはさきほどご説明があった通り、権利性、収益分配性というよりキャピタルゲインを原則として、発行体経営結果に基づく配当や利息、償還請求権などとは大きく異なると考えています。 特に裏付け資産について、法定通貨を裏付けとするステーブルコインや、金や不動産などコモディティを裏付けとする資産担保型暗号資産、またスマートコントラクト等の暗号資産担保型暗号資産、こういったものとBTC、ETHは大きく異なるということで、希少性やネットワークの信用・信頼性を価値の根拠とする、裏付け資産ではなく従来にはない極めて特殊性を有しているというように考えています。 よって資料ページ6にあったように、有価証券とは別の規制対象として金商法に位置づけることがだと言うという意見には賛同。 ただ一方で、有価証券とは別にどのような枠組みを設けるかという点は極めて重要かと思っている。 各種暗号資産の異なる機能がなにか明確に識別し、社会に与えるインパクトを十分理解したうえで、各種規制、それと開示の十分性について国としても説明責任を果たしていくことが極めて重要かと考えます。 本日ご紹介がありました米国事例のように、一定のリスクアプローチに基づくマジョリティモデルも一定有効化というふうに考えています。 ただ今回1,2の区分を設ける制度設計が、今後非常に変化の早いこういったビジネスにおいて実際に機能しうるのかという継続性について、ケイパビリティについてはまた重ねて議論が必要かと思っている。 最後に開示についてです。先程非常に特殊性があるということ、また投資家も従来の株等の投資家とは違うという話もあったが、リスクを明確に識別し、一定リスクをテイクする、そういったモデル、これに対して適切な意思決定ができるような適時適正な開示制度、これは極めて議論に値すると考えています。その中で3点、一つは開示の十分性、それから適時性、それから開示の適正性、これをいかに担保していくか、この3点についてが重要と考えています。 十分性については先程の各種機能のリスクに応じた発行形態、ブロックチェーンやスマートコントラクト等の技術基盤、発行総量やマイニング・ステーキング発行上限など、供給スケジュール、発行体の情報やガバナンス体制、資金使途、役員報酬、財務状況等々、もしくは外部のセキュリティ監査の有無もしくはコード、オープンソースの状況やハッキング対策といったところ、こういったところも幅広く、また大口な保有者がいると言ったところも、流動性、極めて重要だと思っています。 ボーダレスに動くということも考えますと、各種法規制に対するそれぞれのリスクといったところも開示上十分整備していく必要があるというふうに考えています。 十分性で先ほどJBAから少しご説明がりましたが、意思決定における支配力を含めたガバナンス体制についての開示、このお話は非常に興味深くお聞きしていました。過去連結財務諸表監査の議論のときにその範囲に関する制度設計で同じ議論になりましたけれども、実質支配力の定義は今後極めて重要になってくると考えています。次に、開示の適時性についても非常に速いスピードでボラティリティも大きい、こういった対象について、投資家の適切な判断に資する開示の適宜性、これに関するルールも極めて重要になってくると思っています。最後に、開示の適切性に関して、開示の信頼性を担保することが今後ますます重要になってくると考えています。 先ほど委員の方からもお話がありましたが、監査実施主体の独立性、客観性、監査手続の十分性、有効性、適正性、またその監査主体自身のガバナンス体制をしっかり担保する枠組みも重要かと考えています。

有吉 尚哉 弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)

有吉氏は、事務局が示した暗号資産を金商法の対象とする方向性に概ね賛同しつつも、規制対象とする正当化の根拠や発行者の位置づけ、業規制の設計について詳細な指摘を行った。暗号資産は有価証券とは別枠で金商法に位置づけることが妥当としつつ、金や外貨、トレーディングカードなど他の投機対象との違いを整理する必要性を強調。情報提供規制に関しては、単に権限を持つ者ではなく実際に資金調達を行う主体を発行者と捉えるべきであり、セカンダリー市場での売出し的取引にも開示義務が及ぶべきとした。また、業規制については第一種金商業に相当する規制を課すことに賛同する一方、暗号資産の特殊性に応じて兼業規制を慎重に設計し、イノベーション阻害を避ける必要があると指摘。さらに、JVCEAの人員不足を踏まえ、自主規制に過度に依存せず、当局が不適切行為に対する指導・処分を法令で担保すべきと主張した。

  • 暗号資産を有価証券とは別概念として金商法に位置づけることに賛同する。
  • ただし、他の投機対象もある中で暗号資産だけを規制対象とする正当化理由(投資対象性・流動性・取引容易性)を明確化する必要がある。
  • 発行者概念は「情報を持つ者」だけではなく「資金調達を実質的に行う者」の観点を取り込むべきである。
  • セカンダリー市場での売出し的取引にも情報提供義務を課す必要がある。
  • 業規制は第一種金商業を適用すべきであると賛同する。
  • 暗号資産は決済手段としての性質も持つため、従来型の兼業規制は慎重に設計し、イノベーション阻害を避ける必要がある。
  • JVCEAは日証協の1/10程度の人員規模であり、自主規制機関のリソースには限界がある。
  • 技術的審査等はJVCEAに委ねる余地はあるが、不適切行為への対応は当局による法令上の処分権限が不可欠である。

