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冒頭挨拶 | 2018年度フィンテック研究フォーラム公開シンポジウム

2019.03.11

www.carf.e.u-tokyo.ac.jp

CARF センター長 植田

皆さんお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

フィンテック研究フォーラムは2年半ほど前からはじめ、成果を上げつつあります。

毎月の研究会も、月一度より高頻度で開かれ様々なテーマが議論されています。目先の話より少し先、遠い先の夢に関するような話をいろいろな側面から議論する事が多い。

ここ1,2年を振り返ると、ビットコインの価格が夢より膨らんでいたところから追いつきつつあり、足元では様々な取り組みが進んでいる。

夢が膨らんで膨らみすぎたので調整されたといって良い。

しかし私の直感ではもう少し深い動きもある。ビットコインだけではなくIT関連新技術が大幅に広がる動きが、ある意味では中央集権的国家で行われる経済・社会政策とバッティングする側面が出てきている。深刻なものも出てきている。

一部分的には、国がそうした動きを抑制する、ブレーキをかける動きも出始めている。

ビットコインの値動きが下がってくるところでは、それが反映されていなくもなかったかなと思わなくもないです。

中央集権的な仕組みと分権的な仕組みが必ずしも矛盾するものではないことは、皆さんご存知かと思います。

これまでうまく組み合わさって発展してきた。そこがうまく組み合わさるには仕組みが必要で、そこが問われている。

ビットコインはそういう動きをしてしまったが、ベースになる技術、ブロックチェーン、あるいはもっとプリミティブなものでも、我が国で目立つ分野として小口決済の競争が目につく。

これは表面的には金融規制のある種の緩和があって、こういう動きも進みつつあるということかと思います。

ただこれも昨年の冒頭で申し上げたと思いますが、金融規制をどう考えていくのか、これは目先の問題に限らない深いインプリケーションを金融・国にもたらす話かと思います。

決済の分野ですとそういう動きが進むほど規制の考え方は金融機関の機能ベースに考えるのが一つの考え方、そうならざるを得ないと思いますが、複数の業務を行う銀行の規制は、各業務の規制の総和よりも多様なもの、深いものがあるわけです。

その辺をどう考えるか、ということ次第で、目先だけでなく金融システム全体に大きな影響があります。

中銀デジタル通貨の導入の仕方だけでも、金融政策だけでなく金融システムにも大きな影響がありうる。

新しい技術が広がり普及する中で、必然的に既存の国、国を巡るいろんな制度と整合的なものにするためには、様々なインフラ構築が必要である。そういう事も考えて目先の議論をしていきたい。

今日も直接間接、そういう話に関連するいろいろな話題が聞けると期待しております。