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金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第6回)@ 2025/11/26

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開会

(森下座長)

それでは定刻より少しだけ早いですがお集まりですので開催します。ご多忙のところお集まり頂きありがとうございます。出張でオンラインから参加させていただいています。本日は議論を取りまとめた報告書案についてご議論いただきたい。そのまえに、セキュリティ強化への取り組みについてJVCEAよりご説明いただく。また、JVCEAより、JCBA, JBAとの連名で規制見直し等に係る取組姿勢についてご説明いただく。その後ご質問をいただく。続いて事務局より報告書案について説明の後、討議。

ヒアリング

JVCEA 小田

はじめに、本日森下座長からご紹介がありましたが2つの点についてご説明させて頂きます。セキュリティ強化について。

資料1

ヒアリング資料①

p.2 セキュリティに関して当審議会でも様々なご意見を頂戴した。常にハッカー側が進化をしている状況、常に業界として恒常的なセキュリティ対策が求められる。

p3 松尾先生、金融庁よりご指摘があったが、3つの観点が重要だと考える。自助共助公助の観点で業界のセキュリティ水準を向上する。自助は業者がセキュリティ水準を向上していくことが大前提として重要。それに加え、共助、暗号資産業界として色々連携し、認定自主規制団体として自主規制規則やガイドライン等の見直しをしていく、また現行存在するセキュリティ委員会を更に重要な位置づけとし、外部有識者に基づく運営を中心にしていくなど体制変更し、セキュリティ委員会を重要な位置づけとしていく。セキュリティ関連団体と連携しセキュリティに関する水準を高めていくことが重要であると考えている。これに加えて、公助、政府レベル、当局と連携しながら、公助によりセキュリティ水準を向上していく、この3つが重要であると考えている。

p4 特に情報共有機関としてJP Crypto ISACとの連携が重要になると考えている。海外の最新のセキュリティ対策情報を共有いただく、サイバー犯罪やハッカーの情報を共有いただく、交換業者に加えウォレット事業者、チェーン解析業者、セキュリティ事業者等で意見交換がされているので、JP Crypto ISACを中心とした様々な情報共有機関に交換業者が参画するよう推進してまいりたい。また、JP Crypto ISACの事務局に確認したところ、個別会員のセキュリティ情報が事務局や会員へ開示が強制されることはないということは確認しているのでその点は共有させていただく。

資料2

ヒアリング資料②

続いて資料2に移ります。

こちらは暗号資産業界の取り組み姿勢に関して、審議会に参加している3団体、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)、JCBA、JBAの3団体で、改めて暗号資産業界としてこれからしっかりとした取り組みをしていこうと意思表明させていただく内容となっている。

p2 今回の金融審議会においても様々なご意見指摘をいただいた。5つの点が重要対応事項と考えている。

p3 1点目、利用者保護の徹底。利用者保護は、暗号資産に関しては価格変動が大きいことに加え、暗号資産特有の様々な問題点があると考えている。そうした中で重要になるのが、しっかり利用者に対してこういったリスクが存在するということをしっかり説明すること、また利用者が余裕資金の範囲で取引を行うことが重要であると考えている。そうした観点から業界として、JFLEC活動に他業態を参考に貢献するとともに、利用者に暗号資産に関して正しい情報を提供していくことを貢献してまいりたい。また交換業者による顧客に対する適切なリスク説明を実施し、適合性の運用を徹底的に強化していくという対応をさせていただく。

p4 続いて、暗号資産審査に関して、これまで以上に、第三者による中立的な暗号資産委員会を設置し、暗号資産審査の独立性をさらに高めたい。

p5 不公正取引に関する点。不公正取引に関しては、今後暗号資産が資金決済方から金商法に変わっていくことを考えると、これまで以上に抜本的に体制強化していく必要がある。不公正取引に関しては、JVCEAに売買審査担当部門を設置し、会員企業から情報収集した後に、JVCEAでしっかりと公正取引の監視をしていきたいと考えている。参考までに、取引審査するにあたり、閾値等についてはJPX-Rさんの取り組みも参考にしながら、適切な閾値を設定していきたい。不公正取引を検知した場合は証券取引等閑視委員会とも連携していき、不公正取引の監視を強化する対応をさせていただく。

p6 暗号資産流出に備えた対応。セキュリティ強化が一番大事だと思っている。そのうえでさらに、責任準備金の積立をしていく。内容についてはこいれから当局と連携しながらどういったものにしていくか考えていきたいが、責任準備金の積立も対応していくことを表明する。

p7 改めて、認定自主規制団体が重要であると考えている。ガバナンス強化をしていくため、必要な人員を確保していく、そのために会費収入を拡充することを含め、財務基盤を強化し、人員の質と量を適切に確保していく。その覚悟を持っていま申し上げた対応をしていきたい。