全文 有吉です。各団体・事務局からのご説明ありがとうございました。 私からは資料5番の事務局説明資料についてコメントすべきと思う場所を順次申し上げる。 前提として資料5の中で方向性が事務局から示されている内容については基本的に賛成。 6ページにある通り、暗号資産について有価証券とは別の規制対象として金商法に位置づけることには賛同いたします。投資を普及促進すべきかは非常に難しい問題だと思いますが、現実に暗号資産が投資商品として取引されている実態を踏まえると、金商法において規制対象にする発想が適切であると考えます。 ただその場合に有価証券とは別の概念にすべきということも賛同するところではあるが、その際に金や外貨やトレーディングカード等、世の中他にも、価格変動によるリターンを期待して取引されるものは色々と存在しているわけだが、その中で暗号資産についてだけ金商法で規制する、ということを正当化する理由はきちんと整理しておく必要である。実態として広く投資対象として取引されている、流動性が高い、取引がしやすい、といったことが正当化要素になりうるかと思うが、引き続き議論すべき項目だと思う。 次に、情報提供の規制について、14ページでご説明されている通り、暗号資産の分類をどうするか、誰を発行者と位置づけるかは非常に難しい問題だと思う。 その中で、発行者の位置づけについては、情報を誰が持っているかに加えて、正しい情報を誰に出させる責任を負わせるかという観点も考えますと、事務局説明資料でご説明されているような、権能という点にだけ着目するのではなくて、実質的に誰が資金調達をしているのかという観点についても、取り込んで考えていく必要があるのではないかと思います。 その際、関連論点として、先ほどJBAの加納様から非常に詳しいご説明があった通り、形式的にはセカンダリでの取引であったとしても、市場関係者による売出し的な取引について、適切な形で適切な人から情報提供されるということも必須だと思いますので、その点も含めて、プライマリというのかセカンダリなのかその中間的な取引を含めた情報提供のあり方を考えていく必要があるんだと思います。 それから販売に関連する業規制のあり方についてでありますが、先ほど加藤先生からお話がありました通り、業規制との関係でも発行者概念がどう影響するかということを十分頭に置いて、検討していく必要があるというふうに思います。 その際、ここはこういう考え方でよいか事務局にも確認したいところではございますが、既存の暗号資産交換業規制の枠組みと同じように、「発行者」が自己募集的に暗号資産を発行して販売すると、こういった行為についても、基本的に業規制の対象にしたうえで、他の業者に販売を委ねる場合には発行者の行為は業規制に対照しないと、こういう従来の暗号資産交換業規制と発行者による販売と同じような枠組みを現時点で金商法に移行するということをご想定かどうかということを確認させていただきたいというふうに思います。そのうえで、資料の20ページで、ご指摘されています通り、暗号資産の販売について、第二種ではなく第一種金融商品取引業を適用すべきであると、こういう考え方には賛同をいたします。 流通性もそうだと思いますし、一般投資家中心に千何百万口座開設されて取引されていることを踏まえると1種の対象とすべきと思う。 ただ一方で、現行の下でも暗号資産の証拠金取引は1種業でございますので類似の課題は生じているのだと認識しておりますが、一種業の規制の中で兼業規制については非常に慎重に検討する必要があるのではないかというふうに思います。暗号資産を投資商品と位置づけたとしても、主にデジタル空間での決済の手段であるという性質に変わりはないわけでございまして、そういった暗号資産を取り扱う業者というのは、従来の証券会社とはまた違う形でビジネスの展開をすでにされていたり、これからご検討されているということが往々にして考えられるわけだが、そういった中で従来型件業規制、証券会社を念頭に置いた件業規制が、イノベーションの促進を著しく阻害するということがないよう、制度設計を図る必要があるのだと思います。 また業者に対する広域生徒の関係につきましては、前回のご説明・質疑の中で、JVCEAの人員体制が日証協さんと比べても1/10程度であるというお話があったと理解している。自主規制機関ではあるものの人的リソースは限定的な状況であることを踏まえると、技術的な事故とか、すでに取り組まれている新規取り扱い暗号示唆ンの審査等の業務を引き続きJVCEAさんに委ねることはあり得るとしても、業者の不適切な行為についてはやはり当局に置いてしっかり指導処分ができるよう法令で定めていくことが必須であるというふうに思います。

伊藤 亜紀 弁護士(片岡総合法律事務所)

伊藤氏は、暗号資産を金融商品として位置付ける際に必要な制度設計上の論点を二点に絞って提示した。第一に、現行の資金決済法の「暗号資産」定義は決済手段としての観点に基づいており、発行者の有無や事業活動の有無、権利性や収益分配性といった投資保護に直結する要素を考慮していないため、金融商品としての再整理にあたり追加要素を検討すべきとした。第二に、情報の非対称性解消のためには単なる説明義務強化にとどまらず、信頼できる第三者が継続的に評価・提供する仕組みが必要であると主張。株式市場の注意喚起制度や債券市場の格付け機関のように、暗号資産市場にもセキュリティ評価や成熟度評価を担保する客観的指標が不可欠と指摘した。その上で、国内外における暗号資産の格付け機関や評価仕組みの有無について質問を投げかけた。

  • 規制対象範囲を定める定義は重要であり、現行資金決済法の暗号資産定義は決済前提であるため投資保護の観点が欠けている。
  • 金融商品として扱う場合、発行者の有無、資金調達・事業活動の有無、権利性や収益分配性といった要素を加味する必要がある。
  • 暗号資産は設計次第で多様な形態を取り得るため、保護対象やリスクに応じて定義を精緻化すべきである。
  • 情報非対称性解消には、発行者や交換業者の説明義務だけでなく、第三者による継続的・客観的な評価仕組みが必要である。
  • 株式市場の注意喚起制度や債券市場の格付け機関のように、独立性・中立性を備えた主体による情報提供が市場信頼性を高める。
  • 暗号資産市場でもセキュリティ面や成熟度の評価を行う客観的な指標と仕組みが必要である。
  • 国内外で暗号資産を格付け・評価する第三者的仕組みが存在するのか、その実態について情報提供を求めた。