質疑

  • 河村 委員
    • 資料1のp3、「将来的には国際的なセキュリティコミュニティに参加できるような人材を作り出し」、と書いてあるところ、私も大変重要な課題と思っている。大学教育者としての視点からの質問になってしまうが、たとえば教育機関と連携して講師を派遣するであるとか、オンデマンドとかオンライン講座を提供するであったり、なにかそういう連携も考えておられるのか。
    • 資料2p5、不公正取引の審査強化について、例えば、インサイダー取引を事前に予防する仕組みとして日本証券業協会が事業主体となって運営するJ-IRISのような仕組み、規制対象車の情報を登録して照合して、当該者が取引するときにアラームを出していくような仕組み、そういったところもまで考えておられるのか。
  • JVCEA 小田
    • 教育等連携していくか、現段階で具体的な検討はしていないが、そういったことを柔軟に対応していきたい。
    • ご指摘いただいた点、資料p5の業界としての対応3ポツ目に記載しているが、仮に特定の暗号資産交換業者で不公正取引があった場合、他の業者でもチェックするという記載がある。まさにそういった点で、他の業者参考にしながら適切に対応していきたい。
  • 永沢 委員
    • 利用者保護の観点から4点お願いに近いもの。既に設置されているかも知れないが、一般的な金融商品の紛争に関しては金融ADR制度が充実している。協会での金融ADR設置の予定について伺いたい。暗号示唆ンの紛争に関しては消費者センターでは対応しかねるものがあるので、かなり強化頂く必要がある。
    • 2点目、あえて教育という言葉は使いたくないと思っている、まずは啓発。報告書30ページにて、保護法益として、国内交換業者の提供する取引の場の公正性、健全性に対する利用者の信頼を確保すると合意している。国内交換業者で取引することが大前提であることを、御協会にもメリットになると思うが、これを広く国民の皆さんに周知徹底していただきたい。昨日JFLECに訪問して話を聞いたが、JFLECも協力する方向性で用意いただいていると聞いている。教育ではないが、国民の健全な資産形成を、妨げるという言い方をすると申し訳ないが、王道はそこ、暗号資産の姿勢についてはJFLECともよく協議し、どう国民に理解いただくのがいいか話していただきたい。
    • 3点目、広告において一部問題があるという認識を持っている。今回報告書でもまとめていただいているが、リスク説明ができたり顧客適合性をしっかりやっていただけるということで合意している。広告のあり方については資料の中にも広告はきちんとやっていただけると書いてあるが、強くお願いしたい。
    • 最後に、私は不用品交換CtoCプラットフォームで自分のいらなくなったものを処分しているが、そのサイト上で暗号資産をプレゼントということがよく行われている。国民が広く口座を開いた背景にはこうした働きかけもあったからではないか。金商法に位置づけられたときに、このような形での国民の暗号資産の取得が放置されていいのかどうか疑問に思っている。顧客適合性の話が一方であるのに、ポイントと同様の形で、軽くみんなが口座を開く道筋があるというのは、ちょっとよく業界で考えていただきたい。
  • 有吉 委員
    • 1点だけ、日本において暗号資産交換業界、あるいは暗号資産取引を適正化を諮っていくことについては、業者間の協調や共同ということも非常に重要。業者の間で仲良しでやってくださいと言うつもりはないが、セキュリティの資料でも記述があった通り、共助の発想はとても重要。そうした中で、セキュリティ分野に必ずしも限らないと思うが、適切な範囲で情報や知見を業者の間でしっかり共有することが非常に重要である。くれぐれも過度に業者が利己的になったり、今日も3団体にご参加いただいているということで、複数の重複するような業界団体・組織が存在している状況だと思うが、そうした中で主導権争いになったりしないように気をつけていただきたい。本日の資料2が三団体共同で提出されているのは、協調を進めていくということの1つの現れかと思うが、是非そういう発想で引き続き取り組んで頂きたい。
  • 大槻 委員
    • 2点。後半は大きな話だが、1点目は細かい話として教えていただきたい話として、1点目、資料2の6ページ目、流出に備えた対応、業界としての対応の中で、自助についてはわかるが、共助公助の精神でやっていくということについてもう少し細くいただければと思う。セキュリティのところは協会としてやっていかれるところはあると思うが、それに対する準備のところというか、対応策としての、何らかのいざというときのお支払いについては、あくまで自助なのか、それとも協会としての何らかのパッケージを作るのか、あるいは一部で最初の頃の資料に出ていた保険を使うのか、そこら辺を整理いただければというのが一点。
    • 2点目、適合性原則についての確認だが、これは、今から新たに強化をするなかで、すでに口座持っている方々が適合性に合致しているのか、合致していない場合はどうされていくのかについて、今の段階でのお考えを教えて下さい。そして全体感としてはワーキングの途中でもお伺いした、キャパシティのところでございます。相当これからやることは重たくかつ多いというふうに認識をする中で、いま有吉先生からもありましたが、三団体一体となってもまだまだキャパが足りないのではという印象を持つが、どういうふうに体制を確立されていくのか。優先順位を含め教えて下さい。
  • JVCEA 小田
    • 今3点ご指摘頂きました。はじめに資料2p6、責任準備金の件。詳細内容は当局と詰めていきたいと考えているが、基本的には、それぞれの会社がそれぞれの状況に応じて責任準備金を積み立てていく。または何かあったときのための盗難保険を適用していくことと考えている。
    • 適合性について、取引開始の段階だけではなく、常に取引状況によっての見直しをやって参る。正確に言うと現状でしっかり対応している会社、できていない会社あるのではないか。そういった観点では、まずはしっかり取引開始だけでなく運用、取引状況に応じた対応をすること、これによって対策が図れると考える。
    • 3点目、たくさんやることはたくさんあるがやっていけるかという点は、当然ながら対応していくということを考えている。資料2p7に記載させていただいたが、今後こういった体制を取っていくに当たって、現行でJVCEAで、確か第3回か4回で説明させていただいたが、大体今年間4億円円の会費でやっているが、これを引き上げていき、会員に負担もいただいて会費収入の拡充を行ってしっかりとした対応を考えていきたい。
  • 大槻 委員
    • 適合性については、そうしますと、これから、今しっかりやっていないところについては改めてやっていきます、その中で合致しない場合はどうされるというお答えだったのか
  • JVCEA 小田
    • この点に関しては今後、協会からのモニタリング監査等も会員に対して行う。その中で、しっかり適合性取るために会員企業に対して体制強化を依頼していくということになっていくんじゃないかと考えています。
  • 大槻 委員
    • なかなかいまいまの時点でわからない所も多いのだと思うが、適合性の原則を守ることを決めるなら、現時点でそれに満たない投資家さんについて、どうしていくかについて協会でDiscussionを深めてほしい。
  • 松尾真一郎 委員
    • セキュリティのことは私がだいぶコメントしたので、最後にコメントさせてください。方向感としてはいい方向感になってきているのだと思う。大槻委員のコメントに合ったように、これが回るのか、というのがあると思うが、ISMSの考え方は、現場で回らないとセキュリティは逆に弱くなるということ。現場で回るセキュリティのあり方をみんなで考えることが重要だと思いますので、JVCEAさん、あるいはCrypto ISACさんとも一緒に考えるのかも知れないが、そういう方向で目指していっていただきたいと思う。これも以前申し上げたが暗号資産交換業界以外にセキュリティエキスパートがたくさんいて、そういう人たちとも上手く連携する、あるいはそういう人たちの信頼を得てお互い助けていただく関係を外とも作る、ということをお願いしたい。

事務局説明

金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(案)

討議

岩下 直行 京都大学公共政策大学院教授

業界ヒアリングを踏まえたうえで、基本認識について短く述べた上で、報告書案への意見を述べます。暗号資産交換業界は10年ほどで急速に発展したぎょうかいです。しかし伝統的な金融の各業態のように、自ら商品を設計して、市場構造とか安全性への影響力を行使して発展してきた業態ではない。主要な暗号資産は海外の開発コミュニティで設計され海外の市場で価格形成されていて、国内の交換業者はそれらを輸入して国内に仲介する立場でした。だからこそビットコインの値上がりに乗って急速な発展が可能だったといえると思う。もちろん国内の業者さんが管理できる領域、サイバーセキュリティーや勧誘の適正性であるとか顧客保護などは極めて大事です。しかし、暗号資産市場を実質的に形成しているのはグローバルかつ匿名のオンチェーンの市場で、国内で、政治的に(?)整備した箱庭のみでは全体のリスク構造は変えることはできないというのが制度論の前提として共有する必要がある。また今日話題になったAML、マネーロンダリング対策であるとかは、国内業者のオフチェーン取引と、オンチェーンの取引が重層的に取引されて、結果として様々な不正な取引が行われる事象も多数確認されていますので、これらについては、伝統的な金融機関が真摯にマネロン対策に取り組んでいることと比べて、暗号資産交換業者界の取り組みが劣ることのないようにしっかり見ていくべき。顧客管理についても、先程の業界ヒアリングに対する永沢委員からのご指摘にもありましたが、これまで暗号資産交換業者さんが行われてきた各種プロモーションの中には、ギャンブル的な投資行動を助長するものが少なくなかった。この結果若年層を中心に短期的な値上がり益を狙う投機と、真っ当な投資とが混同されている状態があるように思われる。この点については制度変更後の取引実態も踏まえ、監視と制度へのフィードバックが必要。更に申し上げれば、国内交換業者のメインビジネスはメジャーな暗号資産の取引であるはずですよね。方々、不祥事や消費者被害等が最も多く発生してきたのは私が観る限りICOやIEOの領域。賢明な交換業者であればこの領域に深くコミットすることなく、このリスクをしっかり考えた上で、安易に新規トークンを取り扱うことを安易に成長戦略として考えずに、しっかりとした投資家保護の考えを持って頂く必要があるのではないか。こうした全体の暗号資産の取引実態を踏まえると、伝統的な金融の担い手や規制関係のアカデミや、消費者団体の間に、暗号資産に対する警戒感や違和感が強く存在するのは率直な事実。私も伝統的な金融とパブリックチェーン上の分散金融が本質的に交わる未来は現時点では想像しがたい。しかし一方で存在するものを無かったことにはできないし、投資主体がいる以上、最低限の保護と制度的な関与は不可避です。したがって規制が及ぶ範囲だけ適格に規制を課して、規制ができない領域には過大な期待を与えないことが制度構築における最重要な原則であると思います。今回の報告書には、これまで私も述べさせていただいております国内規定の、射程(?)が限られていること、オンチェーン、オフチェーンの区分があって、あるいはIEOに構造的なインセンティブ構造の問題があるということ、そして制度が介在しうる範囲が限定されてこと等が相当程度織り込まれておりました。この点は評価したい。とくにIEOについて、情報開示しても商品特性そのものが改善されずインセンティブ特性が変わらない限り、過去の問題が再発される可能性が高いという点が、適切に記載されていることは報告書としては誠実性を担保する上で極めて重要だと考えます。ただし、今回の制度整備がやはり、とはいってもお墨付きと誤解されるリスクは依然として大きいと考えている。総括の部分で制度の限界と制度外領域の残存リスクを明示して、過大な期待を与えない、という表現は今、原案では堅持されていますけれども、引き続き堅持されたい。暗号資産市場は制度がコントロール出来る領域とできない領域が明確に分かれている市場であり、構造的実態を正直に示し制度の限界を隠さず公表することが国民に対する誠実な対応であり、今回の報告書案はその方向性を概ね踏まえていると評価しています。引き続き制度の射程と限界を過小に評価すること無く現実的に意味のある議論を進めていくことが大事と考えている。