全文 弁護士の伊藤でございます。まずは各協会の皆様、資金決済の利用実態について本日詳細をご教示頂きありがとうございました。 思ったより利用されているのだと言うのが印象である。前回申し上げた通り、決済インフラの可能性というのにも配慮いただいた制度設計を模索できればと思っております。 そのうえで、本日の議論、本日の議論は暗号資産を決済手段としての位置づけから金融商品として新たに位置付けし直すにあたって深堀りすべき論点を洗い出す場だと言うふうに私は理解いたしまして、事務局資料5を踏まえ、ポイントを絞って2点、コメントさせて頂き、2点目に関連して1点ご質問させていただきます。 1点目は事務局資料の9ページ、対象範囲の話です。規制見直しの対象を現行資金決済法上の暗号資産とする範囲については私も異論はございません。 ただ、現行資金決済法上の暗号資産の定義というのは、決済手段であることを前提として、他の決済手段と区別するような意味合いも踏まえた定義になっておりまして、金融商品として取り扱う場合には、他にも考慮すべき要素があるように思います。具体的には、例えば事務局資料の13ページに情報提供規制との関係で色々書いてあるのですが、情報提供規制との関係では、発行者の有無であるとか、資金調達・事業活動の有無というのは暗号資産の性質として重要な要素になってくる、でも現行の暗号資産の定義では考慮されていない要素になってきます。それから、ちょっと戻りまして6ページに、現在の有価証券と区分するような性質として、6ページ真ん中あたりに、権利性の有無、収益分配性の有無等も現在の定義上は考慮されていないけれども重要な要素ではないかと考えている。 例えば実際に発行者がいて事業活動を行う暗号資産については、それを権利・収益分配とまでは言わないまでも、それを投資のインセンティブとして、事業活動に関連した付加価値的なものを提供するケースもあろうかと思っています。現在の定義や規制の内容からすると、金商法の有価証券に該当しない限りこれは如何様にも設計しうるという前提になっています。定義を買えてくれと言っているわけではないのですが、定義規定というのは規制の対象範囲を隠してその対象の声質やリスクを分析したうえでそれにあった内容の法規制を当てはめるという意味で非常に重要だと思っていまして、仮に現行の資金決済法の暗号資産の定義を用いて金融商品としての位置づけをし直すということがあるのであれば、6ページで先程申し上げました要素であるとか13ページで挙げた発行者の有無といった要素については、保護すべき対象があるのかどうか、保護すべきような権利や価値があるのかどうか、規制すべきところがあるのかどうか、規制すべきところがあるのであればどのような形で反映していくのか、というのは今後も議論の必要があるのではないかと思っています。これが一点目です。 二点目、もう一度13ページを見て頂き、情報の非対称性の解消のアプローチについてです。 これは他の先生もおっしゃっていたことと同種の意見ではあるが、それぞれ説明義務・情報提供義務というのを強化していく方向性事態には異論はございません。 ただ、その上でそうした場合に投資家が投資判断をするにあたって。客観的で信頼ができる情報が継続的に提供されるのかどうかという点の議論を深めていかなければならないと思っている。冒頭に松尾先生がおっしゃったご意見が大変勉強になったのですが、例えば日本の他の金融市場を見たところ、例えば上場株式であれば、証券取引所が一定の条件を満たしたものについて注意喚起をする制度があったり、債券市場であれば格付け会社などが信用リスクを評価するという形で、専門性を有する第三者、独立性・中立性というような用語を松尾先生が使ってらっしゃいましたけれども、第三者的な主体が日頃から継続的に情報収集をして、分析をして、それを機動的に提供していく、ということで市場の信頼が確立されていっているんだと思っています。 翻ってこれを暗号資産を金融商品として位置づけるときに、どんな仕組みを構築出来るのか、すべきなのか、というところをもう少し考えていければなと思っています。 要素としては例えばセキュリティ面の評価、本日の事務局資料1にありました成熟度の評価など、何らかの要素を踏まえた客観的な指標というのが建てられるのかどうか、その場合、誰の分析・誰の評価であれば市場の信頼を得られるのかといったことは今後の議論の対象だと思っています。 これに関連しまして一点、もしご存知であればお伺いしたいのですけれども、国内・海外において、格付け機関のような、なにか第三者が暗号資産を評価するような仕組みというのはあるのかないのか、あるとしたらどんなものなのかをちょっと不勉強で恐縮ですが教えていただけますとありがたいです。

国内外で暗号資産を格付け・評価する第三者的仕組みが存在するのか、その実態について情報提供を求めた。

松尾真一郎委員は、格付けや評価をしたところは過去にあったが、今回論点になるような、客観性・中立性を含む基準そのものがまず議論されておらず、どういう基準で評価すべきかという視点をまず持つことが重要で、グローバル・国際的にみて中立である種の物差しになっているものは今のところないと認識していると回答した。

JVCEA 小田氏も同じ認識を示した。

松井 智予 東京大学大学院法学政治学研究科教授

松井氏は、事務局資料(特に14、20、24ページ)とJBAの議論を踏まえ、暗号資産規制に関する情報開示や業規制の課題についてコメントした。類型1の発行者定義が二種類含まれている点を指摘し、特に「コントローラー(分散が不十分な場合の支配者)」に関する情報は中立性確保の観点から重要だが、現状では交換業者も十分に説明できない体制であると述べた。また、類型2に移行後も再集中が起きる可能性(例:ハードフォーク後の状況)に対応する必要性を強調した。さらに、交換業者に対する業規制では、主要株主や兼業、業務範囲の規制・管理体制のチェック、大口顧客や発行者との独立性確保が必要と指摘。最後に、コイン自体の監査は難しいが、コインと業者の関係性については監査・検証可能であり、制度設計に活かす余地があると述べた。

  • 類型1の「発行者」には二つの定義(資金調達主体/コントローラー)が含まれている。
  • 分散不足の暗号資産においてコントローラーの存在や配分変更の影響は、中立性の観点から重要な情報である。
  • 現状では交換業者がセカンダリ取引に関して十分な情報開示体制を持っていない。
  • 類型2に移行後も分布再集中が起きる可能性があり、再び発行者的主体が現れた場合のモニタリング再開ルールが必要である。
  • ハードフォークなどにより類型2から類型1へ戻るケースを想定し、規制設計に組み込むべきである。
  • 業規制においては、交換業者の主要株主、兼業、業務範囲、業務管理体制のチェックが重要である。
  • 発行者や大口顧客との独立性確保も求められる。
  • コインそのものの監査は困難であるが、扱うコインと業者の関係性については検証可能であり、監査の活用余地がある。

全文 ここではJBA様の議論を参考にしながら、資料5の14ページ及び20、24ページについて意見を述べたいと思います。 実は冒頭にご発言のあった松尾委員とかなり被った意見ではないかと個人的には思っているのですけれども、今回14ページの類型1は、資金調達を行い事業活動を行う、発行者という定義と、暗号資産の生成やプログラムの変更等について独自の判断で実施できる者である発行者という、定義のに種類を含んでいるという書き振りになっていると考えました。しかし、開示については、今申し上げた類型1の後半の方については、すでに流通しているものを暗号資産交換業者が取り扱うこととした場合には交換業者が開示すればいいという整理になっているということでございます。 JBA様の発表において、特に分散が足りていないコインについてコントローラーが全体の配分を変えるようなことがあったとしても、そういった点について、現状セカンダリで暗号資産交換業者自身がそうした情報を説明できるような体制にはなっていないというふうに理解しました。 資金調達者と仲介者や資金管理者の中立性にかかる情報は、例えばREITやソーシャルボンドなど、様々な資金調達でどのように扱うか共通で問題になっているものではないかと思うが、暗号資産においては、この発行者や有力な保有者、あるいは広く分布にかかる情報というのは、こういった中立性の観点から重要なものではないか。そうだとすると、実際にこういった情報を提供できる主体が居ない、資金調達者もいないし暗号資産交換業者もそういう情報を管理できない、しにくいという事実があるとしても、もう少しなにか設計について考える余地がないか、というふうに感じたところである。 また、コントローラーがいなくなったあと、類型2の状況になった後について、発行開示の免除がなされるという議論が進んでいるが、暗号資産を買う人との対面的な問題として、なおなにかしら提供できる情報というのがある可能性はあるかと思っております。この点、先程の分布に関する情報というのは、ここで一度全て手を離れてしまうのだとすると、分散がおきた後再度集中が起きるということについて、どう対処するのか気になっていた。 実際どのような場合があるのかと思っておりましたが、先程松尾委員が指摘されました通り、ハードフォーク後に戻るというイベントというのはあり得るということではないかと感じましたので、類型2から発行者がいる状況に戻る場合にモニタリングを再開できるということについてどう対処するか、これも考える必要があると思っております。 それから20ページ、24ページについて、暗号資産交換業者についてもすでにご指摘があったように、業規制としての件業規制、あるいは取引所としての資産を預かっている場合の保護や、あるいはコインの発行者、大口顧客との独立性などは、確保している必要があるというふうに感じました。 今まで既存の取引所や業者の規制のやり方と同じであるかどうかはともかくとして、主要株主や兼業、あるいは業務範囲についての規制あるいは業務管理体制のチェックということが必要な場合というのがあるのであろう、と感じております。 監査について、どういうコインを扱っているのかという点についての監査は難しいという点がありましたけれども、扱っているコインと業者の関係については検証ができるかもしれないと思っております。

大槻 奈那 名古屋商科大学大学院マネジメント研究科教授

大槻氏は、暗号資産規制の在り方について、国際性・柔軟性・投資家保護の3点を大枠の視点として提示した。まず、国際性の高い市場特性を踏まえ、日本独自の厳格な制度は市場流出や潜脱行為を招きかねず、国際的な連携を重視すべきと強調。次に、金商法への取り込みには賛同しつつも、1・2類型区分や既存法制度との整合性については更なる整理が必要であり、将来的に見直し可能な柔軟な法体系を構築するべきとした。さらに、投資家保護の観点から、情報開示・教育・報道を強化し、不確実情報による詐欺被害を抑止する必要性を指摘。適合性原則の徹底を投資家のリスク選好度確認の機会と位置づけた。業規制については法令への引き上げに賛成し、資本規制や将来的な投資家補償制度の検討も必要とした。総じて、「どのような市場を作るのか」というビジョンを明確化したうえで制度設計を進めるべきとの立場を示した。