松尾真一郎 ジョージタウン大学研究教授/バージニア工科大学研究教授

まずはパーミッションレスでイノベーションの可能性に溢れた技術領域を基盤として、グローバルに見ても利用が拡大しており、一方で国益を含めて、国内の安心安全を守っていく、さらには技術やサービス開発の進展がまだまだ急である、こういう領域でのルール作りをこのグループで今の時点で取りまとめたことについて、事務局をはじめとして大変なご苦労があったと思います。まずは感謝申し上げます。このワーキンググループの初回の資料にございました諮問文には、国内外の投資家において暗号資産が投資対象と位置づけられる状況が生じていることを踏まえ、利用者保護とイノベーション促進の双方に配意しつつ、暗号資産を巡る制度のあり方について検討を行うとありました。これまでの私の発言、そしてこのワーキンググループ全体でも、この双方の観点に十分な配慮がされたものであったと考えています。このワーキンググループに与えられた検討の前提、我々の仕事の前提というのは、暗号資産が投資対象と位置づけられる状況への対応でしたから、金融インフラとしてより確かなものにするにはどうしたら良いかを真剣に考える必要があった。私の場合アメリカで、ブロックチェーンの技術とガバナンスに関して、あるいはサイバーセキュリティーの専門家として仕事をしておりますので、いかに日本のブロックチェーンエコシステムが日本国民の安心安全と国富を守り、同時に国際的にも優位性を守れるかを考えることが、このワーキンググループにおいて重要な使命でした。このような前提を置くとすれば、今回まとまった報告書は、現時点での国際的な状況を勘案しても、もちろん今後の進展には柔軟に対応できることは当たり前として、妥当であると考えます。もしこの考え方が規制上重い、業界の存続に関わる、という発言が出るのであれば、それは技術やエコシステムが未成熟だと、言外に言っているのに等しいわけです。しかし一方でそれはイノベーションの伸びしろがあるということも示している。利用者保護とイノベーションはバランスではなく、両立することが基本です。むしろ両立できてこそイノベーションです。このことを忘れてはいけなません。今後、この報告書の方向性の下に金商法だけでなく、様々な法令やガイドラインの検討や整備が行われることと思います。その整備の過程の中で、新しいイノベーションの伸びしろがあり、グローバルに活躍することも含めて業界の皆様の可能性があると考えています。私からは、そういう金商法の議論にとどまらない一分野として、暗号技術の鍵管理について、ルールと技術開発の面で詰めなければいけない2つの例を述べたい。鍵管理が重要な理由は、ここが暗号資産のセキュリティ、プライバシー、AML/CFT、利用者保護、そしてビジネスモデルの交差点であるからです。これは規制当局、技術者、事業者、そして我々全体の宿題です。最初のわかりやすい例が暗号資産の相続です。暗号資産の所有者が死亡し、その資産を相続するときに、どのように署名鍵を渡せばいいでしょうか。代表的な暗号資産では鍵に紐づくSeedフレーズを所有者しか知らないということが、そのセキュリティの基盤の1つになっています。しかし所有者が突然亡くなった場合、当然そのSeedフレーズは相続人に引き継げません。一方で相続人は暗号資産を引き継げなくても相続税の対象となり、その存在を認識していない場合でも課税対象になる旨の政府参考人による国会答弁もあり、申告漏れがあれば延滞税等のリスクが生じ得ます。つまり現状の暗号資産の技術は相続という極めて一般的な資産的手続きが困難な資産です。既にこの問題の解決策を研究して発表している日本企業もありますが、このようなケースへの対応は法的にも技術的にも未成熟です。しかし相続できない資産が国民の資産形成に資するものなのかどうかは、十分に考える必要があります。ブロックチェーンが新しい技術であるが故に、所有者が亡くなったケースは多くなく、一般的・社会的な問題として顕在化していないだけです。もう一つルール上の未整備が指摘されている例があります。それはコインチェック事件で流出したNEMコインのマネロン幇助に関する令和6年の最高裁判決です。9.11のテロ事件以降、金融システムにAML/CFTという考え方が当たり前になりました。しかしビットコインをはじめ多くの暗号資産プロトコルにはその考え方が設計上組み込まれていません。そしてコインチェック事件で流出したNEMを購入した者が、電子計算機使用詐欺罪と、犯罪収益等収受罪で起訴され最高裁判決で有罪が確定しました。しかしここで技術と法制度の間に極めて重要なギャップが存在することが、この最高裁判決では明らかになりました。このNEMの流出事案では、犯人はダークウェブ上で流出NEMを販売し、この購入者がそれを受け取ったわけですけれども、暗号資産プロトコルの設計上、署名が正しければそれが正規の所有者による取引であるかどうかを判別できません。言い換えればプロトコル自体には本来の所有者、盗難という概念は存在せず、犯人が盗んだ署名鍵で送金しても、ブロックチェーン上の記録は数学的に完全な「真正の取引」と扱われてしまいます。まさにNot your keys, not your coins.という言葉が示すように、暗号資産の世界では鍵が正しいかどうかしか検証しません。ところが最高裁が暗号プロトコルの技術的前提ではなく、社会的・法律的前提に基づき、正規の鍵保有者が署名したと信頼される仕組みを悪用した、という評価を行いました。つまりは技術的には見分けがつけられないのにも関わらず、犯人が発信した取引を虚偽の情報と位置づけ、更にそれを受領した者についても、価格の異常さやダークウェブ上の流通状況、流出アドレスの公知性などの外形的状況から、盗品として受領した、つまり情を知って取引をしたと推認するというロジックを採用しました。これは裏を返せば暗号資産プロトコルは鍵の保有者=正当な保有者という前提に依存している一方、法制度は、鍵が正しいだけでは不十分で、所有者概念はブロックチェーンの外部から補わなければいけないという状況になっているということです。最高裁判決はその矛盾を埋めるために、「本来の所有者」というブロックチェーン内部には存在しない概念を導入せざるを得なかった、とも言えます。その判断は法制度としては合理性がありますが、技術設計の観点から見ると暗号資産プロトコルが本来想定していない層の価値判断を後付で持ち込んだものであり、今後の制度整備においては避けて通れない論点です。特にトランザクションが数学的に正しいことと、法的に正しいことが一致しない場合、プロトコル設計、鍵管理、所有権の概念とどこで整合させるのか。法律と技術の双方での議論が求められる段階に来ています。つまりこの最高裁判決は暗に新しいルールと技術開発を要請していると受け止めるべきです。 暗号プロトコルにおいて鍵管理の世界は深遠です。それは暗号プロトコルの研究は安全な鍵管理を仮定として置いてしまうからで、そうしないとプロトコル自体に安全な数学的証明をつけることができないからです。先の2つの例は多数あるうちの単なる例に過ぎません。サトシ・ナカモトは、鍵管理が実はビットコインを利用したシステムの障害点になる、ということをその論文には書きませんでした。ブロックチェーンと暗号資産を誰もが安心して使えるようにするために、我々の生活のあらゆる場面で適切な鍵管理がなされるようにすることは、サトシが姿を消して本人が中央という存在ではなくなり、ビットコインが今回の類型2になって以来、我々に残された宿題です。今日は取りまとめの日だけではなくて、宿題を全員で解いていく最初の日であるということを申し上げます。以上です。

小川 恵子 公認会計士(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)

短期間でこれだけ多くの論点をしっかりまとめて頂き心より感謝申し上げます。まず最終案、この報告案について述べさせていただく。出発点として、p4に暗号資産を巡る喫緊の課題を取り上げて頂き、利用者保護、取引環境整備の観点からさらなる対応の必要性を謳っていただいた上で、最終ページに、今般の見直しが、我が国の暗号資産取引市場の健全性を一層高め国際的にも信頼される市場となることを期待したいと言った取りまとめですね、これ全てこの通りかと考え、本最終案に賛同いたします。今後、実体経済の発展・進展に伴い、継続的に醸成されていくものと期待しております。最後に当方から3点ほど述べさせていただければと思います。まず1点目、一義的な監視機能として規制団体への期待が非常に高まることになる。国として暗号資産取引市場の健全性を担保する1つの枠組みとして、自主規制団体の監視機能をもって説明することになるため、当局としても、自主規制団体のガバナンス、監視体制、監視機能の有効性をしっかりモニタリングしていただくこと、これを期待します。サイバーリスク、巧妙化する販売、これの深刻さが日々増す中で、自主規制団体において、投資対象としての安全性に対する説明責任は今後さらに増していくものと考えている。一方で自主規制団体が発展していく過程にまだおりますので、リソース、態勢面、それから各種制約と言ったものは否定できないかと思っており、引き続きそうしたものへのチャレンジが続くものと考えます。国含め、多方面から必要な協力・サポートを仰がれ、公助、共助を推進して頂き、こうした金融市場の発展とともに、自主規制団体の今後、大いなる発展、これを心から期待するところでございます。 次2点目、特に問題と認識しているものが、海外かつ非上場取引のものがいまだ大半を占めるという現状、これは引き続き大きな課題として残ると言ったところ、これは否めません。やはり今後裾野を広げていき増加していくと想定される投資家に対し、暗号資産投資のリテラシーの向上、これについての絶え間ない活動は引き続き極めて重要と考えます。国・自主規制団体ふくめ、社会全体での課題として継続的取り組みを強く期待する。最後にクロスボーダーのリスク顕在化について、国際協調をもって適宜監視し、協力して解決する具体的な国際的枠組みの進展についても今後さらに期待をするところでございます。私からは以上三点になります。