  • 自身は昨年「資産運用タスクフォース」に参加しており、暗号資産についても黎明期から金融市場の視点で関与してきた立場である。
  • 格付けの取り組みに関わった経験があるが、暗号資産の格付けは非常に難しいと感じた。
    • 理由は、通常の金融商品と異なり情報開示が乏しく、外部から把握できない部分が多いためである。
    • プラスアルファの要素が加われば格付けは可能性があるが、公的機関や業界団体が担うのは難しいと考える。
    • 信用格付会社に在籍した経験からすると、格付けは民間からデファクト・スタンダードとして自然に発生するのが妥当である。
  • 暗号資産市場は国際性が極めて高く、日本のみの緻密な制度は市場流出や潜脱行為を招きかねないため、国際連携が不可欠である。
  • 金商法への取り込み自体には賛成であるが、既存法制度との整合性(資料8・21ページ等)や類型1・2区分の有効性については整理が必要である。
  • 将来の業界変化に対応できる柔軟な法体制と、数年後の見直しを可能とする仕組みを制度に組み込むべきである。
  • 投資家保護が肝であり、詐欺被害の元凶の一つが不確実情報であると考えている。情報開示・教育・報道の水準を引き上げることが必要である。
  • 投資家適合性原則の義務化は、投資家自身のリスク選好度を再認識する機会として重要である。
  • 業規制の基本方向性には賛成であり、自主規制から法令レベルへの引き上げが適切である。
  • 金商法上の資本比率規制は安全性確保に有効であり、取引所には特に重要である。
  • 将来的には、預金保険制度や証券業協会の保証制度のような投資家補償制度を検討する価値がある。
  • 最終的には「どんな市場を作りたいか」というビジョンを共有し、それに沿った制度設計を行うべきである。

全文 初回に欠席しましたので、すこし戻ることもあると一言申し上げたうえで今日の各論でご意見を申し上げたい。 総論、私はなぜここにいるかというと、資産運用のタスクフォースに昨年参加させていただいておりましたし、暗号資産について比較的黎明期から金融市場の観点からみていた立場でお話をさせていただきたいと思います。 自分の意見を言う前に、格付けについては、その一環で、数年前にトライするチームに居たことがあるのですが、正直すごく難しかったです。 それは開示がとても普通であれば外からは見えないからということで、それに何らかのことがプラスアルファで加えらるのなら、ありうる選択肢だと思っています。ただそれを公的なところがやるとか、協会がやるというのは、また別の観点から難しいのかなという形で思いますし、信用格付の会社にいたものとしては、本当はデファクト的に民間から発生してくるのが正しいと言うか、比較的妥当な形の対応ができるのではないかなと感じています。 全体感として私の考えるところとしては、やや大きな話になってしまうが、まず第一に、法改正については国際性をもって議論すべきである、それから、第二点目として、柔軟性をもった法体制にすべきである、第三点目に、どんな市場にしていきたいか、ということを改めてWGでの議論を踏まえたうえでしっかりと方向性を示した上で、故にこういう法改正になる、ということを示していくのがよろしいのかと思った。 もちろん今までも、金融審議会等でやっているとは了解しているが、今日の議論だけでもだいぶいろいろな論点が出てきたので、それも整理したうえで、どういう市場を作るためにこういう法制にするのである、ということを改めて明確にするのが良いのではと思った次第です。 各論についてお話したい。 1点目、国際的視点と先ほど申し上げたが、松尾先生からも冒頭ありました、国際的に連携しないと、株式とか他の市場に比べても圧倒的に国際性が高く、壁が低いですから、日本だけで緻密な形の法体制を作ったとしても、それによって市場のパワー、モメンタムが他国に行ってしまうようであれば本末転倒ではないかと思いますし、いろいろな潜脱行為等も含めて国際的に捉えるべきということで、今の連携の状況について別途教えていただければと思っております。 2点目、総論から、情報提供の部分までについて、金商法に取り込むことについて全く異論はなく、賛成したいと思います。 暗号資産については投機的で実態がないということもあるかと思います、それについてのご懸念もいろいろな形で提示されていて、そこについても同意を一定程度するのですが、そもそも投資というものは、必ずしも実体経済と密接に関わる必要があるのかどうかということについてが疑問でございまして、むしろ個人的には、為替が投機対象になって、市場に実体経済が振り回される方が、むしろ市場としては望ましくないかもしれない。これは金商法とは別のレイヤーの議論かもしれませんが、そういった意味で、投資の対象としての暗号資産がある程度デファクトとなっているこの状態においては、ご提案の通り、金商法に取り込んでいくということに賛同します。ただ、既存の法制度との、対象について8ページ目、21ページ目に記載していただいていますが、それとの整合性と今後のあり方についてはこれから深掘りを是非お願いしたいと思っております。それからその一環として情報開示について、区分について、これはアメリカ型もあるし、今回の1,2類型は実務家の方々からもいろいろな意見があるというふうに今日も理解したところでございますので、もう少しここについては改めて整理をしていただければと思っていますし、最初の方にも申し上げました通り、これから、エボルビングな業界でありますので、より将来の、数年後の見直しができるような柔軟な法体系と、その見直しの仕組みをしっかりと枠組みのなかに入れておいてほしいなと思っております。 それから、第3点に投資家保護の観点でございます。ここが肝だと思っていて、情報開示、報道、教育ということすべてをレベル感をエンハンスしていくことが必要で、結局前回のときにもあったというふうに聞いていますけれども、詐欺被害、その元凶の一つもこの不確実な情報が入り混じっているということだと思っていますので、これをどうやって深めていくのかということは重要だと思います。 それと同時に、今回の法の見直しでもって、2017年のときのような、法改正がお墨付きのような形で理解をされていくのはよろしくないと思いますので、情報、教育のところについてと、同時にそのあたりの情報のあり方ということをしっかり議論していくべきではないかと思っております。 そしてそこにも関連するが、投資家自身のリスク選好度について、適合性の原則について、この義務化というのは、投資家自身の自分のリスク選好度の再認識の機会にもなりますので、これについては徹底していただければというふうに感じています。 最後に業規制についてですが、方向性については、基本的には酸性でございます。先程何人かの委員の方からも意見がございましたけれども、自主規制のところと、規制を改めていくところというのはマンパワーの件等々も含め、よりレイヤーを上げていくような、法の方に飲み込んでいく形が適切なのではないかと思う。 金商法の資本比率の規制についてということも、取引所については、考え得る安全性を担保するということで重要かと思いますし、もうちょっと市場が成熟してからの話になるかもしれないが、一定程度の利用者保護という意味では、預金保険の制度ですとか、証券業協会でも一定の保証制度がありますので、そういった投資家が情報の非対称性から逃れられなかった損失の補償制度についても若干将来の課題として、議論しても良いのかなと思っています。 それらすべて含めたうえで、どんな市場にしていきたいのか、様々なステークホルダーのニーズも踏まえたうえでの議論をしていければというふうに思っております。

松尾 健一 京都大学大学院法学研究科教授

松尾健一氏は、情報開示規制の目的は「投資家が正しい価値を把握すること」よりも「詐欺や不公正取引の抑止」に重点を置くべきだと主張した。資金の目的外使用や大口投資家との利益相反といったリスクを例示し、資金使途の継続開示や利害関係の透明化を求めた。また、暗号資産の分散度が低い場合には、発行や売出しに関して情報開示義務を課すべきとした。価格決定については、日本では相場操縦規制が障害となり柔軟な方式の導入が難しいため、ガイドライン整備で新たな方法を模索できる環境を作るべきと提案した。さらに、業規制に関しては第一種業相当の規制導入に賛成しつつ、自主規制機関のリソース不足を踏まえ、公的エンフォースメントの補完範囲を広げるべきとの有吉委員の意見に強く同調した。

  • 情報開示規制の目的は「価値の正確把握」ではなく「詐欺・不公正取引の抑止」に重点を置くべきである。
  • 資金の目的外使用を防ぐため、調達資金の使途を継続的に開示・モニタリングさせるべきである。
  • 発行者や売出し主体が投資家と異なる利害関係を持つ場合には、その関係を開示させることが必要である。
  • 暗号資産の分散度が低い場合には、発行・売出し双方に情報開示義務を課すべきである。
  • 価格決定の公正性確保にあたって、日本は相場操縦規制が障害となり柔軟な方式の開発が難しいため、ガイドライン整備で新方式を模索可能にすべきである。
  • 業規制は第一種金融商品取引業と同等にすべきである。
  • 自主規制機関(JVCEA等)は日証協と比べ脆弱であり、公的エンフォースメントで補完する範囲を広くすべきである。
    • この点については有吉委員の意見に強く賛同する立場である。

全文 まず私からは情報開示規制について一つ申し上げます。こちらは、投資家との情報格差を解消するということが目的としてあげられていますけれども、暗号資産については、価値についてなにか情報を開示したからと言って、正しい価値にたどり着きやすくなるということではあまりないのではないか。むしろ、ここでの情報開示、情報格差の解消の目的というのは、今日のJBAさんの報告が非常に参考になったが、詐欺的な行為、不公正な取引を予防する、そういったものを抑止することに重点を置いたほうが良いのではないか、というように感じました。 その意味では、一つの詐欺的な類型としては、調達した資金を目的外に使用している行為がある、ということですので、これは調達した資金を使う権限のあるものに継続して使徒の状況を開示させてモニタリングすることが重要かと思う。 もう一つは、一般の投資家とは異なる利害関係を持っている人が暗号資産を発行なり、売出しをする場合で、その場合に広い意味での一般投資家との利益相反の問題があるのではないか、ということが示されていたかと思います。こちらも、そういった利益相反の抑止に伴う不公正な取引の抑止という観点から、発行する者、売出しを行う者に特に開示すべき利害関係がある場合にはそれを開示させていくことが重要ではないかと思います。 これについては、発行のみならず売り出し、証券で言うところの売出しに当たるような場合についても、少なくとも暗号資産の分散度が低い間は何かしら情報開示義務を課すべきではないかと感じました。 それから、少しずれるが、発行価格・売出価格の公正性を担保するというところでは、海外の例を見ますと、ダッチオークション方式ですとか、様々な価格の決定方法が模索されているところであるのに対し、日本の場合は相場操縦規制が障害になってこの点の柔軟な方法の開発が難しいというようなご意見も出ていたかに思いますので、そこら辺についてはガイドライン等で整備して、柔軟な方法の発見・作成の妨げにならないようにしていただきたいという点が一つです。 最後に業規制について、有吉委員がおっしゃった通り、一種と同等の業規制を課していくことに賛成ですが、自主規制と法令レベルでの法的なエンフォースメントの役割分担を考える際に、自主規制機関が日証協と比べて非常に脆弱であることからしますと、公的なエンフォースメントで補完すべき範囲がかなり広くなるのではないか、広くすべきである、という有吉委員のご意見に強く賛同いたします。

河野 康子 一般財団法人日本消費者協会理事

河野氏(日本消費者協会)は、暗号資産やweb3を成長戦略に位置づけるのであれば、政策の基盤としてまず利用者保護を重視すべきと強調した。特に、投資熱が高まる可能性がある税制改正(課税見直し)の動きに触れ、詐欺被害や金融リテラシー不足に対応する制度設計が必要と指摘。有価証券とは異なる規制対象として金商法に位置づけることには賛同しつつ、責務の所在や税務報告義務など実効性ある枠組みが重要とした。また、情報開示規制や業規制の方向性には納得感を示し、信用を醸成するためには事業者の性善説に頼らない強制力あるルールが不可欠と主張。最後に、IT・デジタル資産管理の専門人材や専門部署を金融庁内に確保・整備する必要性を提起した。

  • 暗号資産やweb3を成長戦略に位置づけるならば、まず利用者保護に注力すべきである。
  • 税制改正で課税見直しが行われれば投資熱が高まり、詐欺被害や金融リテラシー不足への対応がより重要になる。
  • 金商法で有価証券とは別枠の規制対象とすることに賛同する。
  • 説明義務や適合性判断の責務を誰が負うか、税務当局への報告体制をどう整えるかを明確にすべきである。
  • 情報開示・提供規制や業規制の方向性には納得感があり、信用醸成には強制力あるルールが必要である。
  • 事業者の性善説に依存せず、強制力を持つ制度によって市場の健全性を確保すべきである。
  • 金融庁には、デジタル資産管理やIT分野に精通した人材や専門部署を早期に確保・設置することが望ましい。

全文 日本消費者協会の河野でございます。 ご説明ありがとうございました。専門的知識が十分にあるわけではございませんので、金商法での規制を前提とする各論点についての判断は容易ではないが、国として暗号資産やweb3を成長戦略の中に位置づけ、法律や税制の見直しを進めるのであれば、そうした政策の基盤としてまずは利用者保護に注力すべきだと思っている。 関連していくつか見解を申し上げたいと思います。まず、金融庁様から先週末、令和8年度税制改正要望の中で、暗号資産取引にかかる課税の見直しを要望項目の一つとするという報道がございました。税率改善が望めるとなると、投資熱は高まるはずです。資料4ページの金融サービス利用者相談室に寄せられている暗号資産に関する月平均300件以上の相談の大半は詐欺的な暗号資産投資の勧誘や取引等に係るもの、となっていることから、特に個人投資家のデジタル資産についての金融リテラシーの不足や、市場の不安定さを補完することに力点を置いた制度を整えることで、混沌の中でトラブルに陥っている現状の改善となることを期待しております。 次に6ページの有価証券と別の規制対象として金商法に位置づけることが適当ではないか、には賛同いたします。実態とするとデジタルデータである暗号資産の特性に応じた効果的な規制の方法を考えていただきたく、今後、説明義務や適合性判断などの規制が課せられるとしても、どの場面で誰がその責務を負うのか、また、税務当局への報告義務の体制はどう作られるのかなど、ルールを整理する際には、実効性と効力を考慮した対策として頂きたいというふうに思っております。 3点目として、事務局からお示しいただいた、情報開示・提供規制、それから業規制については、提案の方向性に納得感がございます。現時点でその分類方法ですとか、発行者の確定などについての議論はあるにしても、暗号資産の価値を支える信用を社会的にどう醸成していくか、事業者の皆さんの性善説だけに頼らないような、一定の強制力を持った整理が必要であると思います。 最後に、そうした事情を考えると、金融庁様においては、デジタルデータによる資産管理に資するIT分野に知見のある人材の確保とか、専門的な担当部署が現在あるのかどうか、もしそのあたりに不足があるとすると、その設置を早期に検討していただくのも良いのではないかというふうに思ったところです。

河村 賢治 立教大学法学部教授

河村氏は、金商法の特徴は「市場法」であり、市場メカニズムを通じた公正な価格形成を確保する点にあると強調した。有価証券と暗号資産の違いや類型1・2の区分に応じた規制は必要だが、その根底に「価格形成力・価値の源泉を支配する者が情報開示義務を負う」という共通理論を据えるべきだと主張。株式では会社法や開示制度によって市場の公正性が担保されているのに対し、暗号資産は自由に作れるため、より充実した開示が必要と指摘。暗号資産の機能・数量・プロジェクトの有無などが価値の源泉であり、特定の者がそれを支配する場合はその者が開示義務を負うべきとした。また、コード自体が価値の根拠となる場合は監査・公開の仕組みが重要であるとし、大口保有者や関係者取引の規制も価格形成の公正性確保に不可欠と述べた。海外法制(CLARITY法案等)も参考にすべきと提案した。

  • 金商法は消費者保護法ではなく「市場法」であり、公正な価格形成の確保が本質である。
  • 有価証券と暗号資産の違いや類型1・2の区分に応じた規制は必要だが、共通理論として「価値源泉を支配する者が情報開示すべき」という考え方を基盤に置くべきである。
  • 株式の場合、株式会社が価値の源泉であり、会社法や開示規制で市場の公正性が担保されている。
  • 暗号資産は自由に作成可能であるため、より充実した開示が求められる。
  • 暗号資産の価値源泉は機能・数量・プロジェクトの存在などにあり、それを特定の者が左右しているなら、その者が情報開示を担うべきである。
  • 機能や数量がコードで規律されている場合は、そのコードが価値の根拠となるため、監査や公開の仕組みが必要である。
  • 公正な価格形成を確保する観点から、大口保有者や関係者の取引規制も重要である。
  • 海外法制(CLARITY法案等)も参考とし得る。