有吉 尚哉 弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)

報告書の取りまとめ誠にありがとうございました。特に今回丁寧にコメントを反映していただいたことについて心より感謝申し上げます。私も本日のこの報告書案について、内容についてこれ以上のコメントはございません。ただ、ルールの枠組みについて提言がまとまったということではありますが、具体的に法令化するに当たってどういった条文になっていくのかまだ見えないところも多くあるように思いますし、情報提供の具体的な細目や、責任準備金の計算方法などの詳細な内容は、今後事務局の皆さんで詰めていただくということだと思いますので、法令化にはまだ険しい道が残っていると感じるところでもあります。事務局の皆様のさらなる頑張りに期待したいというふうに思います。そのうえで、2点ほどコメントを申し上げたいと思う。一点目は、インサイダー取引規制や適時の情報提供の関係でございます。報告書案の内容について、追加で何かということではないわけですが、結論として暗号資産のセキュリティ上の欠陥であるとか、ハードフォークの発生といったような、暗号資産自体に関する情報というのは、インサイダー取引規制における重要事実に該当したり、適時開示における情報提供が必要になる事由に該当するということになるのだと思うが、一方で、そういった情報を一部のコミュニティに属する人だけが認識している状態、そのコミュニティが仮に当該暗号資産の運営に非常に近いコミュニティであったという場合であったとしても、そのコミュニティに属する人が必ずしも気勢対象者、インサイダー取引規制の規制対象者にならない、というよりむしろならない場合のほうが大半であろう、という制度設計だろうと思いますので、結果として、暗号資産に固有の情報、これは重要事実に当たるとしても、そういった情報を持っている人が、そういうことを知らない人と取引をしても、インサイダー取引規制の対象にはならないというケースが、おそらく結果として大半になるんだろうと理解しました。そうした状況についてどう考えていくかというのは非常に難しい問題だというふうに思いますし、一般的な啓発の中で取り組む面もあるだろうと思いますし、適時の情報提供を厳格に運営していくという方法もあるんだと思いますし、また、報告書の中でも取り上げられているように、不正行為の禁止に関する一般規制の方で対処できる場面もあるのかも知れませんが、そういった観点について実務的な対応、これは規制される側、規制を受ける側の両方の実務的対応も、今後検討を深めていく必要があるということと共に、不正行為の一般規制でどういったものを規制していくのか、ということについては、このワーキングにご参加の先生方含めて、学者の先生方に、理論面も今後深く検討していっていただきたいというふうに思ったというのが1点目のコメント。2点目のコメントは、これまでの会合でも度々申し上げたことであるし、先程岩下先生も強調されていたことであるが、くれぐれも今回の取りまとめが暗号資産にお墨付きを与えるようなことにならないようにする、ということを改めて留意いただきたい、ということ。こちらも報告書の内容にこれ以上書き足すということよりは、むしろ、おそらく報告書の概要紙のようなものもお作りになるのではないかと思うが、そちらでもしっかり強調されたり、それから、金融庁の皆さまがメディア等でご説明をされるに当たって、その点をしっかり強調されることが重要ではないかと思う。その際、この場では議論の対象ではないわけですが、暗号資産に関する税制の取り扱いについての見直しの動きというのもおそらく並行して進むんだと認識しているが、そういった事があったとしても、金融庁としては暗号資産に対してお墨付きを与えるものではないという立場をしっかり堅持していただいて、うまく説明をしていただくことが非常に重要だと思うので、その点も強調させていただきたい。私からは以上です。

大槻 奈那 名古屋商科大学大学院マネジメント研究科教授

全体には非常にバランスが取れた内容だということを個人的には思いますし、これ以上の加筆のお願いはございません。今回の議論では、改めて様々な他の金融商品と暗号資産の違いが浮き彫りになったこと自体が非常に大きな前進だったのではないかと思っている。今後、先程有吉委員からもありましたけれども、金融庁さんの方で法律案を取りまとめていかれるのでありましょうし、政令等も進めていく中で、今回ここの場では意見が別れた点も多かったと思いますが、マイノリティの意見も、いくつか私も含めて、あったと思いますが、そこについても重要性等も考えて、是非これからの法改正に、法律の制定に当たっては、ご検討に入れていただければと思っている。そのうえで、いくつか今後の課題ということでコメントしたい。第一に、先程も申し上げたようなエンフォースメントと、それから具体化という問題でございます。これはさっきも申し上げたので省きます。第二に、国際的な整合性です。文中にも何度もこれについては確認の意味、ピン留めのような形で書いていただいているので、そこは十分期待をしたいと思います。特に最後の35Pで相互主義の下で調査協力の体制づくり、とある。G20、及びそれ以外の新興国も含めて、この分野については様々なプレーヤーがーいるので、それらに対して日本がこれだけのものを作るのだから、リーダーシップを取って進めていっていただきたい。第3に、今後の柔軟性です。先程皆さんからも出た準備金の細目、それから銀行の保有についてでございますが、今回解禁ということで、投資についてもこの中では提案されているわけでありますし、ちょうどバーゼルの1250%のリスクウェイトについても見直しの可能性が報じられているという中で、金融機関がこの金融資産について避けては通れなくなるような将来像というのも、もしかしたら他の委員からそうではないかもという意見も他の委員からありましたが、私は十分考えていくべき未来像だと思っています。そういう中で、銀行がどういう形の運用体制を持っていれば、リスクウェイトはもしかしたら引き下げられるかも知れませんが、その中であっても、投資を出来る、してもいいというふうに、なっていくことが出来るのか、そういったことはおそらく、金融庁さんとハンズオンで現場の方々と詰めていただくことが必要になるのかなと思っております。そして最後に今回の範疇外なんですが、暗号資産のETFについて、一言。機関投資家が今後最初に考える投資のスキームとして、やはり暗号資産ETFということになろうかと思うので、ここについても並行して進められる上では、国際的な規制との整合性、それから投資家のニーズと合理性について、十分考慮して実態に即するものにしていっていただければと考えている。以上です。