全文 ありがとうございます。河村です。 一つだけですけれども、資料5、14ページに関連するところになります。 金商法の中に入れると言ったときに、もちろん投資者保護の視点が大切になるわけですけれども、私はやはり金商法は他の消費者保護法と違うのは、市場メカニズムを通じて公正な価格形成を確保する、市場法であるということが大切なんだと思っています。 その意味では、有価証券と暗号資産の違いであるとか、あるいは類型1と2の違いであるとか、そういうものがあって、それに応じた規制をかけていくのはそのとおりであるとしても、基礎理論としてはなにか共通の考え方みたいなものがあって良いのではないかと思っています。 その観点からは、価格形成力あるいはその価値の源泉を支配する力を持つものが情報開示をすべきである。 例えば株式であれば、それを生み出す株式会社がまさに価値の源泉になっているわけでありまして、その株式会社の仕組みは会社法の中で規律されていて、上場会社になれば適時開示や大量保有報告書などの規制がかかっていく中で、その株式市場の公正な価格形成というものが確保されているんだろうというふうに思っています。他方で、暗号資産はそれを生み出す仕組み自体含めて、非常に自由に作れるわけですから、非常に充実した開示が一層求められていくのだろうと思っています。 暗号資産の価値といった場合には、その暗号資産の機能、数量、もしプロジェクトに紐づけられているならそのプロジェクトが重要になるが、それらが誰か特定の者に左右されているのなら、まさにその者が価格形成力、価値の源泉を支配する力を持っているわけですから、その者に情報提供させるというのが必要になってくるのだろうと思いますし、仮に機能であるとか、それから数量というものがきちんとコードによって規律されているんだということになってくると、そのコードそれ自体が暗号資産の価値の源泉、仕組みになっていくわけですから、それをきちんと監査して公開しているものになっているかどうかというものが大切になっていくんだろうというふうに思っています。そういう意味で、色々違いはあるとは言え、価格形成力、価値の源泉を支配する力を持っている者にきちんと規制をかけていくということが大切になっていくと思っています。そういう意味でいうと、公正な価格形成の確保という点でいうと今日お話があったような大口保有者であるとか、あるいはその関係者の取引規制であるとか、こういうものも重要になってくるというふうに考えていまして、この点に関してはどうなるかわかりませんけれどもCLALITY法案含めた海外の法制というのも参考になる部分があるのではないかと思っているところです。

佐古 和恵 早稲田大学理工学術院教授

佐古氏は、暗号資産に関する資料を見ていく中でいくつかの驚きを示しつつ、制度設計に対する懸念を表明した。特に、投資家の大半が小口(10万円未満)であることから「投資対象化の進展」が実態として過大評価されているのではないかと疑問を呈した。また、国内で400銘柄近く存在する暗号資産のセキュリティメカニズムや信頼性を誰がどのように評価しているのかについて不安を示した。さらに、日常生活で「暗号資産を買おう」という広告を目にする中で、金融庁の制度設計が誤って「暗号資産=健全な投資対象」というメッセージを送るリスクを警戒。若者が軽い気持ちでリスクの高い暗号資産に参入することを防ぐためにも、規制のあり方には慎重であるべきとの立場を述べた。

  • 暗号資産投資家の8割以上が10万円未満の小口投資であり、投資対象化の進展は過大に評価されている可能性がある。
  • 暗号資産が400件近く存在するが、それぞれのセキュリティメカニズムや信頼性を理解して投資されているのか不安である。
  • 日常的に「暗号資産を買おう」という広告が出ており、制度設計が誤解を与えるリスクがある。
  • 金融庁の規制が「暗号資産は投資対象として健全」という誤ったメッセージを発することを懸念する。
  • ビットコインやEthereumは仕組み的に興味深く、生き残ってほしいが、他の多数の暗号資産まで一律に投資対象と見なすのは危険である。
  • 若者が安易にリスクの高い暗号資産に参入することを防ぐためにも、規制・制度設計には慎重さが必要である。

全文 ありがとうございます。私も1回目、欠席してしまったので自己紹介兼ねて、私は暗号技術や認証技術、特にVerifiability、検証可能にする技術について研究しています。 本日は資料1と2で実情の情報を教えていただいてありがとうございました。感想なんですが、驚いたことが2つありました。 一つは資料1の5ページですが、暗号資産投資家の8割以上が10万円未満だということです。ということは、先程岩下先生もおっしゃられたように、ちょっとスマホの中にお金を入れて、かっこいい暗号資産を持ってみようかなという若い人たちも多く含まれているんじゃないかというふうに思うと、今回の資料で、暗号資産の投資対象化の進展というのが、本当にそうなのかというところには、ちょっと疑問を持っています。 もう一つ驚いたことが、同じく資料1の6ページ目で、暗号資産が400件近くあるということで、私は授業でビットコインの仕組みを教えているが、EthereumもPoSになってなかなか仕組みが複雑になっているところ、この400件、一体どんなセキュリティメカニズムでどう信頼できるもので動いているんだろうかというところを、理解して皆さん暗号資産を見ているのかな、というところが不安になりました。 驚いたことの3つ目は、今日ここに来る前だったんですけれども、地下鉄に乗ったら、「暗号資産買うならここで」という広告が大きくでていて、あぁこれからこの議論するんだけどな、と複雑な気持ちで見て参りました。 ビットコインやEthereumなどはメカニズムとしても面白いので、生き残ってほしいなと個人的には思っているんですけれど、ほかの300いくつもあるものも、暗号資産だと金融庁が投資対象に資するものだと誤ったメッセージを送ってしまうと、広告をみて、暗号資産こんなのも新しいのをやってみようと思う若者が増えないことを祈って、今後の議論に参加していきたいと思います。以上です。

暗号資産が400件近く存在する

この点について、JVCEAの小田氏は、「388件と数字が書いてあるが、同じ銘柄も含んでおり、今の段階で日本に上場している銘柄は全部で105銘柄である」と修正した。