伊藤 亜紀 弁護士(片岡総合法律事務所)

事務局資料の報告案については、本ワーキングの議論が的確に過不足無く反映いただいたものと考えております。賛同いたします。ありがとうございます。大変多岐にわかる論点を本当に丁寧に拾っていただいたと思っています。ありがとうございました。そのうえで、私からは感想のようなコメント1点と、今後のお願いを1点、合わせて2点申し上げたいと思う。まず感想めいたことではあるが、今回の報告案で、事務局からもご説明があった通り、投資あるいは投資家という言葉と、取引あるいは利用者という言葉の使い分けを丁寧にされております。これを見て改めて考えさせられるものがありました。というのも、脚注3、事務局からもご説明がありました通り、基本的に利用者という用語を用いて、投資家という言葉を限定的に用いることとしている、というところ、もちろんそれで良いと私も考えます。その意味合いが重要なんだろうなと考える次第でして、本日含めて何度も委員の先生からご指摘がありました通り、規制を見直すことは、暗号資産投資にお墨付きを与えるものではないと、この言葉の使い分けの意味合いというのは、この一節に集約されていると理解している。ここは非常に重要な点と認識している次第です。ワーキングの議論でも、暗号資産について、投機対象であるとか、詐欺的とか、テロ資金といったネガティブワードがたくさん登場したと記憶している。これから行われる規制整備を出発点として、こうした環境が少しずつでも改善して、リスクを承知しながらも伝統的資産との大体制、オルタナティブ性に着目した、合理的な投資判断ができる対象として、暗号資産が位置づけられていくことをワーキングの議論に加わった者として期待したいと思います。二点目は今後のお願いです。今回の報告書案の内容を、このあと法改正、あるいは政省令ガイドライン、自主規制機関の規律として設計されていくものと思います。この際には、暗号資産交換業者の実務を踏まえて、持続可能なルールメイクをぜひお願いしたいと思います。健全な取引環境の整備として構築するために、現時点で考えられる方策というのは、この報告案で議論がかなり尽くされ、内容が反映されていると理解しておりますが、これは非常に多岐にわたりまして、直ちにすべてを実現していくことは難しいのではないかと考えています。現に大勢の利用者がたくさんの財産を投じているという事実がありますので、そこをまず最優先としなければならない。ですので、制度整備、それから運用を、あまりにも運用の完璧さを急ぎすぎるあまり、国内の市場がシュリンクしてしまっては本末転倒だと考えておりますので、今後のルールメイクに当たっては、報告書案の柱となっている利用者保護、それから取引環境の整備、という2つの柱を整備して、優先度の高いものから段階的なアプローチを設計いただくことも一案かと思って改めてお願いする次第でございます。そのうえで今回の報告書案では、重要な課題がいくつか積み残しになっております。例えば、情報提供の内容の正確性、客観性の担保に係る第三者評価、それからオンラインで行う金融取引に関する適合性原則の確保、といった積み残し、そして先程大槻委員がおっしゃりました通り、諸外国で実現している暗号資産ETFを我が国でどう考えるのか、といったことも重要な検討課題であると認識している。直近の、今回の規制整備が実現した後、速やかな検討が開始されることを期待しています。私からは以上です。

永沢裕美子 Foster Forum(良質な金融商品を育てる会)世話人

まず最初にこの度のWGに参加させて頂きまして、参加させていただく段階で暗号資産の規制見直しに参加することの責任を非常に感じておりました。いろいろな多岐にわたる論点について、事務局には丁寧に情報提供いただき、的確にまとめていただいたことを感謝しておりますし、また、前回も申し上げましたが、我々の正直なところ、懸念、それから戸惑いというものも、そういったところの表現に、大変気を使っていただいたことにも深くお礼を申し上げたいと思います。そのうえで私も3つ、お願いをさせていただきたいと思います。まず第一は、有吉委員他の先生もおっしゃっていることですけれども、決して暗号資産にお墨付きを与えるのではない、金融庁の立場としてはそうであるんだ、ということを、報告書だけではなく色々なところで、説明いただくときには示していただきたいということをお願いしたいと思います。2点目は、自主規制機関へのお願いになりますけれども、今回、本日の資料の中で、自助・共助・公助という観点から体制整備を進めていかれることについてお話をいただいたが、自助・共助はもちろんですが、公助を入れていくことにあたりましては、ガバナンス、それから運営の透明性、説明責任というものを十分に果たしていただきたいということをお願いしたいと思います。3点目になります。これは金融庁の事務局へのお願いというよりも、立法府の先生へのお願いになるのかも知れないと思っております、報告書案について私は全面的に賛成でございますが、また、p25注83に入れていただいただけでもありがたいと思っているが、今回の金商法の改正や、業界自主規制機関の取り組みを拡充することによって、国内の交換業者で取引をする利用者の保護は、これまで以上にレベルアップするものと思うのですが、またその上、報告書案では無登録業者への対応もしっかり書いていただいておりますけれども、もう一つ欲しいところは、厳罰化というところでございます。十念に引き上げていただきたいというところを重ねてお願いしたいと思っております。報告書のp3で金融サービス利用者相談室に寄せられる苦情相談の大半は詐欺的なものであるということが書いてありました。私は国内の登録業者がそんなことをしているとは思っておりませんので、そうなるとこれは無登録業者による被害だと思っておりますので、これが非常に大きな問題であるということ、それから今回ワーキンググループに参加させていただいて新たに気づいたこととして、無登録業者が闇組織にお金を流している、ということも恐らくだと、私は実態はわからないが、先生方のお話をお聞きしておりますと、闇組織にお金が流れている、これもあるんだということもわかりました。無登録業者はそういったことを幇助しているというか、助けているということを考えると、やはり放置してはならない、こういう無登録で事業を、勧誘行為を行うものに対しては、割に合わないようにしていくことがとても大事だと思っておりますので、金融庁の報告案としてはこうだと思うんですけれども、このあと国会でも審議が行われると思いますけれども、暗号資産の無登録業者に対しては特に強く厳罰をお願いしたいと思っております。私からは以上です。

松井 智予 東京大学大学院法学政治学研究科教授

報告書を非常に丁寧に取りまとめ頂き、ありがとうございます。既に他の委員も補完すべきガイドラインや解釈論の必要性についておっしゃっておられましたし、本報告書でもアップデートが必要という点、繰り返し言及されておりますが、報告書の外で、どういうように暗号資産を取り扱うであろう分野について少し注などに記載してもよいかなと思いました。この報告書のスコープについては36ページにおいて触れられているように、今回、国内の交換業者が通常の取引を行う場合を念頭においているものではありますが、暗号資産は決済手段としても使われておりまして、決済における需要が金融資産としての価値を左右する可能性があります。この点、暗号資産は匿名性が高いところから、近年ランサムウェアの支払い手段として指定されることも多いと言われており、本ワーキンググループでもそうした点について言及がありました。そうした大口の決済が内容を示さずになされる事態に対して、追跡性を高めるような、特にFATFの観点からの規制は、将来的に追加的になされるといった可能性があり、そういったものというのは、本ワーキンググループの報告は金商法からの観点の報告書であるという点を少し注記するということが考えられるかと思ったところです。匿名性の高い決済の需要が金融商品の価値を左右する可能性というものについて、現時点では恐らく考える必要性というのはあまりないのかなと思っており、本報告書との関係がありそうな、修正が必要そうな部分はないかなと思っております。1つの例として、p31重要事実の公表前の売買禁止があるが、理論的には、例えば企業が匿名で大量のコインを調達して決済する、そうせざるを得ないような自体に追い込まれる、といったような場合、企業に対して取引情報を一般に公表するということを求めることは、対応を難しくさせる可能性があり、また、暗号資産の価値が高騰すれば、犯罪者側にウィンドフォールを与えることになってしまう、という点でも望ましくないというふうに思います。この点、ランサムの支払いは、流通量の大きなコインのほうが安全であると思いますから、恐らく企業が発行済暗号資産の20%を占めるような大規模な調達を行って、ランサムを支払う事例というのは、事実として存在しないでありましょうし、あるいは、既に1079ページ(報告書案33ページ1079行目の言い間違いと思われます)に検討していただいているように、決済として必要な資金の移動である以上、重要な事実と関係なく決済を行ったであろうという立証が可能なため、適用除外となる、という形の考え方になるのであろうというふうに思いますけれども、このように引き続き、場面を特定したうえで、詳細な解釈論を深化していくことが必要である部分というのはあるだろうと思いますので、引き続きそういった点、ご対応をお願いしていきたいと思います。以上です。

松尾 健一 京都大学大学院法学研究科教授

私も今後の法案化、あるいはその後の運用において是非考えていただきたいことを1つ申し上げます。他の委員からもありましたけれども、課題が多いので、優先順位をということがありましたけれども、私は是非、無登録で暗号資産取引の勧誘を行う者、あるいは投資助言を行おうとする者の規制というか取り締まりを、是非最優先にやっていただきたいというように考えております。先程永沢委員からもご指摘がありましたけれども、個人の非富裕層の取引参加者が多いという暗号資産の特性からしますと、こういった詐欺的な取引に巻き込まれるリスクというのは非常に高いのが現状で、それが喫緊の課題の中でも最優先の課題だと個人的には考えている。そこの規制取り締まりを是非やっていただきたい。方法としては、厳罰化のご提案もありましたけれども、ここはイタチごっこというか、取り締まる側の人的資源の限界のあるところでもありますので、報告書で提案されている民事効のところで、こうした無登録の業者との取引は無効であるということにして、一般の市民からの責任追求といいますか、エンフォースにも期待したいところで、是非この民事効を定めるという方向は維持していただきたいというように考えております。以上です。

河野 康子 一般財団法人日本消費者協会理事

暗号資産に対する法規制の取りまとめにあたって、事務局をはじめとして、関係者の皆様のご尽力に心から敬意を申し上げます。取りまとめられた内容で、必要かつ十分か、という問いには、他の委員の先生方からもご指摘があったところですけれども、いまできる最善を追求した結果として、報告書に列挙されている各対策については賛同いたしますし、書かれている内容が、確実に実行に移されていくように、迅速な対応を期待しております。報告書において、利用者と投資家とを区分いただいたところですけれども、一般消費者にとって、名前は聞いたことがあるけれども、技術や仕組みなど、本質が理解されているとは言い難い暗号資産取引を行うには、その前提として適切に取引環境が整備され、利用者保護が図られることは必須要件です。特に、貯蓄から投資へと政策が後押ししており、国民の投資への意識や実際の行動に置いても、敷居が低くなってきている状況においては、リスクを認識する機会として、この取りまとめというのは、まさに時宜を得ていると思っています。議論の開始時点では、この分野の進展を阻害しないようにリスクテイクすべきだという言及もありましたが、今回のような環境整備を行い、暗号資産を一人前に扱うことで、不安や不信を取り除くことこそが、暗号資産の適性で健全な進化を担保することになるのではないかと思います。そのうえで、取りまとめで最も期待していることですが、これまでも何人かの方からの発言があった、無登録業者による悪質な勧誘による詐欺的な被害への対処です。悪意を持って行う不正行為というのは、十全から数多く発生しており、ことさら暗号資産だから、ということではないと考えますけれども、p25に記述いただいたように、この分野の罰則強化や、民事効規定の創設を強くお願いしたいと思います。同時に、簡単に儲かるというような甘言に騙されないように、消費者側としても一定のリテラシーを備える必要があります。金融庁様、消費者庁様や、その関連機関、地方公共団体、そして今回この議論に積極的に加わってくださっている日本暗号資産等取引業協会、日本ブロックチェーン協会、日本暗号資産ビジネス協会様など、各業界団体の皆様が、先頭に立って啓発や情報提供に力を入れて頂きたいと思います。最後に、議論に参加した一人の消費者の率直な感想として、37ページの「おわりに」に記述されている最後の段落の、「今後も国際的な規制当局間で連携を図りながら今般の規制見直しについても適切にフォローアップし、不断の規制見直しを行っていくこと」が、本当に重要なことだと思っております。私からは以上です。ありがとうございました。

佐古 和恵 早稲田大学理工学術院教授

私からも、本当に丁寧に各委員の意見を反映いただいて、事務局には相当なご苦労があったと思いますけれども、ありがとうございました。今回の議論にもありましたように、暗号資産の多くは実体経済に結びついた基礎価値がなくて、期待や需給、あるいはストーリーに基づいて価格が変動していることから、一体どういう情報を提供したら、購入判断に資するのか、そのどういう情報を提供すべきかというところが、まだ私自身もわかっておりませんし、またこのようなことから、投資性の考え方に整合しているかどうか、215行目にあるような、投資性の考え方と整合しているかどうかというところも、まだ腑に落ちていないところはあるが、今回の報告に示すように、金商法で扱って、詐欺被害を減らすことが一番重要だと考えておりますので、こちらの報告書に賛同いたします。今後も、最終のところに書いてあるように、是非随時見直していただければというふうに思っております。お疲れ様でした。ありがろうございました。

河村 賢治 立教大学法学部教授

各委員と同じになってしまうのですが、本当に委員の様々なコメントを丁寧に拾っていただいて、報告書を取りまとめて頂き、ありがとうございました。私からは一点だけなんですけれども、先ほどもお話にありましたが、私もひとつBitocinのETF等に関しては非常に気になっておりまして、今後どういう検討をされていくのか、見守っていきたいと思いますし、報告書の中にBTC ETF等が上場されている中で投資対象である暗号資産について、価格形成や取引の公正性を確保する必要性が高まっているということで、今回インサイダー取引規制というものが入ってくるということなんですけれども、有吉先生がおっしゃられたように、じゃあどういうものが、今回の規制の対象になっていくのか、そこから抜け落ちるけれども不公正というふうに評価されるものについてはどういうふうに対応していくのかについては、まだまだ見えないところもあるのかなという気がしておりますので、場合によってはQ&Aなどの形を使って、明確性を確保していくと同時に、有吉先生も言われていたように、私自身もどういうものが暗号資産の不公正取引になるのかについて、さらに研究を重ねていきたいと思った次第です。本当にありがとうございました。

オブザーバーコメント

  • JBA 加納
    • 本日は金融庁が示された方針に対し、業界団体として概ね賛同の意を表明いたします。また、制度整備に向けて尽力されてきた多くの関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。日本の暗号資産規制は利用者保護とイノベーションの両立を重視した、世界でも先進的な枠組みです。EUや米国の規制環境の下で事業を展開してきた経験を踏まえても、暗号資産に特化した包括的な規制体系を早期から整備してきた点は特筆すべものだと考えています。暗号資産は今や新たなステージへと進み、国民の資産形成や、新たな金融インフラとして、より広く社会に貢献する領域へと進化しております。セキュリティについては、コモディティ化された非競争領域は業界全体で標準化、協調を進める共助・公助の仕組みを整えつつ、ブロックチェーン由来の先端セキュリティなど、競争領域では自助による投資と市場原理による高度化を図るという、二重構造によるアプローチが重要だと考えております。また、海外の規制と比較しても、日本は早期からウォレット管理や顧客資産分別管理を徹底した点で優位性があり、実際に海外企業が破綻した際にも、日本の子会社における顧客資産が全額保護されたという実績があります。こうした点からも、日本の制度は国際的に見ても模範的であると確信しております。今後、暗号資産交換業者が金融商品取引法の管轄下となり、スタートアップではなく社会の公器としての金融機関の役割をになっていく中で、業界団体としては規制の枠組みを尊重しつつ、革新的な技術とサービスの提供を通じて、日本の暗号資産業界全体の健全な発展に引き続き貢献してまいります。
  • JVCEA 小田
    • 皆様にお礼をさせていただきたく、最後にお時間を頂きました。本日も様々な委員の先生方から、様々なご指摘をいただきました。我々として、改めて暗号資産業界に対して求められる社会的役割があるのではないかということを勉強させていただきました。本日ご指摘でも、本当にこれだけしっかりやっていけるのかというご指摘頂きましたけれども、我々としては当局とも連携していきながら、しっかりと対応を取って参りたいと思っておりますので、引き続きご指導ご鞭撻いただければと存じます。

閉会

報告書案につきましては、大筋で皆様からご賛同いただけたものと思っております。そのうえで本日いただいたご意見ですとかご指摘を踏まえて検討させていただければと思います。合わせて、表現の平仄等の精査等もさせていただければと思います。こうした点につきましては私にご一任を頂き取りまとめとさせていただきたく存じますが、よろしいでしょうか。 よろしいですか。 また、報告書の報告書の公表等の取り扱いについてもご一任いただきたいがそのような手続きで進めさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。 これまで本日も含めて6回にわたり活発なご議論頂きありがとうございました。多くの内容を扱いましたけれども、委員の皆様、ご協力をいただいた事業者の皆様、なにより事務局の皆様のお陰で多角的な視点から、バランスの取れた充実した議論を行うことができたのではないかと思っております。 今後この報告書を踏まえ、具体的な取り組みを進めていくこと、また更に検討を深めていくことが重要かと思います。皆様それぞれのお立場から引き続きご対応賜れますと幸いです。 なお、多くの委員からもご指摘のあった点ですけれども、今回の報告書は、暗号資産に金融投資のお墨付きを与えるものではなく、実際に暗号資産の取引が相当のボリュームで行われていることを踏まえ、可能な範囲で健全な取引環境を整備することを目指すというものですので、今回の報告書を紹介されたり、報道されたりする場合、この点につきまして正確にお伝えいただければというふうに考えております。

それでは最後に井上企画市場局長より一言おねがいします。

  • 井上企画市場局長
    • 本ワーキンググループに置きまして6回にわたりまして、座長の森下先生をはじめ、委員の皆さまに精力的にご検討いただきましたこと、事務局を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
    • 事務局といたしましては、今後報告書で示された内容、あるいは本日いただいた委員の皆様のご意見に沿って、法律改正を含めた制度整備等に取り組んでまいりたいと思います。
    • 今後もご指導いただくことがあろうかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

それでは本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございまいた。